10万円オンライン申請でマイナポータルの利用者が急増。テレワークでVPN検討も増加?【20年5月急上昇サイト】

10万円オンライン申請でマイナポータルの利用者が急増。テレワークでVPN検討も増加?【20年5月急上昇サイト】

2020年5月にユーザー数を伸ばしたWebサイトは? SaaS型の市場分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使うと、どんな人がどんなWebサイトを見ているのか、いろいろな切り口で簡単に調べることができます。今回はeMark+を使って訪問ユーザー数の前月比が急上昇したWebサイトを調査しました。


2020年5月の急上昇サイトは?

まず、訪問ユーザー数の前月比が高い順にWebサイトをランキングしました。以下のトップ10をご覧ください。

順位サイト名前月比(%↑)
1ExpressVPN
733.2
2マイナポータル
479.8
3LINE Pay 公式ブログ
414.5
4Yahoo!公金支払い
286.1
5Google Meet
175.2
6公的個人認証サービス
165.9
7楽天モバイル
155.9
8食材宅配 Oisix(オイシックス)
122.8
9個人番号カード総合サイト
117.1
10医療情報 QLife(キューライフ)
113.5

※eMark+データより。不適切なサイトを一部除外しています。

テレワークでVPN検討が増加?

それでは早速、ランキングの1位から詳しく見ていきましょう。

1位:ExpressVPN

1位はイギリスのExpressVPN株式会社が提供する「ExpressVPN」の公式ホームページでした。ExpressVPNは、超高速とプライバシー保護の高さを売りにしている業界トップクラスのVPNサービスです。

eMark+ではサイト内ページごとの訪問ユーザー数、PV数の推計値を見ることができます。実際にサイト内のコンテンツランキングを確認してみましょう。

「ExpressVPN」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

上位は製品に関するページが大半でした。コロナ禍でテレワークが急速に普及していますが、テレワークするためには外部から社内ネットワークに接続する機能が不可欠です。それを実現するのがVPNです。また、VPNを使用することで、データの盗聴や改ざんといった脅威から情報を守ることができます。そのため、テレワークをする際に業界トップの「ExpressVPN」の導入を検討するユーザーが増え、公式ホームページに流入する人が急増したのかもしれません。

一方で8位と9位のページは、VPNを利用してディズニープラスを視聴する方法に関するページでした。米国ネットフリックスやディズニープラスを見られるため、巣篭もり需要でVPNと定額動画配信サービスを兼用するユーザーが増えた可能性があります。

2位:マイナポータル

2位のサイトは、政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」でした。10万円の特別定額給付金のオンライン申請のため、ユーザーアクセス数が急上昇したと考えられます。

実際にサイト内のコンテンツランキングを確認してみましょう。

「マイナポータル」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

上位ページの大半がログインページや特別定額給付金の申請のサービストップページでした。やはり、10万円特別定額給付金にオンラインで申請する人が増加したことで、急上昇サイトにランクインしたと言えます。

3位:LINE Pay 公式ブログ

3位にランクインした「LINE Pay 公式ブログ」は、LINEが提供するモバイル送金・決済サービスであるLINE Payの公式ブログです。機能紹介や使い方、 最新情報・おすすめ情報を掲載しています。

その中でもどんな内容に注目が集まったのか、コンテンツランキングで確認してみましょう。

「LINE Pay 公式ブログ」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

1位と2位のページのUU数が非常に多いことが分かります。実際に1位ページにアクセスすると、LINE Payの特典情報に関する記事でした。

「LINEポイントクラブ」のマイランクがアップするほど、LINE Pay還元率もアップし、マイランクに応じてLINE Payで使える特典クーポンをプレゼントするという内容でした。世の中ではキャッシュレス決済化が進んでいますが、ポイント還元施策や特典クーポン配布によってユーザーを集客したと推測できます。

続いて2位の記事も見ていきましょう。こちらは、LINE Payの後払いサービス「チャージ&ペイ」の紹介記事でした。

こちらも、LINEポイントクラブによるポイント還元を受けられることが宣伝されていました。

このように、LINE Pay 公式ブログはLINE Payのポイント還元や特典クーポンなどポイントのベネフィットによって消費者心理を刺激し、訪問ユーザー数を増加させたと考えられます。

LINE関連サービスでは先月も2位に「LINE MUSIC 公式note」がランクインしていました。スマホユーザーのほとんどが毎日利用するためフリークエンシーが高く、その強みを活かして広告キャンペーンによる集客を成功させていると言えそうです。

政府や行政のサイトが上位に目立つ

4月の急上昇サイトでもランクインした「Google Meet」や「楽天モバイル」が今月もランクインしていました。一方で、今月は政府や行政のポータルサイトが上位に目立ちました。早速、紹介していきます。

4位:Yahoo!公金支払い

4位にランクインしたのは、Yahoo! JAPANのウェブサイト上で税金や公共料金を支払えるサービス「Yahoo!公金支払い」です。急上昇の原因はなんでしょうか。

コンテンツランキングで注目ページを確認してみましょう。

「Yahoo!公金支払い」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

上位には、自動車税の納税に関するページが目立ちました。一般的に自動車税の納期限は5月末です。納税を忘れると延滞金が発生するため、駆け込み納税をする人が増えてサイトが急上昇したと考えられます。1位は神奈川県の自動車税支払いのページでした。

では、どのような経路でユーザーが訪問したのか見てみましょう。

「Yahoo!公金支払い」の流入元セッション数(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

外部サイトからの流入が最も多いことがわかります。内訳を見ていきます。

「Yahoo!公金支払い」の流入元外部サイトランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

Yahoo!関連サイトやカード会社からの流入が目立ちました。納税のためにカード会社からYahoo!の公金支払いサービスに流入したと推測できます。

6位:公的個人認証サービス

6位にランクインしたのは、「公的個人認証サービス」のポータルサイトでした。こちらのサービスは、行政手続きやインターネットサイトにログインを行う際に用いられる本人確認の手段です。

急上昇の原因をコンテンツランキングで探っていきましょう。

「公的個人認証サービス」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

1位のページのUU数が圧倒的に多いことが分かります。1位は、マイナンバーカードを利用して公的個人認証サービスを利用して電子申請を行うための手順を説明したページでした。マイナンバーカードで特別定額給付金の電子申請を行うために、サイト訪問者数が急増していたと考えられます。

9位:個人番号カード総合サイト

9位にランクインした「個人番号カード総合サイト」は内閣府のマイナンバー総合サイトです。こちらも、6位の「公的個人認証サービス」と同様に、特別給付金申請にマイナンバーが必要であるため訪問者数が増加したと考えられます。

実際に、コンテンツランキングを確認しましょう。

「公的個人認証サービス」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

上位10位はマイナンバー申請や受け取りに関するページが目立ちました。特別定額給付金のオンラインの申請はマイナンバーカード保持者のみが利用可能であるため、マイナンバーカードの交付申請をする人が急増したと考えられます。その結果、マイナンバーカードの総合サイトである「個人番号カード総合サイト」が急上昇したと推測できます。

まとめ

最後に5月の急上昇サイトと、その増加要因をまとめます。

1位のExpressVPNは、テレワークの普及によってサイト訪問者が急増したと考えられます。自粛期間にテレワークをするために、VPN業界トップのExpressVPNを導入する人や導入を検討する人が増えたと推測できます。

特別定額給付金に関連するサイトも目立ちました。2位のマイナポータル、6位の公的個人認証サービス、9位の個人番号カード総合サイトは、いずれも10万円特別定額給付金にオンラインで申請する人が増加したことで、急上昇サイトにランクインしたと言えます。

また、LINE MUSIC 公式noteがランクインした4月に続き、今月もLINE Pay 公式ブログがランクインしました。こちらは、ポイント還元によるベネフィットで消費者心理を刺激し、訪問ユーザー数を増加させたと考えられます。

本記事のデータはWeb行動ログ調査ツールのeMark+を使用しています。急上昇サイト分析機能は無料ですので、より詳細なデータを知りたい方はぜひ見てみてください。

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この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
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