YouTube利用率は約9割、男性が高頻度で視聴
まず、回答者全体にYouTubeの利用頻度についてアンケートでたずねたところ、利用がある人の割合は男性90.4%、女性86.6%であり、男性がやや高いものの男女ともに約9割の利用率となりました。
また性年代別に見てみると、「ほぼ毎日」利用が全てのグループにおいて最も多く、特に男性20・30代では毎日視聴者の割合が約6割と高くなっています。一方で、「ほぼ毎日」利用を同じ年代で男女で比べてみるといずれの年代も女性の方が割合が低く、女性は40代以外の全ての年代で「全く利用していない」が3位にランクインしました。利用率、利用頻度ともに、男性の方が高い結果となっています。
若年層のヘビー利用が顕著、20代~30代の約3割が休日に3時間以上利用
では、1日あたりの利用時間は性年代でどのように違いが出るのでしょうか。YouTubeの利用者を対象に、日次の平均利用時間について、平日・休日別に聴取しました。
まず平日は、20・30代以外の全ての年代で、50%以上が1時間未満の視聴におさまっています。一方で、20・30代は1時間以上3時間未満のボリュームが顕著に多くなっていました。
次に休日を見てみると、全体的に1時間以上の利用割合が増加したものの、40代以上は依然として、1時間未満が半数以上となっています。YouTube以外の余暇の過ごし方が確立されている年代といえるかもしれません。反対に、20・30代の3時間以上視聴の割合は休日になって大きく伸びており、YouTubeが生活に定着している様子がうかがえます。
特に若い女性で、“推し活”的なチャンネル登録理由が特徴的
どのようなときにチャンネル登録するのかをたずねると、「自分の趣味に合った動画が多いと感じたとき」「興味のある動画を効率的に見たいとき」などが上位理由となっていました。一方で「友人・知人・家族に勧められたとき」という口コミ起点や、「チャンネル登録者数が多かったとき」といった理由はランキング下位となっており、こうした理由はチャンネル登録には結びつきにくいことがわかりました。「自分」を主語にしたチャンネル選びが起こっているといえそうです。
また、男性は女性と、女性は男性と回答率の差が大きい順に登録理由をランキング化すると、男性は「~と感じた」「なんとなく」といった印象ベースな理由が女性に比べて多い一方、女性は「繰り返し見たい」「応援したい」など、目的意識・熱量ともに高いことがうかがえます。女性は「推し活」的な理由が上位といえそうです。特に、20・30代女性の42%が「チャンネルを応援したいとき・チャンネルのファンになったとき」と回答しており、若い女性でより特徴的であることがわかります。
男性は学び系の動画を、若者はゲーム実況・BGM系をよく視聴
普段どのようなジャンルの動画を視聴するかたずねたところ、男性は「専門知識 / 経験談系」という学び系の動画、女性は「ペット / 動物系」の動画をそれぞれ異性に比べてよく見ていることがわかりました。
年代別で見ると、「ゲーム実況」「VTuber系」が20・30代で顕著に多く、「作業 / 睡眠用BGM系」も若いほど視聴が多くなっています。これらのジャンルは1動画の時間が長い傾向にあり、若年層の利用時間が長いという結果へのつながりがうかがえます。
男性はニュース、女性はバラエティ豊かなチャンネルを視聴
続いて消費者の行動ログデータから、PC上で視聴回数が多いYouTubeチャンネルのランキングを、性年代別に作成しました。
男性に注目すると、オレンジ色の「ニュース関連」カテゴリのチャンネルが全ての年代において目立ちます。アンケートで学び系の動画が男性に好まれていたことと近い結果となっています。また、20~40代男性では共通して「THE FIRST TAKE」がランクインしている一方、50代以上の男性はニュース系のチャンネル数が多いことに加え、テレビ朝日公式や大谷翔平のライブパフォーマンスを投稿するチャンネル、政治経済系などの視聴も多く、テレビからの移行がうかがえました。
女性は年代ごとにバラエティが豊かです。20・30代女性はゲーム実況、お笑い系のほか、VTuberグループ「にじさんじ」と、同グループに所属するVTuberのチャンネルが複数ランクイン。これらのVTuberはゲーム実況動画の投稿も多いことから、その文脈で見ている人が多いことや、推し活的な要素が強いことが考えられます。続く30代女性はさらに多様なゲーム実況チャンネル、40代女性は俳優・大食い・整体・料理系など幅広いチャンネル、50代女性はジャニーズチャンネルなど、多様な嗜好性がうかがえました。
YouTubeで「好きなエンタメを見る」「とりあえず流しておく・ググる」
各媒体・SNSの利用者を対象に、媒体ごとの利用目的をアンケートでたずねたところ、他媒体と比べYouTubeの回答率が最も高かったのは「好きなエンタメを見るため・関連情報を得るため」という目的でした。加えて、「ながら見」「知らない事柄を調べるため」といった要素も高めに出ています。エンタメについても、音楽は特に「流れていくもの」という立ち位置が強く、「とりあえず流しておく」「とりあえず検索して調べる」ためにYouTubeがよく使われているといえそうです。特に男性若年層、女性年配層で「YouTubeでググる」行動が定着している様子がうかがえます。これらはショート動画に代替されにくいテーマともいえるのではないでしょうか。
一方で、「トレンド・口コミ情報を知る」という目的に対しては、サイトやTwitter、InstagramといったSNSの方が使われやすいことがわかりました。
若者はショート動画への移行可能性も、代替されにくいのは“ながら見”コンテンツ
YouTube内での行動についてたずねると、約2割が「YouTube Shortsを見る」と回答。また、「倍速再生をする」は若い世代ほど回答割合が多くなっていました。これらのことから、若年層は同じコンテンツに集中し続けることに対して負荷を感じやすく、今後さらにTikTokを含めたショート系の動画に移行していく可能性が考えられます。一方で、前述の視聴動画ジャンルの分析では、若い世代ほどゲーム実況や作業系BGMといったショート動画に代替されにくいジャンルをよく見ていることが明らかになっており、こうしたテーマの動画がYouTubeにおける若者向けの勝ちパターンといえそうです。
YouTubeに影響された行動については、「動画内で紹介されていた商品を購入した」が約2割となっており、一方でプロモーション目的で作成された動画からは購買につながりにくいことがわかります。また、女性は「動画がきっかけで人やキャラクター、商品などのファンになった」、男性は「動画で学んだ内容を学業やビジネスに活かした」が異性に比べて高く出ており、「男性は学び系の動画をよく視聴し、女性は推し活的な要素が強い」ことと一致する結果となりました。
■【調査・分析概要】
YouTubeの利用について、全国のヴァリューズモニター(20歳以上男女)を対象として、2022年8月17日~8 月24日にアンケート調査を実施(回答者 3,384人)。
※アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっている。
※チャンネルごとの閲覧数はPCからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
※チャンネルのカテゴリは、ヴァリューズが独自に定義。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。