2023年3月の急上昇サイトは?
こんにちは、マナミナ編集部です。まず早速、2023年3月の急上昇サイトランキングを見てみましょう。
2023年3月の急上昇サイトランキング (対象はPC&スマートフォン、「Dockpit」トレンド分析より)
なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用しています。
それでは、1位〜30位にランクインしたなかで、注目のサイトをいくつかご紹介します。
マウスピース矯正の不安・疑問に答えるコンテンツが集客のポイント
■2位:インビザライン|インビザライン・ジャパン株式会社
2位にランクインしたのは、「歯列矯正用マウスピース」のパイオニア企業である、米国アライン・テクノロジー社(Align Technology, Inc.) の日本法人「インビザライン|インビザライン ・ジャパン株式会社」でした。
この企業は歯列矯正用マウスピースの開発に加え、医師・患者双方が治療中に遠隔で使用できるデジタルツールを開発・提供しており、「デジタル歯科」の発展に貢献している点も特徴的です。
海外では一般的な治療になっているマウスピース矯正。金属で歯を固定するワイヤー矯正よりも、少ない通院で費用を抑えた治療を受けられることから、日本でも徐々に普及しています。
初めに、マウスピース矯正に興味があるユーザーはどんな年齢層なのか、Dockpitのキーワード分析を使って調べてみましょう。
「歯科矯正」「マウスピース矯正」検索ユーザー属性 年代(Dockpitキーワード分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
「歯科矯正」「マウスピース矯正」各キーワードで検索したユーザーと比較してみると、「歯科矯正」を検索したユーザーは20代~40代と幅広い一方、「マウスピース矯正」を検索したユーザーは20代~30代のユーザーが多いことが分かりました。
ではサイト流入が急増した「インビザライン」について、どんな年齢層のユーザーがサイトへ訪れているのかDockpitの競合調査で探ってみます。
「インビザライン」Webサイト ユーザー属性 年代(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
40代が1番多く、次いで60代のサイト訪問者が多いことが分かりました。インビザライン矯正は子供から大人まで適用していることから、子供にマウスピース矯正を検討する親世代が一定数サイトへ訪れているという観点も持つことができます。
続いて、どんなきっかけでサイトを訪れたのか、集客構造を見てみます。
「インビザライン」Webサイト 集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
ディスプレイ広告が82%と、1番多いことが分かりました。
どんな情報を求めてサイトに訪れているのか、ランディングページを調べてみます。
「インビザライン」Webサイト ランディングページ(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
最も多く流入しているのは、1位~3位の「インビザライン|インビザラインで始める歯列矯正」一般・患者用ページでした。インビザライン矯正の特徴や、診療可能な医院の紹介に加え、笑顔の写真を撮影すると治療後歯並びの整った顔をWeb上でシミュレーションする「インビザラインスマイルビュー」という独自サービスを掲載しています。
マウスピース矯正に興味のあるユーザーが抱える不安や疑問を払拭させる情報・サービスを一般患者向けのコンテンツとして掲載し、広告から効果的に誘導することで、集客が成功していることが分かりました。
集客成功の要因は、新規・既存双方に向けた広告施策
■5位:但馬牛・三田和牛の専門店・ミート・マイチク
5位は、福井県の和牛小売店「但馬牛・三田和牛の専門店・ミート・マイチク」でした。日本三大和牛として名高い「神戸牛」「松阪牛」「近江牛(または、米沢牛※)」(※4種類から厳密に3種類が絞られていないことから「日本四大和牛」と呼ぶ説もあり。)の素牛「三田和牛(さんだわぎゅう)」を自社で枝肉の目利きをし、福井県の店舗やオンラインストアで販売しています。
「ミート・マイチク」が上位にランクインした要因を、早速Dockpitで調べてみましょう。
まず、どんなきっかけでサイトに訪れているのか、集客構造を見てみます。
「ミート・マイチク」Webサイト 集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
アフィリエイト広告とメールからの流入が大半を占めており、ノーリファラ―以外だとディスプレイ広告や外部サイトからの流入もあることが分かりました。
次にサイト流入の目的を探るべく、ランディングページを見てみます。
「ミート・マイチク」Webサイト 集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
TOPページヘの流入が1番多い中、注目したのは2位の【春の謝肉祭★三田和牛最大20%OFF】商品ページや4位の【焼肉三昧☆ポイント5倍】商品ページへ流入が多い点。新規顧客と既存会員それぞれを対象にしたセール商品が、広告・メールから流入した後の受け皿になっていることが分かりました。
新規・既存双方に向けた広告施策が成功し、サイト流入が急上昇したことが考えられます。
企業・団体が運営する、子育て環境に合わせたオープンチャットが話題に
■12位:LINE オープンチャット
12位は、LINE株式会社が2019年から運営するオープンチャット「LINE オープンチャット」でした。累計2万人が利用するこのサービスは、ゲーム・勉強・就活・アイドルなどさまざまなジャンルのトークルームがあり、趣味や日常の興味関心事などを、共通の仲間と気軽に会話し情報交換できる場所として利用できます。LINEアカウントと分けて利用できるので、友達や家族に相談しづらいことでも、普段のユーザーの環境を守りながらコミュニティーに参加できる点が魅力の一つになっています。
競合も多いオープンチャットサービス。「LINE オープンチャット」はなぜサイト流入が急上昇したのでしょうか。早速Dockpitで調べてみます。
「LINE オープンチャット」Webサイト ユーザー属性 性別(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
ユーザー属性を調べてみると、サイトへ流入するユーザーの内、過半数が女性であることが分かりました。
「LINE オープンチャット」ユーザー属性 年代(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
次に年代を見てみると、40代~60代のユーザーが多く流入していることが見えてきました。
では、どんな情報を求めているのか、ランディングページを調べてみます。
「LINE オープンチャット」Webサイト 集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
もっとも多く流入していたのは「#オプチャで話そ |子育て応援プロジェクト」でした。
このプロジェクトは「こども家庭庁」が新たに設置され子育てにより注目が集まる4月に向けて、2023年3月15日から開始しています。賛同する企業・団体が、病気を抱えるお子さんや双子・三つ子の育児など、家庭環境に合わせたトークルームを開設しています。上位にランクインしたことから、子育てに関する実態・ニーズを把握したサービスであることがうかがえます。
シーズナリーのギフト需要を掴む老舗和菓子店の集客施策
■16位:くり屋 南陽軒 岐阜県中津川市の創業百余年の老舗
16位にランクインしたのは、岐阜県中津川市にある和菓子の老舗「くり屋 南陽軒 岐阜県中津川市の創業百余年の老舗」でした。代表的な商品の「栗きんとん」は、昨年30万個を完売する大人気の商品で、各地のテレビ番組で紹介されているそう。
サイト流入が急上昇したのは、マスメディアの影響でしょうか。早速Dockpitで調べてみます。
「くり屋 南陽軒」Webサイト 集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
集客構造を見てみると、メールから59%と流入がもっとも多く、ノーリファラ―以外だとアフィリエイト広告や外部サイトからの流入があることが分かりました。
次にランディングページを調べてみます。
「くり屋 南陽軒」Webサイト ランディングページ(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
比較的流入が多かったのは1位・2位・8位のギフトページでした。
お祝いごとや送別時など贈り物をする機会が多い時期にメルマガや広告施策を実施し、サイト集客を成功したことが要因であると考えられます。
大人気「発想えほん」シリーズの新刊発売でサイト流入が急増!
■28位:ブロンズ新社
28位は、絵本や児童書・エコをテーマにしたライフスタイル本などを取り扱う「ブロンズ新社」でした。1983年に設立した出版社で、年間約20点の新刊を刊行しています。
上位にランクインした要因をDockpitで調べてみましょう。初めに集客構造を見てみます。
「ブロンズ新社」Webサイト 集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
ノーリファラ―以外だと、自然流入が1番多く、次いで外部サイトやソーシャルからの流入があることが分かりました。
次にランディングページを見てみましょう。
「ブロンズ新社」Webサイト ランディングページ(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
TOPページへの流入が一番多い中、注目したのは3位の「ぼくはいったいどこにいるんだ」の商品ページ。2023年3月9日に発売されたこの作品。作者のヨシタケシンスケさんは、「考えることを果てしなく楽しむ「発想えほん」」シリーズを過去4冊出版しており、人気の高い作品であることがうかがえます。
最後に比較的流入の多いソーシャルについて調べてみます。
「ブロンズ新社」Webサイト ソーシャル構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年1月~2023年3月 、デバイス:PC&スマートフォン)
Twitterからの流入が多かったことが見えてきました。詳しく調べてみると、ブロンズ新社公式アカウントでは「ぼくはいったいどこにいるんだ」原画展イベントを告知しており、表示件数が1.3万件と他の投稿よりも比較的多く、注目度が高い情報だったことが考えられます。
ソーシャルなど複数のメディアから、大人気作家の新刊発売を知った多くのユーザーが、サイトへ訪れたことが想定されます。
まとめ
3月は子育てユーザーの興味関心事が、ランキングに影響する傾向が見られました。
それぞれの記事を施策視点で見ると、2位の「インビザライン」は、日本でまだ一般化されていない「マウスピース矯正」に対する不安や疑問に応える効果的な広告施策により集客を成功させており、12位の「LINEオープンチャット」は、育児の不安や疑問の異なる子育てニーズを把握したサービス提供で話題に。そして28位の「ブロンズ新社」は、ソーシャルなどメディアを活用した大人気作品の新刊告知により、注目を集めたことがわかります。
細分化されたターゲットの実態を把握し、それぞれに有力な情報を提供することは、今後も集客施策に求められるポイントになると言えそうです。
▼『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
制作会社でUIUXデザインやWebサイトの施策立案を経験後、ヴァリューズにジョイン。セミナーのサポートやTVドラマランキングの執筆などを担当しています。