「代餐食品」(食事代替品)が人気を集めた理由とは
「代餐食品」(食事代替品)が人気を集めた一つ目の理由は、食事の時間を確保できず、「ご飯を軽めに済ませたい」と考える人が増えたからです。
885勤務(8AM出勤8PM退社5日勤務)や996勤務(9AM出社9PM退社6日勤務)の人が増加してきたことで、それに関連して、仕事を早く終わらせ、「食事代替品」を活用するサラリーマンが増加しています。
二つ目の理由は、肥満人口の増加です。
iiMedia Researchのデータによると、中国では肥満人口(BMI>30)が6000万人を超え、過体重人口(BMI>25)は2億人に上っているという現状があり、男女問わずに「ダイエット」ブームが続いています。
「代餐食品」の定義に関して、中国大人気の栄養機能食品ブランド「ffit8」を立ち上げた張光明さんによると、「future food」、「fast food」、「fashion food」が「代餐食品」の意味にはあります。
「future food」は若者を中心、「fast food」は手軽を中心、「fashion food」はトレンドを中心に展開しており、その中でも、機能的に主食の代わりになる「fast food」は「食事代替品」の一般的意味ですが、中国市場に進出した結果、様々なトレンドに合わせて多様な意味を持つようになりました。
「代餐食品」(食事代替品)の人気ブランドは?
中国国内の食事代替品市場で発売される商品は主に2つのコンセプトあります。
一つは、プロテインバーや栄養ドリンクなど「単品」形式で販売するもので、もう一つは、何日間の食事代替品をセットで販売する「ボックス」形式です。
「ボックス」形式はダイエットなど、特定の目的があり、短期間で痩せたい人を対象にしており、「単品」形式は一食のみ食事代替品に食事を置き換えたい消費者へのニーズに応えているため、作られました。
それではここで、最近中国で人気のブランド「ffit8」「Smeal」「若飯」について紹介していきたいと思います。
■プロテインバー「ffit8」
食事代替品ブランド「ffit8」
「ffit8」では、「単品」形式で、タンパク質豊富のプロテインバーを発売しています。
GymSquareの調査によると、国際的な考え方では男性が一日70~110g、女性が65~90gのタンパク質摂取量が必要ですが、ご飯や麺類を中心に食事生活を過ごしている中国人は、平均のタンパク質摂取量が40gと大幅に基準を下回っていました。そのため、「ffit8」の商品はダイエットをしている人のみでなく、タンパク質摂取量が足りない人もターゲットとなります。
このように幅広い層の消費者をターゲットとする「ffit8」は、「中国最大のECセールの日」11月11日の前夜に、「2020年グルメブランド」の項目でトップ10に入ったことで注目を浴び、栄養ダイジェスティブビスケット部門で第1位に輝きました。
また、JD.com、T-mall、シャオミが展開するECプラットフォーム「小米有品」で、単月の売上が1000万元(約1億6000万円)を突破しました。
■代替ミルクシェイク「Smeal」
食事代替品ブランド「Smeal」
「Smeal」では、「代替ミルクシェイク」と呼ばれるドリンク系の「セット」商品を販売しています。味は、「抹茶ラテ」、「トリュフ」、「キャラメルコーヒー」など、人気ドリンクと一緒ですが、「低カロリー」をキャッチフレーズにしています。
これまで、乾燥食材や穀物をパウダー状に加工した「食事代替品」は35歳~40歳の消費者の中で一時的なブームを起こしましたが、現在の20代の若年層消費者が大半を占める「食事代替品」市場では、商品の「味」と「手軽さ」は勝ち残るためのポイントとなりました。粉末を水や牛乳に溶かして飲むよりも簡易化された「Smeal」の「NATOミルクシェイク」は、このような背景で生まれました。
シンプルなパッケージデザイン、工場からECに直売のビジネスモデルに加え、5000人のインフルエンサー、30人の芸能人とPR連携関係をとり、SNSマーケティングに力を入れた結果、一年間で6千万元(約9.6億円)の売上に繋がりました。
■食事代替品「若飯」
食事代替品ブランド「若飯」
「若飯」が目指したのは、最も栄養な食事代替品でした。
プログラマー出身の創業者伯恩氏は、常に多忙な生活を送り、食事代替品を頻繁に口にしていました。しかし、満腹感や栄養バランスから、多くの商品は伯恩氏の期待に応じことが契機となり、「まるでご飯のよう」を意味する「若飯」というブランドを立ち上げ、ダイエットではなく、栄養摂取のためのドリンク系「食事代替品」を目指して商品の開発を進めてきました。
朝食バージョンから夕食バージョンを展開し、プロテインバー、液体ドリンク、パウダーセット三種類まで揃えた「若飯」は、大規模なPR活動こそ行っていませんでしたが、男性のサラリーマン、医者、警察など忙しい毎日を過ごしている職業の人々に大人気です。
まとめ
中国の人気ソーシャルECアプリREDでは、食事代替品に関する投稿が20万件を越えました。
ペプシコやネスレなどの海外ブランドもこの食事代替品ブームを狙って次々と新商品を発売し、多くの食品メーカーが「代餐食品」(食事代替品)」市場に進出してきましたが、消費者にとって圧倒的なトップの魅力を誇るブランドは未だ存在しないようです。
その理由は、「代餐食品」(食事代替品)と言えるものは、プロテインバーや栄養ドリンクの他、インスタントラーメン、果物などと種類が多岐にわたり、消費者認知によって「代餐食品」(食事代替品)が変わっていきます。
この「代餐食品」(食事代替品)ブームは、多様化したマーケティング 戦略や、ライフスタイルの変化によって人々に広く親しまれると予想できますが、「業界」として定義づけられていない現状もあります。
<参考文献>
1、「代餐有哪些消费趋势?听三家头部代餐公司说一说
https://www.toutiao.com/a6837286901842444807/
2、「“逆人性”的代餐,2个月融资数亿,是泡沫还是风口?」
https://www.toutiao.com/a6864489894971081229/
3、「喝了一年的代餐,这是我的体会」
https://www.toutiao.com/a6737185744361619975/
中国出身の留学生。慶應義塾大学に在学中。