コロナ禍でライフスタイルが大きく変化した方も多いのではないでしょうか。
そのような中、消費者にとっては「(これまで気づかなかったが、実はあった)家の課題を認識する機会」があり、企業側にとっては「(これまで見えづらかったが、実はあった)多様なニーズが表れる機会」の発見があるのではないか?という、マーケティングコンサルタント・高岡の提言より、セミナーはスタートしました。
図:スピーカー紹介
図:セミナーテーマ
ライフスタイルの変化によりメディア接点増加、家への関心も増加?
外出自粛や在宅勤務が広がり、ライフスタイルは変化を余儀なくされました。その間、増加したのはメディアへの接点。2020年3月以降、利用時間が特に増加したのは、テレビ55.3%とインターネットPC:45.5%|スマホ・タブレット:64.1%という結果に。
図:メディアの接点(アンケートデータ)
中でもインターネットを通じてのWeb閲覧状況をみてみると、UU数の伸長率において、「家具雑貨、生活レシピ、家電カテゴリ」が上位に上がっていました。
図:メディアの接点(ログデータ)
続いて、同時に増加したという「家への関心」について見てみましょう。コロナ禍における休日、余暇の過ごし方をアンケート調査したところ、「家でできる運動」「掃除」「お菓子作り」などが上位に上がる結果となりました。
図:家への関心(アンケートデータ)
Webログデータでは、3月〜5月の「家」を含む項目に関するキーワード検索数が増加。
特に、在宅勤務に関係してか、若年層の働き盛りと言える20代〜30代に関心の増加が見られました。
図:家への関心(ログデータ)
高岡:「「メディアへの接点」と、「家への関心」を掛け合わせたデータで見えてきた行動ログにより、「住まい」領域においてネットがチャネルとしてますます重要になっていると言えます。
こういったデータをさらに注視・観察することで、消費者との接点や、思いがけないインサイトを発見する重要な機会として大いに活用できればと考えます。」
続いては、「住まい」領域の中から項目を「家電」「家具・住設」に絞り、それそれを深掘りしていきます。
家電分野での消費者行動の変化は?家電ECサイトが大幅伸長
まず「家電」に焦点。「家電」関連で多く閲覧されていたのは家電量販店のECサイトでした。これらは、外出自粛等により、店舗に行きづらいためか、ECサイトで買う動きが盛んになったと推測されます。
実際に、ビックカメラは4月の前年同月比117.7%、ヨドバシカメラは71.6%、JOSHINは64.8%といった電機店のECサイトが伸長しています。
図:家電カテゴリサイト上位一覧表
続いて検索されている商品について深掘りしてみましょう。
高岡は消費者の商品検討行動の動機において、「①コロナ対策関連」「②余暇時間の充実関連」「③家の中の課題解消関連」の3つのニーズに分かれていると語りました。
図:閲覧が増えた商品ランキング(2020年3月〜5月)
高岡:「「家電」における消費者変化としては、圧倒的に家電ECサイトが伸びていたことが言えます。
そして、商品検索ニーズは先に提示した3つの通りですが、「②余暇時間を豊かにする」というニーズも「③家の問題に気づいて対策を打つ」も、それぞれ目的は違えど、間接的にはコロナ対策に結びついていたという特徴がありました。」
「家電」全体を俯瞰して見ると、このコロナ禍の生活様式の中で、今までは消費者も強く意識していなかったニッチなニーズが顕在化しているのではないかと推測できました。
図:家電における消費者変化のまとめ
家具・住設分野での消費者行動の変化は?時流を捉えたLOWYAに注目
続いて「家具|雑貨、オフィス用品、住設」について見てみましょう。
まず、家具・オフィス用品・ホームセンターの通販が昨対比で大きく伸長。特にLOWYAは3月〜5月共に伸長しており、LOWYAの「仕事環境」と「おうち環境」の両面を整える家具の販売というバランスの良さと、有効な広告などから時流に乗った集客が成功していると推測されました。
同様に月別の伸長をみると、家具・オフィス用品は3月、4月にかけて伸長し、住設分野のパナソニック、LIXIL、TOTOなどは5月に復調の傾向を見せています。
高岡:「在宅時間の長さから、家での時間をより快適にしたいという消費者の認知・検討も進んでいるのではという仮説がたてられます。雑貨だけではなく高額な住設にも徐々に消費者が戻ってくるのではないでしょうか。」
図:家具・雑貨の上位詳細
図:家具・オフィス用品・住設の上位詳細
総じて、ライフスタイルの変化から家の問題が顕著化し、そこから問題解消のために消費者の行動変化が起きたと考えられます。
さらに検索周辺のWeb行動を分析すると、ニッチなニーズで商品検討が高まったとの例があった一方、全く関連のない商材にもニーズが飛び火しているという現象も現れたとのこと。いずれも「家の課題」をまとめて改善するための消費者行動が垣間見えたと言えそうです。
図:家具・住設における消費者変化のまとめ
まとめ
ライフスタイルの変化により、ニッチな商材へのニーズも高まり、商材検討の時間も豊富にあるこのコロナ禍。スピーカーも「企業としては闘う軸の変化の時期とも言える」と表現したこの混沌とした時に、実に多様に変化した消費者行動を、どのようにして有効なマーケティングに繋げていくかが大きな課題と言えるでしょう。
高岡:「withコロナにおけるアウトプットで重要なインプットは、「ライフスタイル変化の影響」に「自社製品のUSP」をどのようにクロスさせるのかに尽きると思われます。そして、その二つが接続する点を捉えて「who・what・how」を整理することで有効な戦略に生かせるのではないかと考えます。」
図:コロナをきっかけとした消費者変化まとめ
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マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。