競合分析の強力な味方「他社比較表」について解説

競合分析の強力な味方「他社比較表」について解説

競合分析で用いられる「他社比較表」について。競合分析は分析して終わりではなく、ビジネス上の意思決定に使われます。競合分析の結果をわかりやすく表現するには「他社比較表」を用いると便利です。


他社比較表とは?その必要性は?

他社比較表とは、競合分析した結果をいくつかの軸で整理し、自社と競合他社の特徴や強み・弱み、さらにはマーケティング戦略を比較する表です。他社比較表を作るのは、競合分析を行った後、差別化戦略やマーケティング戦略を策定するタイミングがオーソドックスです。

他社比較表によって、費用対効果が高い製品・サービスを求めている顧客に対しての購買決定要因(KBF:Key Buying Factor)を見つけやすくなります。そのため、自社の製品やサービスが選ばれやすくなるメリットがあります。

そのほか、自社においては営業陣が自社製品・サービスの優位性をアピールする際に他社比較表があることで、より伝えやすくなります。また、社内でマーケティング戦略を共有しやすくなる利点もあります。

競合分析とは?必要性や具体的な進め方

https://manamina.valuesccg.com/articles/510

市場での競争を生き残るために欠かせない競合分析。マーケティングで効果を出すためにポイントとなる競合分析の進め方や、効率的な分析に役立つフレームワークを紹介します。

他社比較表作成の流れ

他社比較表の作成にあたっては、まずSTP分析にて参入する市場をセグメントします。その後、顧客に手にとってもらう、購買してもらうための方策を4P分析SWOT分析によって決定します。

ここで他社比較表に特化するのであれば、購買決定要因(KBF)を抽出しやすい、4P分析がおすすめです。

STP分析:参入市場をセグメント

STP分析とは、Segmentation・Targeting・Positioning(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)の頭文字を取ったもので、市場を細分化し、その中でターゲットにする市場(顧客)を選定し、最後に競合に対して自社が優位なポイントを確認するためのフレームワークです。

STP分析の詳細については、こちらをご参照ください。

マーケティングの基礎!STP分析を使った市場参入

https://manamina.valuesccg.com/articles/553

STP分析はマーケティングのフレームワークで、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの頭文字を取ったもの。新規参入にあたって、市場全体の中でどの分野を狙い、自社が競争優位なポジショニングはどこかを決めるのに役立ちます。

企業が具体的にどのようなSTP分析を行っているのかは、こちらの「ライフネット生命のマーケティング戦略事例」や「横浜DeNAベイスターズのマーケティング戦略事例」がわかりやすくなっています。

成功事例を参考に!マーケティング戦略が上手な企業

https://manamina.valuesccg.com/articles/1697

自社製品・サービスを普及させるためにはマーケティング戦略が必要です。その重要性、必要性は理解していても実際に戦略を立案する段になるとどうすればよいのか悩まれるのではないでしょうか?こうした場合は、マーケティング戦略の事例、とりわけ成功事例をもとに考えるのが効率的です。

4P分析:自社と他社の現状や差別化要素の明確化

顧客にとっての購買決定要因(KBF)、つまりどんな商品をいくらでどの市場や流通でどのように売るか、という商品・サービスの提供側がアクション可能な要素に対して、自社と他社の現状や差別化要素を分析するフレームワークが4P分析です。

4Pとは、Product(製品)Price(価格)Place(流通)Promotion(プロモーション・販売促進)の4つの頭文字を取ったものです。4P分析によってニーズを満たした製品を、適切な価格で適切な流通で効率のよい販促につなげられます。

マーケティング戦略で用いられる「4P分析」とは?

https://manamina.valuesccg.com/articles/623

4P分析は企業が販売戦略を決める際に使わるマーケティング戦略のフレームワーク。4P分析はProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の頭文字を取った用語です。ニーズを満たした製品を、適切な価格で適切な流通で効率よく販促できれば、売上拡大につながります。

SWOT分析:事業を取り巻く要因を整理

もうひとつの自社製品やサービスを顧客に選んでもらうための方策を考えるためのフレームワークがSWOT分析です。こちらは「内部環境か外部環境か」と「事業にとってプラス要因かマイナス要因か」の2×2軸で4つに分類することで、事業を取り巻く要因を整理し、市場の状況や事業の課題の認識、そして、自社の事業戦略を見つけるものです

他社比較表をどこで用いるか?

資料としての他社比較表がよく用いられるのは、商談や営業の提案の場です。とくにBtoBビジネスの場合、相見積りが一般的になっており、その場合、顧客が対象となる企業ごとの特色や自社が受けられる恩恵を調査するのは手間であると考えます。そこで、事前に顧客に現状と課題をヒアリングしておき、それに対しての他社比較表を作成します。この課題が購買決定要因(KBF)となる可能性が非常に高くなるため、選定してもらえる期待度が高くなります。

このほか、コンペの段階においても他社比較表を用意しておけば顧客の手間を省きつつ、自社製品・サービスのメリットのアピールを行い、心象アップに期待が持てます。

他社比較表の作り方

「他社」比較表なので、まずは他社、競合他社をピックアップする作業が大前提となります。この際、自社との直接的な競合だけではなく、間接的な競合もピックアップするのが望ましいです。

STEP1:ファイブフォース分析(5フォース分析)で現状を把握

「競合他社」「新規参入」「代替品」「売り手の力」「買い手の力」という5つの要素によって自社が置かれている環境を整理・分析したのち、マーケティングにおいて自社のリソースをどのように振り分けるかを検討するのに用いるフレームワークです。これによって自社の売上や利益の上げやすさについて分析を行います。

競合調査の代表的フレームワークを紹介!

https://manamina.valuesccg.com/articles/589

市場における自社の強み・弱みや他社の戦略を把握するために行う「競合調査」。ビジネスの競合調査でよく使われているフレームワークは、3C分析・SWOT分析・ファイブフォース分析(5フォース分析)・PEST分析・バリューチェーン分析・4P分析の6つです。本稿では、各フレームワークの概要と分析方法、使い分けをご紹介します。

STEP2:3C分析で市場環境を把握

Customer(市場・顧客)Company(自社)Competitor(競合)という3つ「C」の要素から市場環境を把握する手法です。顧客のニーズや市場のトレンド、競合の強み・弱みなどを踏まえた、効果的な戦略を打ち出すためのフレームワークです。

3C分析とは?具体例でわかりやすく、SWOT分析との関係も解説

https://manamina.valuesccg.com/articles/512

3C分析とは、マーケティング戦略立案にあたり、顧客・競合・自社の3つの要素から分析する手法です。顧客のニーズや市場のトレンド、競合の強み・弱みなどを踏まえた、効果的な戦略を打ち出せるようになります。 本記事では、3C分析の具体例(マッチングアプリ)とやり方、目的、注意点を解説します。「3C分析をわかりやすく理解したい」、「SWOT分析との関係性を知りたい」方は最後までお読みください。

3C分析にて市場環境の情報を抽出したのち、先ほど紹介したSWOT分析も用いて自社の強み・弱みをまとめればさらに効果的です。

なお、3C分析を一つのツールで行えるマーケティングダッシュボードサービスもあります。ヴァリューズが提供する「Dockpit」は競合の分析だけでなく、業界分析や潜在的な顧客ニーズまで把握できます。250万人規模のインターネット行動ログデータ(検索ワード・閲覧ページ・滞在時間など)から、3C分析に活用することが可能です。無料版もあり、下記のボタンから登録するとすぐにお試し頂けます。

dockpit 無料版の登録はこちら

STEP3:他社比較表に入れる項目を検討

STEP1〜2のフレームワークを利用して分析を進めていくと、顧客のKBFが浮かび上がってきます。それを他社比較表に入れるようにします。なお、このときに自社の弱みや不利な点を除外しないことが肝心です。こうしたネガティブポイントを隠すと、それが判明した場合に自社の信用低下につながります。

こうしたネガティブなポイントについては別途それを補足する資料を用意するなどし、プレゼンや商談の場できちんと説明することによって、そのネガティブさの緩和を期待できます。

他社比較表を営業で活用する方法

営業で他社製品・サービスとの優位性をアピールする場合、案件ごとに都度他社比較表を作っていては非効率的です。内部資料として持っている他社比較表を元に、顧客のニーズを解決できることや自社の製品・サービスの強みを強調する営業資料に落とし込みましょう。

自社製品やサービスのプレゼン、商談が1回だけ、というケースは少ないでしょう。1つの製品やサービスでも複数回PRの機会があるはずです。したがって、営業資料は1回作れば完了、とはなりません。

プレゼンや商談がまとまらなければ、他社比較表の見直しのほか、アピールの際のセールストークや提案が適切かといった部分も再確認する必要があります。

また、他社比較表を継続して利用する場合、つねに競合他社のリサーチを行い、表内の内容を点検して自社の強みをキープできているかをチェックしつづけなければなりません。

まとめ

他社比較表は、自社内でのマーケティング戦略の策定・共有に役立つとともに、顧客(消費者以外にも取引先企業も含む)に対し、論理的かつ視覚的に購買決定要因(KBF)を明らかにする表です。

他社比較表の作成にあたっては、STP分析で参入する市場をセグメントし、実際に購買してもらうための方策をSWOT分析や4P分析を用いて決めます。そこから、ファイブフォース分析で競合を、そして3C分析で市場環境を把握した上で購買決定要因(KBF)を絞り込んで表に落とし込む、という流れになります。

他社比較表は一度作成すれば完成ではなく、つねに市場調査を行って自社が優位性を持っているところに変更がないか、などチェックを怠らないようにするのが重要です。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連するキーワード


競合分析

関連する投稿


3C分析とは?具体例でわかりやすく、SWOT分析との関係も解説

3C分析とは?具体例でわかりやすく、SWOT分析との関係も解説

3C分析とは、マーケティング戦略立案にあたり、顧客・競合・自社の3つの要素から分析する手法です。顧客のニーズや市場のトレンド、競合の強み・弱みなどを踏まえた、効果的な戦略を打ち出せるようになります。 本記事では、3C分析の具体例(マッチングアプリ)とやり方、目的、注意点を解説します。「3C分析をわかりやすく理解したい」、「SWOT分析との関係性を知りたい」方は最後までお読みください。


競合分析とは?フレームワークを活用して効率的に分析する手法を紹介

競合分析とは?フレームワークを活用して効率的に分析する手法を紹介

市場での競争を生き残るために欠かせない競合分析。マーケティングで効果を出すためにポイントとなる競合分析の進め方や、効率的な分析に役立つフレームワークやツール・テンプレート、競合分析のまとめ方や活用方法を解説します。


3C分析の競合分析はどう進める?勝ち方や注意点、フレームワーク

3C分析の競合分析はどう進める?勝ち方や注意点、フレームワーク

3C分析のフレームワークは、自社のマーケティングや経営戦略に活かせます。中でも競合分析は「ライバル企業に勝つためにはどうしたらいいか?」「他社と差別化した商品・サービスとは何か」を考える上で重要です。本記事では、3C分析の競合分析に特化し、具体的な進め方や有名企業の事例を紹介していきます。


3C分析のやり方は?マーケティング戦略での必要性と実践のコツ

3C分析のやり方は?マーケティング戦略での必要性と実践のコツ

3C分析とは、経営戦略やマーケティングを練るために利用できるフレームワークです。多角的かつ客観的にビジネスを分析できます。本記事では、3C分析のやり方を中心に、スターバックスの事例や他のフレームワークを交えて解説します。


競合サイト分析に使えるツール12選(無料版も!)

競合サイト分析に使えるツール12選(無料版も!)

無料から有料まで競合サイト分析に使えるツールをまとめました。SEO対策や広告出稿の方法はさまざまですが、競合するサイトをベンチマークとして、自社サイトよりも優れている点やその要因を分析することも有効です。特にSEO対策を目的とした競合分析にあたっての考え方、競合分析に使えるツールを紹介します。


最新の投稿


タイのコーヒーの特徴とは?タイのコーヒー市場の現状やショップを紹介

タイのコーヒーの特徴とは?タイのコーヒー市場の現状やショップを紹介

近年タイではコーヒーブームが起こっています。バンコクには次々と新しいカフェができており、SNS映えする店内だけではなくコーヒーの味にもこだわりを持つカフェが増えています。実際に、起業してカフェオーナー兼バリスタになるのはタイでは一つのトレンドです。 近年、タイのコーヒー市場は右肩上がりに伸びており、タイのコーヒー市場は日本円で1440億円を超えると言われています。 そこで本記事では、タイのコーヒー市場の現状を読み解くとともに、タイでなぜコーヒーの人気が高まっているのかを、タイのコーヒーブームの歴史と共に解説します。


2025年上半期Z世代トレンド予想!Trepo、「ファッション」「グルメ」「コト・モノ」の3部門のランキングを発表

2025年上半期Z世代トレンド予想!Trepo、「ファッション」「グルメ」「コト・モノ」の3部門のランキングを発表

株式会社Creative Groupは、同社が運営するメディア『トレンドメディアTrepo(トレポ)』にて、10代~20代の女性を対象に、2025年上半期のZ世代トレンド予想調査を実施し、結果を公開しました。


ADK MS、「ゲーム総合調査レポート2024」を発表!最新のゲーム市況の把握から、ゲームプレイヤーの行動・心理の分析まで網羅

ADK MS、「ゲーム総合調査レポート2024」を発表!最新のゲーム市況の把握から、ゲームプレイヤーの行動・心理の分析まで網羅

株式会社ADKマーケティング・ソリューションズは、ゲームプレイヤーの心理・行動を分析し、分かりやすく彼らの実態を可視化した「ゲーム総合調査レポート2024」を作成し、公開しました。


スリープテック ~ 睡眠の質とテクノロジー

スリープテック ~ 睡眠の質とテクノロジー

疲労回復、毎日のコンディション管理に必要不可欠な「睡眠」。その睡眠、あなたは足りていますか?最近ではニュースでも多く取り上げられた通り、日本は世界規模での「不眠大国」。実に日本人の平均睡眠時間は経済協力開発機構(OECD)の加盟国33ヵ国の中で最下位とも言われています。そして睡眠はただ眠るだけではなく、経済とも大いに関わりがあるのです。本稿では広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が、良質な睡眠の鍵を解説します。


BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

株式会社PRIZMAは、全国のマーケティングコンサルタントを対象に、「BtoBマーケターが始めた方が良いこと」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ