あえてレトロなガラケーに逆戻り!「バービーフォン」が新発売 | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年10月)

あえてレトロなガラケーに逆戻り!「バービーフォン」が新発売 | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年10月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は欧米圏のZ世代を中心に高まるガラケー人気や、新発売の「バービーフォン」について取り上げます。


Y2K全開「バービーフォン」が10月にアメリカで発売

ヨーロッパの携帯メーカーHuman Mobile Devices(HMD)は、バービー人形でお馴染みのおもちゃメーカーMattelとコラボした新たなフィーチャーフォン「バービーフォン」を発表しました。イギリスでは2024年8月に、そしてアメリカでは10月に販売開始となりました。

2023年に公開された映画『バービー』は、全世界の興行収入14.4億ドルを上回る大ヒット作。映画作品としての人気だけでなく、ビビッドなピンク色が特徴的なファッショントレンド「バービーコア」が流行するなど、社会現象をもたらしました。映画の盛り上がりと同時に、数々のブランドがバービーとのコラボ商品を発表しましたが、未だにその勢いは衰えていないようです。2024年はバービー誕生65周年ということもあり、クリスピー・クリーム・ドーナツやスタンレーなど、新たなコラボが続々と発表されています。映画公開から約1年が経ったタイミングではありますが、バービーフォンもこのバービー人気の波に乗る形で発売となりました。

インターネットもSNSもないのが売りのバービーフォン

それではバービーフォンとはどのような商品なのでしょうか。

まず外観はビビッドなピンク色。折りたたみの蓋の外側はメイク直しにぴったりのミラーになっていて、真ん中に時計が表示されるようになっています。携帯を開くと、枠に対して小さめの2.8インチ画面と昔ながらのテンキーがあります。テンキーのボタンには、暗い場所で光るヤシの木やハートなどの可愛いイラストが散りばめられています。

電源を入れると、映画でお馴染みの挨拶「ハイ バービー(Hi Barbie)」という音声が流れ、電話、メール、SMS、そしてガラケー時代のゲーム「Snake」のピンク色バージョンがプレイできるという機能になっています。搭載されているカメラは500万画素で、レトロなY2K写真を撮るにはぴったりの画素数です。バービーの写真フレームも利用できるとのこと。

ガラケーのバービーフォンには、インターネットやSNSなどのアプリはありません。HMDは“Give your smartphone a vacay”(あなたのスマホにバカンスを)というキャッチフレーズを広告で押し出しています。ついつい見すぎてしまうスマホから距離を置くことでもっと現実社会を楽しめる、という点がバービーフォンの魅力です。

スマートフォンと比べると機能は限られていますが、その代わりに付属アクセサリーが充実しています。柄違いのピンク色カバーが2つ、パステルカラーのビーズストラップ、バービー関連のシールやぷっくり宝石シールもついてきて、携帯を自由に「デコる」ことができます。もちろん充電器やケーブル、クリーニング用クロスも全てピンク色。自分好みに着せ替えや飾りつけができる、まさにY2Kカルチャーを存分に楽しめるセットとなっています。

デジタル・デトックスのニーズの高まりからガラケーが新たな選択肢に

スマートフォンが普及してから、ついつい長時間使用してしまうことの危険性や、SNSによるメンタルヘルスへの悪影響が問題視されています。特に使用時間が長くなりやすい若い世代の間で深刻な問題となっています。2023年にデータ管理会社「Harmony Healthcare IT」がアメリカで行った調査(※)によると、Z世代の回答者のうち56%がスマートフォンに依存していると感じており、他の世代と比べて最も割合が高くなっています。

※ Black Mirror or Black Hole? American Phone Screen Time Statistics
https://www.harmonyhit.com/phone-screen-time-statistics/
2023年12月の調査。アメリカの1,024人が対象。

そのような傾向がある中で、デジタル機器を一定時間触らないように心がける「デジタル・デトックス」を生活に取り入れようとする考え方がここ数年で定着してきました。そこでガラケーが再び注目され、最低限の連絡手段は持ちつつも同時にデジタル・デトックスを実践できるアイテムとして新たな価値を見出されるようになりました。

加えてY2Kブームの影響もあり、若者世代を中心にレトロなアイテムとして取り入れられています。TikTok上では、#bringbackflipphone(折りたたみ式携帯を取り戻そう)というタグで、あえてガラケーを選んだ理由や魅力を語る動画が集まっています。

HMDでは、2023年ヨーロッパでフィーチャーフォンの売り上げが前年2022年の倍以上増加したと発表されており、2024年はさらに売り上げが伸びると予想されています。ノスタルジーと新たな価値観が融合したガラケー人気がこれからどのような方向に向かっていくのか、今後の動きが楽しみです。

【参考】
https://www.hmd.com/en_int/press/your-barbie-dream-phone-is-now-a-reality-press-release
https://www.hmd.com/en_int/press/hmd-barbie-flip-phone-press-release
https://www.cnbc.com/2024/08/28/nokia-brand-owner-launches-barbie-phone-with-no-internet.html?&qsearchterm=dumb%20phone

この記事のライター

大学ではポルトガル語と言語学を専攻していました。
趣味は、海外エンタメ情報の追っかけとおうちでラテアート修行をすることです。

関連するキーワード


海外トレンド Z世代

関連する投稿


テテマーチ、Z世代SNSトレンドグランプリ2024を発表

テテマーチ、Z世代SNSトレンドグランプリ2024を発表

テテマーチ株式会社は、同社のZ世代マーケ研究室「lookey(ルーキー)」にて、「Z世代SNSトレンドグランプリ2024」を発表しました。「Z世代SNSトレンドグランプリ2024」は、19歳〜23歳のZ世代500名を対象に、2024年のSNSトレンドについて「インフルエンサー部門」「タレント部門」「コンテンツ部門」「スポット部門」「グルメ部門」の5部門に分けてアンケート調査を実施。その結果をランキング化しています。


Z世代はショート動画をやめられない?大学生の8割以上が「ショート動画を見る時間は無駄だと思う」と回答【RECCOO調査】

Z世代はショート動画をやめられない?大学生の8割以上が「ショート動画を見る時間は無駄だと思う」と回答【RECCOO調査】

株式会社RECCOOは同社が運営するZ世代に特化したクイックリサーチサービス『サークルアップ』にて、最新のZ世代調査として「ショート動画」に対する意識調査を実施し、結果を公開しました。


「デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編」をデータ分析のヴァリューズが公開

「デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編」をデータ分析のヴァリューズが公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎える「デジタル・トレンド白書2024」は、Z世代トレンド・SNS動向編、ライフスタイル・消費トレンド編の2部構成になっています。(「Z世代トレンド・SNS動向編」ページ数|140P)


Z世代で継続的にトレンドの「BeReal.」が総合1位!「Mrs. GREEN APPLE」や「アサイーボウル」がTOP10入り【LINEリサーチ調査】

Z世代で継続的にトレンドの「BeReal.」が総合1位!「Mrs. GREEN APPLE」や「アサイーボウル」がTOP10入り【LINEリサーチ調査】

LINEリサーチは、全国の15~24歳の男女を対象に四半期毎に実施している「最近の流行」調査の2024年9月調査結果を公開しました。


Amazon販売データから見たアメリカ美容家電市場の概況(2024年10月版)

Amazon販売データから見たアメリカ美容家電市場の概況(2024年10月版)

ファッション誌の「VOGUE(アメリカ版)」をはじめ、今や多くの家電類スキンケアツールが雑誌に取り上げられており、アメリカでの美容家電市場の成長が見込まれています。本調査では、Amazonの販売データを利用し、市場規模、主流商品にフォーカス。EC販売データに興味をお持ちの方や、中国・東南アジア・欧米市場の動向を定期的に把握し、海外進出(開拓)をご担当されている方に必見のデータとなっています。※調査レポートは記事末尾のフォームより無料でダウンロードいただけます。


最新の投稿


DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

株式会社ecloreは、同社が運営する「ランクエスト」にて、データベース型サイト運営者を対象に、SEOの実施状況やその効果について調査を実施し、結果を公開しました。


SEOに積極的に取り組んでいるサイトの9割以上が表示速度の重要性を認識!改善に取り組む目的は「顧客体験の向上」と「リピート率の改善」が上位【Repro調査】

SEOに積極的に取り組んでいるサイトの9割以上が表示速度の重要性を認識!改善に取り組む目的は「顧客体験の向上」と「リピート率の改善」が上位【Repro調査】

Repro株式会社は、Webサイト運営・管理者を対象とした、「Webサイトの表示速度改善についての実態調査」を実施し、結果を公開しました。


感性について ~ マーケティングとハプティクス

感性について ~ マーケティングとハプティクス

人には5感が備わっています。さらに突き詰めれば第6感という感覚も。それら人の持つ感性や感覚を補うべくあらゆる技術も日々進歩していますが、人のそれらの代替となるような技術はまだ未完の途上です。それほどに他に取って代われない私たちの感性・感覚。本稿では、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が、広告やマーケティングを通して人の感性の深さを説き、ハプティクス(Haptics)を用いて人の感覚の重要性を解説します。


イードとガイエ、リアルとデジタルの融合でアニメファンの推し活を支援する広告パッケージを提供開始

イードとガイエ、リアルとデジタルの融合でアニメファンの推し活を支援する広告パッケージを提供開始

株式会社イードと株式会社ガイエは、全国のファミリーマート、ローソン(※一部店舗を除く)に設置されているマルチコピー機で展開するコンテンツサービス「エンタメプリント」を活用した広告パッケージ「Anime Touch Ad」を共同開発し、販売開始することを発表しました。


ネオマーケティング、ボーダーリンクとの協業で在日外国人リサーチサービスを提供開始

ネオマーケティング、ボーダーリンクとの協業で在日外国人リサーチサービスを提供開始

株式会社ネオマーケティングは、株式会社ボーダーリンクと協業し、在日外国人リサーチサービスを提供開始したことを発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ