withコロナのシェアエコ市場のデータを調査。戦略シフトで実は会員や売上を伸ばしていたサービスも

withコロナのシェアエコ市場のデータを調査。戦略シフトで実は会員や売上を伸ばしていたサービスも

新型コロナの影響で、シェアリングエコノミーのサービスは接触リスクを伴うことが懸念されていました。しかし、コロナ需要に合わせて戦略をシフトしたいくつかのサービスは、新たな価値を築きつつあるといいます。本稿では、そんなシェアエコ市場に着目。市場分析ツール「eMark+」を使い、「スペースマーケット」「タイミー」「ココナラ」「メルカリ」の4サービスの最新動向を分析します。


コロナショックはシェアエコ市場をどう変えた?

遊休資産の活用や人材不足の解消、コスト削減などのメリットから近年急速に浸透し、「所有から共有へ」という新たな価値観を築いたシェアリングエコノミー市場。モノや空間、車やスキルなど多様なカテゴリへ広がり、2017年度から2023年度の年平均成長率は14.1%で推移と予測されるなど、今後の成長が期待されています。

新型コロナの影響で、接触リスクを伴うシェアエコ市場は一時衰退が懸念されましたが、コロナ禍需要に合わせて各社は方向転換。これに成功したサービスは、ウィズコロナ時代の新しい価値を築きつつあるといいます。

本稿では、そんなシェアエコ市場の最新動向を調査。「スペースマーケット」「タイミー」「ココナラ」「メルカリ」の4サービスのWebサイト・アプリユーザー数からコロナ前後の変化を捉え、トレンドを探ります。

オフィスサービスの拡充で挽回した「スペースマーケット」

まずひとつめは、スペースシェアのサービス「スペースマーケット」を取り上げます。

スペースマーケットは、会議室や住宅、スポーツ施設など、ありとあらゆるスペースを掲載する空間シェアプラットフォームです。誰でも簡単に遊休スペースを収益源として活用でき、ユーザーは低コストでレンタルが可能。現在1万3千件以上のスペースが掲載されています。

では、スペースマーケットの過去1年のWebサイトのユーザー推移について、国内主要Webサイト・アプリを分析できるツール「eMark+」を使って見てみましょう。

集計期間:2019年8月~2020年7月、対象デバイス:PC&スマートフォン

コロナ第一波の3月から5月にかけてユーザーが減少し、6月から増加傾向です。接触リスクが懸念され一時下降したものの、対コロナ戦略によって回復したと考えられます。

スペースマーケットは、在宅ワークへの移行が急速に進み、オフィスの解約・縮小させる企業も出てきていることから、「働く場所」に特化した形にシフト。4月に「オフィスの間借り」支援サービスをリリースしました。オフィスの一部を貸したい企業と借りたい企業をマッチングさせる本サービスは、オフィスのあり方を見直した企業に刺さり、話題になりました。

このほか、サテライトオフィスの最短即日契約サービスや、働くシーンに特化したスペースをオンラインで貸し借りできる新サービス「スペースマーケットWORK」を開始するなど、ウィズコロナ時代の働き方に合わせてサービスを拡充しています。

また、eMark+でユーザー属性を見てみると、ビジネスパーソン(一般会社員・経営者など)の利用者が6割以上です。

集計期間:2019年8月~2020年7月、デバイス:PC&スマートフォン

働く環境に着目したサービス転換はユーザー属性にもマッチしており、サービスを挽回させ、さらに躍進させる転機になったのではないでしょうか。

テレワークや配達バイトに切り替えた「タイミ―」

続いて、単発バイトのシェアサービス「タイミ―」です。

タイミ―は、空き時間に働きたい人と、この時間だけ働いてほしい企業・お店をつなぐ"スキマバイト"を提供するサービス。バイトの新スタイルとして浸透し、利用者・導入店舗ともに広がりを見せています。

そんな昨年の9月にリリースされたタイミ―の、アプリユーザー推移を見てみましょう。

集計期間:2019年9月~2020年7月、対象デバイス:スマートフォンアプリ

今年2月までは好調にユーザーが拡大。11月に放送開始した橋本環奈さん出演のテレビCM効果もあり、大きく成長しています。この内容は本メディア・マナミナでも過去に取り上げました。

スキマバイトアプリ「Timee」、人気女優出演のCMで 月間ユーザー数が約2倍に

https://manamina.valuesccg.com/articles/854

橋本環奈さん出演のCMが大きな話題となったスキマバイトアプリ「Timee(タイミー)」。事前登録が不要で、条件をクリアすれば好きな場所・時間・職種で働けると注目を集めています。サービスの特徴やユーザーの傾向を従来のアルバイト求人アプリと比較しながら調べていきます。

グラフを見ると、コロナ感染拡大が深刻化してきた3月以降はやや下降傾向にあります。外食産業をはじめ接客を伴う求人が減少したことが影響していると考えられます。

一方で、コロナショックで収入が減った影響で仕事を探す人は増加。タイミーはこれらの状況を受け、在宅で勤務できる案件の掲載や、デリバリーサービス「スキマ便」の配達員の募集を5月にスタートしました。

6月にユーザー数がやや回復しているのは、これらの展開によるものだと言えるでしょう。タイミーでは、会員数でも100万人から135万人へ登録店舗も8000店舗から1万9000店舗まで伸びたという報道もあります。

今後、コロナ禍で需要が拡大している在宅・配達ジャンルの求人が充実すれば、さらに活性化していくのではないでしょうか。

コロナ禍で出品数増の「ココナラ」

「ココナラ」は、WEBデザインや動画制作、占いなど、幅広い分野の個人スキルを販売するオンラインスキルシェアサービス。スキルシェアは、人材不足解消や人件費削減、新しい働き方の実現などのメリットから急速に普及し、中でもココナラは出品数、業種ともに豊富で同カテゴリを牽引しています。

こちらは、過去1年のココナラのWebサイト・アプリ合算のユーザー推移です。

集計期間:2019年8月~2020年7月、対象デバイス:PC&スマートフォン

コロナが危険視されはじめた3月頃からユーザーがなだらかに増えています。

ココナラは、外出自粛で在宅時間が増えたことや、コロナ不況で「新たな収入源を作りたい」というニーズの高まりから、出品数は今年4月~5月には前年比で2倍だといいます。先行きが不安定な経済が続く中、「会社に頼らず個人で稼げるようになりたい」と考える人が増えたのかもしれません。

また、ユーザー属性を見てみると、会社に所属するビジネスマンが全体の約6割を占めており、副業としてココナラを利用する人が多いことが分かります。

ウィズコロナ時代には個人の能力で稼ごうとする動きは加速し、非対面で接触リスクもないココナラのようなスキルシェアサービスは、これまで以上に需要が高まるのではないでしょうか。

副収入で利用者増の「メルカリ」

最後に、CtoCマーケットの「メルカリ」をチェックします。

フリーマーケットアプリとして広く親しまれるメルカリは、プラットフォームを通じた資産活用といった概念を日本社会に広めた、シェアエコ市場のパイオニア的存在です。

コロナ禍ではどのような動きが見られたのか、Webサイト・アプリ合算の過去1年のユーザー推移をチェックしてみましょう。

集計期間:2019年8月~2020年7月、対象デバイス:PC&スマートフォン

年間通してなだらかな増加傾向で、特にコロナが危ぶまれてきた3月ごろに拡大。それ以降高い値を推移しています。また、同社の株価については5月初旬ごろに1カ月で5割成長したという数字もあります。

コロナ不況における節約・副収入目的のほか、ステイホーム中の片付け利用が増えたと考えられます。メルカリのオウンドメディアでも、メルカリを活用した部屋の片付けを提案し、出品のコツを紹介していました。

▼メルカリマガジンを含め、コロナ禍で集客に成功したオウンドメディアを調査しました。

三越伊勢丹やメルカリからオウンドメディアの集客方法を学ぶ。ステイホーム需要をすくい取ったヒットコンテンツとは

https://manamina.valuesccg.com/articles/943

本稿では、新型コロナに大きく影響されたこの期間に、訪問者数が伸びたオウンドメディアを調査。動きが顕著だった4メディア「FOODIE(三越伊勢丹)」「メルカリマガジン(メルカリ)」「Hayakawa Books & Magazines(β)(早川書房) 」「SMART MAGAZINE(ジェイトリップ)」のヒットの背景を分析します。

接触リスクが懸念されるモノのシェアですが、メルカリはユーザーの減少が見られませんでした。リスク以上にメリットを感じ利用され続けているということでしょう。

大きなシフトチェンジは行っていませんが、活用法の訴求などで好調なメルカリ。コロナ禍の変化は、メルカリにとって追い風になったと言えるかもしれません。

まとめ

接触リスクが懸念される空間シェアや、求人業種が変化したバイトシェアは一時ユーザーが減少傾向でしたが、シフトチェンジに成功したサービスは見事に回復の兆しを見せました。

また、ココナラやメルカリが好調であるように、収入機会の創出コスト削減といった文脈で、経済が不安定なウィズコロナ時代にシェアエコ需要は高まると考えられそうです。

感染リスクを回避し、需要に合わせて柔軟に「いいとこどり」ができれば、コロナ前以上の躍進も期待できるでしょう。その戦略が成功するかどうかで、多様化するシェアエコ市場の中でも差が開くかもしれません。長期化するであろうウィズコロナ時代、各社がどのような道を進むのか、今後の展開に注目です。

分析概要

ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2019年8月~2020年7月のネット行動ログデータを分析しました。
※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

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この記事のライター

フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

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