中国「銀髪(シルバー)」層の生活実態を解説!

中国「銀髪(シルバー)」層の生活実態を解説!

中国のメイン購買層といえば、最初に思い浮かぶのは20代-30代の女性でしょう。しかし、最近、中国の「銀髪(シルバー)」層はインターネットとの親和性が高くなり、購買力も向上してきました。今回はこの銀髪層の生活実態をお伝えします。


「銀髪(シルバー)」層の定義

中国の定年退職は女性が50歳、男性が60歳のため、定年退職した人は銀髪(シルバー)層と呼ばれています。銀髪層は中国人口の2割弱を占めており、大きな人口ボリュームとなります。また、定年退職した彼らは時間的な余裕と経済的な余裕(平均年金額が中国全体の平均収入より高い)があります。

図1 60歳以上のネット人口

出典 CNNIC《中国互联网发展统计报告》

この銀髪層はどのような日常生活を送っているのでしょう。ヴァリューズが提供する独自の中国定性調査サービス「百路QIC(ヴァリュークイック)」で確認してみました。

銀髪(シルバー)層の生活実態

今回の調査対象者は以下の5人です。

対象者特徴

対象者特徴

まず、彼らの普段の1日の生活ぶりをみてみましょう

図2  百路QICの調査結果

図2  百路QICの調査結果

Bさんの生活ぶりを見ると、お孫さんの面倒を見ることが生活の大きな部分を占めており、昔ながらの中国のお年寄りのイメージとほぼ変わりません。

一方、ここで注目していただきたいのは、夕飯後に携帯を使う習慣です。Bさんによると、彼女は普段、Wechat、抖音(Tiktok)をよく利用しています。2021年10月銀髪層のエンターテインメントアプリランキングでもTiktokのUU数が最も多く、Kuaishouが次に続くことがわかりました。

図3 2021年10月銀髪層エンターテインメントアプリランキングTOP5

出典 QuestMobile《2021银发经济洞察报告》

もう一名、Eさんの生活ぶりをみてみましょう。

図4  百路QICの調査結果

図4  百路QICの調査結果

EさんはPinduoduoなどのECで野菜や食材を購入し、ECを活用している様子がうかがえます。Eさんによると、コロナ前はオフラインのスーパーで食材などを購入していましたが、コロナに入ってから、すべてECで購入するようになり、今はほぼ団地から出なくなったそうです。

このようにコロナに入ってから、銀髪層のEC利用が増えており、ECプラットフォーム側も対策をたてるようになりました。

 例えば、2021年のダブル11にアリババ系ECは初めて「長者の会場」を開設し、銀髪層向けモードを導入しました。このモードを利用する銀髪層はトップページからワンクリックで会場に入ることができ、会場ページの画像や文字も大きなサイズで表示されています。また、通常モードより情報が簡略化され、音声アシスタントも導入されています。

図5 ダブル11の「銀髪層モード」

図5 ダブル11の「銀髪層モード」

出典 Taobao

このように今までインターネットとの親和性が低いといわれている中国の銀髪層は、ネット利用が増えてきており、ECでの購買も活発化していきました。

最後に

今回ご紹介したのは【百路QIC(ヴァリュークイック)】で実施した調査結果の一部です。他には情報収集の利用媒体、パーソナルケア商品、健康食品の購買状況、購入チャネルの利用状況やお悩みについても調査しています。

図6 百路QICの実施概要

図6 百路QICの実施概要


すべての回答結果(日本語訳付き)は本稿を読んで頂いた方に無料で提供しております。ご関心のある方は下記のフォームからお申込みください。

回答データダウンロード|「百路QIC」による銀髪層の生活実態ワークショップ調査結果

資料のダウンロードURLを、ご入力いただいたメールアドレスに送付させていただきます。
ご登録頂いた方にはVALUESからサービスのお知らせやご案内をさせて頂く場合がございます。

この記事のライター

株式会社ヴァリューズ グローバルリサーチ推進室 データアナリスト 姜 茹楠(きょう じょなん)
中国北京市出身。2014年来日し、2017年にヴァリューズに入社。現在は中国をはじめとしたグローバルリサーチに携わっている。

関連するキーワード


中国市場

関連する投稿


中国シルバー経済の新傾向を調査

中国シルバー経済の新傾向を調査

日本と同様、年々高齢者の割合が高くなっている中国。中国民政部が発表した《2023年民政事業発展統計公報》によると、2023年末の時点で全国の60歳以上の人口は29,697万人に達し、総人口の21.1%を占めました。高齢者の増加に伴い、近年中国では“銀髪経済”(シルバー経済)という高齢者を主力とした現象が発生しており、高齢者の間で新たな生活様式が広がっています。


「感情」で消費する中国のZ世代

「感情」で消費する中国のZ世代

新型コロナウイルスが終息した後、経済が低迷しているように見える中国ではさまざまな新しい消費現象が現れています。以前から話題となっていたシティウォーク、ペット経済、リラックス感のあるファッションや「搭子社交」など、これらの現象をよく考えてみると、一つのキーワードに辿り着きます。それが「感情」です。社会的地位を証明するためにブランド品を追い求め、他人に自慢するのではなく、現在の中国のZ世代は、むしろ自己の癒しに注目し、一つの活動や商品を購入する際に自分に「感情的な価値」をもたらすかどうかを重要視しています。この現象は中国で「感情経済」を生み出すに至りました。本記事ではこの現象について詳しく紹介します。


掃除の悩みや求めることは同じ?中国における家庭の掃除意識を調査

掃除の悩みや求めることは同じ?中国における家庭の掃除意識を調査

コロナ禍が後押しとなって、中国において家庭掃除への関心が高まっています。その中でユーザーは掃除に関してどのようなことに苦労し、どのようなことを望んでいるのでしょうか。ヴァリューズ独自の中国定性調査サービス「百路QIC(ヴァリュークイック)」を用いて、ユーザーの本音を明らかにしました。


中国Z世代における消費観“情緒経済”の特徴とは|ホワイトペーパー

中国Z世代における消費観“情緒経済”の特徴とは|ホワイトペーパー

巨大市場中国。本調査は、中国の消費者の消費動向、購買実態や新しい消費トレンド、消費観を明らかにすることを目的として調査。中でもキーとなるのは、世代間比較。この比較を行うことで、“情緒経済”を重視していると言われているZ世代の特徴や、居住地域によるZ世代内の消費観の差について検討が可能となっています。海外展開事業担当者の方や中国Z世代向けマーケティングを考えている方必見のレポートです。※調査レポートは記事末尾のフォームより無料でダウンロードいただけます。


中国におけるAI。スポーツ、就職、人材育成での活用動向

中国におけるAI。スポーツ、就職、人材育成での活用動向

さまざまな文化、技術発展の速い中国。そんな中国人は新しい技術に対して楽観的な態度を持つことが多く、AI技術も例外ではありません。2023年にスタンフォード大学が発表したAI Index Report の調査結果によると、中国人はAIに対して最も楽観的な態度を持っています。AIがもたらす可能性のあるプライバシー侵害などのリスクよりもAIが生活をより便利にすることが信じられているようです。本稿では中国AI業界の最新情報を詳しく紹介します。


最新の投稿


SEO対策、企業の40%が重要視も実施率は25%未満【メディアリーチ調査】

SEO対策、企業の40%が重要視も実施率は25%未満【メディアリーチ調査】

株式会社メディアリーチは、企業のマーケティング課題を解明するための定期的な調査として、2024年11月に実施した『経営者・役員対象:SEO対策意識調査 2024・2025年』の結果を公開しました。


Z世代の6割以上は「SNS」が認知のきっかけに!特に「衣類・ファッション」はSNSで比較・検討を行う割合が高い【僕と私と調査】

Z世代の6割以上は「SNS」が認知のきっかけに!特に「衣類・ファッション」はSNSで比較・検討を行う割合が高い【僕と私と調査】

僕と私と株式会社は、全国のZ世代/Y世代/X世代を対象に、商品カテゴリー別のカスタマージャーニーに関する調査を実施し、結果を公開しました。


ポッドキャスト、マーケターの約8割が認知も活用は約1割!活用における課題は「制作ノウハウがない」が最多【オトバンク調査】

ポッドキャスト、マーケターの約8割が認知も活用は約1割!活用における課題は「制作ノウハウがない」が最多【オトバンク調査】

株式会社オトバンクは、企業のマーケティング担当者を対象に「ポッドキャストに関する調査」を実施し、結果を公開しました。


スイート&スパイシー「Swicy(スワイシー)」味の商品が続々と登場!アメリカで人気の背景とは | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年11月)

スイート&スパイシー「Swicy(スワイシー)」味の商品が続々と登場!アメリカで人気の背景とは | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年11月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、アメリカの食品業界で新たなトレンドワードとして注目されている「Swicy(スワイシー)」とその流行の背景について取り上げます。


DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

株式会社ecloreは、同社が運営する「ランクエスト」にて、データベース型サイト運営者を対象に、SEOの実施状況やその効果について調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ