市場の大きい3つのインターネット広告を解説
こんにちは。データマーケティングの会社・ヴァリューズのデータプロモーション局でコンサルタントを務めている利根川と申します。前職ではWeb広告代理店に勤めており、教育業界や女性向け商材を中心に広告の運用やマーケティングに携わっていました。ヴァリューズでもプロモーションの提案や運用、新人教育を中心に担当しています。
株式会社ヴァリューズ
マーケティングコンサルタント 利根川唯
Web広告代理店出身。大手教育業界クライアント様をはじめ、美容業界クライアント様を中心に主に女性をターゲットとする様々な業界で経験を積む。業界特性に合わせた運用型メディア全般のプランニング/実行を得意とする。
昨今急成長を遂げたデジタル広告は今や日常で目にしない日はないくらい私達の生活に溶け込んでいます。では、デジタル広告はこれまでどのように成長を遂げてきたのでしょうか。
そこで本連載では、デジタル広告にまつわる基礎的な内容を振り返ります。今回は、デジタル広告市場の中でもとりわけ流通金額の大きい3種類の広告、すなわち「検索連動型広告」「ディスプレイ広告」「動画広告」にスポットを当てて、実際にどのようなフォーマットや媒体があるのかをいくつか例を挙げ、特徴を踏まえて詳しく解説していきます。
これからデジタルマーケティングの業界で働く方や、あらためて基礎を身に着けておきたい方は、ぜひご自身の学びに役立ててみてください。
▼前回の記事ではインターネット広告の主要な5つの種類と3つの取引手法を解説しました。こちらもぜひ併せてお読みください。
インターネット広告の5つの種類と市場規模を解説!現場担当者が語るデジタル広告の基礎
https://manamina.valuesccg.com/articles/1645インターネット広告の市場規模や5つの種類、3つの取引手法について、ヴァリューズのマーケティングコンサルタント・利根川さんが解説します。現場の担当者の目線から語る、初学者にとっても分かりやすい内容。基本を学びたい方は必見です。
1.検索連動型広告のフォーマットと媒体
まず最初に、検索連動型広告について詳しく説明していきます。検索連動型広告は、検索キーワードに対応して表示される広告。リスティング広告とも言われます。検索結果の上部(及び下部)に表示される広告が該当します。
広告の掲載順位はオークション形式で決まります。具体的には、キーワードへの入札金額に加えてキーワードとの一致率、広告の関連性、ランディングページの利便性といったユーザビリティが加味された上で掲載される広告が決まります。
主な媒体としてはGoogle広告とYahoo!広告の2種類です。どちらの媒体の広告もタイトル、説明文、広告表示オプションの3つから構成されており、広告のフォーマットも2種類存在しています。Google広告とYahoo!広告の大きな違いとしては掲載場所が挙げられます。
以下、検索連動型広告の2つのフォーマットについて解説します。
Photo by Adobe Stock
■フォーマット1:拡張テキスト広告
※2022年の夏を目処にこちらのフォーマットは終了し、後述のレスポンシブ検索広告に統一されます。
広告見出し3つと説明文2つから構成されるテキスト広告です。見出しは半角30文字、説明文は半角90文字まで使用可能です。3つ目の広告見出しはデバイスの幅によって制限されることがあります。
■フォーマット2:レスポンシブ検索広告
拡張テキスト広告同様に広告見出し3つと説明文2つから構成されますが、拡張テキスト広告よりも多くのパターンを入稿でき、ユーザーに最も関連性の高い組み合わせの広告が自動的に表示されるようになります。
■検索連動型広告の例〜GoogleとYahoo!の違い〜
GoogleとYahoo!の検索連動型広告の例を下記に掲載します。いずれもフォーマットは変わりませんが、掲載場所はわずかに異なります。
Google広告の検索結果例
Yahoo!広告の検索結果例
2.ディスプレイ広告の配信手法とフォーマット
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリ上、ソーシャルメディアの広告枠に表示される、テキストや画像、動画広告のことです。各媒体ごとにアドネットワークと呼ばれるメディアを束ねたものが存在しており、それぞれ束ねているメディアが異なるため掲載先に違いが生じます。
ディスプレイ広告の主な媒体としては、Google広告、Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)、Facebook、Twitterなどが挙げられます。
■ディスプレイ広告の主な配信手法
ディスプレイ広告の配信手法には、キーワードに対応して掲載される検索連動型広告とは違い様々なパターンがあり、配信先を絞り込むことをターゲティングと言います。基本的にはユーザーに対する絞り込みと配信面に対する絞り込みが可能です。
以下に主な配信手法をまとめました。
ユーザーに対する絞り込み
リターゲティング |
一度サイトに訪問したユーザーに対する配信 |
アフィニティ |
ユーザーの興味関心や習慣に基づく配信 |
インテント | ユーザーが積極的に調べている情報や立てている計画に対する配信 |
デモグラフィック | ユーザーの性別や年齢に対する配信 |
配信面に対する絞り込み
プレースメント |
広告配信先のサイトURLに基づく配信 |
コンテンツ |
広告配信先のコンテンツの内容に基づく配信 |
■ディスプレイ広告の主なフォーマット
ディスプレイ広告のフォーマットにも様々なタイプがあります。以下で代表的なものを解説していきます。
①バナー広告
画像一枚の広告。一番イメージしやすい広告でもあるかと思います。広告枠に対応するサイズを用意する必要があります。300×250、728×90、160×600、320×50、300×600の 5サイズを用意するとディスプレイネットワークの95%をカバーできるため、優先的に準備をすることが多いです。
バナー広告の例
②テキスト広告
バナー広告と同様の枠にテキストだけで表示される広告です。画像を準備する必要がないので準備工数としては一番軽いものとなります。タイトルと説明文2つから構成されているシンプルな広告です。
③レスポンシブディスプレイ広告
画像とテキストを組み合わせて掲載される広告です。現在GoogleもYahoo!もこちらが主流となっています。
バナー広告やテキスト広告とは違い、広告枠に合わせる形で画像とテキストが組み合わされて掲載されるため、準備が最小限で済みます。また、機械学習により最適な組み合わせが決定されて出稿されるため、効率化できる点が最大のメリットといえます。画像だけでなく動画も使用することができ、画像よりも高いパフォーマンスが見込めると判断された場合、動画が使用されることもあります。
レスポンシブディスプレイ広告の例
3.動画広告
動画広告は主な媒体としてYouTubeが挙げられます。世界人口のうち約三分の一がYouTubeに毎月アクセスしており、影響力が大きいと言えます。YouTubeはGoogleのプラットフォームのため、Google広告から配信が可能です。動画広告もディスプレイ広告同様のターゲティングが可能で、フォーマットは大きく分けて3種類あります。
■動画広告の主な配信手法
以下に動画広告の主な配信手法をまとめます。
①インストリーム広告
動画のコンテンツ内(コンテンツ前後も含む)で流れる広告のことを指します。
スキップ可のものとスキップ不可のものがあります。スキップ可能なものは開始から5秒が経過するとスキップができるようになります。スキップ不可能なものは15秒以下の動画に限定されます。
②バンパー広告
動画のコンテンツ内(コンテンツ前後も含む)スキップ不可能な6秒広告です。非常に短い広告のため、幅広い視聴者に短いメッセージを伝える際に使用できます。
③アウトストリーム広告
動画のコンテンツ外で流れる動画広告のことを指します。ディスプレイ広告面に流れることもあります。
【関連】デジタルマーケティングの歴史を振り返る〜現場担当者が語るデジタル広告の基礎
https://manamina.valuesccg.com/articles/1629デジタルマーケティングの歴史を、ヴァリューズのマーケティングコンサルタント・利根川さんがまとめます。デジタル広告の発展の流れや、デジタルマーケティングの全体図について、現場の担当者が分かりやすく解説。基本を学びたい方は必見です。
まとめ
今回は広告の種類と媒体の特徴について紹介しました。インターネット広告は様々な配信手法があるため、パーチェスファネル(消費者の購買行動を「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入・申込」という4段階に分類し、図式化したもの)に併せてフォーマットを選ぶことが重要です。仕組みを理解し、目的に合わせた広告タイプを選んでいくようにしましょう。
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前職ではWeb広告代理店に勤めており、教育業界や女性向け商材を中心に広告の運用やマーケティングに携わっていました。業界特性に合わせた運用型メディア全般のプランニング/実行を得意としています。ヴァリューズでもプロモーションの提案や運用、新人教育を中心に担当しています。