20代の人気アプリランキング!「タイパ」や「ショート動画マーケティング」に注目(2023年3月)

20代の人気アプリランキング!「タイパ」や「ショート動画マーケティング」に注目(2023年3月)

Z世代とは、1995年頃から2010年頃までの出生世代。SNSでの発信力や情報感度の高いZ世代は、あらゆる企業にとって重要な顧客です。Z世代の行動を理解することは、より効果的なマーケティング戦略の立案に繋がります。今回は消費力が高まっている20代に注目し、流行りのアプリを調査しました。2023年3月の最新人気アプリから、人気の理由を考察し若者の考え方の理解を目指します。


2023年3月の急上昇アプリランキングTOP20

早速、アプリトレンドランキングを見ていきましょう。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。
下記の表は、2023年3月時点で、20代のユーザー(※)において、利用者の前月比上昇率が高い順にアプリをランキングしたものです。

※20代後半の、Z世代に含まれないユーザーも一部含みます

アプリ 20代アプリ利用者数の前月比上昇率ランキング
集計期間:2023年3月
デバイス:スマートフォン

ここからは、特に注目のアプリをピックアップした上で、20代の求めるものはなにかという視点で考察していきます。

春休みの余暇にスマホゲーム

急上昇ランキングTOP20にはゲームアプリが多数ランクイン

急上昇ランキングTOP20のうち、8つがゲームアプリでした。3月は学生にとって春休みであるため、ゲームアプリが人気になるのではないでしょうか。

では、8つのゲームアプリのなかでも、特に20代に人気が集中するゲームアプリにはどんな特徴があるのでしょう。

下記2つのグラフは、8つのゲームアプリ利用者の年代割合のグラフです。上グラフを20代に人気が集中しているアプリ群、下グラフを20代以外にも人気なアプリ群として分けて示しています。

「タワーオブスカイ」、「Bump Pop」、「Merge Defense Adventures」、「人狼ジャッジメント」アプリ利用者の年代割合
集計期間:2022年4月~2023年3月
デバイス:スマートフォン

「浮気サレ女」、「引っ越しペンギン」、「LINE Brown Farm」、「Royal Match」アプリ利用者の年代割合
集計期間:2022年4月~2023年3月
デバイス:スマートフォン

20代に人気が集中するアプリには、①非現実世界を舞台としている②イラストの動きに躍動感がある②戦略や戦術を考えながらプレイするといった特徴が見られます。一方、20代以外にも人気なアプリのうち、「浮気サレ女」「引っ越しペンギン」「LINEブラウンファーム」は現実に近い世界を舞台としたシミュレーションゲームとなっています。

20代は、現実では起こり得ない刺激的な視聴覚体験をゲームアプリに求める傾向にあるのかもしれません。

アプリで“タイパ”よく新生活準備

進学・進級に向けて「時間割アプリ」が複数ランクイン

急上昇ランキングの2位と10位は時間割アプリでした。
これら2つのアプリは、公式シラバスのデータを保有しており、学生がシラバスとにらめっこしたり頼れる先輩を探したりする手間なく、つまり“タイパ”よく時間割を作成することを可能にしたのが特徴です。

ここでユーザーの居住地域を見てみると、関東地方での利用率が高いことが確認できました。地方から上京する学生の多い都心部だからこそ、人脈がなくとも自分に合った時間割を作成できる時間割アプリが人気になるのかもしれません。

「Penmark」、「すごい時間割」アプリ利用者の居住地割合
集計期間:2022年4月~2023年3月
デバイス:スマートフォン

ここでさらに注目したいのが、「Penmark」のSNSコミュニティ的要素です。
「Penmark」では、授業の評判や課題などの情報を学生同士で収集・交換することができます。コロナ禍以来のオンライン授業の一般化も影響しているのか、従来対面で行われていたコミュニケーションがアプリケーション上に代替されつつあるようです。

顔バランスを採点できる「診断系アプリ」

続いてご紹介するのは、6位にランクインした「FaceScore(フェイススコア)」です。
「FaceScore」とは、顔写真をもとに顔の黄金比やパーソナルカラーを診断してくれる顔診断アプリです。下記グラフの通り、ユーザーの半数以上が20代であり、ユーザーの4人に3人が女性であることから、20代女性に支持されていることがわかります。

「FaceScore」のアプリ利用者の年代・性別割合
集計期間:2022年4月~2023年3月
デバイス:スマートフォン

下記グラフは、「FaceScore」のユーザー数推移を示しています。診断ブームのなか、「新生活を迎えるにあたって垢ぬけたい!」という願いも重なってか、3月にユーザー数を伸ばしていると考えられます。

「FaceScore」のアプリ利用者数
集計期間:2022年4月~2023年3月
デバイス:スマートフォン

また、ただタイプを診断するだけではなく、自分に似合うカラーや髪型、メイク、ファッションを教えてもらえるのも「FaceScore」の特徴です。

パーソナルカラーや骨格などの診断ブームに乗り、“タイパ”よく自分に合ったスタイルを見つけられるというポイントが、多くの女性の心を掴んでいるのかもしれません。

2023年3月13日以降のマスク着用義務の緩和に伴い、マスクなしの容姿に自信をもちたいという心理が働くとすれば、診断系アプリへの需要はますます高まると予想されます。

マナミナでは過去に、Z世代の「診断ブーム」について紹介しています。気になる方は是非こちらもチェックしてみてください。

「顔タイプ診断」が新たなトレンドに。Z世代は「診断ブーム」をどう乗りこなしている?【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】 | [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン

https://manamina.valuesccg.com/articles/2297

Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。今回のテーマは「パーソナルカラー診断」「骨格診断」「顔タイプ診断」です。パーソナルカラー診断を皮切りに始まった「診断ブーム」。マーケティングにおいてもよく取り入れられるようになりましたが、Z世代は実際どう感じているのでしょうか。Z世代メンバーによるリアルな声を取り入れつつ、深掘りしていきます。

また、タイパについては以下の記事で詳しく解説しています。是非あわせてお読みください。

タイパとは?Z世代が重視する「タイパ至上主義」の背景とマーケティング事例 | [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン

https://manamina.valuesccg.com/articles/2112

Z世代の多くは、生活のさまざまな場面でタイパ(タイムパフォーマンス)を意識しています。「タイパ至上主義」という言葉が登場するほど、Z世代は時間効率を重視しているのです。この記事では、Z世代の購買心理・最新のトレンドを知るために、タイパの概要や価値観、マーケティング事例を解説します。

有名不動産サイトの物件を一度に検索できる「ニフティ不動産」

新生活準備で欠かせないのが、物件探し。不動産情報アプリというと大手の「SUUMO(スーモ)」や「at home(アットホーム)」が想起されますが、今回の集計条件でランクインしていたのは「ニフティ不動産」でした。

なぜ「ニフティ不動産」への20代からの注目が高まったのでしょうか?
ここで注目したいのが、有名不動産サイトの賃貸物件情報をまとめて掲載しているという特徴です。上記画像の通り、14の掲載パートナーによる賃貸物件情報を集約しています(2023年1月時点)。

複数アプリを併用して時間をかけて賃貸物件を探すのではなく、ひとつのアプリでまとめて検索しようとする傾向もまた、“タイパ”意識の表れなのかもしれません。

“ショート動画”を用いたECは幅広い層で利用率上昇中

次世代ECプラットフォーム「7sGood」が注目を集める

8位にランクインしたのは、次世代ECプラットフォーム「7sGood」でした。

「7sGood」は、ショート動画による商品の魅力発信を最大の特徴としています。
Instagramの“ビジュアルで商品を訴求する”という特性との親和性が高いためか、「7sGood」のInstagramアカウントのフォロワー数は7.1万に上り、人気となっています(2023年4月26日時点)。

年代割合を確認してみると、30代以上の年代、特に50~60代の層が厚くなっています。子どものおもちゃや生活便利グッズの購入を目的としたユーザーが多いのかもしれません。
ここから、ショート動画を用いた商品購買への導線づくりは、Z世代のみならず幅広い年代にアプローチできる手法となりつつあることが伺えます。

「7sGood」のアプリ利用者の年代割合
集計期間:2022年4月~2023年3月
デバイス:スマートフォン

マナミナでは過去に、ショート動画を含む“タイパ”行動の実態を調査しております。是非あわせてご覧ください。

【三菱UFJ信託銀行×ヴァリューズ共同研究調査】 「タイパ」実態 “動画の倍速再生”は約5割が実践 “タイパ意識”は男性20代、女性30代が最も高い | [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン

https://manamina.valuesccg.com/articles/2343

ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)と三菱UFJ信託銀行株式会社(本部:東京都千代田区、取締役社長:長島 巌)は協同で、三菱UFJ信託銀行が提供する情報銀行サービス「Dprimeの個人ユーザー」を対象にアンケートを実施し、Z世代を中心に注目が高まる「タイパ(タイムパフォーマンス=時間対効果)」の実態調査をおこないました。

まとめ

今回は、急上昇アプリランキングTOP20のなかから、ゲームアプリ、時間割アプリ、診断アプリ、ECアプリをピックアップして紹介しました。

時間割アプリ、「ニフティ不動産」、“ショート動画”を用いたECアプリ「7sGood」の急上昇の背景のひとつとして、Z世代を中心に注目が高まっている“タイパ”が考えられます。

インターネット時代に生まれ、「調べれば何でもわかる、欲しいものは何でも手に入るのがあたりまえ」という感覚を持ったZ世代にとって、情報収集の時間効率の良さは非常に重要な意味を持つようです。

この記事のライター

24年4月に入社予定の大学4年生です。大学では歴史学と社会学を専攻しています。

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