【無料ダウンロード】デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編|ホワイトペーパー
https://manamina.valuesccg.com/articles/3770国内外におけるZ世代の消費トレンド、Instagram、TikTok等SNSの利用実態など、2024年に反響の高かった16本のデジタル動向調査をピックアップし、白書として収録しました。(「Z世代トレンド・SNS動向編」ページ数|140P)
注目の新SNS「Bluesky」とは
「Bluesky」はXを代替する可能性があるとの声もあるSNSの1つです。X(旧Twitter)の共同創設者の一人、ジャック・ドーシー氏が関わっていることもあり、X代替候補のSNSの中でも、デザインや操作感がXに似たものとなっています。
Xと異なる点として、「Bluesky」は分散型のSNSプラットフォームを用いている点が挙げられます。分散型のプラットフォームとは、Xなどのように特定の企業が運営を行うのではなく、誰でも自由にサーバを開設し独自のルールで運用することができる仕組みのことです。分散型SNSの仕組みを取り入れることによって、「Bluesky」では、ユーザーが自ら見たいもの・見たくないものを選択(コンテンツをフィルタリング)できるようになっており、Xでは対処しきれなかったヘイトコンテンツや誤情報といった問題を解決することができているのです。
特に「Bluesky」は、ATプロトコルという新しい分散型SNSの仕組みを確立させています。ATプロトコルが普及することによって、異なるSNS間での連携や交流が容易になり、新たなオープンネットワークを確立することができるのです(「Bluesky」はこのつながりをfederated social network(連合型ネットワーク)と呼んでいます)。
ATプロトコルについては、「Bluesky」公式が提供しているこちらのコミックが分かりやすいので、気になる方はぜひご覧ください。
また、広告が表示されない点もXとは大きく異なる点です。広告がなく自分の見たい情報だけを閲覧することができるので、ユーザーは快適にアプリを使用することができます。
「Bluesky」は、ユーザー個人により多くの権限と自由を与え、プラットフォームにより安全で透明性の高い場所を作ることを目的として発足されたSNSです。それがこれまで述べた特徴に現れており、ユーザーは快適かつ安全、そして自由に情報を発信・取得できるのが「Bluesky」最大の強みだといえるでしょう。
ヘビーユーザーが増えつつある?
「Bluesky」はX代替候補のSNSということもあり、Xの動向に関連してたびたび話題になっています。その注目度の移り変わりを実際のデータから見ていきましょう。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツールDockpitを用います。
まず、検索者数の推移から「Bluesky」の注目度の変動を確認していきましょう。下記グラフは、Web上で「Bluesky(表記ゆれを含む)」または「ブルースカイ」と検索した人数の推移を表しています。2023年1月のリリース直後から2023年4月まで、少しずつ検索者数は増加し、その後は、7月と12月に瞬間的に検索者が増加しています。
その要因としては2023年7月に、投稿制限制度の設置などXに大きな仕様変更が行われたことでXの代替先を探す人が増加したこと、同年12月に、Blueskyにおいて、アカウントを取得しなくとも「Bluesky」の投稿を閲覧できるようになったことや日本語対応化が進んだことなどが考えられます。
「Bluesky」または「ブルースカイ」検索者数の推移
集計期間:2023年2月~2024年1月
デバイス:PC、スマートフォン
次に、「Bluesky」のユーザー数を見ていきましょう。検索者数の推移と同様、2023年7月と12月にユーザー数が大幅に増加しており、検索者数とユーザー数の推移には近しい傾向があることが分かります。その一方で、2つの指標には異なる点も見受けられます。2024年1月に注目すると、検索者数は前月の3割近くまで落ち込んだのに対し、ユーザー数は落ち込むどころかその数を増やしています。7月はXの仕様変更に伴う一時的なトレンドであったのに対し、12月は「Bluesky」の機能改善によって利用者が伸びている可能性が高いため、ユーザーの定着率も高かったのかもしれません。
「Bluesky」利用者数の推移
集計期間:2023年2月~2024年1月
デバイス:スマートフォン
さらに「Bluesky」のユーザーを深掘りしていきます。下のグラフは「Bluesky」の月平均アプリ起動日数の推移を表したものです。グラフからは、起動日数は右肩上がりの傾向にあるものの、2023年7月と12月に減少していることが分かります。これはこの時期に、ユーザー数が急増したことに伴ってライトユーザーが多く流入したため、平均としては利用頻度が落ち着いたのではないかと考えられます。以上を考慮すると、月平均アプリ起動日数は着実に増加しており、ユーザーの利用頻度から見ても、「Bluesky」の勢いは増しているといえるでしょう。
「Bluesky」月平均アプリ起動日数
集計期間:2023年2月~2024年1月
デバイス:スマートフォン
ここまで示した「Bluesky」の検索者数、ユーザー数、月平均アプリ起動日数の3つの指標から分かる通り、「Bluesky」は瞬間的なトレンドに左右されつつも着実にそのユーザー数を増加させています。
主要SNSにはまだ及ばない
X代替候補の新SNSとして登場し、着実にユーザーを獲得している「Bluesky」ですが、Xの代替を狙える位置にはいるのでしょうか。ここからは、他のSNSとユーザー比較を行い、現状の「Bluesky」の立ち位置について分析していきます。
■ユーザー数は大きく劣る
まずは主要SNSとの比較から行っていきます。ここでは、「X」、「Instagram」、「Facebook」、「TikTok」の4つを比較対象としています。
「Bluesky」と他4つの主要SNSのユーザー数を比べてみましょう。下のグラフを見ると、主要SNSに比べると「Bluesky」の規模はかなり小さいです。
「Bluesky」、「X」、「Instagram」、「Facebook」、「TikTok」利用者数の推移
集計期間:2023年2月~2024年1月
デバイス:スマートフォン
■生活に定着しつつはある
月平均アプリ起動日数についても比較していきましょう。「Bluesky」の月平均アプリ起動日数については、主要SNSに比べると低いものの、TikTokやFacebookとは3日ほどしか差がありません。このことから「Bluesky」は、既存ユーザーにとって徐々に生活に定着したものとなっており、主要SNSにどんどん近づいているといえそうです。
「Bluesky」、「X」、「Instagram」、「Facebook」、「TikTok」月平均アプリ起動日数
集計期間:2023年2月~2024年1月
デバイス:スマートフォン
■新興SNSの中では好調
続いて、X代替候補の新興SNSと比較していきます。比較対象は「Threads」、「Misskey」、「Mastodon」です。
まずはユーザー数の推移から見ていきます。これら4つのSNSは近い時期にサービスを開始したのですが、Instagramからの流入基盤が整っている「Threads」がやはりユーザー数を大きく伸ばし、他の新興SNSに差をつけています。肝心の「Bluesky」は「Threads」に大きく差をつけられたものの、2023年の11月以降は「Misskey」、「Mastodon」を上回るユーザーを獲得しており、新興SNS のなかでも十分将来性があるといえるでしょう。
「Bluesky」、「Mastodon」、「Misskey」、「Threads」利用者数の推移(下はThreadsを除いたもの)
集計期間:2023年2月~2024年1月
デバイス:スマートフォン
「Bluesky」は、X代替候補の新興SNSの中では将来性が感じられるものの、ユーザー数の面では主要SNSと肩を並べるにはまだ時間がかかりそうです。その原因としてはやはりアカウント登録の難しさが考えられます。Instagramからの流入基盤が整っている「Threads」とは対照的に、「Bluesky」はアカウント作成に招待コードを必要としており(2024年2月に招待制は廃止)、誰もが利用できるものではないために「Bluesky」のユーザー数は伸び悩んでいるといえるでしょう。
「Bluesky」ならではの強みも
「Bluesky」は、主要SNSと比較するとユーザー数や利用頻度で大きく差をつけられていました。では、「Bluesky」が主要SNSに勝っている部分はないのでしょうか。ここでは、さらなるユーザーの深掘りを行い、「Bluesky」ならではの強みについて調べていきます。
■Z世代の割合が多い
まずは、ユーザーの年代割合を先ほどと同様、主要SNSと比較していきます。下のグラフを見ると、各年代の割合がほぼ同じである主要SNSとは対照的に、「Bluesky」は新SNSということもあってか、流行に敏感な20〜30代の若者の利用割合が非常に高くなっていることが分かります。Z世代を含む20代だけで、半数近くを占めているのが特徴的ですね。
「Bluesky」、「X」、「Instagram」、「Facebook」、「TikTok」利用者年代割合
集計期間:2023年2月~2024年1月
デバイス:スマートフォン
■サブカルチャーに興味を持つ人が多い
続いて、各SNSユーザーの興味・関心項目について調べ、比較していきます。なお分析にはWeb行動データとアンケートデータを用いて、ターゲットユーザーにおける特定の Web 行動の前後の動きと属性を集計できる、ヴァリューズの分析ツールstory bankを使用します。
下のグラフは、「Bluesky」ユーザーの興味・関心度合いを表したものです。縦軸がリーチ率(アンケート回答者のうち、その回答を行った割合)、横軸が特徴値(「Bluesky」利用者のリーチ率からネット全体でのリーチ率を差し引いたもの)を表しています。
グラフを見ると、ゲーム・YouTubeなどの動画・アニメ・マンガなど、いわゆるサブカルチャーと呼ばれるものに興味・関心を持つユーザーの割合が他の項目と比べてとても多いことが分かります。サブカルチャー関連の話題として、Z世代を中心に若い世代では同じ趣味やジャンルで集まる、「〇〇界隈」というコミュニティの形成がブームとなっています。若者の割合が高いことや、自分が見たいものだけを見ることができるという「Bluesky」ならではの特徴が、複数の小規模なコミュニティで構成されやすいというサブカルチャーの性質と相性が良いために、「Bluesky」ではサブカルチャーに興味・関心を持つユーザーの割合が高いのかもしれません。
「Bluesky」ユーザーの興味・関心割合(縦軸:リーチ率|横軸:特徴値)
集計期間:2023年2月~2024年1月
デバイス:スマートフォン
その他主要SNSユーザーの興味・関心も大まかに見ていきます。下のグラフは、Xユーザーの興味・関心割合を示したものです。Xにおいてもゲームやアニメなどのサブカルチャーへの興味・関心度合は高いものの、他の項目と比べると「Bluesky」ほどの大きな差はないという結果になりました。ここではグラフを省略しますが、Instagram・Facebook・TikTokなど他の主要SNSにおいてもXと同様に、サブカルチャーへの興味・関心度合いは極端に多くはないという結果が得られています。
主要SNSは幅広い年代で利用されているため、このように、興味・関心を持つ項目が散らばっているのではないかと考えられます。
「X」ユーザーの興味・関心割合(縦軸:リーチ率|横軸:特徴値)
集計期間:2023年2月~2024年1月
デバイス:スマートフォン
また、ユーザーの興味に関して、各SNSにおける上位フォロワーの傾向を見ていきます(Facebookについては、最新のフォロワー数ランキングが発表されていなかったため割愛します)。
下の図は、株式会社ユーザーローカルが発表した、2024時点2月20日時点での「Bluesky」日本国内でのフォロワー数ランキングを示したものです。1位のナガノさん、2位のしぐれういさんをはじめ、イラストレーター、VTuber、ゲーム関連のアカウントが上位を占めています。このことからも、「Bluesky」のユーザーはサブカルチャーへの興味・関心度合いが非常に高いといえるでしょう。
「Bluesky」フォロワー数ランキング
その他主要SNSにおけるフォロワー数ランキングも見ていきます。簡単にまとめると、Xは誰でも知っているような有名人、Instagramは(主にK-POP)アイドル・俳優・モデル、TikTokはいわゆるクリエイターと呼ばれる方々がランキングの上位を占めていました。
出典:(左から順に)
・https://ranking.net/twitter-follower-ranking#:~:text=%E3%80%902024%E5%B9%B42%E6%9C%88%E7%8F%BE%E5%9C%A8%E3%80%91X%EF%BC%88Twitter%EF%BC%89%E3%81%AE%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AD%E3%83%AF%E3%83%BC%E6%95%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%201%20%E5%89%8D%E6%BE%A4%E5%8F%8B%E4%BD%9C%202%20%E6%9D%BE%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E5%BF%97%203%20%E6%9C%89%E5%90%89%E5%BC%98%E8%A1%8C%204,6%20%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%97%E3%82%83%E3%81%A1%E3%82%87%E3%83%BC%20%28hajime%29%207%20%E3%81%8D%E3%82%83%E3%82%8A%E3%83%BC%E3%81%B1%E3%81%BF%E3%82%85%E3%81%B1%E3%81%BF%E3%82%85%208%20%E6%A9%8B%E6%9C%AC%E7%92%B0%E5%A5%88%20%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%86%E3%83%A0
・https://insta.refetter.com/ranking/
(左)「X」フォロワー数ランキング、(右)「Instagram」フォロワー数ランキング
「TikTok」フォロワー数ランキング
以上の結果から、「Bluesky」は、サブカルチャーに興味・関心を持つ若年層のユーザーが多く、コミュニティを形成しやすいという、他の主要SNSにはない独自の強みを持っているといえます。この強みを活かしつつ、いかにして多くのユーザーを獲得するのかが、今後の成長の鍵を握ることになるでしょう。
今「Bluesky」が大注目なワケ
ここまで触れてきたように、「Bluesky」はXの雰囲気を残したままその問題点を解決するような画期的なSNSですが、ユーザー数は伸び悩んでいるという現状があります。そんな「Bluesky」ですが、2024年2月7日に招待制が廃止され、誰でも簡単にアカウント登録ができるようになり、注目を集めています。
Join Bluesky Today (Bye, Invites!) - Bluesky
https://bsky.social/about/blog/02-06-2024-join-blueskySign up for Bluesky! No invite code required.
「Bluesky」によると、招待制が廃止されてから約24時間で、世界で約85万人以上が「Bluesky」の新規登録を行い、200万以上の投稿が行われたそうです。また、Appストアのランキングでは前週まで10位圏外であったにもかかわらず、急上昇して1位を獲得する(2024年2月11日時点)など、その注目度の高さがうかがえます。
また、ちいかわの作者であるナガノ氏やセガ公式、葬送のフリーレン公式など、日本でも著名人や公式が続々と「Bluesky」のアカウント作成・投稿を行っており、「Bluesky」のSNS活動はより一層活発になっていくことが予想されます。
さらには、「Bluesky」が、2月末までには新たなフェデレーション機能を搭載することを発表しています。フェデレーション機能とは、ユーザー独自のサーバーをホストにできるようにするものです。これにより、分散型SNSの仕組みを維持しつつ、グローバルな情報を幅広く享受することができ、ユーザーの選択の幅が安全に広がります。このように、「Bluesky」は今後もさらなるアップデートが見込まれ、その動向からは目が離せません。
まとめ
今回は、先日に一般公開が解禁され注目度が急上昇した新興SNS「Bluesky」について、その特徴やこれまでの立ち位置について調査を行いました。まとめると、以下のようなことが分かりました。
・「Bluesky」はX(旧Twitter)の雰囲気を残しつつ、ヘイトコンテンツや誤情報など、Xで対処しきれなかった問題を解決できる分散型の新興SNSである。
・「Bluesky」はアップデートやXの仕様変更などに伴って、注目度・ユーザー数がともに上昇している。
・トップシェアを誇るSNSと比べると「Bluesky」はまだ及んでいない。
・「Bluesky」のユーザーはサブカルチャーに興味を持つ若者が中心であり、これは主要SNSにはない強みである。
・先日の招待制廃止により、「Bluesky」はユーザー数や公式アカウントが急増するなど、大注目のSNSとなっている。
・さらなるアップデートがいくつか控えており、今後もその動向に目が離せない。
「Bluesky」はユーザー個人に多くの権限を与え、安全で透明性を高くすることを目的としているため、その機能については申し分のないSNSです。一番のネックであったと思われる招待制が廃止され、誰でもアカウントを作れるようになったことで急成長を遂げています。Xや他の主要SNSに並ぶにはまだ道のりは遠いですが、今後のアップデート次第ではXの脅威となるかもしれません。引き続きその動向に注目していきましょう。
今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
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ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。今回、国内外におけるZ世代の消費トレンド、Instagram、TikTok等SNSの利用実態など、2024年に反響の高かった16本のデジタル動向調査をピックアップし、白書として収録しました。
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