「少年ジャンプ+」「LINEマンガ」など、拡大するマンガアプリ業界のユーザー数や利用者層を調査

「少年ジャンプ+」「LINEマンガ」など、拡大するマンガアプリ業界のユーザー数や利用者層を調査

マンガアプリ業界が好調です。2020年9月から2年間のアプリユーザー数を見ると、新型コロナによる巣ごもり需要の影響もあってか、その伸びは顕著です。 今回は、拡大するマンガアプリ業界を牽引する、電子書店型サービス「LINEマンガ」「ピッコマ」、および、出版社が提供する「少年ジャンプ+(集英社)」「マガポケ(講談社)」「マンガワン(小学館)」について調査します。また、今年に入って好調の「ヤングジャンプ+」について、さらに詳しく掘り下げてみたいと思います。


成長を続けるマンガアプリ業界

まずは、ユーザー数が多いマンガアプリ5つについて、直近2年間のユーザー数の推移を見ていきます。
(データ分析には、ヴァリューズが提供するWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を使用します)

ピックアップしたのは、いろいろなマンガが楽しめる電子書店型サービスの中でもユーザー数が多いマンガアプリ「LINEマンガ」「ピッコマ」、そして、出版社が提供するマンガアプリから「少年ジャンプ+(集英社)」「マガポケ(講談社)」「マンガワン(小学館)」の5つです。

以下のグラフのとおり、マンガアプリのユーザー数は右肩上がりに伸びており、業界全体が成長していることがわかります。特にユーザー数が多いのは、電子書店型サービスの「LINEマンガ」「ピッコマ」ですが、2022年3月以降の「少年ジャンプ+」の伸び率にも注目です。

人気マンガアプリユーザー数推移

人気マンガアプリユーザー数推移

対象アプリ:LINEマンガ・ピッコマ・少年ジャンプ+・マガポケ・マンガワン
期間:2020年9月〜2022年8月
デバイス:スマートフォン

「LINEマンガ」「ピッコマ」

電子書店型マンガアプリ
「LINEマンガ」「ピッコマ」

「少年ジャンプ+(集英社)」「マガポケ(講談社)」「マンガワン(小学館)」

出版社のマンガアプリ
「少年ジャンプ+(集英社)」「マガポケ(講談社)」「マンガワン(小学館)」

マンガアプリを利用するのはどんなユーザーか

まずはマンガアプリユーザーの属性から見ていきましょう。

性別を比べてみると、電子書店系の「LINEマンガ」「ピッコマ」は女性比率が高く、出版系の「少年ジャンプ+」「マガポケ」「マンガワン」は男性比率が高いことがわかります。業界全体としては、男女ともにファンは多いようです。

マンガアプリユーザー属性比較<性別>

マンガアプリユーザー属性比較<性別>

対象アプリ:LINEマンガ・ピッコマ・少年ジャンプ+・マガポケ・マンガワン
期間:2020年9月〜2022年8月
デバイス:スマートフォン

また、年代については、「LINEマンガ」「ピッコマ」は30代が最多で40代以上のユーザー比率も高めです。一方の「少年ジャンプ+」「マガポケ」「マンガワン」は20代が多いことがわかります。

マンガアプリユーザー属性比較<年代>

マンガアプリユーザー属性比較<年代>

対象アプリ:LINEマンガ・ピッコマ・少年ジャンプ+・マガポケ・マンガワン
期間:2020年9月〜2022年8月
デバイス:スマートフォン

それぞれのアプリがどのくらい利用されているのか、月平均アプリ起動日数データで確認します。

以下のグラフのとおり、「LINEマンガ」「ピッコマ」が15日以上と多く、「少年ジャンプ+」「マンガワン」が12日程度でした。出版系では「マガポケ」が2022年3月以降、起動日数が増加傾向にあり好調です。

「LINEマンガ」「ピッコマ」は版元を限定しないことで、空いた時間に気になったマンガを手軽に読むユーザーにフィットしているのかもしれません。

マンガアプリユーザー月平均アプリ起動日数推移

マンガアプリユーザー月平均アプリ起動日数推移

対象アプリ:LINEマンガ・ピッコマ・少年ジャンプ+・マガポケ・マンガワン
期間:2020年9月〜2022年8月
デバイス:スマートフォン

「少年ジャンプ+」好調の理由を探る

続いて、2022年以降ユーザー数を伸ばしている「少年ジャンプ+」について詳しく分析します。

「少年ジャンプ+」のユーザー数の推移を年代別に見てみると、20代ユーザーの数が大きく伸びていることがわかります。

「少年ジャンプ+」年代別ユーザー数推移

「少年ジャンプ+」年代別ユーザー数推移

期間:2020年9月〜2022年8月
デバイス:スマートフォン

2022年に入って「少年ジャンプ+」で人気になった作品は『SPY×FAMILY』です。以下の記事でも紹介しましたが、2022年3月以降多くのユーザーを取り込みました。『SPY×FAMILY』全話を無料で読めるのは、「少年ジャンプ+」のみです。(2022年9月時点)

また、「週刊少年ジャンプ」で連載していた人気マンガ『チェンソーマン』が2022年7月から「少年ジャンプ+」に移籍したことも話題になりました。

まとめ

この2年間でユーザー数が増加し続けているマンガアプリ業界について調査しました。

調査対象は、電子書店型サービス「LINEマンガ」「ピッコマ」、および、出版社が提供する「少年ジャンプ+(集英社)」「マガポケ(講談社)」「マンガワン(小学館)」の5つのマンガアプリです。いずれのアプリもユーザー数は増加、特に「少年ジャンプ+」の伸びが目立ちました。

ユーザー属性は、「LINEマンガ」「ピッコマ」は女性ファンが多く、「少年ジャンプ+」「マガポケ」「マンガワン」は男性ファンが多いことがわかりました。

年代については、「LINEマンガ」「ピッコマ」は30代が最多で40代以上のオトナのファンが多い一方、「少年ジャンプ+」「マガポケ」「マンガワン」は20代の若者が多いことがわかりました。

月平均アプリ起動日数データでそれぞれの利用状況を確認すると、「LINEマンガ」「ピッコマ」が頻繁に利用されていることがわかりました。推しのマンガの更新を待つ出版系アプリに対して、版元を選ばない電子書店型アプリは、空いた時間に気になるマンガを探す利用スタイルなのかもしれません。

また、2022年から急にユーザー数を増やしている「少年ジャンプ+」について、増えているのは20代ユーザーだということもわかりました。『SPY×FAMILY』などのコアコンテンツが若者を取り込んでいるのかもしれません。

【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログと検索者の属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2020年9月〜2022年8月
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:スマートフォン

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。

関連する投稿


新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

リリースされてから、Z世代を中心に強い支持を集めている「BeReal(ビーリアル)」。2023年初頭から人気を集め始めていますが、いまだにその人気は衰えていません。2024年7月には、日本で広告事業を本格化しはじめたことが大きな話題になりました。今回は、BeRealの最新動向をデータを用いて分析するとともに、広告ビジネスの可能性を調査していきます。


日本のLDHとタイのGMMが一丸となって誕生した新会社G&LFH 背景とトレンドを解説

日本のLDHとタイのGMMが一丸となって誕生した新会社G&LFH 背景とトレンドを解説

2024年6月5日、EXILEを輩出した音楽事務所LDHがタイ大手音楽レーベルGMM MUSICと新エンターテイメント会社【G&LDH】開設を発表しました。タイ最大のメディア企業GMM GRAMMYの子会社であるGMM MUSICは、タイの音楽産業を牽引する存在です。 この合弁会社の設立により、両国の音楽市場の強化と相互の文化理解が期待されています。 本記事では、タイと日本の音楽文化の違いや、音楽がビジネスに与える影響、そしてG&LDH設立の背景を探っていきます。


データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – ライフスタイル・消費トレンド編」を公開

データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – ライフスタイル・消費トレンド編」を公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎える「デジタル・トレンド白書2024」は、Z世代トレンド・SNS動向編、ライフスタイル・消費トレンド編の2部構成になっています。(「ライフスタイル・消費トレンド編」ページ数|153P)


いすゞの「だれでもトラック」エルフミオは変革を起こすか? Webサイト訪問者データで初動を分析

いすゞの「だれでもトラック」エルフミオは変革を起こすか? Webサイト訪問者データで初動を分析

2024年7月、いすゞ自動車は新型トラック「ELFmio」を発表しました。普通自動車免許で運転でき、「だれでもトラック」と銘打たれるこのトラック。狙いは物流を担うトラックドライバー不足の解決です。そんなエルフミオのインパクトを、Webサイト訪問者データを通じて分析しました。


ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトの売り上げをあげるためには、KGIの設定だけではなく、KPIの策定が重要なポイントになります。そこで、気になるKPIの策定ポイントや、課題の洗い出し・分析についてご紹介します。効果的なマーケティング施策にお悩みの方や、ECサイトの売り上げが伸び悩んでいる方はぜひ参考になさってください。


最新の投稿


DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

株式会社ecloreは、同社が運営する「ランクエスト」にて、データベース型サイト運営者を対象に、SEOの実施状況やその効果について調査を実施し、結果を公開しました。


SEOに積極的に取り組んでいるサイトの9割以上が表示速度の重要性を認識!改善に取り組む目的は「顧客体験の向上」と「リピート率の改善」が上位【Repro調査】

SEOに積極的に取り組んでいるサイトの9割以上が表示速度の重要性を認識!改善に取り組む目的は「顧客体験の向上」と「リピート率の改善」が上位【Repro調査】

Repro株式会社は、Webサイト運営・管理者を対象とした、「Webサイトの表示速度改善についての実態調査」を実施し、結果を公開しました。


感性について ~ マーケティングとハプティクス

感性について ~ マーケティングとハプティクス

人には5感が備わっています。さらに突き詰めれば第6感という感覚も。それら人の持つ感性や感覚を補うべくあらゆる技術も日々進歩していますが、人のそれらの代替となるような技術はまだ未完の途上です。それほどに他に取って代われない私たちの感性・感覚。本稿では、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が、広告やマーケティングを通して人の感性の深さを説き、ハプティクス(Haptics)を用いて人の感覚の重要性を解説します。


イードとガイエ、リアルとデジタルの融合でアニメファンの推し活を支援する広告パッケージを提供開始

イードとガイエ、リアルとデジタルの融合でアニメファンの推し活を支援する広告パッケージを提供開始

株式会社イードと株式会社ガイエは、全国のファミリーマート、ローソン(※一部店舗を除く)に設置されているマルチコピー機で展開するコンテンツサービス「エンタメプリント」を活用した広告パッケージ「Anime Touch Ad」を共同開発し、販売開始することを発表しました。


ネオマーケティング、ボーダーリンクとの協業で在日外国人リサーチサービスを提供開始

ネオマーケティング、ボーダーリンクとの協業で在日外国人リサーチサービスを提供開始

株式会社ネオマーケティングは、株式会社ボーダーリンクと協業し、在日外国人リサーチサービスを提供開始したことを発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ