人はいくつのフリマアプリを使い分けるのか?メルカリ・PayPayフリマ・ヤフオク!利用者の重複利用状況を調査

人はいくつのフリマアプリを使い分けるのか?メルカリ・PayPayフリマ・ヤフオク!利用者の重複利用状況を調査

欲しいものが安く手に入ったり、掘り出し物が見つかったりするフリマアプリ。商品を吟味してより良い商品を見つけるために、複数のアプリを使い分ける人はどのくらいいるのでしょうか。特にユーザー数の多い「メルカリ」、「PayPayフリマ」、「ヤフオク!」のユーザー属性と重複利用状況を比較しました。


「メルカリ」人気が根強い。「PayPayフリマ」も市場拡大中

フリマアプリの利用者はどれぐらいいるのでしょうか。各社が公式に発表している数字を調べたところ、「メルカリ」は2023年の第4四半期にはMAUが2260万人を達成しています。
参照:https://speakerdeck.com/mercari_inc/mercari-fact-book-jp?slide=11

「PayPayフリマ」は2022年9月時点で累計ダウンロード数が1500万人を突破したようです。
参照:https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2022/10/07a/

いずれも一般に広く普及しているアプリと言えるでしょう。

男性・ミドルエイジに強い「ヤフオク!」

続いて、それぞれのアプリのユーザー属性について見ていきましょう。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。

まず男女比ですが、「メルカリ」「PayPayフリマ」「ヤフオク!」の順に男性の割合が増えていきます。インターネット利用者全体と比較すると、「メルカリ」と「PayPayフリマ」では女性が多く、「ヤフオク!」では男性が多くなっています。

「メルカリ」、「PayPayフリマ」、「ヤフオク!」ユーザーの性別
Dockpitより集計。対象期間:2023年8月
デバイス:スマートフォン

続いて年代ですが、「メルカリ」では20~40代がインターネット利用者全体での構成比を超えており、合わせると53.9%となっているのに対し、「ヤフオク!」では40~60代で20%を超えており、ユーザー層がかなり異なっています。「PayPayフリマ」は「ヤフオク!」と同様に40~60代の利用が多いですが、比較的インターネット利用者全体の割合と近く、全世代のユーザーがまんべんなく利用していると考えられます。

「メルカリ」、「PayPayフリマ」、「ヤフオク!」ユーザーの年齢層
Dockpitより集計。対象期間:2023年8月
デバイス:スマートフォン

次に世帯年収を比較します。3つともほぼインターネット利用者全体と比べて変わりませんが、わずかに400万円未満の世帯が多くなっています。

フリマアプリは商品を安く手に入れられたり、いらないものをお金に変えることができたりするという点でお得感が強く、収入の少ないユーザーが多いように思われますが、実際はそうしたユーザーに偏っているのではなく、幅広い属性のユーザーに利用されていることがわかります。

「メルカリ」、「PayPayフリマ」、「ヤフオク!」ユーザーの世帯年収
Dockpitより集計。対象期間:2023年8月
デバイス:スマートフォン

複数のフリマアプリで商品を比較する人も

ではこれらのアプリの重複利用状況について見ていきます。「メルカリ」「PayPayフリマ」「ヤフオク!」全てを重複して利用しているユーザーは、これらのユーザーの合計の約11%います。

このことから、複数のフリマアプリで商品を比較する人も少なくないようです。しかし、「メルカリ」はユーザーが多いこともありますが、ほかの二つと比べて、フリマアプリを併用していないユーザーが多いことがわかります。

「メルカリ」、「PayPayフリマ」、「ヤフオク!」ユーザーの併用状況
Dockpitより集計。対象期間:2023年8月
デバイス:スマートフォン

一方、販売側を考えてみると、同時出品はフリマアプリによって禁止されている場合があります。メルカリでは、同時出品することによってトラブルを招いた場合は規約違反とされており、PayPayフリマとヤフオクでは禁止されています。(※ヤフオクとPayPayフリマ双方では、特定の条件を満たせば同一商品が同時に掲載されるシステムがあります)

原則、複数のフリマアプリに同時出品はできないものの、商品の特性とアプリの利用者層を鑑みて、出品先を選ぶ人は一定いるでしょう。販売側でも複数のアプリで相場などを比較していると考えられます。

参照
メルカリガイド:https://help.jp.mercari.com/guide/articles/900/
PayPayフリマガイドライン:https://paypayfleamarket.yahoo.co.jp/guide/guideline/detail/#A
ヤフオクガイドライン:https://guide-ec.yahoo.co.jp/notice/rules/auc/detailed_regulations.html

メルカリは単独で使用される傾向

最後に、その他のショッピングアプリやフリマアプリとの併用状況も見てみましょう。ショッピングに絞った併用率の高いアプリを見ていきます。

表からわかるように、「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「楽天ラクマ」「楽天Edy」「au PAY マーケット」「UNIQLOアプリ」の7サービスは3つすべてに共通しています。また、「メルカリ」「PayPayフリマ」「ヤフオク!」もお互いにランクインしており、そのほかに「SHIEN」が2つのアプリに共通しています。

「メルカリ」、「PayPayフリマ」、「ヤフオク!」の関心アプリ
(併用率優先)(ショッピングカテゴリのみ)
Dockpitより集計。対象期間:2023年8月
デバイス:スマートフォン

全体的に併用しているアプリが似通っていることから、ユーザーの属性は違えど、利用するサービスは近いと考えられます。

また、巨大通販サイトである「Amazon」「楽天市場」は、どのアプリのユーザーも55%以上が利用しています。しかし、「PayPayフリマ」「ヤフオク!」では「メルカリ」「Yahoo!ショッピング」の併用率が49%を超えているのに対し、「メルカリ」ではほかのショッピングアプリ・フリマアプリの併用率は約31%以下となっています。やはり「メルカリ」は重複利用が少ないアプリであると言えるでしょう。

また、どのアプリも共通して「楽天ラクマ」が6位にランクインしています。こちらは日本初のフリマアプリ「フリル」を前身とするフリマアプリで、どのアプリから見ても併用率が20%以上と高く、特に「PayPayフリマ」では30%を超えるなど、フリマアプリの選択肢として有力であることがわかります。

まとめ

今回は「メルカリ」「PayPayフリマ」「ヤフオク!」の3つのフリマアプリのユーザー属性と重複利用について比較してきました。

「メルカリ」は単独での利用が多く、「PayPayフリマ」と「ヤフオク!」は2つ以上のアプリを併用しているユーザーが多いと考えられます。また、これら3つに加えて「楽天ラクマ」も併用する際の選択肢として上がっており、これらを併用している人が一定数いると言えます。

また、どのアプリでも併用されているショッピング関係のアプリは非常に似通っており、利用目的が近いのに対して、アプリユーザーの属性にはばらつきがみられました。特に、若年層や女性が多く見られたのはメルカリで、中年や男性が多いのはヤフオクと言えます。

アプリごとにユーザー層に違いがあることから商品による売れやすさも変わり、そのため複数アプリを使い分けているユーザーが多いと考えることができるでしょう。

フリマアプリ市場の調査については、下記記事も併せてご覧下さい。

フリマアプリ市場を調査。メルカリは月間ユーザー2,000万人超、PayPayフリマは中高年に人気

https://manamina.valuesccg.com/articles/1654

フリマアプリのユーザー数やユーザー属性を調査します。対象とするのは「メルカリ」「PayPayフリマ」「ラクマ」の3アプリ。特にメルカリは2021年6月期の決算で上場以来初の黒字となりました。新型コロナウイルス拡大の影響を受けて拡大中のフリマアプリ市場の実態を調査しました。

【無料ダウンロード】総ページ数150P以上のライフスタイル・消費トレンドレポート|デジタル・トレンド白書2024

https://manamina.valuesccg.com/articles/3792

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎える「デジタル・トレンド白書2024」は、Z世代トレンド・SNS動向編、ライフスタイル・消費トレンド編の2部構成になっています。(「ライフスタイル・消費トレンド編」ページ数|153P)

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

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この記事のライター

2024年春にヴァリューズに入社しました。
大学では言語学を専攻していました。

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