コロナ感染拡大後の飲食店の選び方変化を調査 。「外食シーン」「利用媒体」「人」視点で分析

コロナ感染拡大後の飲食店の選び方変化を調査 。「外食シーン」「利用媒体」「人」視点で分析

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、国内の20歳以上の男女28,164 人を対象に、新型コロナウイルス感染拡大後の飲食店選びに関する消費者動向変化をアンケート調査いたしました。また、アンケート調査に加え、ヴァリューズが提供する消費者行動ログ分析ツール「Dockpit」でも分析を実施いたしました。


▼本調査の詳細レポートは下記記事にあるフォームより無料でダウンロード頂けます

調査分析背景

2021年9月末で緊急事態宣言が解除され、2020年4月4日以来半年ぶりにどの地域にも宣言や重点措置が出されていない状況となりました。感染拡大防止に努めながらの生活ではあるものの、街や飲食店にも少しずつ活気が戻り始めています。

長く苦戦を強いられてきた飲食業界にとっては再び顧客を取り戻す重要なタイミングですが、コロナの流行は消費者の店の選び方にどのような影響を与えたのでしょうか。ヴァリューズでは今回、「外食シーン」「利用媒体」「人」の3つの視点から、コロナ禍における飲食店選びの実態を調査しました。

飲食店選び全体に対するコロナ影響

まずコロナが飲食店選びにどのような影響を与えたのか調査しました。

飲食店を探す頻度が低下したり、探す際にも感染症予防の配慮をする人がいる一方で、5人に1人以上が「あてはまるものはない」と回答していました。店舗の営業時間やコロナ対策について性年代別でみると、遅い時間に外食することも多いであろう若年層になるほど営業時間を気にしており、高齢層ほどお店のコロナ対策には敏感になっていました。

図表1 飲食店選びに対するコロナ影響

図表1 飲食店選びに対するコロナ影響

「外食シーン」からみる飲食店選び

各種外食シーンで飲食店選びはどのような違いがあるのか調査しました。

外食シーンは「1人での食事」「友人との食事」「恋人との食事」「家族との食事」と4つに分類し回答を募りました。飲食店の情報収集をおこなうシーンとして最多だったのは「家族との食事」でした。シーン別に性年代をみていくと、「1人での食事」は20代、特に男性が多くなっていました。「友人との食事」では男性より女性の方がよく情報収集してから訪れる傾向があり、「1人での食事」シーンと比べても情報収集する女性は約2倍になっていました。

図表2 外食シーンから見る飲食店選び全体像

図表2 外食シーンから見る飲食店選び全体像

次に、何を使って情報収集しているのか、外食シーンごとに情報収集媒体を聞きました。

各シーンで食べログ・ぐるなびなどが上位に入るなか、「1人での食事」ではGoogleマップが上位に入っていました。その他の項目別で見ると、「家族との食事」ではSNS映えは気にしないのかSNSの利用が他シーンと比べ低かったり、「恋人との食事」ではRettyの利用が他シーンと比べ多かったりと、消費者がシーンに合わせて利用媒体を選択している様子もうかがえました。

図表3 飲食店選びのための情報集媒体

図表3 飲食店選びのための情報集媒体

情報収集にかける時間と予算を外食シーンごとにみると、最も時間をかけるのは友人との食事で、お金を奮発するのは恋人との食事でした。一方、1人での食事には時間もお金もかけたくないニーズが強く出ていました。

図表4 飲食店選びのための情報収集時間と食事予算

図表4 飲食店選びのための情報収集時間と食事予算

どんな飲食店を探しているのか外食シーンごとにみると、「1人での食事」は食事をすぐ済ませられる麺類やファストフード店が選ばれていたり、「友人との食事」「恋人との食事」ではおしゃれなレストラン、「家族との食事」ではワイワイできる店舗などが選ばれていました。外食シーンに合わせた飲食店選びがうかがえます。

図表5 外食シーン別に探す飲食店の違い

図表5 外食シーン別に探す飲食店の違い

「利用媒体」からみる飲食店選び

まずは、3大グルメ媒体の合計利用者数の推移をみてみましょう。

利用者数はコロナ初期に激減し、Go To Eatで一時はコロナ前以上の水準に上がりましたが、効果は短期的で2021年1月には元の水準に戻っていました。

図表6 3大グルメサイトのユーザー数推移

図表6 3大グルメサイトのユーザー数推移

次に、3大グルメ媒体の利用者層や利用重視点を調査しました。

利用率・重視率ともに全世代で多くの支持を獲得したのは、口コミの信頼度や写真の豊富さ等情報面でも優位に立った食べログでした。ホットペッパーグルメは、クーポンなどのお得さを武器に20代女性の利用が突出して高くなっていました。ぐるなびは利用者層、利用重視点ともに他2つと差別化されるような特徴は現れず、利用率ピークは50代となっていました。

図表7 3大グルメサイト・アプリ比較

図表7 3大グルメサイト・アプリ比較

消費者行動ログ分析ツール「Dockpit」を使用して、消費者が3大グルメ媒体へ訪れた際の検索キーワードを調査、利用目的を分析しました。

食べログは他2サイトと比べてGo To Eat関連のキーワードが上位に来ておらず、地名・飲食店ジャンルといった一般ワードでの流入量が圧倒的でした。ぐるなびやホットペッパーグルメでは、食べログと違い、「予約」「クーポン」といったワードが上位に入っており、飲食店選びの最終段階で利用されているケースが多いようです。

図表8 3大グルメサイトの流入キーワード比較

図表8 3大グルメサイトの流入キーワード比較

次に、Googleマップと SNSの利用者層や利用重視点を調査しました。

利用率では食べログに及んでいないものの、Googleマップはお店選びの簡単さから、若い男性人気を獲得していました。またSNSは最新の情報や写真の豊富さから若い女性人気を獲得し、利用者中の重視率も高くなっていました。

図表9 食べログ、Googleマップ、SNS比較

図表9 食べログ、Googleマップ、SNS比較

「人」からみる飲食店選び

飲食店選びに慣れているかの意識聴取を元に、「飲食店選び熟練者」と「飲食店選び初心者」にセグメント分けし、比較分析をおこないました。

図表10 飲食店選び熟練者と初心者比較1

図表10 飲食店選び熟練者と初心者比較1

興味関心マップをみると熟練者はグルメへの関心が強く、また外食にかけるお金も全体平均と比べて月に4,000円以上も高くなっていました。使用アプリランキングをみるとSNS好きで情報収集を日常的に行う様子がうかがえます。

図表11 飲食店選び熟練者の分析

図表11 飲食店選び熟練者の分析

逆に初心者はグルメへの関心が低く、外食にお金を払うより自身で料理をする意向が高いようです。興味関心マップではテレビやマンガなどインドアな関心が強めに出ていました。

図表12 飲食店選び初心者の分析

図表12 飲食店選び初心者の分析

熟練者と初心者の飲食店選びの特徴を比較すると、熟練者は飲食店選びを楽しんでおり、味以外のお店に対する細かいこだわりも特徴的に持っていました。

一方、初心者は飲食店選びへの苦手意識を持ち、お店は入りやすさと行きやすさという簡単な要素で絞る傾向がありました。

図表13 飲食店選び熟練者と初心者の比較2

図表13 飲食店選び熟練者と初心者の比較2

調査・分析概要

全国のヴァリューズモニター(20歳以上男性)を対象として、 2021年7月21日~7月30日にアンケート調査を実施。(回答者28,164人)
※アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっている。
※Webサイトのユーザー数はPC及びスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

調査レポートをダウンロード

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


スシロー・くら寿司・はま寿司のメニュー、アプリ利用者数、特徴を比較

スシロー・くら寿司・はま寿司のメニュー、アプリ利用者数、特徴を比較

低価格で寿司を提供する3大チェーン、スシロー・くら寿司・はま寿司。各社はどのような差別化を行い、どのような規模で集客しているのでしょうか。店舗数、売上、メニュー、検索ワード、アプリ利用者データから、各社の集客動向を調査しました。


SuicaとPASMOの大きな違いはポイント経済圏?利用者の数や属性を比較

SuicaとPASMOの大きな違いはポイント経済圏?利用者の数や属性を比較

首都圏の交通系ICカードといえばSuicaとPASMO。みなさんはその違いを知っているでしょうか。この記事では、SuicaとPASMOの共通点や相違点、ポイント経済圏の特徴について調査・考察します。また、モバイルSuicaアプリ、モバイルPASMOアプリユーザーのデータからアプリユーザー数や関心のあるアプリについても分析します。


訪日外国人観光客調査【2025年最新】 -中国・台湾・タイ・韓国-

訪日外国人観光客調査【2025年最新】 -中国・台湾・タイ・韓国-

1年間で3,686万9,900人と過去最多訪日外国人数を記録した2024年。この数字はコロナ前の2019年の過去最高訪日数を上回ります。今や世界中からやってくる訪日観光客。本レポートでは、その中でも隣国の中国・台湾・タイ・韓国からの訪日観光客にフォーカスを当て、2024年の観光動向を調査しました。※レポートは記事末尾のフォームから無料でダウンロードいただけます。


LINEで「友達削除」をする中高年、「送信取り消し」をする若者

LINEで「友達削除」をする中高年、「送信取り消し」をする若者

世代を問わず活用されているLINE。人それぞれ使い方があるなかで、「友達削除」と「メッセージの送信取り消し」に年代により検索行動に傾向が見られました。今回は、LINEの機能の「友達削除」「送信取り消し」をもとに、世代間のメッセージアプリの使われ方を分析、考察していきます。


「ポケポケ」大ヒットの実態とは? 類似ゲームアプリと利用者データを比較

「ポケポケ」大ヒットの実態とは? 類似ゲームアプリと利用者データを比較

ポケモンのトレーディングカードアプリ「Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)」が社会現象となっています。リリースから3ヶ月近くが経ち、人気の実態が明らかになってきました。本稿ではそんな「ポケポケ」のMAUやユーザー層を他のゲームアプリと比較することで、流行の要因を分析するとともに、今後の人気について予測していきます。


最新の投稿


「タイパ疲れ」する現代人?約7割が「タイパを意識しない生活を望む」【Repro調査】

「タイパ疲れ」する現代人?約7割が「タイパを意識しない生活を望む」【Repro調査】

Repro株式会社は、企業のマーケティング戦略やサービス設計に影響する、消費者の「タイムパフォーマンス(タイパ、時間対価値)」に対する意識を明らかにすべく、全国10代から60代の男女を対象に「日常生活とデジタルデバイス利用時におけるタイムパフォーマンスに対する意識調査」を実施し、結果を公開しました。


アテンションエコノミー ~ 課題と今後

アテンションエコノミー ~ 課題と今後

インターネットが一般消費者に普及し始めて何年経ったでしょうか。Windows95が発売された頃からと見做せば、30数年という年月で、インターネットは私たちの生活にはなくてはならないテクノロジーとなりました。そして今や私たちの受け取る情報は溢れるほどに。その情報は真偽だけでなく善悪という側面を持ち、経済活動にも大きく影響しています。本稿では「アテンションエコノミー」と題し、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が今後の課題へも言及し解説します。


イード、多彩なバーティカルメディアを活用したPR活動支援サービス「PR Deeper」を提供開始

イード、多彩なバーティカルメディアを活用したPR活動支援サービス「PR Deeper」を提供開始

株式会社イードは、同社が運営する多彩なバーティカルメディアを活用したPR活動支援サービス「PR Deeper(ピーアール ディーパー)」を提供開始したことを発表しました。


HAKUHODO EC+、ライブ配信をリサーチに活用するソリューション「ライブエンタメリサーチ」を提供開始

HAKUHODO EC+、ライブ配信をリサーチに活用するソリューション「ライブエンタメリサーチ」を提供開始

株式会社博報堂のEC領域に特化した組織横断型プロジェクト「HAKUHODO EC+」は、ライブコマースと独自開発のMAツールを起点に新しいSNSライブマーケティング戦略を展開する株式会社Tailor Appと連携し、ライブ配信をリサーチに活用するソリューション「ライブエンタメリサーチ」を提供開始したことを発表しました。


スマート家電は生活の質を向上させる?中国におけるスマート家電の利用実態を調査

スマート家電は生活の質を向上させる?中国におけるスマート家電の利用実態を調査

近年のデジタル化や購入支援政策も相まって、中国国内でスマート家電が広く普及し始めました。スマート化によって利便性や機能性が向上すると謳われていますが、実際のところはどうなのでしょうか?ヴァリューズ独自の中国定性調査サービス「ValueQIC(ヴァリュークイック)」を用いて、ユーザーの本音を明らかにしました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ