他社比較表とは?その必要性は?
他社比較表とは、競合分析した結果をいくつかの軸で整理し、自社と競合他社の特徴や強み・弱み、さらにはマーケティング戦略を比較する表です。他社比較表を作るのは、競合分析を行った後、差別化戦略やマーケティング戦略を策定するタイミングがオーソドックスです。
他社比較表によって、費用対効果が高い製品・サービスを求めている顧客に対しての購買決定要因(KBF:Key Buying Factor)を見つけやすくなります。そのため、自社の製品やサービスが選ばれやすくなるメリットがあります。
そのほか、自社においては営業陣が自社製品・サービスの優位性をアピールする際に他社比較表があることで、より伝えやすくなります。また、社内でマーケティング戦略を共有しやすくなる利点もあります。
市場での競争を生き残るために欠かせない競合分析。マーケティングで効果を出すためにポイントとなる競合分析の進め方や、効率的な分析に役立つフレームワークを紹介します。
他社比較表作成の流れ
他社比較表の作成にあたっては、まずSTP分析にて参入する市場をセグメントします。その後、顧客に手にとってもらう、購買してもらうための方策を4P分析やSWOT分析によって決定します。
ここで他社比較表に特化するのであれば、購買決定要因(KBF)を抽出しやすい、4P分析がおすすめです。
■STP分析:参入市場をセグメント
STP分析とは、Segmentation・Targeting・Positioning(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)の頭文字を取ったもので、市場を細分化し、その中でターゲットにする市場(顧客)を選定し、最後に競合に対して自社が優位なポイントを確認するためのフレームワークです。
STP分析の詳細については、こちらをご参照ください。
STP分析はマーケティングのフレームワークで、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの頭文字を取ったもの。新規参入にあたって、市場全体の中でどの分野を狙い、自社が競争優位なポジショニングはどこかを決めるのに役立ちます。
企業が具体的にどのようなSTP分析を行っているのかは、こちらの「ライフネット生命のマーケティング戦略事例」や「横浜DeNAベイスターズのマーケティング戦略事例」がわかりやすくなっています。
自社製品・サービスを普及させるためにはマーケティング戦略が必要です。その重要性、必要性は理解していても実際に戦略を立案する段になるとどうすればよいのか悩まれるのではないでしょうか?こうした場合は、マーケティング戦略の事例、とりわけ成功事例をもとに考えるのが効率的です。
■4P分析:自社と他社の現状や差別化要素の明確化
顧客にとっての購買決定要因(KBF)、つまりどんな商品をいくらでどの市場や流通でどのように売るか、という商品・サービスの提供側がアクション可能な要素に対して、自社と他社の現状や差別化要素を分析するフレームワークが4P分析です。
4Pとは、Product(製品)Price(価格)Place(流通)Promotion(プロモーション・販売促進)の4つの頭文字を取ったものです。4P分析によってニーズを満たした製品を、適切な価格で適切な流通で効率のよい販促につなげられます。
4P分析は企業が販売戦略を決める際に使わるマーケティング戦略のフレームワーク。4P分析はProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の頭文字を取った用語です。ニーズを満たした製品を、適切な価格で適切な流通で効率よく販促できれば、売上拡大につながります。
■SWOT分析:事業を取り巻く要因を整理
もうひとつの自社製品やサービスを顧客に選んでもらうための方策を考えるためのフレームワークがSWOT分析です。こちらは「内部環境か外部環境か」と「事業にとってプラス要因かマイナス要因か」の2×2軸で4つに分類することで、事業を取り巻く要因を整理し、市場の状況や事業の課題の認識、そして、自社の事業戦略を見つけるものです
他社比較表をどこで用いるか?
資料としての他社比較表がよく用いられるのは、商談や営業の提案の場です。とくにBtoBビジネスの場合、相見積りが一般的になっており、その場合、顧客が対象となる企業ごとの特色や自社が受けられる恩恵を調査するのは手間であると考えます。そこで、事前に顧客に現状と課題をヒアリングしておき、それに対しての他社比較表を作成します。この課題が購買決定要因(KBF)となる可能性が非常に高くなるため、選定してもらえる期待度が高くなります。
このほか、コンペの段階においても他社比較表を用意しておけば顧客の手間を省きつつ、自社製品・サービスのメリットのアピールを行い、心象アップに期待が持てます。
他社比較表の作り方
「他社」比較表なので、まずは他社、競合他社をピックアップする作業が大前提となります。この際、自社との直接的な競合だけではなく、間接的な競合もピックアップするのが望ましいです。
■STEP1:ファイブフォース分析(5フォース分析)で現状を把握
「競合他社」「新規参入」「代替品」「売り手の力」「買い手の力」という5つの要素によって自社が置かれている環境を整理・分析したのち、マーケティングにおいて自社のリソースをどのように振り分けるかを検討するのに用いるフレームワークです。これによって自社の売上や利益の上げやすさについて分析を行います。
市場における自社の強み・弱みや他社の戦略を把握するために行う「競合調査」。ビジネスの競合調査でよく使われているフレームワークは、3C分析・SWOT分析・ファイブフォース分析(5フォース分析)・PEST分析・バリューチェーン分析・4P分析の6つです。本稿では、各フレームワークの概要と分析方法、使い分けをご紹介します。
■STEP2:3C分析で市場環境を把握
Customer(市場・顧客)Company(自社)Competitor(競合)という3つ「C」の要素から市場環境を把握する手法です。顧客のニーズや市場のトレンド、競合の強み・弱みなどを踏まえた、効果的な戦略を打ち出すためのフレームワークです。
3C分析とは?具体例でわかりやすく、SWOT分析との関係も解説
https://manamina.valuesccg.com/articles/5123C分析とは、マーケティング戦略立案にあたり、顧客・競合・自社の3つの要素から分析する手法です。顧客のニーズや市場のトレンド、競合の強み・弱みなどを踏まえた、効果的な戦略を打ち出せるようになります。 本記事では、3C分析の具体例(マッチングアプリ)とやり方、目的、注意点を解説します。「3C分析をわかりやすく理解したい」、「SWOT分析との関係性を知りたい」方は最後までお読みください。
3C分析にて市場環境の情報を抽出したのち、先ほど紹介したSWOT分析も用いて自社の強み・弱みをまとめればさらに効果的です。
なお、3C分析を一つのツールで行えるマーケティングダッシュボードサービスもあります。ヴァリューズが提供する「Dockpit」は競合の分析だけでなく、業界分析や潜在的な顧客ニーズまで把握できます。250万人規模のインターネット行動ログデータ(検索ワード・閲覧ページ・滞在時間など)から、3C分析に活用することが可能です。無料版もあり、下記のボタンから登録するとすぐにお試し頂けます。
■STEP3:他社比較表に入れる項目を検討
STEP1〜2のフレームワークを利用して分析を進めていくと、顧客のKBFが浮かび上がってきます。それを他社比較表に入れるようにします。なお、このときに自社の弱みや不利な点を除外しないことが肝心です。こうしたネガティブポイントを隠すと、それが判明した場合に自社の信用低下につながります。
こうしたネガティブなポイントについては別途それを補足する資料を用意するなどし、プレゼンや商談の場できちんと説明することによって、そのネガティブさの緩和を期待できます。
他社比較表を営業で活用する方法
営業で他社製品・サービスとの優位性をアピールする場合、案件ごとに都度他社比較表を作っていては非効率的です。内部資料として持っている他社比較表を元に、顧客のニーズを解決できることや自社の製品・サービスの強みを強調する営業資料に落とし込みましょう。
自社製品やサービスのプレゼン、商談が1回だけ、というケースは少ないでしょう。1つの製品やサービスでも複数回PRの機会があるはずです。したがって、営業資料は1回作れば完了、とはなりません。
プレゼンや商談がまとまらなければ、他社比較表の見直しのほか、アピールの際のセールストークや提案が適切かといった部分も再確認する必要があります。
また、他社比較表を継続して利用する場合、つねに競合他社のリサーチを行い、表内の内容を点検して自社の強みをキープできているかをチェックしつづけなければなりません。
まとめ
他社比較表は、自社内でのマーケティング戦略の策定・共有に役立つとともに、顧客(消費者以外にも取引先企業も含む)に対し、論理的かつ視覚的に購買決定要因(KBF)を明らかにする表です。
他社比較表の作成にあたっては、STP分析で参入する市場をセグメントし、実際に購買してもらうための方策をSWOT分析や4P分析を用いて決めます。そこから、ファイブフォース分析で競合を、そして3C分析で市場環境を把握した上で購買決定要因(KBF)を絞り込んで表に落とし込む、という流れになります。
他社比較表は一度作成すれば完成ではなく、つねに市場調査を行って自社が優位性を持っているところに変更がないか、などチェックを怠らないようにするのが重要です。
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