Yahoo!ファイナンスユーザー動向に見る個人投資家市場

Yahoo!ファイナンスユーザー動向に見る個人投資家市場

20代の投資家予備群は、リア充女子と堅実男子?


ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は、「Yahoo!ファイナンス」ユーザーのネット行動ログと属性情報に基づき、投資や株に関心があるネットユーザー層を分析しました。

Yahoo!ファイナンスの現ユーザーは30代~40代男性がユーザーの3割を占めますが、個人投資家の3割程度にとどまるとされる40代以下の年齢層※1 に幅広くリーチしており、投資家育成・支援メディアとして一定の役割を果たしていることがわかりました。20代ユーザーの関心事からは、リア充女子・堅実男子の傾向が見られ、「貯蓄から資産形成へ」向けた若年層に対するアプローチのヒントを得ています。

※1:2018年1月日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」より。http://www.jsda.or.jp/shiryo/chousa/kojn_isiki/files/20180131ishikichousa.pdf

分析概要

ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用し、2017年10月~2018年3月のPC・スマートフォンでのYahoo!ファイナンス接触者の興味関心データを集計した。
興味関心データは、2017年12月8日~2018年4月3日実施のアンケート回答データをもとに集計。
ヴァリューズ保有モニターでの出現数をもとに、国内ネット人口に則してウェイトバックを行っている。
PC・スマートフォンデータは、ヴァリューズ保有モニタ(20代以上)での出現率をもとに、国内ネット人口に則して推計。

考察サマリ

Yahoo!ファイナンスに接触したユーザーの属性を男女別・年齢層別に調べると、全体ではPC・スマートフォンとも男女比がほぼ半々ですが、Yahoo!ファイナンスはいずれのデバイスも男性が6割強。特に30代~40代男性がユーザー全体の3割程度を占めています。

図表1 性別・年齢層別のユーザー属性

一般よりも高収入の傾向

Yahoo!ファイナンスユーザーの世帯年収を全体と比較すると、20代の平均収入ゾーンである世帯年収300万円未満のユーザーがPCで2%、スマートフォンでは4%ほど少ないことがわかりました。他方で1000万円以上のユーザーが全体よりそれぞれ2%ほど多く、比較的高収入といえそうです。

図表2 世帯年収別のユーザー分布

一般ユーザーより1割高い「マネー、投資」「経済」への関心

Yahoo!ファイナンスのユーザーに特徴的な興味・関心テーマを、アンケート調査結果から確認しました。全体の興味・関心テーマと比べて差が大きかったのは「マネー、投資」「経済」で、1割程度関心が高いことがわかります。また、「国内旅行」よりも「海外旅行」の方が全体との差が大きくなっています。

図表3 Yahoo!ファイナンスユーザーの興味・関心トップ10(全体との差分が大きいテーマ)

※Yahoo!ファイナンスに接触したユーザーのうちの該当項目に関心があると回答したユーザーの割合と全体ユーザーのうちの該当項目に関心があると回答したユーザーの割合の差が大きい順にランキング。

投資家予備群はリア充女子と堅実男子?

金融庁の調査によると、投資経験者は20代から30代へかけて倍増することが明らかになっています※2。投資家予備群である20代の関心を明らかにするため、同世代・同性のユーザー全体との関心度の差が大きいテーマを確認してみます。女性PCでの傾向を見ると、「経済」の関心が2割ほど一般より高く、「海外旅行」「資格取得、習い事」と並ぶ様子は、アクティブで自分磨きに励む女性のイメージです。他方、女性スマホでは「睡眠不足」「冷え性」「体のゆがみ」など、身体の悩みが一般層より強い傾向。資格取得や習い事にいそしむ忙しい日々の中で、身体の悩みも出てきているのかもしれません。
男性PCでは、「結婚」や「住宅・エクステリア」に興味が高いのが特徴的で、「結婚」を見据え、住居やお金のことをしっかりと考えているといえそうです。「デンタルケア」「肥満・メタボ」が他の層より気にかかっている様子も、「結婚」を意識してのことでしょうか。スマートフォンでの傾向を見ると、「不動産」への関心が一般ユーザーより6%高く、不動産投資にも関心が高そうです。

※2:「若年層を中心とした個人による投資の現状とNISAの利用促進に向けた課題に関する調査」報告書https://www.fsa.go.jp/common/about/research/20151001-1/01.pdf

図表4 20代Yahoo!ファイナンスユーザーの興味・関心(全体との差分が大きいテーマ)

※該当属性に絞込み、Yahoo!ファイナンスに接触したユーザーのうちの該当項目に関心があると回答したユーザーの割合と全体ユーザーのうちの該当項目に関心があると回答したユーザーの割合の差が大きい順にランキング。

個別銘柄情報、ポートフォリオの銘柄管理が人気

Yahoo!ファイナンスは株価やIPO、株主優待など日本株情報のほか、外国為替や金利、投資信託や中国株、ニュースや企業情報など、投資やマネーに関する幅広いコンテンツを提供しています。人気があるのはどんな情報か、eMark+の「コンテンツランキング」機能でPCユーザーのログを確認しました。
Yahoo!ファイナンスの接触率をディレクトリ別に見ると、個別銘柄の詳細情報(stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/)、トップページ(finance.yahoo.co.jp/)、個別銘柄のチャート(stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/)の順です。他方、各ディレクトリに接触したユーザーあたりのページビュー数では、株式銘柄や投信、為替などを登録して取引値や出来高など最新情報を一覧表示できる機能、ポートフォリオ(info.finance.yahoo.co.jp/portfolio/display/)がダントツ。個別銘柄詳細情報の2倍近く利用されています。

図表5 Yahoo!ファイナンスのディレクトリ別利用状況

個別ページでは、投資クイズくじ、FX・外国為替、株式といった一般的なコンテンツのユーザー数が多い一方で、ページビューはポートフォリオや個別銘柄情報が上位。個別銘柄の値動きチェック用途が支持されています。

図表6 Yahoo!ファイナンスユーザーの人気上位10ページ

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


新NISA開始!NISAとiDeCoで検討者を比較調査

新NISA開始!NISAとiDeCoで検討者を比較調査

2024年1月から新NISAが開始されました。今回の調査では、新NISAは若年層や未婚者の関心が高く、積極的に資産の運用をしたいと考える人が多いと推測できそうです。一方のiDeCoは、40代以降の年代で新NISAよりも関心が高く、老後の資産形成を意識しているといえるでしょう。NISAを始め、iDeCoとも比較しながら、新NISAの検索者の属性や興味関心について分析しました。


What kind of people can only be reached through Instagram? And Twitter? Users “only” available from each major platform

What kind of people can only be reached through Instagram? And Twitter? Users “only” available from each major platform

Many think “most people use both X (formerly Twitter) and Instagram.” There are users who can only be reached through certain platforms. Using app activation data, we researched how many and what kind of users can be reached exclusively through each app and analyzed which users are most likely to purchase via ads, etc.


Instagramじゃないとアプローチできない人ってどんな人?Twitterの場合は?主要SNSの「のみ」ユーザーを調査

Instagramじゃないとアプローチできない人ってどんな人?Twitterの場合は?主要SNSの「のみ」ユーザーを調査

「X(旧Twitter)とInstagram、大体みんな両方使っているだろう」と何となく思っていませんか?狙いたいターゲットによっては、どちらかの媒体でしかアプローチできないユーザーが意外にも存在するかもしれません。今回はスマホアプリの起動データから、それぞれの「のみ」利用ユーザーがどれくらい存在し、彼らがどのような特徴をもった人々なのかを調査。広告が購買に繋がりやすいのはどちらの「のみ」ユーザー?など、施策を見据えて分析していきます。


ふるさと納税はどんな人が検討している?セグメントごとの特徴を調査

ふるさと納税はどんな人が検討している?セグメントごとの特徴を調査

年末が近づくにつれて注目度が高まるふるさと納税。そのユーザー像はどのようなものなのでしょうか。検討の度合いから検討者を5つのセグメントに分類し、実態を調査しました。


データ分析のヴァリューズ、「デジタル・トレンド白書2023 – 金融編」を公開

データ分析のヴァリューズ、「デジタル・トレンド白書2023 – 金融編」を公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から3回目を迎える「デジタル・トレンド白書2023」は、「金融編」についてご紹介します。※レポートは無料でダウンロード頂けます。(ページ数|134P)


最新の投稿


Z世代就活生の約7割が出社中心の働き方を希望!ある程度拘束されても手取り足取り教えてほしい【電通調査】

Z世代就活生の約7割が出社中心の働き方を希望!ある程度拘束されても手取り足取り教えてほしい【電通調査】

株式会社電通は、2024年卒または2025年卒業予定の全国の大学生・大学院生を対象に、就職活動に関する意識調査「Z世代就活生 まるわかり調査2024」を実施し、調査結果を公開しました。


データ分析のヴァリューズが「競合分析ガイドブック」を公開 ~ 商品企画からプロモーションまで、知っておきたい 6つのフレームワーク・8つの事例・19の分析ツールを徹底解説 ~

データ分析のヴァリューズが「競合分析ガイドブック」を公開 ~ 商品企画からプロモーションまで、知っておきたい 6つのフレームワーク・8つの事例・19の分析ツールを徹底解説 ~

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、運営するデータマーケティング・メディア「マナミナ」にて公開した記事から厳選し、知っておきたい6つのマーケティング・フレームワーク、8つの事例、19の分析ツールを収録した「競合分析ガイドブック」を公開しました。


交渉学を深める ~ 英知ある交渉とは

交渉学を深める ~ 英知ある交渉とは

さまざまなビジネスシーンで見られる「交渉」。よりスマートにお互いの利益を引き出す交渉を行うにはどのような知識とスキルが必要となるのでしょうか。また、現在持ち合わせているあなたの「交渉能力」をアップデートするためには、どのような「交渉術」を備えるべきなのでしょうか。本稿では広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が「交渉」概念の基礎から、さらに深い「交渉学」の世界まで解説します。


悩みを抱えた人の語りからこころと社会を学ぶ「夜の航海物語」のススメ〜現代社会とメンタルヘルス〜

悩みを抱えた人の語りからこころと社会を学ぶ「夜の航海物語」のススメ〜現代社会とメンタルヘルス〜

「カウンセリング」と聞いて、どんな印象を持ちますか?専門家とともに自分のこころを見つめる経験は、その後の人生の糧にもなります。臨床心理士の東畑開人氏の著書「なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない」(新潮社)は、気付かないうちにあなたも染まっているかもしれない、孤独に陥りがちな現代社会の価値観に気づかせてくれます。「読むセラピー」と称された、カウンセラーとクライアント(依頼者)の夜の航海物語を、精神保健福祉士の森本康平氏が解説します。


Twilio、「顧客エンゲージメント最新動向」を発表 データ使用状況の開示と高い透明性の重要性を明らかに

Twilio、「顧客エンゲージメント最新動向」を発表 データ使用状況の開示と高い透明性の重要性を明らかに

Twilio Japan合同会社は、「顧客エンゲージメント最新動向」の日本語版を発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ