日本にやってきたCBD
CBDは大麻草に含まれる成分ですが、日本の大麻取締法で使用が禁止されているTHC(テトラヒドロカンナビノール)とはまったく別の成分です。精神作用、中毒性があるTHCと違い、ストレス解消やリラックス効果が得られる有効成分であり、依存性のない安全なものであるとして、WHO(世界保健機関)も認可しています。
大麻の合法化が進むアメリカやカナダなどで、このCBDを含む大麻草関連ビジネスが急拡大し「グリーンラッシュ」とも称されています。日本でも5年ほど前からCBD商品が流通するようになり、電子タバコのように吸引するタイプのものや肌に直接塗るオイル、グミやキャンディなど、様々な商品が販売されています。
ローラさんや吉川ひなのさん、紗栄子さんら人気タレントも愛用し、自身のSNSで紹介するなど、いわゆる“大麻草”に日本人が抱くイメージとはかけ離れた、“セレブも愛用する心と身体に良いもの”として認知が進んでいるようです。
CBD検索ユーザー数は着実に増加
では、国内ではどれほど関心が寄せられているのでしょうか。CBD検索ユーザー数の推移から見ていきましょう。
2年間で「CBD」とネットで検索したユーザーは着実に増加していることがわかります。
「CBD」検索ユーザー数推移
期間:2019年8月〜2021年7月
デバイス:PCおよびスマホ
CBDを検索しているのは20代〜40代の男性が多い
続いて、CBD検索ユーザーの属性を確認します。
性別は57.1%が男性、20代〜40代が多いようです。
「CBD」検索ユーザー属性/性別
期間:2019年8月〜2021年7月
デバイス:PCおよびスマホ
「CBD」検索ユーザー属性/年代
期間:2019年8月〜2021年7月
デバイス:PCおよびスマホ
気になるのは効果と種類。ネガティブな印象は少ない
次に「CBD」と掛け合わせで検索されているキーワードを分析します。
多く検索されたキーワードの上位には「効果」、「オイル」「リキッド」「VAPE」「グミ」などの製品、「おすすめ」などで、「大麻」(17位)や「違法」(21位)「危険性」(39位)などのネガティブワードは上位にはあがっていないことがわかりました。
「CBD」掛け合わせワードランキング(上位15位)
期間:2019年8月〜2021年7月
デバイス:PCおよびスマホ
属性別に掛け合わせワードを見ると、男性は「GUMMIES」「リッチル(RICHILL)」「EMILI」など、直接舌下に垂らしたり吸引するタイプ、女性は「ロールオン」「クリーム」などの肌に塗るタイプや「モリンダ」「エンドカ」など、サプリメントタイプに興味を持っていることがわかります。
「CBD」掛け合わせワード/属性別マップ
期間:2019年8月〜2021年7月
デバイス:PCおよびスマホ
CBD検索後の流入ページは?
「CBD」検索後の流入ページの上位15位までのランキングは以下の表のとおりです。
CBDとは何か、効果や安全性についての情報がよく見られていることがわかります。
また、CBD商品を販売している会社の公式サイトが5件ランクインしています。いずれも販売ページではなく、CBDについての説明ページに流入しています。
楽天市場、価格.comへの流入も見られます。
「CBD」検索後流入ページランキング
期間:2019年8月〜2021年7月
デバイス:PCおよびスマホ
気になるワードのつながりは「効果」「商品の種類」
検索ワードのつながりを可視化することで、ユーザーがどんなことを知りたがっているかを深掘りしていきます。
下のワードネットワークでわかるように、「CBD」と関連の強いキーワードは「とは」「効果」「オイル」「リキッド」「VAPE」の5つです。商品としてはオイル、リキッドがよく認知されていて、効果や購入方法などがよく検索されています。
「CBD」検索ワードネットワーク
期間:2019年8月〜2021年7月
デバイス:PCおよびスマホ
まとめ
海外では「グリーンラッシュ」と呼ばれるほど盛り上がっている大麻草関連ビジネス。日本でも大麻草に含まれるCBD(カンナビジオール)成分を含む商品に注目が集まってきています。
「CBD」と検索したユーザー数はこの2年間で着実に増加しています。ユーザー属性は20代〜40代の男性が多く、掛け合わせで検索されているキーワードは「効果」、「オイル」「リキッド」「VAPE」「グミ」などの製品、「おすすめ」などが上位を占めました。大麻草に含まれる成分ということで、「大麻」「違法」などのネガティブワードが上位に入ると思いきや、意外とこれらのワードはランク外にとどまりました。正しく知識を得ながら取り入れようとしている様子がわかりました。
「CBD」検索後の流入ページは、その成分や効果、安全性についての情報サイトが多く占めました。CBD商品を販売しているサイトの説明ページもよく見られています。現在のところ、購入目的で検索するというよりは、CBDの成分や効果に興味を持って情報収集しているユーザーが多いようです。
また、人気タレントの愛用品またはプロデュース商品としての認知が広がれば、女性ユーザーも増えていくでしょう。危険なイメージもなく、心と身体に良いものとして、CBDがコスメやサプリメントと同列に扱われる日もそう遠くはないかもしれません。
分析概要
今回の分析には、マーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、ユーザーのデジタル行動を分析しました。
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フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。