SwitchBotとは
自宅のスマートホーム化を実現するSwitchBot(スイッチボット)。
「ハブ」と呼ばれるデバイスを室内にセットし、専用のアプリをインストール。赤外線のリモコンで動くタイプの家電であれば、このアプリと接続することで、アプリ上で遠隔操作をしたり、タイマー設定をすることができるようになります。アプリをインストールしたスマホが、スマートリモコンの役割を果たすようになるということですね。
「ハブ」とSwitchBotアプリの画面
アプリユーザーの基本属性
■男性が7割、30代の利用者が多い
まずは、SwitchBotアプリユーザーの基本的な属性を見てみましょう。
なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を使用します。
ユーザーの性別を見てみると、男女比はおよそ7:3と、男性ユーザーが目立ちます。ガジェット好きな男性のイメージが湧きますね。
SwitchBotアプリユーザーの男女比
期間:2023年4月~2023年9月
デバイス:スマートフォン
年代割合を見てみると、30代がボリュームゾーンとなっており、40代、20代が僅差で続きます。
SwitchBotアプリユーザーの年代割合
期間:2023年4月~2023年9月
デバイス:スマートフォン
■女性の方がヘビーユーザーの割合が高い
ここから少し、ユーザーの解像度を上げていきましょう。
先ほどの年代割合のグラフを男女で切ってみると、男性は幅広い世代のユーザーが見られるのに対し、女性は30代に集中していることがわかります。女性は、「家事・育児を楽にしたい」というママ層が多いのかもしれません。
SwitchBotアプリユーザーの年代割合(男性vs.女性)
期間:2023年4月~2023年9月
デバイス:スマートフォン
ユーザーの世帯年収を見てみても、男女で傾向に大きな差が。
男性はネット利用者全体と比べても400万円未満のユーザー割合が低く、女性と20%超の差があります。一方で、世帯年収1000-1500万円の男性の割合は約21%と、高所得層が目立ちます。
SwitchBotアプリユーザーの世帯年収(男性vs.女性)
期間:2023年4月~2023年9月
デバイス:スマートフォン
男性の方がユーザー数は多いものの、アプリの利用頻度ではどうでしょうか。
月平均のアプリ起動日数を男女で比べてみると、1〜5回の起動が男性は約68%、女性は52%と、女性の方が頻度高く利用しており、ヘビーユーザーの割合が高いことがわかります。
SwitchBotアプリユーザーの月平均アプリ起動日数(男性vs.女性)
期間:2023年4月~2023年9月
デバイス:スマートフォン
このように、男女で切るだけでもSwitchBotは様々なユーザーを抱えていることがわかります。次の章では、ユーザーを5つのグループにクラスタリングし、さらに具体的なペルソナへと落としていきたいと思います。
クラスタリング分析で、ユーザーを5つのグループに分類
■クラスターごとの多様なニーズに迫る
スマートホーム化に積極的なユーザー像を深堀りするため、SwitchBotアプリの起動前後180分間にユーザーが検索したワードから、機械的に5つのクラスターを作成しました(クラスター名は、分析の結果を踏まえて筆者が作成)。なおこの章では、Web行動データとアンケートデータを用いて、ターゲットユーザーにおける特定の Web 行動の前後の動きと属性を集計できる、ヴァリューズの分析ツール「story bank」を用います。
「スマートホーム集中検討」層:
「アレクサ」「スイッチボット」「スマートスピーカー」「スマートリモコン」「スマート電球」など、スマートホームに関する検索ワードが集まっているグループです。「とりあえずスマートホーム関連を調べたい」という心理がうかがえます。
「料理・健康」関心層:
「ホットクック」といった調理器具、「えのき」「蒸し鶏」「絹豆腐」といった食材、
「鉄分」「喉」「倦怠感」「喘息」といった栄養素や体調に関する検索ワードが見られます。「スマートホーム化で家事を楽にしたい」というニーズがあるのかもしれません。
「ペット・車」関心層:
ダイハツのSUV「タフト」や「オイル漏れ」「タイヤ館」「マフラーカッター」といった車に関するものを中心として、「ペットフェンス」「チンチラ」といったペット関連のワードや、観葉植物の「モンステラ」、また「ハイブランド」という検索も見られます。
マシン好きの一環でスマート家電を利用していたり、不在時のペットや観葉植物の見守り・管理のためにスマートホーム化を行っているユーザーが多いのかもしれません。趣味が充実しているユーザー像がうかがえます。
「家族が増えて住まい検討」層:
「太陽光」「水道管」「監視カメラ」といった住宅設備に関する検索や、「婚姻届」「事実婚」といった結婚に関するワード、「さいたま市」「アンパンマンミュージアム」「那須」「車なし」などの、小さい子供を連れたお出かけや、引っ越しを検討しているようなワードが見られます。
結婚や子供ができたことを機に、リフォームや引っ越し、スマートホーム化を行いたいユーザーが集まっているのかもしれません。
「子育てスタート」層:
「赤ちゃん」「赤ちゃん連れ」「離乳食」「ベビーカー」「チャイルドシート」「見守りカメラ」などのワードが集まっており、子育て始めたてのユーザーがこのクラスターを構成していると考えられます。「スマートホーム化で家事・育児を楽にしたい」というニーズが読み取れます。
■クラスターごとのユーザー属性
グループごとの属性情報も見てみましょう。
性別は、男性の割合が高い順に
・「スマートホーム集中検討」層
・「ペット・車」関心層
・「家族が増えて住まい検討」層
・「子育てスタート」層
・「料理・健康」関心層
となっています。
未既婚状況は、既婚者の割合が高い順に
・「子育てスタート」層
・「料理・健康」関心層
・「スマートホーム集中検討」層
・「ペット・車」関心層
・「家族が増えて住まい検討」層
となっています。
ユーザーの世帯年収を見てみると、
・「ペット・車」関心層:趣味に捻出する余裕がある
・「家族が増えて住まい検討」層:未既婚で世帯年収に2つの山がある
・「子育てスタート」層:共働き世帯が多いことも影響し、世帯年収が高い
ということがうかがえます。
■クラスターごとのタッチポイントは?
最後に、グループごとのタッチポイントを探っていきましょう。
例えば「スマートホーム集中検討」層は、SwitchBotアプリ起動の前後180分間に、ネット利用者全体と比べて以下のサイトを特徴的に閲覧しています。
SwitchBotアプリユーザーの閲覧サイトランキング(「スマートホーム集中検討」層)
期間:2022年10月~2023年9月
デバイス:スマートフォン
4位の「余裕ある生活を目指すブログ」では以下の画像のように、SwitchBotやアレクサを活用した暮らしについても特集が組まれています。他に、
・14位:mitsu-blog | iPadで人生を豊かにするブログ
・16位:Amazon好きがAmazonサービスを紹介するサイト|アマファン!
・17位:BENRI LIFE - スマートホームで暮らしを快適に!
・20位:最新ガジェットレビューブログならNORILOG(ノリログ)
といったサイトもランクイン。
余裕ある生活を目指すブログ
ここから、「ガジェットやツールをうまく使いこなした効率化・ライフハック系のサイト」がタッチポイントとして有効そうであることがうかがえます。
同じように各グループの閲覧サイト上位20位を見ていくと、それぞれ以下のサイトがランクインしていました。
消費者のスマートホーム化を促進するためには、ターゲットのタイプ別に、上記のようなサイトがタッチポイントとなり得るのではないでしょうか。
まとめ
今回は、SwitchBotアプリのユーザーを分析し、スマートホーム化を行っている人のプロファイルを明らかにしてきました。
分析結果をまとめると以下のようになります。
今回使用したクラスタリング分析のスライドについては、以下フォームよりダウンロードいただけます。ぜひご利用ください(内容は本レポートと同様です)。
大阪大学でポルトガル語とブラジル社会学を、カナダのビクトリア大学でビジネスを学び、2021年に新卒でヴァリューズに入社。データアナリストを経て、現在はマナミナのコンテンツマーケティングと自社の海外PRを担当しています。