調査方法について
ヴァリューズが提供するWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて、「メルカリ」の併用サイトからカテゴリを『オークション』『メディア』『通販』に絞り、節約系サイトをピックアップしました。ただし、Amazonや楽天市場など大規模ECモールやオークションサイトは対象外としています。
まず、上位に挙がってきたのは「Temu(ティームー/テム)」でした。「Temu」とは2023年7月から日本でもサービスが開始された、中国発の格安オンライン通販で、"安すぎる価格"が話題となっています。
「メルカリ」関心サイト ※併用率優先
期間:2022年10月〜2023年11月
デバイス:PC&スマートフォン
「Temu」とは?
「Temu」の特徴は、
・2022年9月にアメリカでサービスがスタートし、日本では2023年7月からサービスを開始
・日用品から雑貨、衣類や携帯電話までジャンルが幅広い
・中間業者を排除し工場から消費者に直接出荷することで、低価格を実現
・送料無料
と、ユーザーにとって、かなり魅力的なサービス内容となっています。
「Temu」
Webサイトのカテゴリを見てもわかるように、『家電:91円から』や『レディース下着・パジャマ:12円から』、『レディースシューズ:76円から』など驚くべき低価格で提供されています。
「Temu」
比較する節約系のWebサービス
今回は「Temu」の他に、以下の節約系のWebサイトをピックアップして比較していきます。
※同カテゴリで重複しないように選択しています
※アプリは集計の対象外です
メルカリ
ユーザー数が多いフリマサイト。出品から入札までが早いことも特徴。
トクバイ
日本最大級の無料チラシ&クーポンサービス。掲載店舗数は、2023年1月時点で全国73,000店舗以上。
ジモティー
全国の無料広告の掲示板。不用品を無料で譲り合える点が特徴。
さとふる
ふるさと納税の公式サイト。オリジナルの大容量返礼品が特徴。
概観を把握するために、ピックアップした5サイトを横並びで見てみましょう。まず2022年10月〜2023年11月のユーザー数では、「メルカリ」のユーザー数は「Temu」の約1.6倍となっており、調査対象の5サイトの中では最も多いことがわかりました。
また、「Temu」は2023年7月から日本でサービスが開始され、新規率が90%超と突出して高くなっています。
「メルカリ」や「ジモティー」は人当たりページビュー数が非常に多いことからサイト内を回遊していることがわかりました。サイトをよく回遊している=平均滞在時間が長いことにもつながっているようです。
「ジモティー」は直帰率が29%と低いことも特徴的でした。これは、他のサイトと比較すると目的がより明確なユーザーが訪問していることが考えられます。
基本指標
期間:2022年10月〜2023年11月
デバイス:PC&スマートフォン
各サイトのユーザー数の推移も見ていきましょう。
「メルカリ」は2023年8月からユーザー数が前月比で約1.2倍となっておりユーザー増加傾向にあるようです。
ここで注目したいのが「Temu」のユーザー数の動向です。サービス開始の翌月の2023年8月には約5倍の1,200万人を超えており、2023年11月には「メルカリ」に迫る勢いにまで成長しています。「Temu」は1か月で約200億円の広告費を『Facebook』や『TikTok』などに投入したと言われており、今後もユーザー数は増加することが予想されます。
また、ふるさと納税の期限が12月末までであることから、「さとふる」は駆け込み需要もあり12月に増加傾向となっています。
サイトユーザー数推移
期間:2022年10月〜2023年11月
デバイス:PC&スマートフォン
「Temu」ユーザーの8割はスマートフォンを利用
デバイス別では、どのサイトもスマートフォン割合が半分以上と高いですが、特に「Temu」に関しては8割弱がスマートフォン利用となっていることが特徴的でした。
基本指標:デバイス別
期間:2022年10月〜2023年11月
デバイス:PC&スマートフォン
40代以上が多い「Temu」と「さとふる」
各サイトのユーザー属性も見てみましょう。
性別では大きな差はないものの、「トクバイ」は女性が少し多くなっていました。これはスーパー・ドラッグストアなどのチラシが無料で見られることから、少しでもお得に日々の買い物をしたいと思う女性の節約心理が読み取れます。
また、「さとふる」は男性がやや多いことから、ふるさと納税などの税金関連は、男性との親和性が高いこともうかがえました。
ユーザー属性:性別
期間:2022年10月〜2023年11月
デバイス:PC&スマートフォン
年代別では、サイトによって異なっていることが特徴的でした。
中でも、「Temu」は50代・60代で4割程度を占めており、他のサイトと比較すると高年層が多いことがわかりました。「Temu」はSNS(TikTok・Facebookなど)に膨大な広告費を費やしたようですが、ソーシャルの集客構造を見てみると『YouTube』の次に『Facebook』が多いことから、若年層向けの『TikTok』より、高年層向けの『Facebook』の方が集客に成功していると言えるかもしれません。
「ジモティー」は30代・40代の若年層~中年層が多くなっていました。これらの年代は中古品に抵抗がないことや、アイテムをいかにお得に購入できるかを考えている年代なのかもしれません。
「さとふる」は40代・50代の中年層~高年層が多くなっていました。これらの年代は年収がアップすることからも節税に敏感になっているようです。気軽に節税対策ができるふるさと納税は、これらの世代には丁度いい節税対策なのかもしれません。
ユーザー属性:年代別
期間:2022年10月〜2023年11月
デバイス:PC&スマートフォン
世帯年収別では、「Temu」は商品の安さを売りにしていることからか、低所得者が多いことがわかりました。「ジモティー」も同様に低所得者が多い傾向にあります。
ふるさと納税は納税額が高い人ほど得をする可能性があり、「さとふる」は高所得者の比率が相対的に高いようです。
ユーザー属性:世帯年収別
期間:2022年10月〜2023年11月
デバイス:PC&スマートフォン
「Temu」は「ジモティー」ユーザーとの親和性が高い
最後に各サイトの併用状況を見てみましょう。
※抽出条件として「メルカリ」の併用サイトを集計しているので、「メルカリ」の数値が高くなっています。
ここでも「Temu」に注目です。「Temu」は「トクバイ」「ジモティー」「さとふる」ユーザーにも多く利用されているようです。中でも「ジモティー」ユーザーとの親和性が高いことがうかがえます。
他には、「さとふる」ユーザーは「ジモティー」利用率が低いことがうかがえました。
併用状況
期間:2022年10月〜2023年11月
デバイス:PC&スマートフォン
まとめ
今回は、「メルカリ」と併用している「Temu」「トクバイ」「ジモティー」「さとふる」などの節約系Webサイトについてまとめました。
ユーザー数では「メルカリ」が圧倒的に多く、直近では「Temu」の躍進も顕著であることがわかりました。
また、ユーザー属性では「トクバイ」は女性が多く、「さとふる」は男性が多い傾向となっていました。年代別では、「Temu」は50代・60代、「ジモティー」は30代・40代、「さとふる」は40代・50代が多く、世帯年収別では、「Temu」と「ジモティー」は低所得者、「さとふる」は高所得者が多くなっていました。
併用状況を見ると、「Temu」は「トクバイ」「ジモティー」「さとふる」ユーザーにも多く利用されており、中でも「ジモティー」ユーザーとの親和性が高いことがうかがえました。
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