■スピーカー紹介
図:スピーカー紹介
はじめに〜高齢者のWeb利用の実態
株式会社ヴァリューズ 竹久真也(以下、竹久):「まずは、現在のシニア層のWeb利用動向についてご紹介します。
下図は2019年度の総務省発表のデータを抜粋したものです。こちらを見ると、この5年間で高齢者(65歳以上)のインターネット利用者が大幅に増加していることがわかります。その数はおよそ1.5倍にものぼります。
図:シニア層のウェブ利用動向
このように、シニア層にインターネット利用が急速に拡大している今、シニアマーケティングの重要性が問われる時代になってきていると言えるでしょう。
シニアマーケティングを実施する際には、シニア層の利用実態を捉えるため、ネット利用の時間帯、利用サイト、流入経路の特徴など、他世代との相違に注目することが重要だと考えます。
例えば、ネット利用の時間帯という点では、若い世代が夜間にかけての利用時間の長さが目立つのに対して、65歳以上のシニア層では、朝8〜9時ごろの時間帯がピークという結果が出ています。
また、流入経路の特徴としては、他世代に比べて自然検索からサイトに流入する割合が低い反面、広告バナーや外部サイト(リンク)、リスティング広告から流入している割合が高いことがわかっています。
こういった世代間の相違をヒントに、シニア層に向けてWeb広告やプロモーションを打つと、より有効なマーケティング施策が実行できるのではないかと考えられます。
これらシニア層のWeb利用状況の詳細に関しては、以前のセミナーでご紹介していますので、そちらの資料もご覧いただければと思います。」
日本の65歳以上の人口は既に約3600万人、総人口の約3割を占め、「シニアマーケット」はその存在感を大きくしており、シニアマーケティングも重要な課題となってきています。しかし一方で、シニアがどのようにWebを活用しているのか、商品の購入にあたってどのような形で情報を収集しているのかといった情報は、明らかになっていません。そこで、シニアのWebでの情報収集の仕方や商品購入の仕方について調査を行い、2021年4月9日にセミナーを開催しました。※詳細なセミナー資料は無料でダウンロードできます。記事末尾のフォームよりお申し込みください。
図:シニアに関する過去の調査結果まとめ
Web行動ログ分析から見るシニアのWeb行動特徴
■Agenda
⚫︎分析概要:2021年3月〜5月のYouTubeデータを集計
⚫︎①YouTubeサイトの利用方法について(利用時間帯・動画の選択方法)
⚫︎②YouTube内でどのような動画・チャンネルを視聴しているのか?
■シニア層の動画投稿サイト利用動向
竹久:「60代以上のシニア層について、YouTubeのサイト訪問回数と月平均訪問日数の推移を集したところ、 訪問回数は直近で大きく増加しているのがわかります。
コロナ禍での巣ごもり生活ということも影響していると考えられますが、月平均訪問日数も右肩上がりに上昇しており、少なくともシニア層にもYouTubeの利用が浸透しつつあることがわかります。」
図:シニア層の動画投稿サイト利用動向
■①-1:YouTubeサイトの利用方法について(利用時間帯)
竹久:「シニア層のアクセス時間で最も多いのは、夜20〜21時の時間帯となりました。13時頃から徐々に増加し、20時にピークを迎えています。夜間にアクセスが伸びる若年層と比較すると、時間帯によってサイトへのアクセス数の差分があまりないことが特徴的です。」
図:どのような時間帯にYouTubeを利用しているのか?
■①-2:YouTubeサイトの利用方法について(動画の選択方法)
竹久:「シニア層は実際どのようにして動画を選択しているのか、その方法を見てみました。
YouTube上の各機能(検索・履歴・登録チャンネル等)の利用率を若年層と比較すると、検索や登録チャンネルなどの機能の利用率が少ないことがわかりました。これは、YouTube内で動画を探して閲覧するというよりも、外部サイトのリンクや検索エンジンでの検索結果などから直接動画に流入するような動きが多いのではないかと考えられます。」
図:試聴する動画をどのように選んでいるのか?
■②-1:YouTube内でどのような動画・チャンネルを視聴しているのか?(動画ランキング)
竹久:「では、実際にはどのような動画が視聴されているのか、ランキングで見てみましょう。シニア層の特徴を見るために、若年層と比較してみました。
若年層のランキング上位には、「音楽・ゲーム・エンターテイメント系」の動画が並んでいる一方で、シニア層は「皆既月食・ゴルフのライブ中継・ニュース動画」のほか、「確定申告の解説動画」などが並んでいます。
これらの結果からシニア層の傾向を大きく3パターンに分類してみると、以下のカテゴリが想定されました。」
⚫︎ライブ映像系(スポーツ・イベント)
→テレビでは長い時間中継されにくいスポーツやイベント映像を視聴。
⚫︎ニュース・ゴシップ系
→テレビ局や週刊誌など既存のマスメディアによる動画が見られている。外部のニュースサイトからの流入も多い可能性も。
⚫︎解説動画
→手続きや操作の解説が、動画による解説 へと需要がシフトしてきている可能性がある。外部のウェブページから流入しているケースも考えられる。
図:視聴動画ランキング
■②-2:YouTube内でどのような動画・チャンネルを視聴しているのか?(チャンネルランキング)
竹久:「続いては、チャンネルの試聴実態を見てみましょう。
若年層では「音楽系・ゲーム実況・料理・知識・学び系」と幅広いカテゴリに分散視聴されていますが、シニア層では「ニュースチャンネル」が多数を占めています。また、若年層ではみられない、PCなどの「使い方解説のチャンネル」が上位にあることも特徴的と言えます。
シニア層にとっては、現段階、エンターテイメントより実用性をYouTubeに求めているとも言えそうです。」
図:視聴チャンネルランキング
まとめ
竹久:「今回はシニア層のYouTube利用実態を見てみました。コロナ禍で巣ごもり生活を余儀なくされたことや、若年層と比べて可処分時間が長いと考えられることからも、インターネット利用の増加に乗じて、YouTubeの利用も増加していることがわかりました。
シニア層特有のインターネット利用の特徴を洗い出し、シニアマーケティングに活用する有効性をお話しした前回のセミナー同様、今回の動画利用(YouTubeの利用実態)という観点から現れてきたシニア層特有のネット利用実態やその目的にも注目し、的確なプロモーションを実行することが、拡大し続けるシニア市場に向けての大きな一手となると言えるのではないでしょうか。」
図:YouTube分析まとめ
上記のほか、本稿で掲載していない詳細資料も多数ございますので、ぜひ無料ダウンロードにてご覧ください。
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■シニア層のYouTube利用実態をWeb行動ログから分析・考察|セミナーレポート
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マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。