コロナでECサイト戦略がトレンドに?
スピーカー紹介
まずはコロナ禍におけるECサイトの大まかな動向について見てみましょう。
例えば居酒屋チェーン「塚田農場」は、「おうちでおいしくたべて、農家支援。」というキャッチフレーズのもと、自社ブランドの鍋セットなどを通販で届けるECサイト「おうち塚田農場」を立ち上げました。塚田農場に限らず、自社ECを新たに開設する企業が増え始めています。
またグラフで示されているように、ヴァリューズが独自ツールを用いて集計したデータによれば、MakeShopやCOLOR ME、BASEといったネットショップを開設・運営できる通販 ASPカテゴリのサイト閲覧者数は、感染拡大が本格化してきた2020年3月から5月にかけて大きく増加しています。その後減少に転じているものの、依然コロナ前に比べると高ポイントを維持していることから、自社ECの立上げや改善の ためのツールを探す方が増えていると考えられます。
このように、コロナの影響を受けて、ECサイトを開設・強化する動きが顕著に見られるようになりました。
それではここから、ECサイトの詳しい動向と今後の戦略を考えるための材料を、4Pの観点から解説していきます。
本セミナーでは、4Pを上のように設定しています。
Place①ではECサイトの現在の動向と将来性について、Place②では卸先ECモール選定の観点から、効率的に集客するための判断材料についてご紹介します。またPromotionで実際の企業の事例を用いて有効な集客戦略について考えていくとともに、Productで自社ECが満たすべきニーズについても分析していきます。
自粛緩和されてもECは伸び続けるのか
前章では企業側の動きについて見てきましたが、本章ではPlace①として、実際にコロナ禍でECサイト利用者がどれだけ増加したのか、そのトレンドはキープされているのか、という点をヴァリューズが保有するモニターのログデータを元に、今後の将来性について分析していきます。
まずは全体の傾向を把握するために、3大ECモール(Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピング)の利用者の推移を、2019年(オレンジ線)と2020年(青線)を比較しながら見ていきましょう。
サイトへの来訪者は増減こそ見られるものの、昨年より高い水準を保っています。アプリ利用者については順調に右肩上がりを続けている状態です。このようにECサイト全体としては、ユーザーは増加傾向にあることがわかりました。
では次に、カテゴリ別の利用者の推移を見てみましょう。
日用品や食料品を専門的に扱うネットスーパーへの来訪者数は、自粛要請が強まった今春に大きな伸びを見せましたが、7月には昨年と同水準に戻っています。思うように外出できなかった状況から、日用品の買い出しくらいはコロナ前とほぼ同様にできる状況に戻ったことで、実店舗への回帰が起こっており、このカテゴリに関しては過去の習慣が根強いということがわかります。
一方デリバリーアプリは、期間を通して昨年と差をつけて利用者が多いことがわかります。落ち込みを見せた6月ですら、昨年の2倍以上の数値となっています。コロナが生み出したこの新しい習慣については、今後も定着していくと言えそうです。
また下のスライドが示しているように、家電や家具のような時間をかけた検討を要する商材も、ECとの相性が良くEC化が進んでいくと考えられます。
ECモールの棲み分けとは?自社商品との相性を考える
自社ECサイトを運営するだけでなく、大手ECモールに商材を卸すのも重要な集客戦略になってきます。そこで本章ではPlaceの②として、各ECモールの特徴を分析し、卸先の選定に役立つ情報をご紹介します。
このスライドでは、2年間の主なECサイトおよびアプリの利用者数を比較しています。見ると、Amazonと楽天市場が3位のYahoo!ショッピングに差をつけて2強の状態を維持していることがわかります。また新たな傾向として、PayPayモールが新設され、利用者を急激に伸ばしていることは注目すべきポイントです。
次に、各ECの利用者属性を性別、年代構成で比較すると、以下のグラフのようなポジショニングがなされていることがわかりました。
横軸が性別を、縦軸が年代を表しています。
ECサイトの利用は全体的に男性の占める割合が多い現状ですが、この5つのモールの中ではWowma!と楽天市場が割合としてより多くの女性ユーザーを獲得していました。またAmazonと楽天市場は若い世代のユーザーが目立つ一方、PayPayモールとYahoo!ショッピングでは中高年層の比率が高くなっています。
このように性年代で比較しただけでも、各ECモールに棲み分けがなされていることがわかりました。
ヴァリューズの保有するログデータを活用して、ユーザーの可処分所得や趣味嗜好性(どのモールでどのカテゴリの商品をよく閲覧しているのか)など、性年代を超えた様々な角度から比較することで、各ECモールの強み・弱みへの理解が深まり、自社商品との相性も見ることができます。
「食べチョク」人気に見るECサイト活用の秘訣
Promotionセクションでは「食べチョク」の事例をもとに、ECサイトを用いた効果的な集客戦略を提案していきます。
食べチョクは、全国の生産者が自身で値段を設定して食材を出品し、消費者が直接お取り寄せできるオンライン直売所サイトであり、コロナ禍において人気が急激に高まっているようです。
食べチョクのサイト来訪者数は、3月から5月にかけて約6.5倍という急増を見せ、その後も前述のように日用品・食品の購入先が実店舗に戻ってきている風潮の中、コロナ前よりかなり高い水準を記録しています。
この理由を知るため、サイトへの流入キーワードを調査したところ、以下のような傾向が見られました。
この新しいトレンドに対し、「オンラインで購入したい」というユーザーニーズに応える受け皿を用意できていたことが食べチョクの人気獲得の要因の一つであると分析できます。
また「応援」関連の検索が増えていることについて、サイト上に「#コロナでお困りの生産者さん」というコーナーを3~5月にかけて新設し、送料一律500円分を食べチョクが負担する応援プログラムを実施するなど、生産者からのSOSに応えると同時に、「困っている人を応援したい」という応援消費を後押しする仕組みを用意できていたことも成功の要因であると考えられます。
このような動向から、ECサイトを活用する際のポイントとして、自社のターゲットがどんなニーズを抱えているかをタイムリーに押さえ、そのニーズに沿った施策を用意しておくことが重要であり、ニーズの高まりを押さえるために、検索者が増えてきているワードをチェックしておくことが有効な手として挙げられます。
ヴァリューズの行動ログツールを活用すると、トレンドワード検索をはじめとした市場分析が可能となります。また実際に食べチョクのサイトにユーザーがたどり着くまでのジャーニーを含め、詳細はセミナー資料に掲載しておりますので、ぜひご覧ください。(※セミナー資料は下にあるフォームから無料でダウンロードできます)
ECでどんなニーズを満たすべきか?
「自社ECで購入する人はなぜ自社ECを選ぶのか?」「自社ECで購入してもらうためにはどうしたらいいのか?」最後のProductセクションではこのような悩みに応えるため、D2C(Direct to Consumer)ブランドとして成功している『BULK HOMME』『BOTANIST』の事例から、自社ECに求められる商品や体験価値について解説していきます。
下のスライドでは、ユーザーが化粧水の検索を始めてから、BULK HOMMEの商品の存在を知り、申し込みに至るまでの購買ジャーニーを追っています。
同様にBOTANISTユーザーの購買行動を調査すると、「“送料無料・限定ラベル”という特典を用意していたため選ばれた」ケースがあることがわかりました。ジャーニーの詳細についてはセミナー資料をダウンロードの上ご覧ください。
以上のことから、①喜び・独自ポイント(お得さ・限定ラベルなど)②購入障壁を下げる(スターターセット・送料無料など)の2点を備えた商品や体験価値(差別化要因)を提供することで、自社ECを選んでもらうことの後押しに繋がると考えられます。
まとめ
本セミナーでは、コロナ禍で盛り上がりを見せるECサイト業界をテーマに、4Pの観点別にその動向とこれからの戦略について解説しました。それぞれのセクションの結論は、以下の通りです。
Place①:一時的に利用者が増えたが自粛が緩和され元の水準に戻ってきたカテゴリ、引き続き新たな習慣として人々の間に定着していきそうなカテゴリなど、一口にECサイトといってもその将来性は分野ごとに異なる。
Place②:ECモールとしてはAmazonと楽天市場の2強状態が続く中、新規開設のPayPayモールが急速に人気を集めている。ユーザーの性年代構成に既にモールごとの棲み分けが表れており、他の様々な角度からの調査でより詳細なポジショニングの実態を捉えることで、自社商品の卸先としての相性を見極める材料となり得る。
Promotion:トレンドワード等から、自社のターゲットがどんなニーズを抱えているかをタイムリーに押さえ、そのニーズに沿った施策を用意しておくことが重要である。
Product:①喜び・独自ポイント(お得さ・限定ラベルなど)
②購入障壁を下げる(スターターセット・送料無料など)
上記2点を備えた商品や体験価値(差別化要因)を提供することで、自社ECを選んでもらうことの後押しに繋がる。
ECの特徴を知り購買チャンネルとして有効的に活用していくことは、コロナ禍に留まらず、これからさらに進行していくデジタル社会において重要な戦略となってきます。ECを使った施策について検討されている皆様にとって、本レポートが参考になれば幸いです。
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■「Web行動ログから読み解く!ECサイトの動向と今後の戦いについて」レポート
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大阪大学でポルトガル語とブラジル社会学を、カナダのビクトリア大学でビジネスを学び、2021年に新卒でヴァリューズに入社。データアナリストを経て、現在はマナミナのコンテンツマーケティングと自社の海外PRを担当しています。