withコロナ時代に取り組むべきデータ活用の第一歩とは|ヴァリューズ×ナビタイムジャパン共催セミナーレポート

withコロナ時代に取り組むべきデータ活用の第一歩とは|ヴァリューズ×ナビタイムジャパン共催セミナーレポート

ビジネスにおけるDXの必要性は企業利益にとって非常に重要な取り組みとなってきています。しかし、大規模なシステム導入をしたものの、導入後の現場レベルでのDX推進役となる人材が不足しているといった問題点も。こうした状況を打開するDXの正しい一歩目とは「まず小さくデジタル化・データ活用の文化を根付かせ大きく広げていく」といったことではないでしょうか。そこで本稿では2月17日に開催されたセミナーをご紹介。企業のデータ活用支援実績を多く持つヴァリューズと、経路検索ログやロケーションデータなどを活用した移動需要分析や商圏分析実績が豊富なナビタイムジャパンが、データ活用を通したDXの第一歩について解説しました。


“スモールスタート”が肝心なDX推進。自社ECサイトにおけるデータ活用とは?

本日のagenda

⚫︎外部データ活用
 ー WEB全体のトレンド
 ー 小売業界のWEBトレンド

⚫︎自社データ活用
 ー DX推進は“スモールスタート”が肝心
 ー 自社ECサイトにおけるデータ活用の事例の紹介

スピーカー紹介

図:スピーカー紹介

図:スピーカー紹介

小売業のWEBトレンド

株式会社ヴァリューズ ソリューション局アシスタントマネジャー 宇都宮 匡(以下、宇都宮):「今回は小売業という業界に絞って、WEBトレンドを見ていきます。
まずイメージしやすいところで、スーパーのネット利用を見てみましょう。

「イトーヨーカドー」、「イオン」、「西友」、「ダイエー」、「ライフ」の2019年1月から2020年12月のネット利用のデータとなります。
コロナ禍の影響もあってか、3、4、5月からの成長が、その後も続いているように見受けられます。」

図:スーパーのネット利用は増加しているのか?

図:スーパーのネット利用は増加しているのか?

宇都宮:「では、スーパーのサイトに対してどういった流入があるのか、同じく2019年1月から2020年12月の動向をみてみると、「自然検索」が傾向として一番多く見られました。

さらに「店舗」や「チラシ」といったワード検索が多いという傾向が掴めました。
オフラインでの情報収集が、オンラインに置き換わりつつあると言えそうです。」

図:スーパーサイトへの流入

図:スーパーサイトへの流入

宇都宮:「スーパーに対してコンビニエンスストアはどういった傾向にあるか、同じく2019年1月から2020年12月の「セブンイレブン」、「ファミリーマート」、「ローソン」の3社のネット利用を比較しました。

乱高下しつつ上昇傾向にも見えますが、平均するとあまり大きな変化はなさそうです。」

図:コンビニのネット利用は増加しているのか?

図:コンビニのネット利用は増加しているのか?

宇都宮「コンビニエンスストアのサイト流入も見てみます。同じく「自然検索」が半数以上を占める結果となっていました。
また、検索ワードとしては「キャンペーン」や「スィーツ」、「新商品」といったものが挙がっていました。」

図:コンビニサイトへの流入

図:コンビニサイトへの流入

宇都宮:「一旦ここまでのまとめですが、弊社データを利用すると何が見えるのかといった点を踏まえてご説明します。」

⚫︎小売業界のWEBトレンド
 店舗やチラシの情報はWEBで検索する
 ネットでの買い物が増加
 コンビニのキャンペーンや新商品やスイーツもWEBで検索する

宇都宮:「コロナ禍の影響もあり、小売業はもちろん各業界ともにWEB利用は増えてきていると言えます。
また、従来の常識が変化してきているとも言え、そういった状況の中では、常に最新の状況を把握できるようなデータなどのサポートが必要だと考えます。」

DX推進はスモールスタートが肝心

宇都宮:「続いては自社データの活用について。皆様がお持ちのデータの活用について、まずは一般的なところからお話しさせていただきます。

DX推進というものは「スモールスタートが肝心」と言われます。DX推進・データ活用といった時に発生しやすいポイントをまとめました。

⚫︎ツールを入れたがデータが活用されない
ー データ活用ツールを入れたが、メンバーの利用が進まない。
ー 人の手によるエクセル編集仕事が楽にならない。

⚫︎いろいろ試してみるが成果がでない。
ー ツールを入れて分析しているが、結果が施策につながらない。
ー システムが複雑化しすぎて逆に生産性が下がった。

宇都宮:「こういったような状態に陥るというのは、もしかしたらDX推進の仕方が原因なのではないかと考えます。
それではどのように整理し、DX推進を行えば良いか。このような状況を打開するためには、いくつかの課題があげられます。」

⚫︎デジタルに対するビジョンと戦略の不足
⚫︎基幹ITシステムが老朽化・肥大化してDXを阻害
⚫︎ユーザー企業・ベンダー企業の関係
⚫︎DXを進められるIT人材の枯渇

宇都宮:「例えば、DXのゴールが単にシステムを導入することになってしまうケースが多くあります。
中でもDX導入指示がトップダウンの場合、実際は現場の余力などの実態が上層部には伝わっておらず、結果、現場運用がうまくいかずにゴールできないといったケースなどがよく見受けられます。
こういった場合、現場での推進力のある方が、データ活用の重要性に気付いてデータの利活用の指揮を取り、小さく成果を上げていきながらDXを広めていくといった、ボトムアップ方式で推進していく方式が最も成果が見えて現実に即していると考えます。」

図:DX 推進の課題

図:DX 推進の課題

自社ECサイトにおけるデータ活用事例

宇都宮:「ここでヴァリューズがコンサルティングを担当している『JAタウン』の事例紹介をさせていただきます。

『JAタウン』とは、JA全農様が運営するモール型ECサイトで、主に各地の農協(JA)などが各産地の農産物や特産品を販売しています。
『JAタウン』では、戦略設計から日々の運用上での意思決定まで、データに基づいて行われています。

マーケティングの施策としては、「生産者」と「消費者」の間において、「消費者」に向けては集客、CRMとサイトの改善というところを行い、「生産者」に向けては出店のサポート行っています。
この「生産者」と「消費者」の両面に対して、社内(内部)と社外(外部)のデータを活用しており、この社外(外部)データ活用の部分についてはヴァリューズが現在サポートさせて頂いております。」

図:「JAタウン」とは?

図:「JAタウン」とは?

宇都宮:「データ分析・報告の進め方については、月一回程度の対面での打ち合わせと,施策ごとの分析結果をTableauというBIツールを活用し共有する方法をとっています。

具体的には、月初に行われる報告会では、中長期の課題議論や直近業務でデータで手伝えることの洗い出しなどがあります。議題の一例としては、『JAタウン』の中のリピート率を増やしていくといったものもあります。
月中から月末は主にメールのやり取りとTableauの共有となります。ここで施策中に出た課題の質問回答や月初報告での宿題の回答などを行っています。

分析時の課題と解決方法については、『JAタウン』の場合、当初店舗ごとに違っていた商材の分類分けを統一整理したことで、データ活用がよりしやすくなりました。
こうして整理されたデータにより、商材毎の売り上げのモニタリングができるような環境も出来上がり、そこから得られたデータをもとに、既存店舗のサポートへの活用や、新規出店への説得材料とするなど、多様な形でデータを活用頂けるようになりました。」

図:分析時の課題と解決方法

図:分析時の課題と解決方法

宇都宮:「DXを導入する意義の一つとして、意思決定を目的とすると言えるのではないでしょうか。よって、何よりも解釈性とスピードが重要と考えます。
そのため、データ分類時に時間と工数をかけ過ぎず、未分類のデータを許容することも必要だと言えます。全体のデータ精査が8割程度であればビジネス的には判断材料として十分進めて行けるでしょう。
また、Tableauで分類するフローを作成すると、他データへの適用も可能になるという利点も重要なポイントです。」

図:自社ECサイトにおけるデータ活用事例|まとめ

図:自社ECサイトにおけるデータ活用事例|まとめ

店舗データ管理クラウドで実現する、プル型マーケティングとDX

ナビタイムジャパンとは

図:ナビタイムジャパンについて

図:ナビタイムジャパンについて

本日のagenda

⚫︎ローカル検索の重要性
⚫︎外部メディアの重要性
⚫︎データ管理の重要性

スピーカー紹介

内門 智弥 氏
株式会社ナビタイムジャパン メディア事業部 マネージャー

2014年株式会社ナビタイムジャパン入社。エンジニアとして法人向け「店舗案内ASP」などの開発業務に従事した後、2017年にメディア事業部のマネージャーに就任。2019年より法人向け店舗データ管理クラウドサービス「NAVITIME Location Cloud」を立ち上げ、サービスの責任者を務める。

Pull型マーケティングと ローカル検索の重要性

株式会社ナビタイムジャパン メディア事業部 マネージャー 内門智弥氏(以下、内門):「ここからはニーズのある情報に対して的確に回答するといった、主に検索最適化という点をテーマにして、Pull型マーケティングとDXの関連について解説していきます。

店舗、例えばカフェに行こうと仮定します。すると意思決定をするまでにどういった検索行動ををするかイメージしてみてください。
グルメサイトや地図サービス等をご覧になる方もいると思います。デリバリーという選択もあるでしょう。

ここで申し上げたいのは、現在は様々なチャネルがあり、ユーザーの行動が非常に多様化しているということです。

ユーザーが「(購買)行動」したことを「共有」してそれが「認知」に繋がっていくといったこともあると思いますし、「検索」したことでアマゾンからレコメンドがきて、衝動的にすぐ「(購買)行動」する。そういった「(購買)行動」パターンもあると考えます。

ユーザーやチャネルの多様化が進んだ現代において、認知から購買へ一直線的に流れる従来のモデルでやっていく場合には、基本的にはPush型のマーケティングで、事業者主体の考え方になりがちだと思いますが、それだけではなく、顧客主体の、お客様が触れるチャネルに新しい情報を置いておくというような、Pull型のマーケティングが重要になってくると考えています。

ここにおいて非常に重要なのが、検索をどう最適化するかということになります。

検索がなぜ重要なのか。これについてはデータがひとつの指針となるかと思います。2009年から2016年の7年間で検索数全体は推計6倍にも増加しています。
併せて、場所を調べるローカル検索数も急激に増加しています。

実際Google検索のうち、30%は場所に関連していますし、ローカル検索をする人は高確率で来店・購買行動を行う有望な見込み客と言えます。

コロナ禍で実際店舗に行くという「行動」にはハードルはあるものの、緊急事態宣言の前後で検索数は増えています。「行動」する前に、事前に正しい情報を知りたいというニーズが増えていると考えられます。」

図:ローカル検索の重要性

図:ローカル検索の重要性

ローカル検索対策と環境の変化

内門:「ここからは、検索対策をどのように行うのか、その環境がどう変化しているのかを見ていきたいと思います。

先に全体像をご説明します。
一般的に検索対策というと、まず自社サイトのSEOを考える方が多いでしょう。しかし、実はユーザーが見ているサイトの中で自社のその公式のサイトを見ているのは、全体の25%だという事実があります。

ではそれ以外に何が見られているかというと、Googleのプラットフォーム上ではGoogleビジネスや他のサイトだったり、あるいはGoogleのプラットフォーム外のアプリや音声検索なども含めた様々なプラットフォームが使われているのが実状です。

とはいえ、SEOが基本の要であることに変わりはありません。大きく分けて重要な点が2点あります。

⚫︎自社のサイトをちゃんと認識してもらう
⚫︎Googleの読み取った検索意図に対して、最も適切かつ有益な答えであると示す

これらの対策をするときに1点注意しなければならないこと、それはGoogleがあくまで「機械」であるということです。
人間が見やすいといった感覚で良し悪しを判断するのとは違い、「機械」に確実に情報として読み取りやすい形である必要があり、構造化されたデータ形式になっていなければならないという点があります。

次に、最近利用が急増しているGoogle My BusinessのMEO対策についてもご説明したいと思います。

このMEO対策というのもSEOと同様に検索対策という考え方があります。
基本的には流れは同じになりますが、まずプラットフォームが違うのでGoogle My Businessを使う必要があります。
このMEO対策においても実はSEOと関連する部分が結構あり、ここで覚えておいて頂きたいのが、Google My Businessの情報だけではなく、公式サイトの情報も併せて評価対象に入っているという点です。
両方の情報整備をしっかりとやることによって、より検索最適化が成されます。

検索対策についてまとめますと、まず自社サイトのSEO対策が重要だということが言えます。全体の25%の訪問率というのは少なくない数字ですし、他のプラットフォームチャネルを見た人が、自社(公式)サイトに回遊し正しい情報を見に来るといった流れは少なからずあるので、ここをきちんと対策することが重要だと思います。

そして忘れてはならないのが、Googleが答えを直接提示する時代になっているということ。ここでのチャネル運用対策も大いに必要です。
多様なメディアが使われている現在、様々なメディアに情報発信をすることも非常に有効だと言えます。」

図:検索対策のまとめ

図:検索対策のまとめ

検索対策の基盤となる データ管理

内門:「今までの話はチャネルを最適化するお話でしたが、ここからは基盤となるデータの話をしていきます。
幅広い検索チャネルに対応するということはもちろん重要ですが、やはりユーザーが求めている情報を的確かつ正確に配信できるかどうかが最も重要だと考えます。」

図:今求められている情報とは

図:今求められている情報とは

内門:「これらの情報のニーズを把握した上でその次に必要なのは、そのデータを収集してきちんと配信できる体制を作るということです。それらを考えた時に次のような問題やポイントがあげられます。」

⚫︎情報のもとになるデータ基盤の必要性
伝えたい情報はあっても、正しい・最新のデータを用意できないケースが多い。
別部署での管理、Excel多重管理、そもそもデータがない、など。

⚫︎チャネルごとのデータ管理の難しさ
各チャネルでデータ更新プラットフォームが異なるため、情報を更新するとメディアの数だけ更新作業が発生。
更新が漏れた場合、誤った情報がユーザーに伝わりブランド棄損になりえる。

⚫︎データの統合管理と一括更新システムの必要性
各チャネルを一括更新できる仕組みを利用することで、あらゆるメディアで常に正確・最新の魅力的な情報を発信し続けることができる。

内門:「最後に『Pull型マーケティングと ローカル検索の重要性』のまとめとして3点あげさせて頂きます。」

⚫︎ローカル検索対策が非常に重要
⚫︎SEOだけではなくGoogle My Businessをはじめとした外部メディアを有効利用する
⚫︎正確で最新の構造的なデータ管理を推進する

図:Pull型マーケティングと ローカル検索の重要性|まとめ

図:Pull型マーケティングと ローカル検索の重要性|まとめ

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「withコロナ時代に取り組むべき、データ活用の第一歩とは」

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この記事のライター

マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。

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