バリュープロポジションとは?定義や重要視されている理由、成功事例や作り方を解説

バリュープロポジションとは?定義や重要視されている理由、成功事例や作り方を解説

バリュープロポジションとは、顧客のニーズが高く自社だけが提供できる価値のことを言います。 マーケティング用語の一つですが、近年ユーザーのニーズが多様化する中でバリュープロポジションの重要性が高まっています。 そこで本記事ではバリュープロポジションについて解説するとともに成功事例やフレームワーク、 バリュープロポジションの書き方や、バリュープロポジションが失敗に終わるケースについて解説します。 バリュープロポジションを理解し、自社のビジネスに取り入れて、競合他社に負けない 事業作りを目指していきましょう。


バリュープロポジションとは?

バリュープロポジションとは、企業が顧客に提供する独自の価値を指します。

これは、顧客がその商品やサービスを手に入れることで得られる明確で実証可能な利益を示すものです。顧客のニーズを満たし、競合他社が提供できない唯一の価値を持つことが重要です。

バリュープロポジションを活用することで、顧客のニーズと自社だけが提供できる独自の価値のズレを明確化し、 ユーザーニーズを満たす 商品やサービスづくりを行えるようになります。

バリュープロポジションキャンバスとは?

バリュープロポジションキャンバスは、 バリュープロポジションを明確にするフレームワークです。

バリュープロポジションキャンパスでは、顧客のジョブ、ペイン(悩み)、ゲイン(利得)を洗い出し、それに対応する自社の製品やサービスを整理することで、顧客の視点に立った価値提供が可能になります。

バリュープロポジションは主に以下の2つの要素で構成されています。

・顧客視点におけるニーズ
・顧客に提供できる価値

まず顧客視点におけるニーズは以下の通りです。

・顧客のジョブ: 顧客が実現したい目標や解決したい問題
・顧客のペイン: 顧客が直面している課題や障壁
・顧客のゲイン: 顧客が期待するメリットや恩恵

次に、顧客に提供できる価値は以下の通りです。

・製品・サービス: 提供する具体的な製品やサービス
・ペインリリーバー: 顧客の悩みを解消する機能やサービス
・ゲインクリエーター: 顧客にメリットをもたらす機能やサービス

顧客セグメントと顧客に提供する価値は対の関係にあります。これは、顧客のニーズや期待に応じた価値を提供することで、競合他社ではなく自社の商品・サービスを選んでもらうために重要です。

バリュープロポジションキャンバスを効果的に活用することで、顧客満足度を高め、ビジネスの成功につなげることができます。

バリュープロポジションが重要視されている理由

バリュープロポジションの重要性は近年ますます高まっていますが、その背景には以下の要因があります。

・顧客目線のマーケティングが必要:顧客のニーズに応えるためのマーケティングが重視されるようになっている
・マーケティングのニッチ化: 競合他社が増えすぎた結果、企業が差別化を図るためにニッチな商品を出すことが増えてきたが、顧客のニーズに合わない商品が多い

現代の市場は競争が激化し、顧客のニーズも多様化しています。そのため、企業が成功するためには、単なる製品やサービスの提供ではなく、顧客にとっての独自の価値を明確にすることが求められます。

バリュープロポジションは、顧客の視点に立ち、顧客が求める価値を提供することで、競合との差別化を図る重要な要素となるため、様々な企業で重要性が高まっています。

バリュープロポジションの成功事例

ここまでバリュープロポジションについて解説しましたが、ここからはバリュープロポジションの成功事例を紹介します。

Airbnb

Airbnbが着目したバリュープロポジションは、画期的な宿泊システムです。

Airbnbは従来のホテルとは異なり、旅行者が地元の暮らしを体験できる宿泊サービスを提供しています。旅行者はホテルでは味わえない地元の文化や生活を体験できる一方で、物件オーナーは空き部屋を活用して収入を得ることができます。

このシステムは、旅行者とオーナーの両方のニーズを満たすものであり、世界中どこでもオンラインで手軽にマッチングできるという利便性から、爆発的に普及しました。

この独自のバリュープロポジションにより、Airbnbは従来の宿泊業界と差別化し、成功を収めています。

Slack

Slackが成功したバリュープロポジションは、シンプルなUXと生産性の高さです。

大規模なチームを抱える組織でも、職場で必要なコミュニケーションが1つのシンプルなツールで完結するように設計されており、統合性という観点でユーザーからの支持を集めています。

また、シンプルで使いやすいUXやセキュリティの強固さを同時に実現したことで、Slackはさまざまな組織に導入され、企業内の情報共有と蓄積を効率化し、チームの結束力を高めることに成功しています。

Slackはこのバリュープロポジションにより、ビジネス用のコミュニケーションツールとしての地位を確立しました。

セリア

セリアは、「100円で買えるデザイン性の高い商品」というバリュープロポジションを提供しています。

セリアは全国展開に成功しています。セリアの強みは、安さだけを売りにするのではなく、デザイン性と品質を兼ね備えた商品を提供することです。

顧客は、低価格でありながらもおしゃれで機能的な商品を求めるニーズを満たしており、これが多くの顧客に支持される理由となっています。

セリアは、このバリュープロポジションにより、100円ショップの中でも際立った存在となっています。

バリュープロポジション・キャンバスの作り方

ここからは実際にバリューポロポジションとバリュープロポジションキャンバスの作り方について解説します。

バリュープロポジションの作り方

バリュープロポジションの画像

バリュープロポジションの作り方は至ってシンプルです。

以下の3つの価値を洗い出し、3つの価値が合わさるポイントを抽出します。

①顧客が望んでいる価値
②自社が提供できる価値
③競合他社が提供できない価値

ここで重要なのが、どのようにしてそれぞれの価値をとらえるかです。価値を洗い出すためには、以下のような方法があります。

・顧客アンケート
・顧客データの分析
・顧客へのインタビュー
・営業・商談への同席

より深い理解を得るためには、顧客の声を実際に聞くことが大切です。
バリュープロポジションを作る際には市場分析・競合分析を経て自社の立ち位置を見極める「STP分析」や、市場・競合・自社の取り巻く環境を分析し、経営戦略を見出す「3C分析」も役立ちます。

バリュープロポジションのテンプレート

バリュープロポジションのテンプレートは以下からダウンロード可能です。

バリュープロポジションのテンプレート

※テンプレートはデザインツールの「Canva」で作成しています。利用する際にはアカウントの作成とテンプレートのコピーが必要になります。Canvaについては以下の記事を参考にしてください。

バリュープロポジションキャンバスの作り方

バリュープロポジションキャンバスの画像


バリュープロポジションキャンバスは、より顧客にスポットライトを当てた分析になります。

まずは顧客分析を行いましょう。

①顧客がプロダクトを利用して実現したいこと・できること
②ゲイン(顧客のメリット・恩恵)
③ペイン(顧客にとっての障害・リスク)

これら3つを円状のグラフに当てはめます。

次に自社の商品・サービスや独自の価値をバリュープロポジションに当てはめます。

④商品・サービス(提供できる価値)
⑤ゲインクリエイター(顧客のメリット・恩恵となる要素)
⑥ペインリリーバー(顧客の障害・リスクを取り除ける要素)

これらを分析することで、顧客が求める価値を明確にでき、独自性を出したプロダクトの開発・提供が可能になります。

バリュープロポジションキャンバスのテンプレート

バリュープロポジションキャンバスのテンプレートは、以下からダウンロード可能です。

バリュープロポジションキャンバスのテンプレート

バリュープロポジションが失敗に終わるケース

バリュープロポジションが失敗に終わるケースは以下の通りです。

・顧客を無視した訴求で価値がうまく伝わっていない
・自社顧客の情報だけに縛られて市場にある未顧客を分析できていない
・全ての価値に対応しすぎて価値を伝えるのが難しくなる

それでは詳しく解説します。

顧客を無視した訴求で価値がうまく伝わっていない

顧客のニーズを無視して自社の視点だけで訴求を行うと、顧客に価値が伝わらず失敗する可能性が高くなります。顧客が求める価値を理解しないまま自社の商品やサービスを提供すると、顧客にとっての魅力が伝わりません。これは、顧客が実際に抱える問題や欲求に対する解決策を提示できていないためです。顧客のニーズに応じた価値を提供しない限り、顧客が商品やサービスを選ぶきっかけになりません。

バリュープロポジションを成功させるためには、顧客の声を聞き、ニーズを正確に把握することが重要です。顧客調査やインタビューを通じて、顧客が本当に求めている価値を明確にし、それに基づいた商品・サービスの訴求を行いましょう。

自社顧客の情報だけに縛られて市場にある未顧客を分析できていない

既存の顧客データに固執しすぎると、新たな市場や未顧客のニーズを見逃し、ビジネスチャンスを逃す可能性があります。

市場は常に変化しており、既存顧客だけに焦点を当てると、新たな顧客層や未顧客のニーズに対応できなくなります。新しいトレンドや顧客の嗜好の変化を見逃すことで、潜在的な顧客を取り込む機会を失います。

既存の顧客データに頼りすぎず、市場全体を広く分析することが重要です。未顧客や新たな顧客層のニーズを把握し、それに対応する商品やサービスを開発することで、新たなビジネスチャンスを掴むことができます。

ヴァリューズが提供するデータ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」は、国内の主要サイトのユーザー数やPV数といった顧客データだけでなく、よく見られているコンテンツなどを知ることができ「顧客が求めている情報」をいち早くキャッチできます。

キーワードを入力するだけで、関連する顧客のニーズや求めているコンテンツを確認できるため、客観的な顧客分析が容易に行えます。無料プランも用意しておりますので、ぜひ一度気になるキーワードで検索されてみてください。

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全ての価値に対応しすぎて価値を伝えるのが難しくなる

あまりに多くの価値を提供しようとすると、かえって顧客に何を提供しているのかが伝わりにくくなり、バリュープロポジションの明確さが失われます。

多くの価値を一度に提供しようとすると、メッセージが分散し、顧客に対して何が本当に重要なのかが伝わりません。結果として、顧客はその製品やサービスの真の価値を理解できず、購入意欲が減少してしまいます。

そのため、提供する価値を絞り、顧客にとって最も重要なメッセージを明確に伝えることが必要です。焦点を絞ったバリュープロポジションを構築することで、顧客に対して商品の魅力を効果的に訴求し、購買意欲を高めることができます。

まとめ

バリュープロポジションは、企業が成功するために不可欠な要素です。顧客のニーズを満たし、競合他社が提供できない独自の価値を明確にすることで、競争優位性を確立できます。

バリュープロポジションキャンバスを活用し、顧客の視点に立った価値提供を行うことで、ビジネスの成長を支える強力な基盤を築きましょう。

この記事のライター

Webライター。BtoB系の案件メイン担当。主に上位表示を目指したSEO記事の作成を担当。これまでに、コーポレーションサイトやオウンドメディア、求人広告など2,000記事以上を執筆。

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