2021年のトレンドワード「推し活」とは?
■「推し」とは
「推し」とはアイドルやキャラクター、スポーツ選手やモノなどさまざまな「自分のお気に入り」のことを指します。「推し」という言葉ができたきっかけは、かつて熱烈なアイドルファンが自分のお気に入りのアイドルを指して「推し」と呼んだことが始まり、という説が有力です。いまや「推し」は、熱烈なファンからライトなファンまで、ジャンルや世代を問わず幅広く使われる言葉となっています。
■「推し活」検索者は2年で6倍以上に
「推し活」とは推しに対して応援をする活動のことです。「推し活」は2021年(第38回)の『「現代用語の基礎知識」選ユーキャン 新語・流行語大賞(※)』にノミネートされたほど、メジャーな言葉となっています。
※「現代用語の基礎知識」選ユーキャン 新語・流行語大賞
1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相をつき、広く人々に知られた新語・流行語を選ぶとともに、関連した人を表彰する賞。
「推し活」検索者は、直近2年間で右肩上がりに増加しています。
「推し活」検索者数 推移
集計期間:2021年5月~2023年4月
デバイス:PC・スマートフォン
上記のグラフは、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット) 」で作成しています。
■「推し活」の対象はモノ、2次元キャラクターなど様々
推し活での「推し」は多岐にわたります。具体的にはアイドルや俳優、アニメのキャラクターなど、ジャンルは問わず「自分が好きなもの」すべてが「推し」となります。代表的な「推し」は下記の通りです。
◆実在の人物(3次元)
アイドル、アーティスト、歌手、俳優、声優、YouTuber、コスプレイヤー、スポーツ選手、作家、歴史上の人物、動物など
◆キャラクター(2次元)
アニメ・ゲーム・漫画のキャラクター、マスコットキャラクター、VTuber(※)、モノの擬人化キャラクターなど
◆その他
鉄道、建築物、仏像など
※VTuber(バーチャルYouTuber):2Dや3DのCGで描画されたキャラクター(アバター)を用いて動画投稿や生配信を行う人のこと。
■「推し活」の具体的な活動内容は?
推し活の活動もまた多岐にわたります。実際に推し活では、次のような活動が行われます。
・TV番組、映画、配信コンテンツなどの視聴
・CD、DVD、ブルーレイ、音楽コンテンツの購入
・グッズ、書籍、雑誌などの購入
・ライブやコンサートへの参加
・日常的な情報収集
など
■推し活が生きがいに?
「推し活」は人生を豊かにしてくれる活動として欠かせないと感じる人もいます。
推し活をする人には、「お金を使うことで推しを応援したい」「日常の中でも推しを感じていたい」「推しが出演する番組・コンテンツは何度でも見たい」などという心理が働いています。
誰かを応援することによって自分も満たされ、ときには恋愛に近い感情を楽しんでいる人も少なくありません。応援に価値を見出す文化が醸成されてきていると言えるでしょう。
推し活に使った費用が20万円以上の人は約半数
ここからは、ヴァリューズで「推し活」についてアンケートを実施した際の調査結果をもとに、消費者の実態について紹介していきます。
【調査概要】
調査対象者:株式会社ヴァリューズのモニターパネル 20歳以上の男女
調査地域:日本全国
調査期間:実査開始:2022年8月4日~実査終了:2022年8月17日
回収サンプル数:21,416ss
ウェイトバック集計について:掲載している数値はすべて、性年代別人口とネット利用率に合わせたウエイトバック集計後の結果となっている。
「推し活」に対して費やした総額が20万円以上の人は9860人と、回答者の約半数となっています。上位にあがっているのは男性アイドルや宝塚俳優(※)です。コンサートや公演のある推しの場合は、推しに費やすお金も高額になるのでしょう。
※宝塚俳優……女性のみで構成されている俳優団体「宝塚歌劇団」に所属する俳優を指す。卒業生を含める場合もある。
「推し」になりやすいのはアイドルと動画配信系
■ファン対象がいる人は、20代女性で80%超
「何らかのファン対象(推し)がいるかどうか」という質問では、「ファン対象(推し)がいる」と回答した人は約60%でした。20代女性では、推しがいる人は82.4%となっています。
■動画配信系の人気が目立つ
ファン対象となるのは、多い順に1位が3次元男性タレント/アーティスト、2位が3次元女性タレント/アーティスト、3位が動画配信系となりました。YouTuberなどの配信者も、芸能人に匹敵する人気を得ていると言えそうです。
2次元(アニメや漫画)の男性キャラクターも5位と人気です。「推し活」の背景には日本の「オタク文化」の浸透があると見られます。
約8割がYouTubeを利用して「推し活」
近年ではSNSによって、応援する人同士のみならず、応援する人とされる人のつながりも強くなっています。
今回のアンケートでは、SNSの使い方についても聞いており、まとめると次のようになります。
■女性のチャンネル登録理由は「推し活」的な要素が強い
3次元アイドルのファンにおいて、SNSを推し活に利用している人の割合は、YouTubeは約8割、Instagramは約6割、TikTokは約3割でした。各SNSでは新曲やコンサート情報など、アイドルからの公式発表が活発に行われていることが背景にあると考えられます。YouTubeではMVやライブ映像などを視聴することもできるため、推し活に積極利用されていると言えそうです。
また、ヴァリューズが2022年夏に実施した別のアンケート調査では、「何をきっかけにYouTubeでチャンネル登録を行うか」の質問に対して、男女で回答の傾向が異なることが判明しています。男性は「~と感じた」「なんとなく」といった理由が多い一方、女性は「繰り返し見たい」「応援したい」など、「推し活」的な理由が上位です。特に20・30代女性の42%が「チャンネルを応援したいとき・チャンネルのファンになったとき」と回答しており、若い女性がYoutubeで推し活を行っていることが顕著にあらわれています。
■2次元ファンはTwitterで「2次創作文化」を楽しむ
アニメや漫画などのキャラクターを推しとしている人は、6割以上の人がTwitterを推し活に利用しています。pixiv(※)の利用率も高い傾向にありました。
※pixiv:ユーザーが自作品(イラスト・マンガ・小説)を投稿し、他のユーザーから声援やフィードバックをもらえるSNS
Twitter、pixivのいずれも、ユーザー自身が制作した作品を投稿したり閲覧したりといった目的に使われています。背景には、2次元作品の「2次創作文化」があるものと考えられます。
今回参照したヴァリューズのアンケート調査については、いずれも以下の記事より完全版をご覧いただけます。
トレンドの「推し活」。ファン活動の実態と行動原理を探る |ホワイトペーパー | [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン
https://manamina.valuesccg.com/articles/20552021年の流行語大賞にもノミネートされた「推し活」。急速に知名度を上げたこのワードの検索者数は、2020年9月から2022年8月までの2年間で10倍以上に急増しました。どういう人が、どういう媒体を利用して、どんなものを推しているのか?熱量が減少する要素とは?「推し活」の実態を徹底調査しました。(ページ数|34ページ)
利用率9割という圧倒的な浸透率を誇るYouTube。生活の中での位置づけや、実際の使われ方、よく見られるコンテンツとはどのようなものなのでしょうか。またそれらは、性年代で切ったときにどのような違いが出てくるのでしょうか。アンケートとWeb行動ログデータから、YouTubeの利用動向を調査しました。
IT企業にシステムエンジニアとして10年あまり勤務。結婚・出産を経てお声がかかり、あっという間にライター・編集が主たる業務になりました。IT系記事と一般家庭向けの役立つテーマをメインに、今さら聞けない人でもしっかり参考にできる、わかりやすい記事を心がけています。