行動デザイン予報2025
コロナ禍を経てオンライン行動が定着した反面、情報過多感や不信感が高まっています。生活者側が話題にしている文脈を意識しながら、自社ならではの専門性を活かした発信で信頼を獲得することが求められています。
また、生活者は再び不安が高まることを予想して自衛意識を高めており、新しいことにチャレンジしようという機運は高まっていません。驚きや意外性よりも、生活者の自衛行動をサポートしたり、それぞれの興味関心をより快適に・効率よく楽しめるようパーソナライズされた商品・サービスがより求められるようになることが予想されます。
参考資料
情報プール(Pool)や情報に関する実感の状況
情報プールは、博報堂⾏動デザイン研究所が開発した次世代型行動デザインモデル「PIXループTM」で提唱している、生活者が自身の欲求を満たせる役立ちそう/面白そうな情報をSNSや街などの日常からうまく引き寄せ”貯めておく”情報行動です。
情報プールの有無
「情報プールがある」割合は、コロナ禍での調査(23年実施)と比較して全体で-4.8pt。性年代別でみても、男性10代・男女60代を除く現役世代では全体的に減少傾向です。
情報に関する実感(TOP2・上位10項目)
「情報は伝える速さよりも内容の確かさ」「世の中の情報量は多すぎる」といった情報量や情報の真偽・扱い方への不安のほか、「インターネット上での道徳や基本的な使い方について、指導が必要」「気になるニュースは複数の情報源で確かめる」など、情報を受け身で引き寄せるだけでなく、引き寄せた情報を主体的に吟味する姿勢が強まっていることがうかがえます。
■当てはまると思う12欲求
博報堂⾏動デザイン研究所が定義した、情報プールや気持ちの発火の元となる「12欲求」について、2024年調査の値とコロナ禍での調査(23年)との差を性年代別にみると、安全・損失回避・簡便を求める「安心系欲求」が23年同様TOP3となりましたが、値としては減少傾向にあります(特に男性20-30代・女性10-30代)。また、現役世代全体で愉楽欲は減少。楽しみたい気持ちにも落ち込みがみられます。
一方、女性10-20代では元々高い独占欲・競争欲が増加しており、若年層では自己実現につながる消費意欲が高まりつつある可能性もうかがえます。
12欲求(TOP2):2024年調査
12欲求(TOP2):23年調査との差分
■今後強くなると思う意識(TOP2・上位10項目)
「安全・安心に暮らしたい(安全欲)」「今のうちにできることをしたい」「自分の身は自分で守らないといけない」がTOP3で、23年からも増加。「失敗や損失を避けたい(損失回避欲)」「より節約した生活をしたい」も高く、物価高や海外情勢・戦争などの情勢不安により、新たな不安の高まりが予想されます。
一方、「自分の好きなことに時間を使いたい」「物事をもっと楽しみたい(愉楽欲)」も値としては高く、先行き不透明な状況の中で楽しみを見出そうとする意識の高まりも期待されます。
■情報プール(Pool)、気持ちの発火(Ignite)の元となる「12欲求」
■PIXループ™
PIXループ™とは
スマートフォンやSNSの普及により生活者の情報/消費行動は大きく変化しています。“いまどき”の生活者は、ネット通販サイトの「買い物カゴ」や写真共有アプリの「いいね」などサイトやアプリの特性を使いこなして自身に相応しい情報を巧みに貯め、「行ってみた」「やってみた」など所有や購買に固執せずとも気持ちを満たせる行動を積極的に取っています。そのため従来のマーケティング手法では捉えにくい層となっていました。
博報堂行動デザイン研究所は、彼らは“情報行動”と“消費行動”を明確に区別しておらず、『Pool (情報を引き寄せ貯めておく)』⇒『Ignite (気持ちに火が点く)』⇒『eXpand (体験をやってみて情報圏を拡げる)』という行動をループさせながら自己充足を図っていることを発見、次世代型行動デザインモデル「PIXループ™」を開発。
この生活者主体の情報/体験行動ループの中に、いかに企業/ブランドが入り込み、消費(購買/契約)行動に結びつく施策をプロットしていけるかがこれからのマーケティングの成否を握ると考えるといいます。
調査概要
【2024年 情報行動・欲求に関する調査】
実施時期: 2024年11月 5 日〜11月 7日
調査方法: インターネットリサーチ(全国)
対象者: 15 歳〜69 歳のスマートフォン保有の男女
サンプル数: 2,000 人
【2023年 情報行動・欲求に関する調査】
実施時期: 2023年1月13日〜1月16日
調査方法: インターネットリサーチ(全国)
対象者: 15 歳〜69 歳のスマートフォン保有の男女
サンプル数: 2,000 人
出典元:株式会社博報堂
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。
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