20代の人気アプリランキング!VTuber・フードロス・AI活用に注目(2023年4月)

20代の人気アプリランキング!VTuber・フードロス・AI活用に注目(2023年4月)

Z世代とは、1995年頃から2010年頃までの出生世代。SNSでの発信力や情報感度の高いZ世代は、あらゆる企業にとって重要な顧客です。Z世代の行動を理解することは、より効果的なマーケティング戦略の立案に繋がります。今回は消費力が高まっている20代に注目し、流行りのアプリを調査しました。2023年4月の最新人気アプリから、人気の理由を考察し若者の考え方の理解を目指します。


2023年4月の急上昇アプリランキングTOP20

早速、アプリトレンドランキングを見ていきましょう。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。
下記の表は、2023年4月時点で、20代のユーザー(※)において、利用者の前月比上昇率が高い順にアプリをランキングしたものです。

※20代後半の、Z世代に含まれないユーザーも一部含みます

20代のアプリ利用者数の前月比上昇率ランキング
集計期間:2023年4月
デバイス:スマートフォン

ここからは、特に注目のアプリについてピックアップして詳しく見ていきます。

20代のトレンドのキーパーソンはVTuber?

物理演算パズルの金字塔「Q」

3位にランクインしているのは、パズルゲーム「Q」です。アプリ頒布自体は2015年で、様々な媒体に移植されて多くの人に愛されてきましたが、最近は大きなダウンロード数の上昇はありませんでした。

2023年3月から4月にアプリを起動している年代を見ると、約7割が20代であることから、20代を中心としたトレンドであることがわかります。

「Q」アプリ利用者の年代割合
集計期間:2023年3月~2023年4月
デバイス:スマートフォン

この背景としては、2023年3月頃からVTuber界隈を中心に実況プレイが流行したことが関係しているのではないかと考えられます。タイトルに「Q REMASTERED」を含むYouTube動画を検索すると、その多くがVTuberによる配信であることがわかります。

また、電撃オンラインに掲載されているインタビューでも、話題を集めた「最初のきっかけは、2月初旬に“にじさんじ”の樋口楓さんがライブ配信をしてくださったところ」と制作者の栗田祐介氏が語っており、制作側もVTuberによってゲームの人気が再燃したことを認めています。加えて、「Q REMASTERED」の公式サイトでは、配信に使用できる素材画像などを配布したり、配信者の配信予定ツイートを可能な限り公式アカウントでリツイートするなど、配信者に寄り添う姿勢を積極的に取り続けたことが功を奏したとも言えるでしょう。
https://dengekionline.com/articles/182504/
(2023年5月17日アクセス)

これらのことから、「Q」の流行の裏には、20代を中心にYouTube上の配信者、特にVTuber人気の高さがあったことがうかがえます。2023年5月2日にはPCでプレイできるSteam版の配信も始まったため、今後も人気は続いていきそうです。

Z世代のYouTube視聴ランキング!なぜVtuberが人気?【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

https://manamina.valuesccg.com/articles/2251

Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。第3弾となる今回のテーマは、マーケティングにおいても外せないSNS、YouTubeです。コンテンツ消費にタイパを意識すると言われるZ世代ですが、実際に彼らはYouTubeでどんなチャンネル、動画をみているのでしょうか?Z世代メンバーによるリアルな声を取り入れつつ、その特徴を深掘りしていきます。

フードロスに注目

お得にフードロスを削減できるフードシェアリング

10位にはフードシェアリングサービスの「TABETE」がランクインしました。公式サイトによれば、『TABETEは、パン・ケーキ店、ホテル、飲食店、スーパー等のお店で、まだおいしく安全に食べられるのに「食品ロス」の危機に面している食べものを、ユーザーとマッチングするアプリ』です。ユーザーは売れ残りそうになっている商品をアプリ上で購入し、実店舗に取りに行くという、フードロス削減アプリの中でも珍しい方式を取っています。

「TABETE」公式サイトによると「東京23区付近を中心とした首都圏(中略)の店舗を重点的に掲載してい」るため、自分でその実店舗に受け取りに行く都合上、利用者の居住地域は関東地方が50%を超えていますが、通常よりも安価で商品を購入できるため、特に可処分所得の低い大学生や働き始めの20代にとってはありがたい存在なのかもしれません。

「TABETE」アプリ利用者の居住地域割合
集計期間:2022年5月~2023年4月
デバイス:スマートフォン

また、以下のランキングは、「TABETE」アプリを利用している20代が関心を持っているアプリの1位と2位を示しています。1位の「クックパッドマート」は食品の通販サービスではありますが、今年度から始まった「野菜レスキュー」という食品ロス削減の取り組みも人気を博していることから、「TABETE」を利用している20代は、フードロス削減に関心をもっていることがわかります。

「TABETE」アプリ利用者のうち、20代の関心アプリランキング(特徴値(※)優先)(3位以下省略)
集計期間:2022年5月~2023年4月
デバイス:スマートフォン

※特徴値:一般的なネット利用者と比べて、対象者がどれくらい特徴的に利用しているかを表す指標。以下の式で計算される。
 特徴値=対象者のリーチ率(※)ーネット人口全体のリーチ率
※リーチ率:抽出条件に当てはまった人のうち、当該アプリを利用している人の割合。

ここで、先ほどランクインした「クックパッドマート」に加え、「レット」、「ポケットマルシェ」、「サンプル百貨店」というアプリと「TABETE」を比較してみました。これらはどれもフードロス削減が可能なアプリですが、「TABETE」とは異なり通販サービスとなっています。

「TABETE」、「レット」、「ポケットマルシェ」、「サンプル百貨店」、「クックパッドマート」アプリ利用者数
集計期間:2022年5月~2023年4月
デバイス:スマートフォン

「クックパッドマート」は、先述のとおり生鮮食品から加工品といった食品を販売しており、それらを独自の流通システムにより、低価格で提供しているサービスです。ただし、配達地域は関東に限られます。「ポケットマルシェ」は農家さん・漁師さんから直接食材を購入できるものであり、「レット」は訳ありの食品や日用品をお得に買えるアウトレットショップです。「サンプル百貨店」は、企業の提供商品やトライアルセットが中心ですが、消費期限が近いものなども取り扱っているため、特定のメーカーのものにこだわらなければ、欲しいものがお得に買えるうえ、在庫ロス全般に対して貢献できるアプリと言えます。

上記5つのアプリ利用者の年代層がこちらです。ほかのサービスと比較しても、「TABETE」は20代の利用が多いことがわかります。「TABETE」とほかのサービスの違いとして最も大きいのは、商品が後日家に届くのではなく、すぐに実店舗に向かわなければいけないことです。一見デメリットにも写りそうな特徴ですが、20代は直接出向くコストよりも、今欲しいものをお得に手に入れることができるという点を評価している可能性があります。

「TABETE」、「レット」、「ポケットマルシェ」、「サンプル百貨店」、「クックパッドマート」アプリ利用者の年代割合
集計期間:2022年5月~2023年4月
デバイス:スマートフォン

消費者の「お得心」をくすぐりながらフードロスを減らせるアプリ「TABETE」とは?

https://manamina.valuesccg.com/articles/2244

食品業界のマーケターや、トレンドに敏感なマーケター層に向けて、食品のトレンドを分析します。今回のテーマはアプリ「TABETE」。食品ロスの削減を目的としたアプリですが、「社会貢献」だけではなく、「お得感」「達成感」を得られる工夫をしたことでユーザー数を増やしています。今回はそんな「TABETE」アプリについて、調査しました。

大学生らしいトレンド

時間割が依然ランクイン

2023年4月は「Classnote:シンプル時間割」という時間割アプリがランクインしました。先月に引き続き、新入生が時間割アプリを求めている様子がわかります。このアプリが押し出しているのは、Googleが提唱したMaterial Designをもとにしたシンプルでわかりやすいデザインや、土日の授業や12時限目などの設定も可能であるという自由さです。

時間割アプリに関しては、先月は「すごい時間割」や「Penmark」、今月は「Classnote:シンプル時間割」の起動数が大きく上昇しているということから、学生はより自分に適したアプリを求めて試行錯誤しているのではないかと考えられます。

スマホがスキャナーに

続いて、「vFlat Scan - PDFスキャナーとOCR」です。こちらはスマートフォンのカメラで文字を認識し、テキスト化できるというアプリです。大学のレポート等で本の内容を引用したり、紙で提示された課題をPCなどに取り込んだりと、学生が活用する機会は多いでしょう。

ChatGPT搭載のアプリで、数学の課題をタイパよく

18位にランクインしたのは「CheckMath チェックマス - 数学問題解説」です。こちらは数学の問題の写真を撮ると、内容を認識し、添削してくれたり、解答を提示してくれたりするアプリです。最新のAIとChatGPTを搭載しており、解答を自動生成したり、手書きの文字を認識したりすることも可能です。

大学の授業で数学の問題が出ることもあるとは思いますが、大学生に人気のアルバイトである、塾講師や家庭教師、添削のアルバイトで用いられているとも考えられます。

ミュージシャンのための高度な音楽アプリ

AIの力を借りてより良い練習を

最後にご紹介するのは「Moises:ミュージシャンアプリ」です。こちらのアプリは、既存の音楽から歌声や特定の楽器の音色を分離したり、楽曲のピッチやテンポを変更したり、メトロノームをつけたりすることができるなど、音楽の練習に非常に適したアプリです。

最新のAIを使用して楽器や声、キーを判別しているため、自作の音楽を含めたあらゆる楽曲に対応可能となっています。本格的に音楽に取り組もうとしている全ての人にとって心強いアプリと言えそうです。

まとめ

今回は、急上昇アプリランキングTOP20のなかから、ゲームアプリ、フードシェアリングアプリ、大学生らしいアプリ3種、音楽アプリをピックアップして紹介しました。

CheckMathやMoisesにみられるように、Z世代は最新AIを用いた便利なツールを積極的に使う反面、TABETEのように、自ら店舗へ足を運ぶような労力も厭わない一面もあるようです。

Z世代がタイパを重視した上でこのような行動をしているとすれば、タイパを重視することの裏側には、時間を使わないということではなく、やりたいことが実現するまでの時間をできるだけ効率化しようという考えがあるのかもしれません。

より的確にZ世代にアプローチするためには、今後もタイパの実態を明らかにしていくことが重要になりそうです。



▼今回の調査にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

2024年春にヴァリューズに入社しました。
大学では言語学を専攻していました。

関連するキーワード


Z世代 SDGs AI Dockpit

関連する投稿


国内電通グループ、AI活用・開発の中核を担うグループ横断組織「dentsu Japan AIセンター」を発足

国内電通グループ、AI活用・開発の中核を担うグループ横断組織「dentsu Japan AIセンター」を発足

国内電通グループの5社(株式会社電通、株式会社電通デジタル、株式会社セプテーニ・ホールディングス、株式会社電通総研、イグニション・ポイント株式会社)は、AI活用・開発の中核を担うグループ横断組織「dentsu Japan AIセンター」を発足したことを発表しました。AIに関する専門的リソースを結集した体制を構築し、電通グループや顧客の企業変革の加速に貢献していくといいます。


生成AIを日常的に使う人の割合は70%超の一方、従業員の利用率は51%にとどまる【BCG調査】

生成AIを日常的に使う人の割合は70%超の一方、従業員の利用率は51%にとどまる【BCG調査】

ボストン コンサルティング グループ(BCG)は、日本を含む世界11の国・地域において、職場におけるAI活用に関する意識調査を実施し、調査結果に基づくレポート「AI at Work 2025: Momentum Builds, But Gaps Remain」を発表しました。


Taboola、AIで潜在顧客をセグメントしてリーチする「Predictive Audiences」の提供を開始

Taboola、AIで潜在顧客をセグメントしてリーチする「Predictive Audiences」の提供を開始

Taboolaは、同社が提供するマーケティングプラットフォーム「Realize(リアライズ)」の新機能として「Predictive Audiences(プレディクティブ・オーディエンス)」を発表しました。redictive Audiencesにより、これまで広告でアプローチできていなかった”コンバージョンに至りやすいターゲット”をAIで発見し、効果的かつ規模をもってリーチすることでマーケティング目標の達成を効果的に支援するといいます。


AI Overviewsだけで満足するユーザーはわずか4%!生成AI利用者の約4割が情報の正確性を確認する【サクラサクマーケティング調査】

AI Overviewsだけで満足するユーザーはわずか4%!生成AI利用者の約4割が情報の正確性を確認する【サクラサクマーケティング調査】

サクラサクマーケティング株式会社は、仕事・プライベートにおいてAIツールを使用したことのある10~40代の男女を対象に「情報探索する際にAIによる概要(AI Overviews)及び生成AIツールの回答をどのように受け止めているか」について意識・行動調査を実施し、結果を公開しました。


JRE BANKの現在地。利用者数・属性をメガバンク等と比較

JRE BANKの現在地。利用者数・属性をメガバンク等と比較

JRE BANK開始から、1年が経ちました。銀行取引がスマートフォンで完結する利便性はもちろん、JR関連の特典が豊富にあるのも魅力的な銀行です。実際に、どのようなユーザーが利用しているのでしょうか。今回は、JRE BANKのユーザーの属性や、興味関心を分析します。


最新の投稿


国内電通グループ、AI活用・開発の中核を担うグループ横断組織「dentsu Japan AIセンター」を発足

国内電通グループ、AI活用・開発の中核を担うグループ横断組織「dentsu Japan AIセンター」を発足

国内電通グループの5社(株式会社電通、株式会社電通デジタル、株式会社セプテーニ・ホールディングス、株式会社電通総研、イグニション・ポイント株式会社)は、AI活用・開発の中核を担うグループ横断組織「dentsu Japan AIセンター」を発足したことを発表しました。AIに関する専門的リソースを結集した体制を構築し、電通グループや顧客の企業変革の加速に貢献していくといいます。


教科書のマーケティングを実践に落とし込む 一橋大学上原渉ゼミのDockpit活用

教科書のマーケティングを実践に落とし込む 一橋大学上原渉ゼミのDockpit活用

一橋大学商学部の上原渉教授は「学生たちに継続的なデータ活用環境を」という思いから、ゼミ生にWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を導入しています。なぜ学生のうちからデータ活用のスキルを身につける必要があるのか、どのような活用をしているのか。今回は上原渉教授、そしてゼミ生の伊藤亜起さんと大日方佑衣さんに、取り組みの詳細をうかがいました。


「データは若者の武器になる」― ヴァリューズが実践する、学生支援と社会貢献のカタチ

「データは若者の武器になる」― ヴァリューズが実践する、学生支援と社会貢献のカタチ

ヴァリューズ代表・辻本に社会貢献活動にかける想いをインタビュー。「マーケティングの力で日本を元気にしたい」―創業時の情熱を胸に、大学へのDockpitの提供や同志社大学のビジコン支援など未来を担う若者育成にも注力するヴァリューズ。本記事では、社会貢献活動の具体的な取り組みと、その根底にある企業理念、「世の中のマーケティング力向上」への熱意を紐解きます。


お店が集客目的で口コミ依頼するケースがあることを知っている人は約9割 集客目的の口コミ依頼への印象は"信頼性が低下する"が最多【マイスタースタジオ調査】

お店が集客目的で口コミ依頼するケースがあることを知っている人は約9割 集客目的の口コミ依頼への印象は"信頼性が低下する"が最多【マイスタースタジオ調査】

株式会社マイスタースタジオは、全国の男女を対象に「集客目的の口コミ依頼に関する意識調査」を実施し、結果を公開しました。


【徹底分析】証券会社の申し込み完了前後のWEB行動

【徹底分析】証券会社の申し込み完了前後のWEB行動

近年、資産運用を行う人が急増しています。消費者の検索も、年間の「証券」に関する検索を行う人は、VALUES調べによると約1600万人にも上り、 WEB行動からも多くの関心が集まっていることが分かります。そこで本資料では、直近半年間で証券会社の口座を申し込んだ消費者を対象にWEB上の検索行動を追跡し、その背景を分析・推察した内容を解説。消費者のCV前後の検索行動から、関心のきっかけや情報収集プロセスを把握する分析の有用性がお分かりいただける内容となっています。※資料は記事末尾のフォームから無料でダウンロードできます。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ