※前回記事(vol.1)はこちら↓
ターゲットがよく利用するメディアも一目瞭然
―― それでは「オートミールダイエッター」について、「story bank」ではどのようなことがわかるのでしょうか。
まず、「オートミールダイエッター」のユーザー像を確認するために、デモグラフィックを見ていきましょう。
story bankの画面。性年代や居住地域などのデモグラフィックを確認できる。
各グラフでは、「オートミールダイエッター」の性年代・居住地・未婚既婚・子供の有無・世帯年収・同居家族など、様々な属性情報が確認できます。
性年代を取り上げてみますね。
「オートミールダイエッター」の性年代構成
上のグラフはネットユーザー全体の割合で、下は「オートミールダイエッター」を示したものになります。2つのグラフを比較すると、「オートミールダイエッター」は女性が多く、とりわけ“20代女性は20.8%”、“30代女性は15.3%”と若年層の女性が興味関心を持っていることがうかがえますね。
――「story bank」では、特定ユーザーのオフラインに関する情報も見られる、とのことですが、「オートミールダイエッター」のオフライン行動も見たいです。
左側の項目にある「メディア接触」をクリックすると、オフライン上における普段のメディアの接触状況がわかります。
オフライン上における普段のメディアの接触状況
「オートミールダイエッター」の中でも、性年代・居住地・未婚既婚・子供有無・世帯年収・同居家族など、クラスター毎に、更に対象者条件を絞って深堀りができます。
ここでは「オートミールダイエッター」の「女性」に絞ってみましょう。「日常的にテレビをよく見ている」「VODを見ている割合が高い」ということがうかがえ、そこから「オートミールダイエッターは動画系のメディアから情報収集する傾向がある」と簡単な仮説を立てることができます。
「オートミールダイエッター」かつ「女性」に絞り込んだ状態
――「オートミールダイエッター」から、さらに“女性”に絞ることにより、テレビ視聴やVOD利用等の傾向が高いことがわかり、ターゲットの解像度がグッと上がりましたね。
他にも、「SNS/アプリ利用」をクリックすると、主要なSNSやアプリも見ることができます。
主要なSNSの利用状況
こちらもアンケート調査したユーザーのデータを基にしているのですが、LINE・Twitter・Facebook・Instagram・Yahooアプリ・ニュースアプリ・ゲームアプリ・動画アプリなどの利用状況が確認できます。
主要なアプリの利用状況
この結果から、「オートミールダイエッター」は「Twitter利用時間」が長いことがわかりますが、同時に「動画アプリ利用時間」が長いことも一目瞭然。先ほど「オートミールダイエッターは動画という媒体の親和性が高い」ということがわかりましたが、ここでは「オートミールダイエッターは日々、Twitterを見ながらトレンドをチェックしているのでは?」という気づきも与えてくれます。
―― このグラフを見ると、「オートミールダイエッター」のオフライン行動だけではなく、TwitterはInstagramよりもヘビーユーザーの比率がそもそも高いことがわかるのも面白い。Instagramはカジュアルに使う人が多いイメージを持っていたのですが、story bankを見ることで、自分が漠然と描いていた仮説が正しかったかを確認する機会になるのもいいですね。
そうですね。「story bank」のようにユーザーのオンライン・オフラインのデータを掛け合わせ、客観的に見られることは、マーケターの方にとって大きな利点になるのではないでしょうか。
オートミールダイエッターは自炊しない?
―― アプリの利用状況も見たいです。
「どのアプリを利用しているのか?」については、アンケート調査ではなく、実際のWeb行動をもとに集計しています。ユーザー全体と比較して、「オートミールダイエッター」が特徴的に利用しているアプリが閲覧でき、各アプリのアイコンも表示されるため非常に見やすいです。
利用アプリ
ランキング形式でアプリが表示されていますが、よくよく見てみると“Uber Eats”や“menu”といったデリバリー系サービスのアプリを利用していることがわかります。
さらに“男性”に絞ってみましょう。
利用アプリを「男性」に絞り込んだ状態
Uber Eatsが上位にランクインしており、特徴的に利用していることが分かります。このことから「男性のオートミールダイエッターは自炊しない人が多いのでは?」と予想できますので、この仮説を検証するために「保有資産/平均支出」をクリック。
1人あたり平均支出
「男性のオートミールダイエッター」が、どのようなことに普段お金を使っているのかもわかります。
「外食」に使用している平均支出を見ると、一般消費者が約1万円なのに対し、「男性のオートミールダイエッター」は約2万円とほぼ倍。食事は、自炊よりは外食やデリバリーサービスを利用している傾向がわかり、仮説を裏付ける説得力あるエビデンスを短時間で獲得できましたね。
―― ヒアリングベースの調査では、日頃利用しているアプリ傾向を正確に把握するのは難しい。そのため、ここではアンケートではなく実際のWeb行動をもとに結果が導き出される点は非常にありがたいですね。「story bank」はリアルなユーザー理解に繋がるのではないでしょうか。
男女別に分けてターゲットをより明確に
また、「興味/関心」からは、対象ユーザーが、何に興味関心を抱いているかがわかります。
興味/関心マップ
このグラフの見方ですが、縦軸が回答者のボリューム(割合)。横軸は右に行けば行くほど、一般の消費者と比較して、「オートミールダイエッター」が特徴的に関心を持っている事項が見られます。ここに関しては、「story bank」からデータをアウトプットして、男女別の「オートミールダイエッター」の興味関心を数表にまとめました。
この表は、男性と女性の興味関心がある事項を比較した際の特徴を表しています。まず男性に注目すると、オートミールに関心のあるユーザーは政治経済やビジネス関連、不動産投資などに関心が高いです。
※「特徴値」…対象者が一般的なネット利用者と比べて特徴的に興味関心のあるジャンルを可視化するための指標。スコアが高くなるほど、一般的なネット利用者と比べて顕著に差があると言える。
女性の場合、ダイエットや健康・医療・病気、資格取得・習い事などに関心を持っており、男女ともに意識が高い傾向が見えてきます。
また、女性に限って言いますと、日頃からダイエットや健康医療に興味関心を持っているため、とても身体のメンテナンスに対して配慮しており、“健康意識の高いユーザー”と言えるのではないでしょうか。
―― 差分を出して男女間で比較するのは面白いですね。そうすることで男女の微妙な差異も見えてきますし、ユーザー全体との比較もやりやすくなります。
そうですね。加えて、「オートミール」と実際にWeb検索しているユーザーをピックアップしてアンケート調査することの難易度は非常に高く、かつかなりの時間を要しますが、「story bank」の場合は最短15分程度でここまでアウトプットできます。スピード面においても使い勝手は良いと思います。
他にも、特定のユーザーについて分析していく中で、いろいろな疑問や仮説が浮かぶことも珍しくありません。その際、柔軟に軌道修正を加えながら、アンケート調査では難しい機動力のある分析も可能です。これまでお金や時間など、様々なコストをかけていたことが、「story bank」導入によって簡略化できるのではないでしょうか。
―― 本稿では「オートミールダイエッター」を深掘りし、「若年層がメイン」「男性はデリバリーに頼りがちな食生活を送っている」「女性は情報収集が盛んで健康意識も高い」など、デモグラフィック情報からオフライン上の行動まで詳細なデータが集まりました。
今回紹介した機能は「story bank」の一部であり、ユーザー理解だけでなく、ペルソナ作成にも大きな力を発揮します。ご興味のある方は資料をお送りさせていただきますので、下記URLからご連絡いただければ幸いです。
■関連記事
マス×デジタル横断データからユーザー理解を深める。ターゲット分析ツール「story bank」とは|vol.1
https://manamina.valuesccg.com/articles/1684消費者のニーズが多様化し、マーケターの腕が試される今の時代。勘や経験のみに頼らず、データで仮説を裏づけ、確信を持って戦略を進めることも重要になってきています。ヴァリューズでは2020年3月から、ターゲット分析ツール「story bank」をリリース。インターネット上で検索やサイト閲覧など特定の行動を行った消費者の、Web行動とアンケートデータを紐づけた分析を可能にした、従来にはない画期的なツールの機能性について、ヴァリューズのマーケティングコンサルタントに話を聞きました。
story bankは、消費者の検討背景やニーズ、購入のアクションを起こすきっかけを、実際のWeb行動データとアンケートデータから定量的に分析・把握することができるサービスです。ターゲットユーザーの検討過程における検索キーワードや閲覧サイト、属性・興味関心データなどを用いて、消費者のリアルなWeb行動を把握できます。
ライター兼動画編集者。“マーケテイング”という、よくわかりそうでよくわからない世界をわかりやすく伝えていきます。