「Tokyo Disney Resort App」とは?
日本のテーマパークといえば、「東京ディズニーリゾート」を思い浮かべる方も多いでしょう。東京ディズニーリゾートは2023年に開業40周年を迎え、現在もなお人々の関心を集め続けています。東京ディズニーリゾートでは、アトラクション、ショー、キャラクターとのグリーティング、食事など、様々なアクティビティを楽しむことができます。
常に新たなアクティビティが登場し続ける東京ディズニーリゾートですが、2018年には公式アプリ「Tokyo Disney Resort App」がリリースされました。
Google Playストアの「Tokyo Disney Resort App」インストール画面キャプチャ
最近では、このアプリにパークを楽しむための様々な機能が集約されつつあるようです。公式アプリの主な機能をGoogle Playストアでの説明をもとに紹介します。
入園前には、このアプリを通じてパークチケットを購入、共有でき、ディズニーリゾートの施設情報やレストラン、ディズニーホテルの予約が可能です。入園中は、優先搭乗パスの取得、ショーの抽選、グッズ購入も可能になります。最近ではモバイルオーダーの導入も進みつつあるなど、効率的にディズニーリゾートを楽しむことができるアプリとなっています。

Tokyo Disney Resort Appホーム画面のスクリーンショット
今回は、「Tokyo Disney Resort App」ユーザーの行動を分析し、直近2年間の東京ディズニーリゾートの施策をデータとともに振り返り・考察していきます。
アプリユーザーは20〜30代の未婚女性が中心
「Tokyo Disney Resort App」ユーザーの人となりを見ていきます。なお分析には、Web行動データとアンケートデータを用いた分析を行える、ヴァリューズの分析ツール「Perscope(ペルスコープ)」を使用します。
以下の図は、「Tokyo Disney Resort App」の平均ユーザー像の基本属性です。未婚で子供をもたない30代半ばの女性が平均的なユーザーであることがわかります。

Tokyo Disney Resort Appの平均ユーザー像の基本属性
調査期間:2023年11月〜2024年10月
デバイス:スマートフォン
緻密に作り込まれた世界観や建造物により、非日常感を味わえ、ふとした瞬間でも「映え」るディズニーリゾート。20代女性である筆者も、訪れるたびに素敵な写真や動画をたくさん撮影できるので、年に数回は必ずディズニーリゾートに足を運んでしまいます。
性別と年齢については、より詳細なデータも見てみましょう。以下の図はアプリユーザーの男女比です。ネット人口全体と比較しても、女性の割合が高くなっていることがわかります。

Tokyo Disney Resort Appユーザーの男女比
調査期間:2023年11月〜2024年10月
デバイス:スマートフォン
以下の図はアプリユーザーの年代割合です。20代をピークに、年代が上がるにつれて割合が低くなっていることがわかります。ネット人口全体と比較すると、10代〜30代まではネット人口よりも割合がやや高いことがわかります。

Tokyo Disney Resort Appユーザーの年代割合
調査期間:2023年11月〜2024年10月
デバイス:スマートフォン
アプリ利用者内では若者の割合が高くなっていることから、若者の間では公式アプリが浸透していることがうかがえます。一方で、高年代の人々の間では若年層ほど利用が進んでいないようです。
■ディズニーとエンタメ全般に関心あり、SNSを中心に情報収集
以下の図は、「Tokyo Disney Resort App」の平均ユーザー像のより詳細な分析です。

Tokyo Disney Resort Appの平均ユーザー像の一部
調査期間:2023年11月〜2024年10月
デバイス:スマートフォン
この分析では、検索キーワードや閲覧サイト、利用アプリなどを通じて、東京ディズニーリゾートに限らず、ディズニー関連の情報に強い関心があることが示されています。加えて、余暇の時間の過ごし方から、エンターテインメント全般への関心が高いことも考えられるようです。
また、SNSへの信頼度が高く、情報収集媒体として活用されているようです。InstagramやX(旧Twitter)、YouTubeでは、パーク内の情報をリアルタイムに発信する人や、新商品・エンターテインメントの情報を発信する人など、ディズニー関連情報を発信する人が一定数存在します。
Xでは、「#TDR_now」というパーク内のリアルタイム情報発信用ハッシュタグが存在しています。このハッシュタグでは、パークを訪れた人々がパーク内の混雑状況やアトラクションの運営状況、グッズの品切れ情報など、様々な情報を日々発信しています。筆者は中学生時代からこのハッシュタグをよく検索しており、パークの開園時間や入場待機列の長さの情報などを入手しています。
【お品切れ】
— どりあ@ディズニー情報 (@tdr_doria) December 12, 2024
『イマジニング・ザ・マジック』のアートパネルやシール、ブランケット、トートバッグは、お品切れとなりました。https://t.co/lIg0c5PBoG#TDR_now #TDR__now #TDR_MD pic.twitter.com/tqjsi7vZwz
TDRの直近2年間の施策で、公式サイト・アプリのユーザー数はどうなった
直近2年間の東京ディズニーリゾートの施策をデータとともに振り返ってみます。分析には、競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用しました。
直近2年間(2022年12月〜2024年11月)の東京ディズニーリゾートの大きな施策としては、以下のふたつが挙げられます。
・「プライオリティパス」運用開始(2023年7月、東京ディズニーランド・シー)
・新エリア「Fantasy Springs(ファンタジースプリングス)」オープン(2024年6月、東京ディズニーシー)
「プライオリティパス」は体験したい対象施設を選び、パスを取得することで、指定された時間に短い待ち時間で施設を利用できる無料のサービスです。東京ディズニーリゾートの40周年を記念してサービスが開始されました。
ファンタジースプリングスは、東京ディズニーシーの8つ目のテーマポート(エリア)としてオープンしました。『アナと雪の女王』『ピーターパン』『塔の上のラプンツェル』をテーマにしたアトラクションと、その世界観を表現したレストランやショップを楽しむことができます。
東京ディズニーリゾート公式サイトのファンタジースプリングス紹介ページ画面キャプチャ
■ファンタジースプリングスが大きな注目を集めた
これを踏まえて、直近2年間のデータを見ていきましょう。以下の図は、東京ディズニーリゾート公式サイトの訪問者数推移です。

東京ディズニーリゾート公式サイトの訪問者数推移
調査期間:2022年12月〜2024年11月
デバイス:PC・スマートフォン
プライオリティパスがサービス開始した2023年7月以降、サイト訪問者数が増加していることがわかります。
また、ファンタジースプリングスがオープンした2024年6月のサイト訪問者数は、直近2年間で最多となっています。ファンタジースプリングスへの関心の高さがうかがえるでしょう。ディズニーファンは数年前から関心を寄せていた新エリアだったということもあり、サイト訪問者数の数字に結びついていると考えられます。
■プライオリティパスの導入はアプリユーザー数の増加に貢献
同期間において、Tokyo Disney Resort Appの月間起動ユーザー数推移も見てみましょう。

Tokyo Disney Resort Appの月間起動ユーザー数推移
調査期間:2022年12月〜2024年11月
デバイス:スマートフォン
プライオリティパスの導入直後の2023年7月から8月にかけてはそこまで大きな変化はなかったようです。しかし、2023年7月からアプリユーザー数は増加傾向になり、2023年11月には180万ユーザーを超えました。その後は各月150万以上のユーザー数を保っており、プライオリティパス導入以前と比べてユーザー数が多くなっています。
入園者はプライオリティパスを利用することで、より効率的にパークを楽しむことができます。徐々にプライオリティパスの有用性が浸透し、アプリのユーザー数増加につながったと考えられるでしょう。
まとめ
今回は、東京ディズニーリゾートの公式アプリ「Tokyo Disney Resort App」ユーザーの人となりについて考察し、直近2年間の主な施策が公式サイト訪問者数や公式アプリユーザー数に与えた影響について振り返りました。
東京ディズニーシーの新テーマポート「ファンタジースプリングス」は大きな話題を集め、公式サイト訪問者数は直近2年間で最高の数字を記録しました。
また、公式アプリは2018年のリリース時から徐々にユーザー数を伸ばしています。様々な機能追加も行われており、「プライオリティパス」の導入はアプリユーザー増のひとつの要因と言えるでしょう。
東京ディズニーリゾートでは、アプリの導入と進化を経て、幅広い人々がより快適にパークを楽しめるようになっているようです。さらなる機能の拡充が予想される公式アプリと、進化を続ける東京ディズニーリゾートの今後にも要注目です。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
▼また、生活者理解のためのリサーチエンジン『Perscope』も使用しています。『Perscope』では国内最大規模のWeb行動×アンケートデータを活用し、誰でも いつでも 簡単に"生活者起点のマーケティング活動"を実現することができます。無料デモもありますので、興味のある方は下記よりぜひお申し込みください。
2025年4月に入社予定の大学4年生。大学ではジャーナリズムのゼミに所属。言葉に触れることが好き。音楽を聴くのも演奏するのも大好き。よりよい文章を綴れるよう日々精進中。