ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用し世界でユーザーが急拡大しているSNS「Mastodon(マストドン)」の利用状況に関する調査を行いました。
分析概要
分析概要
ネット行動ログとユーザー属性情報を用いた検索キーワード分析サービス「【eMark+】Keyword Finder」、競合サイト分析サービス「【eMark+】Site Analyzer」、ターゲットユーザー分析サービス「【eMark+】Target Focus」を使用し、2017年4月における「マストドン」関連の検索キーワードと、ユーザー数の多い3つのインスタンスに着目して調査を行った。
※キーワード検索者数やサイト訪問者数、セッション数はPCからのアクセスを集計し、VALUES保有モニタでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
考察サマリ
■PCにおける「マストドン」での検索ユーザーは2017年4月に急上昇、若年層が中心。
ドイツのプログラマー、オイゲン・ロッコ氏が開発し、今年の3月から4月にかけて世界で急拡大しているSNS「マストドン」。コミュニティごとにサーバー(インスタンス)が作成され、管理者が自由に運営できる新しい仕組みが注目されています。日本では、一人の大学院生が自宅サーバーで「mstdn.jp」というマストドンを立ち上げたところ、2日足らずで世界最大のインスタンスになってしまったことから話題になりました。いったいマストドンにはどのようなユーザーが興味を持っているのでしょうか。
まず、2017年2月~4月の「マストドン」の検索者数を出すと、3月までほぼゼロだった検索者数が4月から約24万人まで急増しています。さらに検索しているユーザーの年代を見てみると、20代~40代が中心で、特に20代が多く反応していることが分かりました。
■日本の上位3インスタンスの新規ユーザーの多くはTwitterからの流入
次に、日本で最もユーザーを集めている上位3インスタンス(「pawoo.net」、「mstdn.jp」、「friends.nico」)について、ユーザーが初めて訪問した際の流入元について調査しました(データは2017年4月、PCのもの)。すると自然検索は少なく、外部サイトからの流入が多いことがわかりました。
上位3インスタンスの新規ユーザーの流入元構成
そこで外部サイトの内訳を見てみると、3インスタンス合算ではTwitterからの流入が非常に多いことが分かります。
インスタンスごとに見ると、ドワンゴの運営する「friends.nico」のみ、ニコニコ動画からの流入の方が多いという結果でした。
「pawoo.net」、「mstdn.jp」、「friends.nico」への流入元(外部サイト)上位5サイト(2017年4月)
流入の多かったTwitterとの併用状況を見ても、3つのインスタンスそれぞれで約96~98%という高い併用率になっています。これらの結果から、マストドンはTwitterとの親和性が高いことがうかがえます。
上位3インスタンス及びTwitterの併用状況(2017年4月、PC)
また、単独のインスタンスのみ利用しているユーザーは75%ほどでした。一方、それぞれのインスタンスを併用しているユーザーも一定数おり、インスタンスごとに別アカウントが必要となるマストドンでは、4人に1人程度が複数のインスタンスを利用している可能性が考えられます。
上位3インスタンス間の併用状況(2017年4月、PC)
■pixivの運営するインスタンス「pawoo.net」とpixiv公式サイトとは頻繁に行き来されている
最近では企業が運営するインスタンスも増えてきましたが、実際に企業の運営するインスタンスと公式サイトとは、どれほど頻繁に併用されているのでしょうか。例として、イラストコミュニケーションサービスを提供するpixivが運営している「 pawoo.net 」の閲覧前後30分以内に、ユーザーがどのサイトを見ていたかをランキングにしてみました。
すると公式サイト「 www.pixiv.net 」は上位3サイトに入っており、「 pawoo.net 」閲覧前にはユーザーの約47%が公式サイトを訪問していることがわかりました。さらに、閲覧後にはユーザーの約28%が公式サイトに訪問していました。このことから、pixivはうまく自サイトのコミュニティをマストドンで作り、ユーザーに頻繁に併用されていることがうかがえます。
「pawoo.net」接触前30分以内に見ていたサイトランキング上位3サイト
「pawoo.net」接触後30分以内に見ていたサイトランキング上位3サイト
Twitterとの相性の良さからみても、Twitterユーザーの多い日本において、企業がマストドンを自社サイトユーザーのコミュニティSNSとして立ち上げ、運営していくモデルケースが出来つつあると言えます。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。