こんにちは、ヴァリューズの“Gen-Z調査隊”です!
私たちは、消費者の行動データをもとに、現役Z世代メンバーの視点から、“Z世代のリアル”を分析しています。
本記事は調査隊メンバー:たみー(98年生まれ・トレンド好き)がお届けします。
■そもそも“Z世代”の定義って?
“Z世代”は1990年代後半~2010年頃に生まれた世代を指します。物心ついた頃にはインターネットが既に身近にあったため、“デジタルネイティブ”な世代とも呼ばれており、今後の経済を支える中心世代として注目を集めています。
対して、Z世代と頻繁に比較されるのは、その1つ上の“ミレニアル世代”。1981年頃~1990年代半ばに生まれ、インターネットの発達とともに育った世代です。
※本記事では、2022年10月時点で16~26歳のモニターをZ世代、27~41歳のモニターをミレニアル世代として定義し分析を行っています。
今回は、Z世代の“ネットショッピング”に着目しています。
「Z世代は“ECサイト”より“ECアプリ”を好む」と言われますが、その実態を深掘りすると、サイトとアプリの使い分けやZ世代特有のアプリの使い方があることが伺えました。
Z世代では“ECサイト”より“ECアプリ”が優勢?
■ユニクロはアプリ、ヨドバシはサイト派が多数
まず、ECブランドごとにサイトとアプリどちらのZ世代利用者が多いのか分析しました。分析対象は、サイトとアプリ両方を提供しており、販売商材の異なる4つの大手ECブランドです。
ECブランド別のZ世代利用媒体比率
集計期間:2022年10月(対象デバイス:スマートフォン)
〈分析方法〉
各ECブランドのZ世代利用者を抽出し、利用媒体(サイトまたはアプリ)構成比を集計。
※利用者は1ヶ月の中で1度でもサイト閲覧またはアプリ起動を行った人
ECブランドによって、Z世代利用者の利用媒体構成比に大きな違いが見られました。
ユニクロでは、アプリのみ利用者が7割を超えており、サイトよりアプリを利用するZ世代が多いようです。一方ヨドバシカメラでは、サイトのみ利用者が7割を超え、アプリよりサイトが比較的好まれているようです。
また、Amazonではサイト&アプリ併用者が約36%と特徴的に多くなっています。より詳しく見てみましょう。
Amazonのサイト&アプリ併用者について、1ヶ月間のサイト閲覧日数とアプリ起動日数を比較し、より多い日数利用されている方をそのユーザーのメイン利用媒体と定義しました。
AmazonのZ世代利用媒体比率(併用深掘り)
集計期間:2022年10月(対象デバイス:スマートフォン)
Amazonのサイト&アプリ併用者が多く見られたZ世代ですが、そのほとんどはアプリメイン利用者のようですね。
■Z世代のECサイト/アプリ利用シーンは?【Z世代のリアルな声】
たみー:Z世代は、いつでもECアプリを好む訳ではなく、商材や目的によって“ECサイト”と“ECアプリ”を使い分けているように思われます。各媒体を利用するのはどんなシーンでしょうか?
まろん:僕が“ECサイト”を利用するのは、商品の横比較をしたいときです。ブラウザのタブを複数使い、商品ページやmybest等の比較サイトを同時に見ながら商品を検討します。
ばんちゃん:確かに、複数サイトをサーフィンして念入りに検討する行動は、1画面しか同時に見れないアプリではできないものですよね。
たみー:なるほど。では、アプリを使うのはどんなシーンでしょうか?会員証機能をもったECアプリは、店舗で購入するための利用も多く考えられますね。
まろん:はい、僕は会員証としてダウンロードしたECアプリが多いです。ただ、セールや新商品を知らせるプッシュ通知で気になる商品を見つけ、アプリを開くこともあります。
せーら:アプリを開くシーンとしては、まろんのように買いたい商品が既に決まっている時や求めている商品に近いものがあると分かっている時が多いように思います。
ばんちゃん:特にアプリ利用の多かったユニクロでは、InstagramやYouTubeなど、他の媒体で事前に商品を知りECアプリを開く、という行動も多いのではないでしょうか。
たみー:なるほど。「比較的真剣に商品比較・選定をする時はECサイト利用、ある程度目星をつけた商品の確認・購入をする時はECアプリ利用」という利用シーンの違いについての仮説がたちました。
Z世代は、ミレニアル世代より“ECアプリ”の利用者が多いのか?
■Z世代とミレニアル世代でアプリ利用率を比較(ファッション系EC)
続いて先程と同様に、ECブランドごとの利用媒体構成比を、Z世代・ミレニアル世代それぞれについて集計しました。
ここでは、先程Z世代の「アプリのみ」利用者が特に多く見られたファッションカテゴリに着目していきます。ユニクロに加えて、3つの人気ファッションECを分析対象としました。
ファッションEC別のZ世代・ミレニアル世代利用媒体比率
集計期間:2022年10月(対象デバイス:スマートフォン)
ユニクロとGUでは、Z世代・ミレニアル世代の両方で7割〜8割以上がアプリのみ利用者となっており、この2ブランドでは世代間の差は見られませんでした。
一方、ZOZOTOWNとSHEINでは、ミレニアル世代と比べて、Z世代のアプリのみ利用者が20pt以上多いことが見て取れます。
■Z世代に特有のファッションECアプリの使い方は?【Z世代のリアルな声】
たみー:ユニクロやGUとは違い、ZOZOTOWNやSHEINではZ世代特有のECアプリの使い方があるのかもしれません。これらのECブランド間の違いは何でしょうか?
ばんちゃん:ZOZOTOWNとSHEINは特定のブランドに縛られず商品を販売しています。アプリを開く時点でブランドが限定されるユニクロやGUとは大きな違いです。
たみー:確かに、ユニクロやGUのアプリは先程のディスカッションの通り、買いたい商品の目星がついている時に使うことが多いですが、ZOZOTOWNのアプリは買いたいものが特に決まっていない時も開きます。ブランドを横断したランキングを眺めてトレンド把握もできるからです。
ばんちゃん:私も、購入目的ではなくコーディネートの参考としてZOZOTOWNを見ることがあります。ファッション限定のSNSを閲覧しているような感覚です。
せーら:私も近いです。普段自分が買うブランド以外も簡単にチェックできて、「手元にある、服だけのショッピングセンター」のように捉えています。
まろん:ECアプリに対して“モノを買う場所”以外の捉え方をしている、これがZ世代ならではなのかもしれませんね。
たみー:なるほど。「“買う”を意識したECアプリ利用が世代共通なのに対して、“見て学ぶ”ものとしてのECアプリ利用がZ世代特有」という仮説がたちました。
まとめ
今回は、Z世代の“ネットショッピング”、中でも“ECサイト”と“ECアプリ”という利用媒体に着目し、分析・考察を行いました。では、結果と見えてきた仮説をまとめていきましょう。
〈結果①〉
Z世代のECサイト/アプリの利用比率は、ECブランドによって異なる。ユニクロではアプリのみ利用者が多数派だが、ヨドバシカメラではサイトのみ利用者が多数派となった。
〈仮説①〉
Z世代は、シーンによって、ECサイトとECアプリを使い分けている。
“ECサイト”利用シーン | 比較的真剣に商品比較・選定をする時 |
“ECアプリ”利用シーン | ある程度目星をつけた商品の確認・購入をする時 |
〈結果②〉
ユニクロ・GUのECサイト/アプリの利用比率は、Z世代とミレニアル世代で大きな違いはない。ZOZOTOWN・SHEINのECサイト/アプリの利用比率は、ミレニアル世代と比べてZ世代のアプリのみ利用者が特徴的に多い。
〈仮説②〉
ECアプリ利用方法には、世代共通のものとZ世代特有のものがある。
“世代共通”のECアプリ利用方法 | “買う”を意識したECアプリ利用 |
“Z世代特有”のECアプリ利用方法 | “見て学ぶ”ものとしてのECアプリ利用 |
“ECサイト”と“ECアプリ”、その利用媒体の違いの背景には、Z世代の多様なニーズが潜んでいそうです。ニーズを正しく理解して、各媒体に合った情報の発信方法を追求する必要があるのではないでしょうか。
今回は、実際のWeb行動データとZ世代メンバーのリアルな声を掛け合わせることで、面白い仮説が見えてきました。今後の連載にも、ぜひご注目ください。
現役Z世代による"Z世代の行動データ"分析ラボ Gen-Z調査隊®
株式会社ヴァリューズで2022年10月に発足。個性豊かなZ世代のメンバーが集まりました。
意識調査データやWeb行動データを活用し、"Z世代のリアル"を分析・発信していきます。
〈メンバー紹介〉
まろん(98年生まれ・エンタメコンテンツ好き)・ばんちゃん(99年生まれ・二次元キャラ好き)・こと(97年生まれ・観葉植物好き)・まなてぃ(01年生まれ・TikTok好き)・ロン(00年生まれ・テレビ好き)・まりん(02年生まれ・音楽好き)