「iPhone」と「Android」ユーザー数と属性の調査
本記事ではiPhoneとAndroidに関心を寄せるユーザーの違いを、Web行動ログのデータから読み解いてみます。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用います。
まずは、それぞれのワードを検索しているユーザー数を比較しましょう。
「iPhone」「Android」の検索ユーザー数(「Dockpit」画面キャプチャ)
期間:2021年5月〜2022年4月
デバイス: PC・スマートフォン
過去1年の推移を表す上記のグラフを見ると、月間の検索回数はiPhoneが平均約500万ユーザー、Androidが平均約150万ユーザーです。単純な比較では、iPhoneのほうがAndroidの3倍強の検索者数がある様子です。
つづいて、検索ユーザーの性年代別の属性データも見ていきます。
「iPhone」「Android」の検索ユーザー属性(「Dockpit」画面キャプチャ)
期間:2021年5月〜2022年4月
デバイス: PC・スマートフォン
検索者の性別のデータを比べると、iPhoneは男性53.7%、女性が46.3%と男女比がほぼ近しいですが、Androidは男性の検索者が64.1%と割合が高いことがわかります。
また年代のデータでは、iPhoneは20~40代までの層で同等の割合なのに対し、Androidは40代の割合が最も高いです。加えて、双方の検索ユーザーともに60~70歳以上のシニア層からは、若い世代よりも関心が薄い、という傾向もわかります。
「iPhone」と「Android」それぞれの検索意図
前章ではiPhone、Androidそれぞれの検索ユーザーの属性の違いを見てきましたが、それぞれの製品への関心は、具体的にどのような分野へ向いているのでしょうか。Dockpitの「掛け合わせキーワード」の機能を使って、ユーザーの持つニーズを深掘りしてみます。
まずは、iPhoneの掛け合わせ検索ワードから見てみましょう。
「iPhone」の掛け合わせキーワード(「Dockpit」画面キャプチャ)
期間:2021年5月〜2022年4月
デバイス: PC・スマートフォン
掛け合わせキーワード1位は「SE」で、iPhoneの廉価版モデルへの関心の高さが窺えます。他にも、4位「12」や5位「13」といったモデルのナンバリングや、12位「PRO」といったグレードの掛け合わせワードが登場しており、iPhoneについて調べるユーザーには各モデルや機種に対する一定の認知がありそうです。
また、2位「写真」や3位「アプリ」、7位「バックアップ」といったiPhoneの機能面に関するキーワードも多く見られます。こちらは、既にiPhoneを所持しているユーザーによって、端末操作や機能に関する検索が頻繁に行われていることが想像できます。
つづいて、Androidの掛け合わせキーワードも見ていきます。
「Android」の掛け合わせキーワード(「Dockpit」画面キャプチャ)
期間:2021年5月〜2022年4月
デバイス: PC・スマートフォン
1位「アプリ」というワードを見る限り、iPhone同様に既にAndroid端末を所持しているユーザーの検索は多い様子ですが、「写真」や「バックアップ」といったiPhoneに見られたワードは、あまり上位に登場ない印象です。前項でAndroidの検索ユーザーは40代の男性がボリュームゾーンだとデータが出ていましたが、端末操作に慣れたリテラシーの高いユーザーが多い可能性があります。
また、特定のモデル名や機種に関する名称も、iPhoneに比べると検索が少ないように見えます。唯一登場しているのは6位「ONE(Android ONE)」というGoogleの提供する安価な機種に関するワードだけです。その代わり、2位「スマホ」や3位「タブレット」といった、端末自体の種別に関するワードが出てきているのは特徴的です。
加えて、7位「おすすめ」という「どの機種を選ぶべきか」迷うユーザーが使う検索ワードが出てきているのも、iPhoneとの差異かと思います。Android OSを搭載したモバイル端末は国内外を問わず様々なメーカーから発売されているため、何を買うべきか検討しているフェーズのユーザーも多いのでしょう。
まとめ
今回の調査結果から、現在のスマホに対する興味関心はAndroidよりもiPhoneに対してのほうが大きく、iPhoneに関しては具体的な機種・モデル名の一般認知や関心も高い様子がうかがえました。一方、Androidは特定のセグメントからの支持はあるものの、現段階では「やや玄人好みな製品」と一般化ができていないイメージがあるようにも感じます。
1社がひとつの商品を推し続けるiPhoneは、それぞれの機種・モデル名に対する掛け合わせ検索が多く、iPhoneという大元のブランド名の認知がいかに高いかが窺えます。我々も日ごろから目にするように、「iPhoneの新作が出る」となれば盛んな報道もされますし、国内で一般化したブランド名が、幅広い層の継続顧客を得ている要因のひとつになっていると思います。
Androidは、ユーザーがどの点で自身の機種を選ぶべきか、その差別化を行う事がセールスにおいて大事なのではと感じます。iPhoneと比較して特定の機種・モデル名の掛け合わせ検索が少ないことから、しっかりとターゲットを据えた上での特徴的な製品と、その製品名のブランディングが競合に差をつける一手になるのではないでしょうか。
一方、2つの製品の違いにばかり目が行きがちですが、「スマートフォン」という大きな括りで考えた際に共通するポイントも出てきたように思います。例えば、どちらも廉価モデルへ興味を持つユーザーが一定数いることや、シニア層へのリーチはまだまだ伸長する余地がありそうですね。
本調査が、皆さんのマーケティング業務や市場調査などに役立ちますと光栄です。
【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2021年5月〜2022年4月
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス
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▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
国内大手の採用メディア制作部を経てフリーライターとして独立。現在はWebマーケティング、就職・転職、エンタメ(ゲーム・アニメ・書籍)等の各種メディアにて記事制作を担当。「マナミナ」では一人でも多くの読者に楽しく読んでもらえるマーケティングコンテンツを提供していきます。