2022年4月の急上昇サイトは?
こんにちは、マナミナ編集部です。まず早速、2022年4月の急上昇サイトランキングを見てみましょう。
2022年4月の前月比急上昇サイトランキング(対象はPC&スマートフォン、「Dockpit」トレンド分析より)
4月は総務省の文化・スポーツイベント割引サイトがランクイン!
それでは、1位〜30位にランクインしたなかで、トレンドとして注目のサイトをいくつかご紹介します。
■ 3位:経済産業省 イベントワクワク割
3位にランクインしたのは、総務省の割引事業「経済産業省 イベントワクワク割」でした。「イベントワクワク割」(以下「わくわり」と表記)は、ワクチン歴又は陰性の検査結果を提示すると、文化・スポーツに関するイベントのチケットが2割引で購入できる割引制度。GoToキャンペーン同様、政府の事業予算内で実施するので、対象イベントの制限や実施後期間の変更が発生することが想定されます。
それでは4月に急上昇した要因を、Dockpitで調べてみましょう。なおDockpitは、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツールです。
はじめにユーザー属性を見てみました。
2022年2月~2022年4月 わくわりサイトユーザー属性 性別(Dockpit競合分析より)
2022年2月~2022年4月 わくわりサイトユーザー属性 年代(Dockpit競合分析より)
ユーザー属性を見ると約7割の男性が閲覧しており、一番多い年代は40代、次に30代20代が多く見受けられます。
どのようなチャネルからサイトに流入していたのか、集客構造も見てみましょう。
2022年2月~2022年4月 わくわりサイトユーザー属性 集客構造(Dockpit競合分析より)
集客構造では自然検索からの流入がもっとも多く、全体の約66%を占めていました。4月にテレビやメディアに取り上げあれたこともあり、「ワクワク割」「わくわり」という名称を知っているユーザーの流入が多く見受けられます。
次にどのようなコンテンツがよく閲覧されているかを見てみます。
2022年2月~2022年4月 わくわりサイトコンテンツ(Dockpit競合分析より)
よくあるご質問のうち、イベントに参加される一般の方向けの情報や、開催時期を告知するお知らせページを見に来る人が多いことが分かりました。
■5位:AIDN
5位は、フリーランスdaniwellさんのメディアサイト「AIDN」でした。
daniwellさんは、作詞・作曲・デザイン・イラスト・映像・プログラミングなど幅広く活躍するクリエイターで、YouTubeやニコニコ動画で、自作のボーカロイド曲・キャラクターを使った動画や、ブラウザゲームなどを掲載しています。Twitterフォロワーが約2万人と、人気さが伺えるクリエイター。
「AIDN」が4月急上昇した要因をDockpitを使って探ってみます。
2022年2月~2022年4月 ADIN集客構造(Dockpit競合分析より)
直近3カ月では、ソーシャルからの流入が大半を占めています。
次にソーシャル構造を見てみましょう。
2022年2月~2022年4月 ADINソーシャル構造(Dockpit競合分析より)
Twitterからの流入が大半を占めています。どのようなコンテンツを見に来ていたのでしょうか。
2022年2月~2022年4月 ADINコンテンツ(Dockpit競合分析より)
自分の思いつく曲名をサイトに入力すると、自動で作曲してくれる「ポンコツ自動作曲ちゃん」サイトへ流入しています。さらに詳しく調べてみると、daniwellさん自身が、Twitterアカウントで4月8日に「自動作曲ちゃん」を紹介しており、フォロワーに注目され、拡散したため「ポンコツ自作作曲ちゃん」のある「ADIN」サイトが、急上昇したと思われます。
「ポンコツ自動作曲ちゃん」で生成した音楽はMP4などで保存でき、SNS等で自由に拡散できるため、個人間のコミュニケーションツールになったり、ブロガーのプロフィール曲になったりと、活用シーンも様々。なんとなくポンコツ感を感じる愛らしいイラストも、人気を掴んだ理由ではないでしょうか。
■9位:舞台「呪術廻戦」
出典:jujutsukaisen-stage.com
9位は舞台「呪術廻戦」公式サイトでした。今年の7月と8月に公演する舞台「呪術廻戦」の公式サイトは、4月11日に公開されました。ユニクロやコカ・コーラ、セブンイレブンなど、多くの企業とコラボ企画をしていたアニメ「呪術廻戦」。アニメの名前を聞いたことがある人も、多いのではないでしょうか。
「呪術廻戦」はもともと週刊少年ジャンプにて2018年から連載が続いている漫画で、2020年にはアニメ化され毎日放送やTBS系でテレビ放送されました。漫画・アニメ・映画、そして舞台と、漫画の連作開始から4年経過しても、なお話題になっている作品です。
まず、近年の「呪術廻戦」ファンの特徴を、Dockpitを使って調べてみましょう。「呪術廻戦」検索者が関心を持っているワードを性年代別にプロットして特徴を探ってみます。
2021年5月~2022年4月 呪術廻戦属性マップ(Dockpitキーワード分析より)
Dockpitキーワード分析属性マップは、縦軸が年齢、横軸の左側が男性・右側が女性を示しており、「呪術廻戦」というキーワードに興味を持つユーザーが、他にどのようなワードに興味を持ち、検索をしているのかを示しています。
キーワード分析の属性マップを見ると、「呪術廻戦」は若年層~中年層の女性に人気があり、映画劇場版や、声優・歌詞・企業とのコラボ企画も、積極的に情報収集している、コアなファンがいることが伺えます。特に舞台は、女性ファンがサイトに訪れ、情報収集していることが分かりました。
舞台「呪術廻戦」公式サイトへ訪れたユーザーの流入経路を、さらに調べてみます。
2022年2月~2022年4月 舞台呪術廻戦公式サイト集客構造(Dockpit競合分析より)
集客構造を見ると、広告からの流入よりも自然検索とソーシャルの割合が多く、呪術廻戦の舞台公演があることを知ったファン層が、詳細情報を調べる(又はチケットを購入する)ために、サイトに訪れていることが分かります。
2022年2月~2022年4月 舞台呪術廻戦公式サイトソーシャル構造(Dockpit競合分析より)
ソーシャル構造を見てみると、Twitterからの流入が9割を占めています。呪術廻戦アニメ公式アカウントのフォロワーは約130万人。公式以外のアカウントも複数あり、ファン同士がリツイートし合うことで、舞台公演を知る人が広まったことが伺えます。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
アニメクリエイター活用のプロモーションで、自転車協会サイトが上位に!
■10位:食と酒の未来勘所
10位には、お酒に合う肴を缶詰にしたこだわりのおつまみ“缶つま” で有名な、国分グループが運営する「食と酒の未来勘所(みらいつぼ)」がランクイン。
同サイトは「食の地域創生プラットフォーム」という位置づけで、全国各地・世界各国の食品や酒類を生活者が生産者から直接購入できるサイトです。サイト内の機能として、生産者が販売申込する際、商品をクラウドファンディング形式で売るのか 、通常のECサイトのようなショッピングモール形式で売るのか、販売方法を選べる点も特徴的。消費者も、自分の望む買い方で商品を手に入れることができるので、それぞれのニーズを繋ぐ、オンラインならではのサービスと言えます。
では、「食と酒の未来勘所」が4月に急上昇した要因を、調べてみます。
2022年2月~2022年4月 食と酒の未来勘所集客構造(Dockpit競合分析より)
集客構造を見ると、ノーリファラーが9割を占めていました。その他メールやディスプレイ広告からの流入も見受けられました。広告施策が成功し、4月サイトが急上昇したことが想定されます。
■12位:新しい自転車生活様式|一般社団法人自転車協会
12位にランクインしたのは、一般社団法人自転車協会の「新しい自転車生活様式」でした。このサイトでは、イラストと共に生活の中で自転車の利便性や楽しさを表現しつつ、一般社団法人自転車協会が制定した自転車安全基準に適合したBAA〔Bicycle Association (JAPAN) Approved〕マークを紹介しています。
4月に「一般社団法人自転車協会」のサイトが急上昇した要因を、早速調べてみましょう。
2022年2月~2022年4月 新しい自転車生活様式サイト居住地域(Dockpit競合分析より)
まず居住地域別の訪問者属性を見てみると、関東地方・中部地方、中国地方・近畿地方の多くの方がサイトへ流入しています。その理由として、該当地域の一部路線で、電車内広告をジャックしたアドトレインを4月限定のプロモーションとして運行していたことが考えられます。(参考:一般社団法人自転車協会プレスリリース)
電車に乗っている多くの方が、電車内を埋め尽くすイラストを使った広告に興味を持ち、移動中のスマートフォンから、サイトへ訪れたことが想定されます。
また、サイトへのソーシャルからの集客構造も見てみます。
2022年2月~2022年4月 新しい自転車生活様式サイトソーシャル構造(Dockpit競合分析より)
するとYouTubeからの流入が約8割を占めていました。一般社団法人自転車協会のYouTubeアカウントでは、人気アニメーターぽぷりか氏のアニメーション動画を公開しており、広告に触れイラストに興味を持った方が、YouTubeで動画を見た後、サイトへ訪れたと思われます。
行動制限が緩和し、電車の利用も増える4月という季節要因と、アニメーションの拡散力を生かし「新しい自転車生活様式」サイトが急上昇し、BAAマークの認知が高まったことが伺えます。
■16位:ENEOSの新車のサブスク ENEOSカーリース
16位にランクインしたのは「ENEOSの新車のサブスク」でした。
近年拡大しつつあるカーリース市場。マナミナでも過去、市場調査を行っています。
【関連】カーリースWebサイトのユーザー数ランキング調査レポート
https://manamina.valuesccg.com/articles/1620コロナ禍を経て拡大し続けているカーリース分野について、Web集客に成功しているサイトのランキングを、Web行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて調査。TOP10サイトに関して、訪問者の性別×年代でマッピングを行い、訪問者の傾向の違いについても分析しました。(ページ数|6p)
ENEOSは、2021年4月からカーリース事業の全国展開を開始。燃料油、カーメンテナンスなどの関連商品を組み合わせ、全国に保有するサービスステーションを活かしたサブスクサービスが「ENEOSの新車のサブスク」です。
早速、このサイトが4月に急上昇した要因を、調べてみます。
2022年2月~2022年4月 ENEOS新車のサブスク 集客構造(Dockpit競合分析より)
集客構造を見てみると、2月と4月にディスプレイ広告を実施し、サイト流入が増えていることがわかります。4月の集客構造では、リスティング・自然流入やノーリファラーでの流入も多く見受けられます。
流入したユーザーが、どのようなコンテンツを閲覧しているのか、詳しく調べてみます。
2022年2月~2022年4月 ENEOS新車のサブスク コンテンツ(Dockpit競合分析より)
ランキング2位には、メルマガ登録キャンペーンのページがランクイン。先着5,000名の方へ、メルマガ登録とアンケート回答でAmazonギフト券200円分をプレゼントするキャンペーンを実施していました。先着で特典をもらえるキャンペーンだったので、広告を見て多くの方がサイトに訪れたのではないでしょうか。
サイト急上昇の要因を考察
最後に2022年4月に急上昇したサイトと、その増加要因をまとめます。
4月は、アニメに関連するサイトが急上昇している点が印象的でした。まず5位のAIDNでは、ソーシャルフォロワーの多いクリエイターが作成した、無料作曲サイトがSNSで話題に。メディアにも取り上げられたことでサイトが急上昇しました。
9位:舞台「呪術廻戦」は、根強いファン層を抱えているアニメの舞台告知ということもあり、広告からの流入よりもSNSや自然流入の方が圧倒的に多かったです。「呪術廻戦」は過去に、多くの企業とコラボ企画を実施し、注目を集めました。若年層~中年層のアニメファンの拡散力は、今後もマーケティングの効果が期待できるでしょう。
12位の「新しい自転車生活様式|一般社団法人自転車協会」は、新生活の移動中に接触するインパクトある電車内広告と、拡散力のあるアニメーション動画広告が、急上昇のポイントでしょう。
今回のトレンド分析結果をぜひ実務に活かしてみてください。
▼『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
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