中国人はECを使い分ける?北京が京東(JD)、上海はTmallってホント?!

中国人はECを使い分ける?北京が京東(JD)、上海はTmallってホント?!

Tmall、Taobao、京東(JD)の三大ECプラットフォームをはじめ、中国には様々なECプラットフォームがあります。EC利用は地域差、購入商品による差があるのではと思う方がいるかもしれません。今回はヴァリューズ独自の定性調査パネル「百路QIC(ヴァリュークイック)」で検証してみました。


中国EC市場の主要プレイヤーと違い

中国のEC市場においては、Tmall、Taobao、京東(JD)が大きなシェアを占めていますが、近年、拼多多(Pinduoduo)の急成長、Tiktokなどのライブコマースの拡大、REDにおけるKOLの活発化により、プレイヤー構成が複雑になってきています。

図1 中国EC市場の主要プレイヤー

※ヴァリューズ整理

また、各プラットフォームの特徴も違います。

Taobaoは低価格の商品やニッチな商品を提供し、個人による販売が多いです。同じアリババ系のTmallは幅広く商品を展開し、企業のオフィシャルショップも多く存在しています。もう一つの大手EC京東(JD)は企業のオフィシャルショップも多く、家電・デジタル製品などの販売が強い傾向があります。

特徴が違うほか、各プラットフォームが中国人に与えるイメージも異なります。

Tmall、JDのような大手ECプラットフォーム(図2 紫色ゾーン)は「じっくり検討できる」「価格が高めだが、信頼できる」のイメージが強く、一方、拼多多(Pinduoduo)、Tiktokを代表とするライブコマースなど(図2 緑色ゾーン)は「価格が低めだが、正規品か心配」「衝動買い」のイメージが強く持たれています。

図2 中国EC市場の主要プレイヤー

※ヴァリューズ整理

中国人のEC利用の特徴は?

このように、中国には多くのECプラットフォームが存在し、各プラットフォームの特徴も異なるなか、中国人はどのようにECを使っているのでしょうか。また、地域や購入商品によるECの使い分けはあるのでしょうか。

今回、ヴァリューズ独自の定性調査パネル「百路QIC(ヴァリュークイック)」を利用して、検証してみました。

定性調査で中国市場トレンドを把握できる「百路QIC」サービスを開始

※ヴァリューズは2021年12月に、
定性調査で中国市場トレンドを把握できる「百路QIC」サービスを開始

百路QICとはヴァリューズが大手生活用品メーカーご協力のもとに開発した定性調査サービスです。トレンド変化の早い中国市場に対応し、中国人消費者の声を最短7日でスピーディに低予算で確認できるというのが最大の特徴です。

実際に、以下の内容をパネル会員に質問しました。

図3 百路QICでの質問画面 

北京市、上海市在住者の回答結果を見ると、Tmall、Taobao、京東(JD)の地域による差はほぼ見られませんでしたが、一方、商品カテゴリによるECの使い分けがありました。

例えば、服、日用品、食べ物・調味料など利用頻度が高く、低価格で商品数が多いものをTaobaoで購入する人が多く、家電、デジタル家電など価格が高いものについて京東(JD)の利用率が高くなっていました。

EC使い分けに関する回答例

女性
20代後半
北京在住

1. Taobao、Tmall、JD、Xianyu
2. Taobaoで服、日用品、Tmallで化粧品、JDで生鮮食品、デジタル製品、Xianyuで中古品
3. Tiktokのライブコマースを見たことがある。果物、食品、子供の服などを買ったことがある

女性
20代後半
北京周辺在住

1. Taobao、JD、Pinduoduo、Wechatミニプログラム
2 Taobaoが最も使っている、日用品、お菓子、服など、JDで家電、Pinduoduoで小物、お菓子、果物
3. Tiktokのライブコマースでパンツ、本、クーポンなど買ったことがある

女性
30代前半
上海周辺在住

1. Taobao、Wechat、JD
2. JDで家電、Wechatは芸能人のグッズ、Taobaoは日用品
3. Tiktokで食品を1回買った。普段あまりライブコマースを見ない

女性
40代
上海在住

1. Taobao、每日鲜优、JD、Wechat
2. Taobaoを最も使っている、料理の原料、器具、每日鲜优はスーパー替わり、Wechatは特産品や日本商品など
3. ショートムービーアプリを使っていない

男性
20代後半
上海周辺在住

1. Taobao、JD
2. Taobaoで日用品とお菓子、JDで価格の高いもの
3. TiktokとKuaishouは使わない

男性
30代前半
北京在住

1. Taobao、JD、Pinduoduo
2. Taobaoで食べ物、服、JDで家電、スマホ、Pinduoduoで道具など
3. ライブコマースで買ったことがない

また、最近利用者数が急増している拼多多(Pinduoduo)については、お菓子、野菜、日用雑貨など低価格の商品で利用する人が多くみられました。北京・上海のような1級都市とそれ以外の都市との差はほぼ見られませんでした。

EC市場で近年、大きなシェアを占めているライブコマースですが、利用経験のある人がそれほど多くはありませんでした。利用者のうち、Tiktokを利用した人が最も多く、Taobaoのライブコマースが続いていました

さらに、大半の利用者はライブコマースでお菓子、服、日用雑貨などを購入している様子もうかがうことができました。

※実際の回答データ(日本語訳付き)を本稿を読んで頂いた方に無料で提供いたします。記事末尾のフォームからお申込みください。

まとめ

中国のEC市場が拡大しつつありますが、ECプラットフォームも数多く存在し、各ECの特徴も異なります。中国人も買いたいものに合わせてECプラットフォームを使い分けています。そのため、中国のECプラットフォームで商品を販売する際、中国EC市場の実態に合わせて戦略を立てる必要があります。

回答データダウンロード|「百路QIC」によるEC使い分け調査

資料のダウンロードURLを、ご入力いただいたメールアドレスに送付させていただきます。
ご登録頂いた方にはVALUESからサービスのお知らせやご案内をさせて頂く場合がございます。

▼中国市場トレンドを把握できる定性調査「百路QIC」サービスに関して、詳しくはこちらをご覧ください。

▼「百路QIC」の導入事例はこちら

中国市場のトレンドを素早くキャッチ! ライオンが導入した定性調査「百路QIC」の実力とは

https://manamina.valuesccg.com/articles/1593

洗剤やハミガキ、医薬品など幅広い生活用品を扱う大手メーカー、ライオン株式会社。日本国内だけでなくアジアを中心に海外展開にも積極的な姿勢を見せる同社は、中国市場における消費者の実態調査を行うため、定性調査ソリューションとして株式会社ヴァリューズが新たに開発した「百路QIC(ヴァリュークイック)」を導入し、スピーディーな情報収集を実現しました。百路QICを実際に活用した感想について、ライオン株式会社の朱 婷(リナ)氏に、株式会社ヴァリューズ グローバルチームの韓が聞きました。

この記事のライター

株式会社ヴァリューズ グローバルリサーチ推進室 データアナリスト 姜 茹楠(きょう じょなん)
中国北京市出身。2014年来日し、2017年にヴァリューズに入社。現在は中国をはじめとしたグローバルリサーチに携わっている。

関連するキーワード


中国市場 EC

関連する投稿


ポストコロナ時代における「中国のペット経済」の発展状況とトレンド

ポストコロナ時代における「中国のペット経済」の発展状況とトレンド

中国の独身者の増加と消費能力の向上に伴い、若者の一人暮らしがますます定番化してきています。ペットは人も精神的な支えにもなるため、独身の若者たちのパートナーとして徐々に位置づけられ、ペット経済もそれに伴って成長しています。ポストコロナ時代に中国のペット経済の発展状況や新しいトレンドについて、本稿で詳細にご紹介します。


ポストコロナ時代における中国人の消費変化

ポストコロナ時代における中国人の消費変化

「コロナ時代が過ぎた後、中国は一波の消費ブームを迎えるだろう」という予測の声が上がりました。しかし、「三亜旅行ブーム」を除いて、中国人の消費ブームは現れず、その代わりに中国人はむしろ借金の返済や預金に熱心でした。新型コロナウイルスが終息した後、中国人の消費能力は本当に低下し、もはや消費に熱心ではなくなったのでしょうか?それとも、中国の消費者の消費行為にはどのような変化が起こったのでしょうか?この記事ではポストコロナ時代における中国の消費トレンドの変化を解説します。


“質”重視の消費観がもたらす。2024年中国経済の新傾向

“質”重視の消費観がもたらす。2024年中国経済の新傾向

緩やかな回復を続けている中国経済では、人口の半数近くを占める「80後(1980~89年生まれ)」、「90後(1990~99年生まれ)」、「00後(2000年以降生まれ)」が消費の主力となっています。これらの年代の消費者は生活の質や精神的満足をより重視する傾向にあり、中国経済に新しいトレンドを生み出しています。


フリマ市場を比較調査。メルカリとYahoo!系サービス、それぞれの特徴や集客の強みとは?

フリマ市場を比較調査。メルカリとYahoo!系サービス、それぞれの特徴や集客の強みとは?

節約やお小遣い稼ぎの手段としても注目が高まるフリマ市場。「メルカリ」「Yahoo!オークション」「Yahoo!フリマ」を対象に、フリマ市場の最新動向について調査しました。各サービスのサイト・アプリについて、利用者数やユーザーの人となりに加えて、サイト集客構造の違いについても深掘りし、それぞれの特徴について明らかにしていきます。


ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトの売り上げをあげるためには、KGIの設定だけではなく、KPIの策定が重要なポイントになります。そこで、気になるKPIの策定ポイントや、課題の洗い出し・分析についてご紹介します。効果的なマーケティング施策にお悩みの方や、ECサイトの売り上げが伸び悩んでいる方はぜひ参考になさってください。


最新の投稿


日本テレビ、AR撮影装置を活用した「没入体験型CM」の実証実験を開始 GW期間内に大型ショッピングモール内にて

日本テレビ、AR撮影装置を活用した「没入体験型CM」の実証実験を開始 GW期間内に大型ショッピングモール内にて

日本テレビ放送網株式会社は、日本テレビが事業展開する XR分野のコンテンツ制作および開発支援サービス『日テレXR』において、新たな広告没入体験ができるサービスの実証実験を開始しました。


ギブリー、生成AIがマーケティング業務を支援するサービス「マーケGAI」の提供を開始

ギブリー、生成AIがマーケティング業務を支援するサービス「マーケGAI」の提供を開始

株式会社ギブリーは、生成AI技術を活用してマーケティング業務を自動化・効率化するAIマーケティング支援ツール「マーケGAI」の提供を開始したことを発表しました。


「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

検索エンジンで調べ物をするときによく使われる「〇〇とは」検索。今回は、直近1年間で検索数が多かった注目ワードや、時期によって急上昇したトレンドワードをご紹介します。「とは」検索から見えてくる最新の流行りやみんなの関心事を読み解いていきます。


GWに10連休を取得する人は約2割!連休の予定はインバウンドの影響か「国内旅行」が下降し「家事」が上昇【mitoriz調査】

GWに10連休を取得する人は約2割!連休の予定はインバウンドの影響か「国内旅行」が下降し「家事」が上昇【mitoriz調査】

株式会社mitorizは、消費者購買行動データサービス「Point of Buy®」の会員に対し「大型連休に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

“Oshikatsu” stimulates consumption in Japan. In fact, more than 80-90% of teens answered that they have an “Oshi.” We will deepen our understanding by investigating the current state of the “Oshikatsu” market, behaviors like time and money spent on “Oshikatsu,” and its connection with collaborations, etc. in marketing.


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ