新しい食スタイルの最新動向と、具体的な対策方法・事例紹介 ~ 植物性食品のトレンド分析から
■本日のagenda
⚫︎「ヴィーガン層向け食品」の今
⚫︎WEB行動ログからみる“ヴィーガン”に対する関心
⚫︎アンケートとWEB行動ログからみるヴィーガン層向け食品市場
ー ヴィーガン層向け食品市場の分析結果
ー 植物性ミルクの例
ー オートミールの例
ー 大豆ミートの例
■スピーカー紹介
図:スピーカー紹介
「ヴィーガン層向け食品」の今
⚫︎このパートで扱う“ヴィーガン”とは…
肉・魚・卵・乳製品などの動物性食品を食べない菜食主義を指します。
WEB行動ログからみる“ヴィーガン”に対する関心
株式会社ヴァリューズ リサーチャー 海野秋生(以下、海野):「まず、WEB行動ログデータから「ヴィーガン」と「食」の今をみていきましょう。
2019年2月~2021年1月、ヴァリューズのDockpitを用いて集計した「ヴィーガン」のワード検索推移です。2019年6月と2020年10月に検索数が急増しています。
2019年6月の特徴語として「ローラ」というワードがあり、これはモデルのローラさんがInstagramで「ペスカタリアン(魚を食す菜食主義)」を宣言。今後「ヴィーガン」になる可能性についてもコメントしたことによるとみられます。
2020年10月の特徴語には「スタンスミス」というワードがあがり、アディダス社製の動物由来素材を使用しない「ヴィーガン仕様」スニーカーが話題になったことに起因すると考えられます。
これらのことから、「ヴィーガン」は、食だけでなくファッション・ライフスタイルを取り巻く大きなトレンドに変化していることがうかがえます。」
図:「ヴィーガン」検索推移
海野:「続いて、どのような人が「ヴィーガン」に関心を持っているのか、検索者の特徴をみてみましょう。
性別でみると、55.3%と女性の検索ユーザーが多く、年代別では、20代が約20%、30代が約25%とネット利用者全体に比べて割合が高くなっています。
また、未既婚・子供の有無で追ってみると、未婚が52.3%、子供なしが、68.2%となっております。これは、前述の年代別でも20代30代と若年層が多く割合を占めていたことからの数値と思われます。」
図:「ヴィーガン」検索者の特徴(性年代別)
海野:「「ヴィーガン」検索者の興味関心の分野もみてみましょう。こちらは2020年1月~12月、ヴァリューズのstory bankを用いた結果です。
右上に行くほど、「ヴィーガン」の関心度数が高くなる図表となっています。こちらをみると、「読書・書籍」を好む傾向が強くみられます。知的好奇心の旺盛な検索者像がうかがえると言えるでしょう。また、カルチャー・ファッションへの関心も高く現れています。
同じくstory bankを用いたSNSの利用時間比較をみると、Twitter・Instagram・動画アプリの利用者が多いという結果も出ていました。」
図:「ヴィーガン」検索者の特徴(興味関心)
海野:「さらに、2019年2月~2021年1月、ヴァリューズのDockpitを用いて集計した、サイト流入のランキングをみてみると、「ベジタリアンとの違い」など基本的な定義や、「ヴィーガン体験」を掲載したコンテンツに流入がみられます。
また、検索ワードの掛け合わせをみてみると、「レシピ」が突出しており、調理ニーズがうかがえます。「レストラン」「ランチ」「カフェ」などの店舗情報ニーズも多く現れました。
一方で、「ヴィーガン」だと摂取しづらいタンパク質を、どう摂取するかに対する関心も高いようでした。これは、具体的に「ヴィーガン」を生活に取り入れる方法や、その先の健康への影響に興味があるものと思われます。」
図:「ヴィーガン」検索者の特徴(流入ページ)
海野:「ここで「ヴィーガン」検索者の特徴をまとめますと、30代・20代の女性が多く、SNS利用率が高めであること、また、読書を中心に、カルチャー・ファッションを好むライフスタイルがうかがえました。」
アンケートとWEB行動ログからみるヴィーガン層向け食品市場
海野:「次に、アンケート調査結果及び、WEB行動ログデータから「ヴィーガン」層向け食品市場をみてみましょう。」
図:アンケート調査実施概要
■ヴィーガン層向け食品市場の分析結果
海野:「ヴィーガン」層向け食品の市場認知は一体どの程度進んでいるのか、アンケート調査の結果から読み解いていきます。
男女比でみると女性の方が各製品ともに認知率が高くなっています。
製品毎にみてみると、植物性ミルクの認知率が平均的に高く、「アーモンドミルク」に関しては53%が認知しているとの結果になりました。
一方で機能性食品(固形)をみると、そこまでは及ばず、「豆乳ヨーグルト」や「大豆ミート」などの食品がそれそれ3割強となっています。
図:ヴィーガン層向け食品の認知率
海野:「続いて、「ヴィーガン」層向け食品の喫食経験率をみてみます。性別をみるとやはり女性の方が喫食経験率が高く示されています。
製品別をみると、先ほど半数以上の認知率があった「アーモンドミルク」が2割強となっており、3割程度の認知率だった「豆乳ヨーグルト」や「大豆ミート」などの食品は1割前後となっています。
これらのことから、まだ「ヴィーガン」向け食品は伸びしろのある市場と言え、認知獲得・購入促進の2つが必要と考えられるでしょう。」
図:ヴィーガン層向け食品の喫食経験率
■植物性ミルクの例
海野:「続いて、「ヴィーガン」層向け食品検索者の特徴を、WEB行動ログデータでみていきます。こちらは2019年2月~2021年1月、ヴァリューズのDockpitのデータになります。
まずは、結果植物性ミルクの中でも、「アーモンドミルク」と「オーツミルク」に絞ってみてみます。
性年代別でみると、どちらのミルクも検索者の8割近くが女性、30代に次いで40代が多いという結果になっています。
検索推移をみると、2020年以降に徐々に検索ボリュームが増加しているのがわかります。特に2020年2月の跳ね上がりは、「スタバ」という検索ワードも特徴語となっていて、その時点、スターバックスにて通常のミルクを「アーモンドミルク」「オーツミルク」へオーダのカスタマイズ変更が可能になった(「オーツミルク」は期間限定)という話題に起因しているものと考えられます。
その他、掛け合わせワードとして「アルプロ」(ダノンジャパン)発売などもあり、こうした企業の「ヴィーガン」層向け食品への取り組みをきっかけに、市場の興味も高まっていく様子がうかがえます。」
図:「アーモンドミルク」「オーツミルク」検索者の特徴
図:「アーモンドミルク」「オーツミルク」検索推移
■オートミールの例
海野:「同じくWEB行動ログデータで、次は「オートミール」をみてみましょう。
性別では女性が7割近く、そして年代では20代・30代に多く検索者がみられます。
検索推移をみてみると、2020年2月頃から検索ボリュームが大幅に伸びており、これはコロナ禍で需要が増加した背景があるのではないかと考えられます。
その裏付けに、掛け合わせ検索ワードを調べてみると、「ダイエット」「カロリー」といったワードが上位に浮上。
巣ごもり中、運動不足でも低カロリー且つ低GI(グリセミック・インデックス)で太りにくく、栄養素が豊富といった「オートミール」の食品特性や、備蓄しやすい形状で買い出しの手間が省けるという点もあり、コロナ禍で注目されたものと考えられます。」
図:「オートミール」検索者の特徴
図:「オートミール」検索推移
■大豆ミートの例
海野:「最後に「大豆ミート」をみてみましょう。
性別はやはり女性が7割を占めましたが、年代別ではどの年代もあまり偏りはみられませんでした。
検索推移をみると、2019年から徐々に右肩上がりとなっています。注目すべき点は2020年9月の上昇ポイントでしょう。こちらは「ドトール」という特徴語があり、調査してみると、「全粒粉サンド 大豆ミート ~和風トマトのソース~」発売開始が話題となっていました。
検索ワードの掛け合わせではレシピ検索が最も多いのが「大豆ミート」の特徴かと思われます。ハンバーグや唐揚げといった、「代用肉」としての使われ方が注目されているようです。」
図:「大豆ミート」検索者の特徴
図:「大豆ミート」検索推移
海野:「それでは、「ヴィーガン」層食品の今についてまとめます。
以前からの健康志向に加え、サステナブル志向やヘルシー志向などを受け、今、ヴィーガン層向け食品に対する注目が高まっています。
また、ファッションや美容、カルチャーとしての観点からも関心が高く寄せられており、今後幅広く一般的消費者にも受け入れられる可能性があります。
未だ認知度・購入経験ともに未成熟市場でありますが、それゆえポテンシャルのある市場とも考えられます。
この市場を押さえるためには、WEB行動ログデータの利活用やアンケート調査によって、消費者の生の声を知る事が、商品課題解決や広告施策の近道と考えられます。」
図:まとめ
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■「新しい食スタイルの最新動向と、具体的な対策方法・事例紹介 ~ 植物性食品のトレンド分析から」
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マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。