withコロナでカーシェアサービスに新たなニーズ?カーシェア業界Webサイトの最新動向を調査

withコロナでカーシェアサービスに新たなニーズ?カーシェア業界Webサイトの最新動向を調査

新型コロナウイルスの影響は収束の兆しが見えず、多くの業界が深刻な打撃を受けています。その中で、今回はカーシェア業界の動きを分析します。外出自粛など人々の移動制限によって利用者が減ったのか、それとも公共交通機関より安心だという理由で利用者が増えているのか…。市場分析サービス「eMark+(イーマークプラス)」を用いて、タイムズカーシェア、カレコ・カーシェアリングクラブ、オリックスカーシェアの3社を調査しました。


カーシェア3社のユーザー数推移

まず、カーシェア業界を代表する以下の3社について、ユーザー数の推移を見ていきます。

タイムズカーシェア(タイムズモビリティ株式会社)
カレコ・カーシェアリングクラブ(三井不動産リアルティ株式会社)
オリックスカーシェア(オリックス自動車株式会社)

カーシェアリングならタイムズカーシェア(旧タイムズカープラス)

カレコ・カーシェアリングクラブ | 三井のリパークでカーシェア

【公式】オリックスカーシェア | 長時間利用もおトクなカーシェア

カレコのWebサイトが好調。カーシェアユーザーはコロナ禍でも増加傾向

2020年2月~7月の半年間で、各社のWebサイトのユーザー数をグラフにまとめました。3月末に外出自粛要請があった翌4月に一旦ユーザー数が減少したものの、タイムズとカレコについては5月から好調に推移していることがわかります。特にカレコは他社と比べても高い伸び率でした。

6月に若干ユーザー数が減少したオリックスも7月にはこの期間で最高のユーザー数を獲得しました。

このことから、カーシェア業界はコロナの影響を一時的に受けたものの、ユーザー数は順調に推移をしています。カーシェアサービスは外出自粛や移動制限の中でも、公共交通機関を避ける移動手段として一定数のニーズがあったと言えるでしょう。

カーシェア3社ユーザー数推移

カーシェア3社 公式サイトユーザー数推移

対象:タイムズカーシェア/カレコ・カーシェアリングクラブ/オリックスカーシェア
デバイス:PCおよびスマートフォン
期間:2020年2月〜2020年7月

カレコ好調の理由はアフィリエイト広告?

ではカレコが好調の理由はどこにあるのか、公式サイトへの流入経路から分析します。
下グラフのように外部サイトからの流入が特に多いことがわかります。

具体的には下表のように『afb‐アフィb』というアフィリエイトサイトからの流入が目立ちました。

カレコ公式サイトへの流入元

カレコ公式サイトへの流入元

デバイス:PC
期間:2020年2月〜2020年7月

カレコ(https://www.careco.jp/)/流入元サイトランキング

デバイス:PC
期間:2020年2月〜2020年7月

タイムズは20代の利用者が増加。カレコはシニア層を囲い込み⁈

では、コロナ禍でカーシェアサービスを検討したユーザーはどんな人なのか、それぞれの公式サイト訪問ユーザーの年代別の月次推移から傾向を探ります。

【タイムズカーシェア】
これまで20代ユーザーに支持されていましたが、コロナ禍でさらに若年層のユーザー数が増加しました。

【カレコ・カーシェアリングクラブ】
コロナ以降50代、60代以上のユーザーが増加。直近3ヶ月で一番多い層は60代でした。

【オリックスカーシェア】
オリックスも20代が増加傾向。50代、60代は減少傾向でした。

このように、カレコのシニア層に向けたターゲティング戦略が、コロナ禍での好調に繋がっている可能性が考えられるでしょう。

タイムズ(年代別推移)

カレコ(年代別推移)

オリックスカーシェア(年代別推移)

対象:タイムズカーシェア/カレコ・カーシェアリングクラブ/オリックスカーシェア
デバイス:PCおよびスマートフォン
期間:2020年2月〜2020年7月

車のサブスクも流行の兆し

カーシェアサービスはコロナ禍においてもニーズが減らないどころか、着実に増やしていることがわかりました。公共交通機関を避ける移動手段として一役買っているのかもしれません。

一方で、カーシェアよりもマイカー気分が味わえる「自動車のサブスクリプションサービス」も流行の兆しが見えています。下のグラフのように、まだまだ成長途中ではありますが、特にトヨタの「KINTO」はコロナ禍で確実に注目を集めています。サブスク時代の新しいマイカーの形、今後の動きに目が離せません。

車のサブスクリプション3社 ユーザ数推移

車のサブスクリプション3社 公式サイトユーザー数推移

対象:KINTO(トヨタ)/ClickMobi(日産)/SMAVO(VOLVO)
デバイス:PCおよびスマートフォン
期間:2020年2月〜2020年7月

【KINTO】トヨタのサブスクリプションサービス

まとめ

今回はコロナ禍におけるカーシェア業界の動きを分析しました。

タイムズカーシェア、カレコ・カーシェアリングクラブ、オリックスカーシェアの3社について、公式サイト訪問ユーザー数の推移をみたところ、タイムズとカレコについては5月から好調に推移、6月に若干ユーザー数が減少したオリックスについても、7月には2月以降の半年間で最多のユーザー数を獲得したことがわかりました。

特にカレコは他社と比べても高い伸び率で、アフィリエイト広告戦略が奏功したと考えられます。また、若年層に強い他社に対してシニア層を大幅に獲得したこともわかりました。

まだまだ新型コロナ収束の兆しが見えない中で、カーシェアサービスは公共交通機関を避ける移動手段としてニーズが高まっているようです。一方で、今後は車のサブスクリプションサービスとのポジショニングも課題となって来るでしょう。

分析概要

全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+(イーマークプラス)」を使用し、2020年2月~2020年7月におけるユーザーの行動を分析しました。
※Webサイトのユーザー数はPC及びスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニター(20代以上男女)での出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。Dockpitにはサイトに訪れるユーザー数や属性など、無料でお使いいただける機能もあります。まずは無料版に登録して、実際にDockpitを体験してみてくださいね。



dockpit 無料版の登録はこちら


関連記事

市場拡大する「シェアリングエコノミー」とは?

https://manamina.valuesccg.com/articles/1014

2021年までに市場規模1070億円にも拡大すると予測されている日本のシェアリングエコノミー市場。注目を集めるシェアリングエコノミーの基本から事例までをまとめて紹介します。

withコロナのシェアエコ市場のデータを調査。戦略シフトで実は会員や売上を伸ばしていたサービスも

https://manamina.valuesccg.com/articles/998

新型コロナの影響で、シェアリングエコノミーのサービスは接触リスクを伴うことが懸念されていました。しかし、コロナ需要に合わせて戦略をシフトしたいくつかのサービスは、新たな価値を築きつつあるといいます。本稿では、そんなシェアエコ市場に着目。市場分析ツール「eMark+」を使い、「スペースマーケット」「タイミー」「ココナラ」「メルカリ」の4サービスの最新動向を分析します。

withコロナで「サブスク」検索が増加の背景とは?音楽だけでなく車や子供服、サーティーワンも参入

https://manamina.valuesccg.com/articles/1007

新型コロナの影響もあり、注目を集めているサブスクリプション。世の中ではどのような形で関心が寄せられているのでしょうか。Web行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて検索キーワード数の推移や季節比較、ワードネットワークを分析し、消費者のサブスクにまつわるインサイトを調査しました。

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。

関連する投稿


Will Isuzu's "Truck for Everyone," ELFmio, Be a Game Changer? Analyzing Initial Response with Website Visitor Data

Will Isuzu's "Truck for Everyone," ELFmio, Be a Game Changer? Analyzing Initial Response with Website Visitor Data

In July 2024, Isuzu Motors announced its new ELFmio truck. This truck can be driven with a regular driver's license and is marketed as a "Truck for Everyone." The aim is to address the shortage of truck drivers in the logistics sector. We analyzed the impact of ELFmio through website visitor data.


いすゞの「だれでもトラック」エルフミオは変革を起こすか? Webサイト訪問者データで初動を分析

いすゞの「だれでもトラック」エルフミオは変革を起こすか? Webサイト訪問者データで初動を分析

2024年7月、いすゞ自動車は新型トラック「ELFmio」を発表しました。普通自動車免許で運転でき、「だれでもトラック」と銘打たれるこのトラック。狙いは物流を担うトラックドライバー不足の解決です。そんなエルフミオのインパクトを、Webサイト訪問者データを通じて分析しました。


ライドシェア解禁を受けて配車サービスの利用実態はどう変化した?行動データから考察

ライドシェア解禁を受けて配車サービスの利用実態はどう変化した?行動データから考察

ライドシェアサービスは、運送する人と運送してほしい人を専用プラットフォームでマッチングする仕組みであり、日本語では「相乗り」を意味します。これまで日本では自家用車を使った有償運送が原則禁止されていましたが、2024年4月から限定的に解禁されました。これにより、一般ドライバーが特定の地域や時間帯で自家用車を使って旅客を運べるようになり、タクシー運転手不足の解消が期待されています。この記事では、「ライドシェア」の検索結果や主要サービスを調査し、関心や利用実態を考察していきます。


若者は海外旅行に積極的?最新の旅行需要を調査。航空会社大手、LCCの集客動向は

若者は海外旅行に積極的?最新の旅行需要を調査。航空会社大手、LCCの集客動向は

全国旅行支援や新型コロナウイルスの5類移行の影響もあり、徐々に人の移動が活発になってきました。今回は、昨今高まっている旅行需要に注目し、検索データを通じて旅行や観光への人々の関心を調査します。また、各航空会社の集客層の違いについても比較していきます。


カーシェアの市場規模や利用者数を調査。主要サービスの公式サイト訪問データから考察

カーシェアの市場規模や利用者数を調査。主要サービスの公式サイト訪問データから考察

カーシェアは車を共同利用するサービスで、日本にシェアリングエコノミーの考え方が広がるとともに普及しました。今回は国内の主要な13のカーシェアサービスのWebサイトを訪問した人のデータから、カーシェア業界の市場規模やどのような層が関心があるのかを調査していきます。


最新の投稿


タイのコーヒーの特徴とは?タイのコーヒー市場の現状やショップを紹介

タイのコーヒーの特徴とは?タイのコーヒー市場の現状やショップを紹介

近年タイではコーヒーブームが起こっています。バンコクには次々と新しいカフェができており、SNS映えする店内だけではなくコーヒーの味にもこだわりを持つカフェが増えています。実際に、起業してカフェオーナー兼バリスタになるのはタイでは一つのトレンドです。 近年、タイのコーヒー市場は右肩上がりに伸びており、タイのコーヒー市場は日本円で1440億円を超えると言われています。 そこで本記事では、タイのコーヒー市場の現状を読み解くとともに、タイでなぜコーヒーの人気が高まっているのかを、タイのコーヒーブームの歴史と共に解説します。


2025年上半期Z世代トレンド予想!Trepo、「ファッション」「グルメ」「コト・モノ」の3部門のランキングを発表

2025年上半期Z世代トレンド予想!Trepo、「ファッション」「グルメ」「コト・モノ」の3部門のランキングを発表

株式会社Creative Groupは、同社が運営するメディア『トレンドメディアTrepo(トレポ)』にて、10代~20代の女性を対象に、2025年上半期のZ世代トレンド予想調査を実施し、結果を公開しました。


ADK MS、「ゲーム総合調査レポート2024」を発表!最新のゲーム市況の把握から、ゲームプレイヤーの行動・心理の分析まで網羅

ADK MS、「ゲーム総合調査レポート2024」を発表!最新のゲーム市況の把握から、ゲームプレイヤーの行動・心理の分析まで網羅

株式会社ADKマーケティング・ソリューションズは、ゲームプレイヤーの心理・行動を分析し、分かりやすく彼らの実態を可視化した「ゲーム総合調査レポート2024」を作成し、公開しました。


スリープテック ~ 睡眠の質とテクノロジー

スリープテック ~ 睡眠の質とテクノロジー

疲労回復、毎日のコンディション管理に必要不可欠な「睡眠」。その睡眠、あなたは足りていますか?最近ではニュースでも多く取り上げられた通り、日本は世界規模での「不眠大国」。実に日本人の平均睡眠時間は経済協力開発機構(OECD)の加盟国33ヵ国の中で最下位とも言われています。そして睡眠はただ眠るだけではなく、経済とも大いに関わりがあるのです。本稿では広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が、良質な睡眠の鍵を解説します。


BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

株式会社PRIZMAは、全国のマーケティングコンサルタントを対象に、「BtoBマーケターが始めた方が良いこと」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ