マーケティングの「戦略」と「戦術」両者の違いを詳しく解説

マーケティングの「戦略」と「戦術」両者の違いを詳しく解説

マーケティングにおける「戦略」と「戦術」……混同しやすいこれらのワード、それぞれの意味を正しく理解できていますか?マーケティング戦略と戦術の用語としての違いや策定段階・実行段階で注意すべき点を解説します。


「戦略」「戦術」それぞれの言葉の意味

まずはマーケティングにとどまらず、広義の「戦略」と「戦術」の違いについて解説します。

広義の「戦略」とは?

目的達成に向け、さまざまな思考や視野を組み合わせ、持てるリソースを効果的に運用するためのアイデア、シナリオを考えることが「戦略」です。目的達成に必要な方向性の決定、とも言い換えられます。

広義の「戦術」とは?

一方の戦術ですが、こちらは「戦略」を実行するために必要な「方法」や「手段」を考え、遂行するものです。戦略で方向性やシナリオを決めた後、具体的な実務に落とし込んでいく段階が「戦術」になります。

マーケティングにおける戦略と戦術の違いを事例からチェック

マーケティング文脈においても「戦略」と「戦術」の違いは前記とほぼ変わりませんが、よりニュアンスが伝わりやすいよう、一般的な事例をもとに解説していきます。

マーケティング戦略について

マーケティング戦略とは、自社や自社製品を提供する「顧客」は誰か、顧客にどのように見てもらいたいか、そして、それに対してどのような商品・サービスを幾らの価格帯でどのような手段で提供していくかを考えるものです。さらに、ブランディングや顧客と自社や製品の関係を構築(コミュニケーション)する部分の計画もマーケティング戦略に含まれます。

要約すると、マーケティング戦略の命題は、商品やサービスの売り上げをいかに伸ばすか、です。

マーケティングの大家であるピーター・F・ドラッカーの言葉「企業において価値を生み出す活動はマーケティングとイノベーションの2つだけで、その他はすべてコストである」にもあるように、マーケティング戦略の重要性はかなり高いと言えます。

では、マーケティング戦略とはどのようなものがあるのでしょうか? 一例として、
・複数ある自社製品のひとつの売り上げを○%伸ばす
・自社製品全体の売り上げを○%伸ばす
・会社の業績を○%伸ばす
・来客数を○%増やす
・経費を○%削減
といったものが挙げられます。このように見ると、前記の「戦略」を理解しやすいのではないでしょうか?

マーケティング戦略とは?立案方法から事例まで

https://manamina.valuesccg.com/articles/1106

自社の商品・サービスを市場に普及させるには、一貫したマーケティング戦略が必要です。企業のマーケティング戦略立案に使われる3C分析・STP分析・4P分析などのフレームワークや、有名企業のマーケティング戦略事例をご紹介します。

マーケティング戦術について

戦略を達成するために、どのようなアクションを取るべきか?それを「戦術」として考えます。具体的なアクション(施策)やKPIを決め、それを実行して成果を評価する流れです。

例えば、PR活動への注力もひとつの戦術となりえますが、それをさらに掘り下げる、PR活動の場はTVCM?チラシ?Web?どのチャネルにするのか。そしてそのチャネルはひとつなのか複数なのか、それとも全部か?など、次々に戦術を挙げられます。

戦略と戦術についてのアウトラインについては以上ですが、ここからはそれぞれを一本化して理解していただきやすい事例を紹介します。

コンビニチェーンのひとつ「ローソン」ですが、競合他社(セブンイレブン、ファミリーマート)と対抗するために「差別化」を図っています。まず、この差別化が「マーケティング戦略」になります。

差別化という戦略を実現・成功させるために、ローソンが採った戦術は競合他社にはない「健康志向」です。健康志向を実現するために国産原料にこだわる、合成保存料を使用しない、健康にまつわる商品ラインナップの拡充といった「戦術」を用いました。

この結果、競合他社にはないオリジナリティのある商品やサービスを提供し、ユーザーにもローソン=健康志向というイメージが広がっています。

マーケティング戦略策定の基本ポイント

マーケティング戦略策定にあたっては、目標である戦略を立て、次に手段である戦術の立案という流れになります。

最初のステップとしては、まず達成すべき目的(目標)を明確にする必要があります。この目的はできるだけ具体的なものである必要があります。そのためには現状の把握が必要です。

例えば、会社の業績をアップさせるという目的を掲げたとしても、数値目標がなければ戦術に落とし込めません。そして、現状を把握していなければ、数値目標を設定したとしてもそれが現実的に達成できるものであるのかもわからなくなってしまいます。

続いては、立てた目標(戦略)を達成するための手段(戦術)を考えます。先に紹介したローソンの例にもあるように戦術はひとつだけではなく、複数あるのが普通です。したがって、考えられる手段を一通りリストアップします。このとき、その手段が実際にできるかどうかは意識しないのがベターです。

そして、リストアップした手段、戦術案の中から、自社のリソースを鑑みて効率よく実現できるものをピックアップし、実行していく……基本的なマーケティング戦略策定の流れになります。

まとめ

マーケティング戦略と戦術の違いですが、一言で表すならば「戦略(=目標)を達成するために必要なのが戦術」となります。マーケティング戦略策定にあたっては、明確な目標、正確な現状把握、多くの戦術候補という3要素が肝心となります。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

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