2022年中国ビジネスで注目される栄養補助食品とスキンケア市場|中国トレンド調査

2022年中国ビジネスで注目される栄養補助食品とスキンケア市場|中国トレンド調査

昨年2021年、中国ではスマート製品がさらに普及され、美容医療の需要が急増しましたが、今年の中国ではどのようなビジネスがトレンドになるでしょうか。本記事では、最も成長が期待されている栄養補助食品とスキンケアの市場について分析します。


Z世代が支持するお菓子のような栄養補助食品

「養生」は、現在中国人若年層にとって最も重要視されている課題で、2022年の食料の消費トレンドの1つでもあります。

健康と養生」というトピックは、中国のインスタグラム「RED」では3億9000万のページビュー数を獲得しています。新紅データによると、昨年12月だけに、「健康と養生」トピックは、1万以上もの新しい記事が増え、特に「棗と白きくらげのスープ」や「養生茶」などの用語が頻繁に現れました。

「健康と養生」トピック

栄養面に配慮したお菓子

お菓子の健康化とサプリメントのお菓子化は、食品消費の突破口だと考えられています。

CBNDataのレポートでは、中国の越境ECサイト「Tmall Global(天猫国際)」 において、お菓子のようなサプリメントが購入される傾向にあることが示されています。中でも、特にZ世代の消費者はお菓子のような栄養補助食品を好むと言われています。

また、投資家の陳黙黙によれば、女性の健康や腸の健康、睡眠、メンタルヘルスなどのニーズにも応えており、その有効性についても明白なサプリメントが、お菓子に近い形態で販売されるようになれば、一瞬で消費者の間で人気になるだろうと推測されています。

漢方と栄養補助食品

「国潮(中国伝統文化の要素が取り入れられている、伝統文化と現在の潮流を組み合わせた商品のトレンド)」ブームの中、漢方の栄養補助食品も中国では流行りました。

Ali健康研究所が発表した「ダブルイレブンにおける家庭健康備蓄洞察報告」によると、2021年に漢方薬を注文する人数は前年比で約4倍になり、そのうち1980年代と1990年代生まれの世代は60%近くを占めていることが分かりました。

漢方を取り入れた栄養補助食品

また、中国のECサイト「京東商城(JD.com)」のデータによると、2021年の養生茶の販売量は、2020年の同時期に比べて60〜70%増加しました。

例えば、中国の製薬会社「同仁堂」も「京東商城」に出店しており、主に養生茶、免疫力アップや倦怠感の抑制に対応している健康補助食品、及びツバメの巣や冬虫夏草、高麗人参などの薬膳料理に使用できる生薬を販売しています。そのうち、ドライのマルベリーとクコの実、インスタントの氷砂糖入り燕の巣、及びサフランや玫瑰花などで調合された養生茶などの健康食品は特に売れ行きが良いようです。例えば、インスタントの氷砂糖入り燕の巣の累計レビュー数は20万を超えており、陳皮の養生茶や黒胡麻丸、ドライのマルベリーの販売量はいずれも100万を超えています。

糖質ゼロ

無糖飲料ブランド「元気森林」の成功に鑑み、食品の分野でも「糖質ゼロ」はブームになるでしょう。

Zhiyanのレポートによると、無糖飲料の市場規模は2020年には117.8億元(約2138.2億円)に達し、2014年の16.6億元(約301.3億円)に比べるとかなり増加しました。このブームは、食品の分野までにも広がると考えられます。特にアイスクリーやチョコレート、洋菓子などの間食は、少量であっても糖質やカロリーが高く、中国人若年層の健康志向にそぐわないものとされています。従って、糖質ゼロの食品の開発は食品ブランドの今後の重心となり、糖質ゼロ自体もこれからのお菓子のセールスポイントの一つになりうるでしょう。

高年層と健康食品

中国では60歳以上の人口は既に2.64億に達し、高齢化社会に突入しました。それに伴い、高齢者の食生活も注目されるようになりました。

また、「2019〜2020年中国食品消費傾向及び革新白書」によれば、高齢者の平均年間消費額は22,600元(約41万円)ですが、そのうち食品・食事は35.3%を占めています。つまり、高年層の健康食品市場規模にはかなり成長の余地があると思われます。

Foodaily Thinking研究所によれば、病気予防の意味でも減塩・低脂肪の食品と低GI食品は今後のトレンドになる可能性が高いです。また、漢方の方に慣れ親しんでいる高齢者にとっては、栄養補助食品の中でも、生薬などを取り入れた漢方系のものが好評になるでしょう。

効能と配合成分を重視した機能性スキンケア

2020年において、中国の機能性スキンケア製品はスキンケア製品業界全体の12.9%を占めるのに対して、先進国の割合は50%〜60%に達しています。先進国の規模浸透率と比較すると、中国の機能性スキンケア市場はさらに拡大していくはずです。

アンチエイジング

Euromonitorのデータによると、2020年の中国のアンチエイジング市場の規模は646億元(約1.17兆円)に達し、中国のスキンケアコスメ市場の28.8%を占めています。

実際、近年中国では「アンチエイジング」はかなり注目されてきました。中国のSNS「WEIBO」で有名なインターネット企業「新浪(SINA)」のWeiredian研究所のデータによれば、過去1年間にインターネット上では「アンチエイジング」に関する情報は6000万件もありました。そのうち、「RED」には134.11万の記事が、「Tiktok」や「快手」などの動画の投稿・視聴が楽しめるSNSアプリでも、「アンチエイジング」に関する内容が多々ありました。

このように、アンチエイジングは若者の間で話題になっており、製品の効能と配合成分への関心が急上昇し、機能性スキンケア製品も欠かせないものとなっていくでしょう。

美白

アンチエイジングより重視されているのは、やはり美白です。

CBNDataとTmall Globalのデータによると、消費者の多くは肌のくすみをはじめとした肌トラブルを抱えており、改善を求めているようです。また、アンケートに答えた消費者のうちの半分以上が、スキンケア製品の美白有効成分を重要視しています。そのため、美白成分のW377やトラネキサム酸、ニコチン酸アミドなどが配合されたスキンケア製品は最も受けがいいでしょう。

消費者が抱えている肌トラブル

ベビースキンケア

近年、アメリカのベビースキンケアブランド「Evereden」は、中国のお母さん達に大好評です。設立からわずか3年で、Everedenは、Tmallのベビースキンケア製品売り上げのトップとなり、20%以上の市場占有率を持つようになりました。

Everedenには「Never Ever List」という、Evereden製品に絶対添加しない成分のリストが存在しています。アメリカ食品医薬品局(FDA)では19成分の使用を禁止しており、EUは1400成分を禁止していますが、「Never Ever List」には2000種類の成分が記載されています。この明確な配合成分が、中国人消費者の需要と好みに応えたと言えるしょう。

ベビースキンケアブランド「Evereden」の製品

まとめ

2022年では、中国の栄養補助食品の市場規模は6000億元(約10.88兆円)を超えると予測されており、スキンケア製品の効能と配合成分を重視している消費者も益々増加していくでしょう。

また、本記事で挙げた栄養補助食品と効能と配合成分を重視したスキンケア以外にも、スマートホーム製品やアウトドア用品、ペット用品などの市場の発展も非常に期待されます。

<参考文献>
「垂直美妆、线下咖啡……盘点2022新消费八大风口」
https://www.cbndata.com/information/232082
「每日食品年度商业热点发布 ,2022年赛道新物种机会都在这里了」
https://www.cbndata.com/information/232577
「植物基、低糖、养生,2021食品行业“食”来运转」
https://36kr.com/p/1576825945819905
「同仁堂:一手传统中药,一手朋克养生」
https://36kr.com/p/1556189947956864
「年轻人掀起养生热潮,正撑起哪些千亿百亿大市场?」
https://www.cbndata.com/information/231192
「3.9亿浏览量,爆文率30%-50%,为什么人人都在小红书上养生?」
https://36kr.com/p/1545508502923264
「2022天猫国际消费趋势前瞻」
https://www.cbndata.com/report/2800/detail?isReading=report&page=1
「功能性护肤品,掀起护肤行业新战事?」
https://36kr.com/p/1451863282402438
「母婴护肤品牌Evereden:用实力定义好产品」
https://36kr.com/p/1546823432202500

この記事のライター

中国出身の留学生。立教大学大学院に在学中。

関連する投稿


【2025年】花粉症の検索トレンド分析。近年注目されている対策は?

【2025年】花粉症の検索トレンド分析。近年注目されている対策は?

「時期が早い」「花粉飛散量が多い」と言われている2025年春、花粉症に悩まされている方々も多いのではないでしょうか。「花粉症」についての検索者はいつ多くなるのか、どのような人なのか、さらに注目の花粉症対策について調査しました。 ※本記事に掲載する医療情報や健康関連情報は一般的な参考情報を提供するものであり、内容の正確性や信頼性を担保するものではありません。個別の状況においては必ず医師や専門家に相談してください。


中国で勢いを見せる「氷雪経済」を最新調査

中国で勢いを見せる「氷雪経済」を最新調査

2022年に開催された北京冬季オリンピックの「オリンピック効果」によって、中国では「氷雪経済」の成長が加速しています。アイススポーツを中心にレジャー、文化などを総合的に巻き込むこの経済システムは、広いサプライチェーンと高い集客効果を持っています。本記事では、氷雪経済が中国にどのような変化をもたらしているのかを調査しました。


食事記録アプリ「あすけん」「カロミル」を比較!ダイエットガチ勢が選ぶのは?

食事記録アプリ「あすけん」「カロミル」を比較!ダイエットガチ勢が選ぶのは?

新生活や来たる夏に向けて、ダイエットを考える人も多いのでは。今回は食事の記録をメインとして、ユーザーの健康管理をサポートするサービス「あすけん」「カロミル」について、両者の機能や利用実態を比較。調査の結果、各サービスで利用者の主な年代や、ダイエットへの熱量などが異なることが見えてきました。


2025年の中国春節消費の新トレンド 〜 Z世代が牽引する新年の風潮

2025年の中国春節消費の新トレンド 〜 Z世代が牽引する新年の風潮

2025年の春節(旧正月)が終わり、中国の都市や農村の至るところで、まだ新年の余韻が感じられます。しかし、例年と異なり、今年の中国の春節消費はより個性的でデジタル化が進んでいます。Z世代(1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代)が春節消費市場の中心となりつつあり、年貨(春節用の買い物)や贈り物の選び方、そして春節文化の楽しみ方において新たな価値観を生み出しています。本記事では2025年中国の春節の消費トレンドを詳しく分析します。


中国の健康消費の新トレンド ~ 若者に人気の「中式養生水」

中国の健康消費の新トレンド ~ 若者に人気の「中式養生水」

中国の経済発展につれ、飲料の選択にも変化が見られるようになりました。かつては、炭酸飲料が売上ランキングを独占していましたが、中国人の健康意識の高まりとともに、高糖分の飲料が体に与える負担が認識されるようになり、無糖茶飲料が新たな市場の主役となりました。無糖茶は、さっぱりとした味わいと低カロリーという特徴を持ち、健康志向の消費者のニーズを満たしてきましたが、過去には味わいと機能性の両面で十分に満足させるものではありませんでした。こうした中、さまざまな改良が加えられ、伝統的な養生理念と現代的な飲料の形態を融合させた新カテゴリー「中式養生水」が登場し、注目を集めています。


最新の投稿


Apple Intelligenceの機能が日本語で利用可能に

Apple Intelligenceの機能が日本語で利用可能に

Appleは、iOS 18.4、iPadOS 18.4、macOS Sequoia 15.4のリリースにより、Apple Intelligenceを日本語をはじめ、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語(ブラジル)、スペイン語、韓国語、中国語(簡体字)、英語(シンガポール)、英語(インド)の8つの新たな言語に対応したことを発表しました。


8割以上がWebサイトの運用に「課題」を実感!そのうち約6割が「分析結果を具体的な改善施策に結びつけられない」【富士フイルムビジネスイノベーション調査】

8割以上がWebサイトの運用に「課題」を実感!そのうち約6割が「分析結果を具体的な改善施策に結びつけられない」【富士フイルムビジネスイノベーション調査】

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は、事業会社に勤めており、Web広告の運用に携わっているマーケティング担当者を対象に、Webサイトの継続的改善と効果測定に関する実態調査を実施し、結果を公開しました。


生成AIは誰がどう使っている? ChatGPT、Gemini、Copilot、Claudeの利用データを比較調査

生成AIは誰がどう使っている? ChatGPT、Gemini、Copilot、Claudeの利用データを比較調査

ChatGPTやGeminiをはじめとした生成AIが近年急拡大しています。生成AIではテキストのみならず画像や音声など様々なものを出力できますが、実際はどのように使われているのでしょうか。本稿では、そんな生成AIを利用するユーザーの属性や関心を比較・分析し、各AIとそのユーザーの実態を明らかにしていきます。


AIライティングツールの進化で人間ライターの存在意義は本当に脅かされる?AIよりも人間ライターを選ぶ理由とは?【ランクエスト調査】

AIライティングツールの進化で人間ライターの存在意義は本当に脅かされる?AIよりも人間ライターを選ぶ理由とは?【ランクエスト調査】

株式会社ecloreは、同社が提供する「ランクエスト」において、ライティング業務を外注している方を対象に、AIよりも人間ライターを選ぶ理由に関するアンケート調査を実施し、結果を公開しました。


【2025年4月14日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2025年4月14日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ