2022年5月後半はコロナ以前の水準にまで回復
※本調査は当メディア「マナミナ」を運営するヴァリューズが2021年12月に公開した調査の2022年度版となります。
まず、旅行に関してオンライン上で検討している人の動向を、時系列で確認していきます。調査手法としては、前回同様ヴァリューズが独自に定義した「国内の旅行関連サイト全体」へ検索流入している人を抽出し、日次の推移をプロットしました。
それでは、2022年の検索者数の推移を見ていきましょう。
(下のグラフの青い折れ線が2022年となります。)
2022年に入り、全国的に新型コロナの新規感染者が拡大し第6波に突入したことで、一度は増加した検索ユーザー数も、その影響で減少していることがわかりました。また、多くの地域で1月6日以降「まん延防止等重点措置」が適用されたことの影響も大きく、オンラインでの検討行動も1月から2月にかけては減少傾向であることが読み取れました。
しかし、3月に入るといくつかの地域で「まん延防止等重点措置」が解除されたこともあり、ユーザー数が増加。3月22日には全ての地域で「まん延防止等重点措置」が解除されたことや、都道府県が実施する旅行割引キャンペーンの「県民割」の効果もあり、4月は大きく回復。
そして、3年ぶりの行動制限なしのGWということもあり4月後半や5月前半はコロナ以前(2019年)の水準まで戻ってきていることがわかりました。
さらに、直近の5月後半も2019年の水準にまで戻ってきていることから、コロナ禍で抑制されていた旅行ニーズはかなり回復傾向にあることがうかがえます。
旅行関連サイトへの検索流入者数の推移
※2019年:グレー、2020年:オレンジ、2021年:赤、2022年:青
新規感染者数と旅行検討行動は負の相関関係
さらに、新型コロナの新規感染者数とオンラインでの旅行検討行動がどんな関係にあるのかも見てみました。
緑の点線は2022年の日本国内の感染者数の推移(※)を表しています。青い折れ線が2022年なので、それと比較したところ新規感染者数が増加するとオンラインでの検討行動が減少し、逆に新規感染者数が減少するとオンラインでの検討行動が増加するという負の相関関係が成立していました。
このことから、感染者数が増加すると多くのユーザーは検討行動を自粛する傾向にあることが読み取れます。
※単位は推計検索流入者数とは異なります。
旅行関連サイトへの検索流入者数の推移、日本国内の新規感染者数推移
※新型コロナ新規感染者数については【NHK 特設サイト】より
「宿泊 予約」が好調。OTAサイトのニーズが増加
最後に、ヴァリューズが独自に定義した「旅行・交通・レジャー業界」の中から、「旅行 予約」「宿泊 予約」「交通 予約」の3つのカテゴリを例に挙げて回復の兆しを見つけたいと思います。
2022年に特に伸びているのはどのカテゴリでしょうか?
共通して言えるのは、2022年1月と2月は「まん延防止等重点措置」適用の影響もあり減少傾向でしたが、「まん延防止等重点措置」が解除された3月は増加に転じていました。
ただ、4月以降はカテゴリに差が出ていることが特徴的でした。
3つのカテゴリを比較すると、「宿泊 予約」と「交通 予約」は好調で、特に「宿泊 予約」はコロナ以前の2019年を大きく上回っていることから、ネット上で自分の好みやこだわり条件を指定して宿泊先を検討できるOTAサイトのニーズが増えているのではないでしょうか。
「旅行 予約」カテゴリは4月は増加し、5月は微減。ただし、コロナ以前の水準までは戻らず。
※「旅行 予約」カテゴリにはじゃらんnet、楽天トラベル、Yahoo!トラベル、JTB、阪急交通社などが含まれます
「旅行 予約」カテゴリのユーザー数推移
期間:2019年4月~2022年5月
デバイス:PCおよびスマートフォン
「宿泊 予約」カテゴリは4月から5月にかけて増加。コロナ以前の水準を大きく上回る。
※「宿泊 予約」カテゴリには一休.com、Booking.com、agoda、ゆこゆこネットなどが含まれます
「宿泊 予約」カテゴリのユーザー数推移
期間:2019年4月~2022年5月
デバイス:PCおよびスマートフォン
「交通 予約」カテゴリは4月、5月は減少。ただ、コロナ以前の水準を上回って推移。
また、このカテゴリは3月に大きく伸びており対前月比が1.5倍近くとなっていました。これは、一部の地域で3月6日に「まん延防止等重点措置」が解除され移動の自粛要請が終了したことをきかっけに、鉄道やバスなど移動手段のニーズが高まったことが考えられます。
「交通 予約」カテゴリのユーザー数推移
期間:2019年4月~2022年5月
デバイス:PCおよびスマートフォン
■移動手段は公共機関からパーソナルな手段へ
「レンタカー 企業」カテゴリのユーザー数推移のデータからは、コロナ禍の行動変容の1つとして挙げられる"移動手段の変化"も読み取れました。
2020年は新型コロナの感染者数が拡大してきた頃からユーザー数が伸びており、8月~10月にかけて400万人以上で推移していることがわかりました。2021年も勢いは止まらず、コロナ以前の水準を上回っていました。さらに、2022年も順調に推移しており、3月の春休みや5月のGWと、長期休暇がある月は400万人以上となっていました。
これは、コロナ禍で電車やバスなどの公共交通機関の利用が控えられ、自家用車やレンタカー、カーシェアなどパーソナルな移動手段の利用へとシフトしていることが言えそうです。
「レンタカー 企業」カテゴリのユーザー数推移
期間:2019年4月~2022年5月
デバイス:PCおよびスマートフォン
まとめ
今回は、2022年のオンラインでの旅行検討行動がどう変化したかについて見てみました。結果的には、コロナ禍で抑制されていた旅行ニーズはかなり回復傾向にあることがわかりました。
カテゴリで見ると、OTAサイトなどの「宿泊 予約」が人気で、移動手段としてはレンタカーやカーシェアなどの需要が伸びていることがわかりました。
6月には訪日外国人観光客の受け入れが再開、7月前半からは「県民割」の行き先が全国に拡大されたりと、地域の観光活性化が一歩ずつ前に進んでいることがわかります。経済活動が本格的に再開した今、旅行需要のさらなる回復に期待したいです。
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