セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートの公式アプリの特徴
コンビニ大手3社、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートは、それぞれ公式アプリをリリースしています。簡単に特徴をご紹介します。
「セブン-イレブンアプリ」/セブン-イレブン
「セブン‐イレブンアプリ」の特徴は、使えば使うほどお得になるバッジ制度があることです。対象商品を買うと、銅・銀・金・プラチナと徐々にランクが上がり、獲得したランクに応じて様々な特典が受けられる仕組みです。
「セブンカフェを10杯買うごとに1杯無料クーポン」「おにぎり10個買うたびに1個無料プレゼント」などのキャンペーンからもわかるように、リピートすることで得をするのが「セブン‐イレブンアプリ」の特徴です。また、アプリ会員になると無料Wi-Fiサービス「セブンスポット」が無制限で使えるメリットも。
「セブン‐イレブンアプリ」はnanacoポイントと連動することで、先述のバッジやnanacoポイント、セブンマイルを貯めることができます。
「セブン-イレブンアプリ」/セブン-イレブン
「ローソンアプリ」/ローソン
「ローソンアプリ」の特徴は何と言ってもクーポンが充実していることです。クーポンは毎日配信され、「ウチカフェスイーツ各種20円引き」「パスタ各種50円引き」「まちかど厨房のお弁当各種50円引き」など、すぐに使えるクーポンが表示されます。また、クーポン情報はTwitterなどSNSでも毎日配信されます。
ローソンアプリは「Pontaポイント」「dポイント」と連動できます。
「ローソンアプリ」/ローソン
「ファミペイ」/ファミリーマート
「ファミペイ」はファミリーマート社が独自に開発した決済サービスのため、ファミリーマートで使用するとお得になる仕組みはありますが、他社と比べると、クーポンやキャンペーンでのユーザー囲い込みは控えめな印象です。
会計時に1回バーコードを提示すれば、決済とクーボン適用、各種ポイント付与が一度に完了するのもウリです。
「ファミペイ」/ファミリーマート
コンビニ3社アプリ登録ユーザー比較
ここからは、2022年5月にリリースした「Dockpit」のアプリ分析機能を用いて、コンビニ大手3社のアプリユーザーについて詳しく見ていきます。
■アプリ登録ユーザー数は3社とも好調
まずはアプリ登録ユーザー数を比較します。
直近の1年間で、ユーザー数では「セブン‐イレブンアプリ」が最多でした。インストールユーザー数はローソンが最も多くなっています。月平均アプリ起動日数を比較すると、「ローソンアプリ」が11.9日で最多、次いで「ファミペイ」が11.0日、「セブン‐イレブンアプリ」は10.3日でした。
どのアプリも、1ヶ月のうち約3日に1回はアプリを起動していることになり、日常的にコンビニアプリを利用しているようです。
「セブン-イレブンアプリ」「ローソンアプリ」「ファミペイ」ユーザー数・月平均起動日数
期間:2021年5月〜2022年4月
ユーザー数の推移を直近2年間で見ると、3社とも2022年4月に少し落ち込んだものの、全体で見ると増加傾向にあることがわかります。
「セブン-イレブンアプリ」「ローソンアプリ」「ファミペイ」ユーザー数推移
期間:2020年5月〜2022年4月
また、直近2年間のインストールユーザー数の推移を比較すると、2021年3月以降の「セブン-イレブンアプリ」の好調ぶりがわかります。
「セブン-イレブンアプリ」「ローソンアプリ」「ファミペイ」インストールユーザー数推移
期間:2020年5月〜2022年4月
■アプリユーザー属性比較
続いて、「セブン-イレブンアプリ」「ローソンアプリ」「ファミペイ」各アプリのユーザー属性を比較します。
男女比はほぼ均等。年代は3アプリとも40代が最多。
ユーザーの性別を比較したところ、「セブン-イレブンアプリ」「ローソンアプリ」は男女比がほぼ均等でした。「ファミペイ」は56.7%が男性でした。
年代については3アプリでほとんど差は見られず、40代が最多、続いて50代、30代でした。アプリユーザー全体の年代構成比と比べると、コンビニアプリユーザーは50代、60代の比較的高い年代の人も多いことがわかります。
「セブン-イレブンアプリ」「ローソンアプリ」「ファミペイ」ユーザー属性/男女比
期間:2021年5月〜2022年4月
「セブン-イレブンアプリ」「ローソンアプリ」「ファミペイ」ユーザー属性/年代
期間:2021年5月〜2022年4月
ユーザーの居住都道府県については、実際のコンビニの店舗数の影響が大いにあると思われますが、アプリユーザー数についても地域性がよく表れています。
関東全域は「セブン-イレブンアプリ」、関西の一部と東北、北海道は「ローソンアプリ」のユーザーが多いことがわかります。
「セブン-イレブンアプリ」「ローソンアプリ」「ファミペイ」ユーザー属性/居住都道府県
期間:2021年5月〜2022年4月
■コンビニアプリユーザーのペルソナを分析
ユーザーのペルソナをより知るために、他にどんなアプリに関心があるのかを調べてみましょう。
「セブン-イレブンアプリ」ユーザーはグルメ好き?
それぞれのアプリ以外にも普段よく使われているアプリからユーザーの特徴を分析します。
併用率では大きな差がみられないため、特徴値(※)での比較を行いました。
この結果、以下のような特徴が見られました。
「セブン-イレブンアプリ」ユーザー
・グルメ系のアプリをよく利用している
・Wi-Fiファインダーなどツール系、仕事効率化アプリを利用している
「ローソンアプリ」
・特に特徴はなく、幅広いジャンルにアンテナを張っている
「ファミペイ」
・ファイナンスに興味あり
・美容、コスメ系のアプリも特徴的
関心アプリ ランキング
期間:2022年2月(ユーザー数が最大の期間を選択)
対象アプリの利用者が、他に利用したアプリのうち、特徴値(※)の大きなアプリ順に表示
※当該アプリ利用者のうち対象者が占める割合が高いアプリをスコア化しランキングにしたもの
比較的小規模なアプリであっても、対象者が利用していたアプリを把握することができ、対象者の特徴を把握することが可能
独自のカラーが出せるかどうかが今後の成長の鍵を握る
ここまで、3社の公式アプリの機能、ユーザー数の推移やユーザー属性などを見ていきましたが、コンビニエンスストアという同じ業態の中での企業戦略の差別化については、全体としては見えにくい部分もあります。
そんな中、各社以下のような戦略で次の一手を目論んでいます。
●セブン-イレブン:イトーヨーカ堂の「顔が見える野菜」など日常品の取り扱いを強化、ダイソー商品の取り扱いも開始
●ローソン:全国の店舗で無印良品の商品の販売を開始。関東甲信越地区の約5000店に約半年間で導入し、2023年中をめどに全国に拡大する予定。
●ファミリーマート:コロナ禍の影響もあり無人決済店舗や自販機コンビニが好調。24年度末までに無人決済型の店舗を約1000店出す方針を掲げている。
また、店舗によっては他にない取り組みで注目を集めたり、地域密着で固定客をつかんでいる事例もあります。
ローソン宿河原駅前店「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」とのコラボ店舗
まとめ
今回は、新しく「Dockpit」に加わったアプリ分析機能を用いて、コンビニ大手3社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)のアプリユーザーのペルソナを解析し、ターゲティングの特徴や違いについて分析しました。
各社の公式アプリの特徴は以下のとおりです。
「セブン‐イレブンアプリ」
・使えば使うほどお得になるバッジ制度がある
・nanacoポイントと連動
「ローソンアプリ」
・クーポンが充実している
・「Pontaポイント」「dポイント」と連動
「ファミペイ」
・バーコード提示だけで決済。クーボン適用、各種ポイント付与が一度に完了する
次に、各社のアプリユーザーについて詳しく分析しました。
ユーザー数の推移を比較すると、直近の1年間で、ユーザー数、インストールユーザー数ともに「セブン‐イレブンアプリ」が1位でした。月平均アプリ起動日数は「ローソンアプリ」が最多でした。各社ともユーザー数は順調に増加しています。
ユーザー属性を比較したところ、男女比はほぼ均等、年代についても3アプリでほとんど差は見られず、40代が最多、続いて50代、30代でした。全アプリユーザーと比較すると、コンビニアプリユーザーの年代は高めだということがわかりました。
さらに、それぞれのアプリと併用して使われているアプリを調べたところ、以下のことがわかりました。
・「セブン-イレブンアプリ」ユーザーはグルメ系のアプリをよく利用している
・「ファミペイ」ユーザーは美容、コスメ系のアプリをよく利用している
コンビニ各社の次なる戦略に、アプリユーザーがどう反応するのか、今後の動きにも注目が集まります。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。