『SPY×FAMILY』ってどんなマンガ?
『SPY×FAMILY』が「少年ジャンプ+」で連載開始されたのは、2019年3月25日でした。アプリ(Web)限定コンテンツながら、閲覧数およびコメント数は、それまでのコンテンツの記録を塗り替える大快挙、瞬く間に『少年ジャンプ+』史上初の大ヒット作となりました。また、単行本も、2019年7月4日に発売されて以来人気上昇中で、2022年6月時点で累計発行部数が2100万部を超えるなど、大ヒットを飛ばしています。
さらに、2022年4月よりテレビアニメの放送が開始されたのを起爆剤に人気に拍車がかかり、幅広い世代で注目を集めています。
『SPY×FAMILY』を構成する“家族”は3人。スパイの夫(ロイド)と、殺し屋の妻(ヨル)、そしてエスパーの娘(アーニャ)。お互いの正体を知らない赤の他人の3人が、少しずつ本物の家族になっていく、心温まるストーリーが、コメディタッチ全開で描かれています。さらに、スタイリッシュかつ可愛らしいイラストは、世代を問わず愛されています。
『SPY×FAMILY』(「少年ジャンプ+」/遠藤達哉)
検索者はアニメ放送開始から急増
まずは、『SPY×FAMILY』の人気の背景を、検索ユーザー数の推移で確認していきましょう。
『SPY×FAMILY』検索ユーザー数推移
設定キーワード「SPY×FAMILY」「SPYFAMILY」「スパイファミリー」
期間:2021年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン
上のグラフのように、連載開始後は検索ユーザー数に変化はみられず、アニメ化が発表されたタイミング、単行本8巻のタイミングで徐々に注目されるようになり、2022年4月のテレビアニメ放送開始から急激に検索ユーザー数が増えたことがわかります。
男女問わず、広い世代に人気。属性は『名探偵コナン』に類似
次に、『SPY×FAMILY』を検索しているのはどんな人なのか、ユーザー属性を見ていきましょう。
比較のために、 「漫画全巻ドットコム」がまとめた歴代発行部数ランキングの中から上位7作品のデータと並べて解説します。
※このランキングは、漫画全巻ドットコム(株式会社TORICO)がコミックスの帯や出版社からの公式発表などを元に、独自で調査したものです(2022.7月時点)。
※『SPY×FAMILY』は2022.7月時点で139位にランクイン。
まずは性別です。『SPY×FAMILY』を検索したユーザーは女性が54.7%を占め、女性の割合は他のどの作品よりも高いことがわかりました。ユーザー構成が一番近いのが『名探偵コナン』でした。
『SPY×FAMILY』検索ユーザー属性<性別>
設定キーワード(以下グラフ同様)
「SPY×FAMILY」:SPY×FAMILY、SPYFAMILY、スパイファミリー
「ONE PIECE」:ONE PIECE
「ゴルゴ13」:ゴルゴ13
「ドラゴンボール」:ドラゴンボール、DRAGON BALL
「ナルト」:ナルト、NARUTO
「名探偵コナン」:名探偵コナン、コナン
「こちら葛飾区亀有公園前派出所」:こちら葛飾区亀有公園前派出所、こち亀
「鬼滅の刃」:鬼滅の刃、鬼滅、キメツ
期間:2021年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン
次に年代です。下のグラフのように、『SPY×FAMILY』検索ユーザーは40代が最多、30代、20代と続きました。
他作品と比較してみると、やはりユーザー構成は『名探偵コナン』と類似しているようです。
『SPY×FAMILY』検索ユーザー属性<年代>
期間:2021年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン
次に、未既婚、子どもの有無を比較します。『SPY×FAMILY』検索ユーザーは、未婚が65.4%で多く、子どもの有無については「子どもなし」が優勢でした。
スパイ、殺し屋、アクションなど、一見ダークなイメージですが、家族がテーマでほのぼのとしたシーンも多く、広い層に馴染みやすいものと思われます。
他の作品と比較してみると、『ナルト』『名探偵コナン』『ドラゴンボール』などが近いでしょう。
ポスト『鬼滅の刃』と称される割には、興味を持って検索するユーザーの属性は少し異なっていることがわかります。
『SPY×FAMILY』検索ユーザー属性<上:未既婚><下:子どもの有無>
期間:2021年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン
主な関心事はアニメ化、コラボ、女性キャラクター
続いて、『SPY×FAMILY』と掛け合わせて検索されたキーワードから、検索者が『SPY×FAMILY』の何に興味を持っているかを探ります。
『SPY×FAMILY』と掛け合わせ検索されたキーワードランキング
設定キーワード「SPY×FAMILY」「SPYFAMILY」「スパイファミリー」
期間:2021年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン
関連ワードが複数5位以内にランクインしているアニメ化に注目が集まっていることがわかります。また、「モンスト」や「ユニクロ」とのコラボ企画も多く検索されました。ランキング外でも「コラボ(21位)」「マツキヨ(23位)」「ローソン(30位)」などが見られました。
TVアニメ『SPY×FAMILY』と「モンスト」のコラボイベント <ガチャ「超・獣神祭」>
■検索されやすいキャラクターは誰?
掛け合わせ検索ワードでは「アーニャ」が8位、「ヨル」が13位となっていましたが、「ロイド」は82位でした。なぜこの2人がよく検索されているのか、深掘りしていきます。
「アーニャ」「ヨル」「ロイド」それぞれの掛け合わせワードを分析したところ、下の表のように「アーニャ」「ヨル」には「コスプレ」「フィギュア」といったワードがランクインしています。
また、「アーニャ」はセリフにも注目が集まっているようです。「アーニャ」の言葉遣いや言葉選びは独特で、父親のことを「ちち」、母親のことを「はは」と呼んだり、「おでかけ」を「おでけけ♪」と言ったり、かわいいセリフを探してみたくなるのも納得です。
一方で「ロイド」は他キャラクターと共通して「声優」という検索はあるものの、「コスプレ」といった検索が上位入りしておらず、女性キャラクターと比べて盛り上がりが小さい要因になっていることがわかります。
「アーニャ」「ヨル」「ロイド」との掛け合わせワードランキング
期間:2021年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン
『SPY×FAMILY』好きに人気のコンテンツ
次に、『SPY×FAMILY』を検索するユーザーが、他にどんなことに関心があるのか、関心ワードを分析します。
『SPY×FAMILY』検索ユーザーの関心ワードランキング
設定キーワード「SPY×FAMILY」「SPYFAMILY」「スパイファミリー」
期間:2021年7月〜2022年6月
デバイス: PC・スマートフォン
「勇者辞めます(正式名称:勇者、辞めます)」「魔女の旅々」「ヒロインたるもの」などのアニメ・マンガへの関心が高いことがわかります。これらが『SPY×FAMILY』と共通することとして、以下のようなことが挙げられます。
・アクション系
・強い女性キャラクターが活躍する
・ロングヘアでスタイル抜群の女性キャクターが登場する
・アクション要素とコメディ要素の両方を備える
・マンガのアニメ化
・家族や仲間の絆がテーマのアニメ・マンガ
まとめ
集英社の「少年ジャンプ+」で連載中の『SPY×FAMILY』の人気急上昇を受け、そのヒットの背景を検索キーワードから探りました。
『SPY×FAMILY』が「少年ジャンプ+」で連載開始されたのは、2019年3月25日。単行本は2019年7月4日に発売されました。2022年4月よりテレビアニメの放送が開始されたのを起爆剤に、さらに注目されるようになりました。
検索ユーザー数の推移を見ると、アニメ化が発表されたタイミングで徐々に注目されるようになり、2022年4月のテレビアニメ放送開始から急激に検索ユーザー数が増えたことがわかりました。
検索者の属性を分析した結果、女性が54.7%、年代は40代が最多、30代、20代の順で多く占めていました。家族がテーマでほのぼのとしたシーンも多く、広い層に馴染みやすいものと思われます。また、ユーザー属性は『名探偵コナン』と近いことがわかりました。
『SPY×FAMILY』と同時に検索されたキーワードを分析した結果、やはりアニメ化に注目が集まっていることがわかりました。また、「モンスト」や「ユニクロ」とのコラボ企画も多く検索されたようです。
キャラクター名では「アーニャ」「ヨル」が15位以内にランクインしました。それぞれ「コスプレ」「フィギュア」など、付随するコンテンツがよく検索されたようです。
『SPY×FAMILY』以外の関心事としては、共通項の多い「勇者辞めます(正式名称:勇者、辞めます)」「魔女の旅々」「ヒロインたるもの」などの作品が挙がりました。
【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログと検索者の属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2021年7月〜2022年6月
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。