化粧品のアーリーアダプターは意外と雑誌から情報を集めていた【アンケート×行動ログ調査】

化粧品のアーリーアダプターは意外と雑誌から情報を集めていた【アンケート×行動ログ調査】

新商品に敏感で、オピニオンリーダーとしての役割も果たすと言われる「アーリーアダプター」の人たち。今回は化粧品のアーリーアダプターに関する調査結果をお届けします。生活者が普段の購入の際に意識している点や、情報収集の媒体などをまとめました。


時代に合わせて多様なアイテムが登場する化粧品業界。新しさ、品質、価格、デザインなど購入にいたる要因は様々です。生活者は、どんな情報収集をして、どのような点を意識して購入を決めているのでしょうか?

そこで今回は、いち早く新しい化粧品を購入している「アーリーアダプター」に関する調査結果をお届けします!

株式会社ヴァリューズがモニターに対して行った商品の購買に関する意識調査から、化粧品のアーリーアダプターの特徴をまとめました。購入に際して意識している点、情報収集のツールなど、マーケティングに役立てていただける情報が満載です。

化粧品「アーリーアダプター」の年代と性別は?

まず、今回の調査対象である「化粧品のアーリーアダプター」の定義をご説明します。

アンケートで「化粧品を購入する際の行動や考え方で、もっとも当てはまるものはどれですか」という質問を実施しました。選択肢は次の5つです。

①発売されたら真っ先に購入するタイプ
②発売直後である必要はないが、割と早い段階で購入するタイプ
③ある程度多くの人が所有するまで待ってから購入するタイプ
④この商品が完全に主流になってから購入するタイプ
⑤この商品は買わない

これらのうち、「①発売されたら真っ先に購入するタイプ」を選んだ回答者を化粧品のアーリーアダプターと定義しました。

では結果を見ていきましょう。まず、化粧品のアーリーアダプターはどのような年代の男女だったのでしょうか。次のグラフをご覧ください。

アンケート回答者全体と比較し、化粧品のアーリーアダプターは7割が女性であることがわかりました。逆に言えば、化粧品に関しても『新商品を真っ先に購入する』アーリーアダプターに、3割程度男性が含まれていることになります。近年の美容意識の高まりが現れているのかもしれません。

化粧品アーリーアダプターはどのSNSをどのくらい見ている?

続いては、化粧品のアーリーアダプターは各SNSをどのくらい閲覧しているのかについて、アンケート回答者全体と比較しながら調査しました。

LINE利用時間

化粧品のアーリーアダプターがLINEを利用する時間は、1日平均34.2分という結果でした。全体と比べ、1時間以上の利用者割合と、30分〜1時間未満の割合が多くなっています。

Twitter利用時間

Twitterも同様に、利用時間は全体と比べ多いという結果に。1日平均の利用時間は16.3分でした。

Instagram利用時間

Instagramの1日平均利用時間は8.5分でした。同じように、利用しているユーザーの割合、30分未満・30分〜1時間未満の割合が全体よりも多くなっています。

アーリーアダプターは新商品の情報をどこで入手している?

いち早く化粧品を買いたいと思っているアーリーアダプターは、普段どこで新商品の情報を入手しているのでしょうか?

情報入手先を探るべく、媒体別に比較をしてみました。

※「化粧品のアーリーアダプター」が、化粧品に関わらず新商品の情報を入手する際の媒体を聴取

グラフでは、アンケート回答者全体の回答と化粧品のアーリーアダプターの回答を比較し、青色は「アーリーアダプターの利用が少ない」媒体、オレンジと赤色は「アーリーアダプターの利用が多い」媒体となっています。

注目したいのは、「テレビCM」や「テレビ番組」ではあまり新商品の情報を入手していないということ。アンケート回答者全体の回答と比べ、10ポイント以上少ない結果となっています。

一方、もっとも全体の回答と差をつけていたのは「雑誌記事」。アーリーアダプターは雑誌から新商品の情報を取り入れているのではないかと考えられます。

また、オレンジ色の「インターネットの公式サイト」、「SNS」、「交通広告」なども新商品の入手先としているケースが多いと予想できました。

アーリーアダプターは「品質」や「デザイン」が良ければ買う傾向が

続いて見ていくのは、化粧品のアーリーアダプターが購入時に意識していること。

アンケート回答者全体と比較し、どのような特徴が見られるのかについて、特徴的な項目をまとめてみました。

※「化粧品のアーリーアダプター」が、化粧品に関わらず商品を購買する際に意識していることを聴取

まず、「①品質が高ければ価格が高くても買う」という項目に対し、全体に比べて同意している割合が高くなっています。多少価格が高くても、いいものであれば購入したいというアーリーアダプターが多いのかもしれません。

また、「③高価なものを買うときには事前によく調べる」という項目に対しては、意外にも全体より意識をしているアーリーアダプターが少ないということがわかります。新商品ゆえに情報が少ないという点もあるかもしれませんが、気になったものは試してみたいという気持ちがあるのかもしれませんね。

さらに、「④デザインよりも機能を重視する」という項目に対しても全体と比べ割合が低く、デザイン性もある程度気にしているということが予想できます。

最後に、「⑧自分が良いと思ったことを人に伝える」という項目は全体と比べ圧倒的に多くなっており、アーリーアダプターとインフルエンサーの関連も示唆される回答となりました。

意外なところに意識を向けているのがわかる、興味深い結果です。

アーリーアダプターがよく使っているアプリは?

最後に見ていくのは、アンケート回答者全体と比較し、化粧品のアーリーアダプターがよく使うアプリランキングです。

※スコアは全体との利用率の差分。特徴的によく見ているほどスコアが大きくなります。
※赤色が濃くなるほどボリューム(全体のユーザー数)が大きいことを示しています。

1位にInstagram、2位にスターバックスジャパン公式モバイルアプリ、3位にヘア&ビューティーサロン検索/ホットペッパービューティーがランクインしています。

また、10位にはビューティー効果&メイク機能付き自撮りカメラ「SNOW」が入っていました。

これらの特徴は、美容やキレイに関わるアプリだと考えられ、最新の化粧品に敏感なアーリーアダプター特有の傾向と予想できます。

まとめ

今回はアンケートの結果から、化粧品のアーリーアダプターの特徴を調査してみました。情報収集の仕方や使っているアプリなど、特有の傾向が多く見られたかと思います。本調査結果をぜひ今後のマーケティング施策に役立ててみてください。

また、化粧品以外のジャンルでもアーリーアダプター調査は可能です。調査にご興味のある方は以下よりお気軽にお問い合わせください。

調査データのお問い合わせはこちら

【調査概要】
全国のヴァリューズモニター(20歳以上男女)を対象として、2019年6月7日~6月20日に「購買意識に関するアンケート」調査を実施しました。(回答者数:9,560人)
※アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計を行っています。
※行動ログ分析対象期間:2019年6月(対象デバイス:スマートフォン)

photo by :Photo AC

関連する記事

いま化粧品市場では何が起きている?新型コロナの影響を検索データからマーケコンサルが読み解く

https://manamina.valuesccg.com/articles/799

化粧品のトレンドについて調査する新企画。ヴァリューズのマーケティングコンサルタントである私、伊東茉冬が気になる話題について調査していきます。今回の調査は新型コロナウイルスの影響について。感染拡大により百貨店などが営業自粛となっている中、化粧品業界へはどのような影響が及んでいるのか。消費者の化粧品への関心度合の変化や、化粧品の中でもアイテムによって違いがあるのか、Web行動データを基に分析します。

「中国人女性の日韓化粧品ブランド認知・購入状況調査」レポート

https://manamina.valuesccg.com/articles/432

中国本土でインターネットリサーチを実施し、中国人女性の日本と韓国の化粧品ブランド認知状況について調査。(ページ数|32p)

インフルエンサーってどんな人?SNSで拡散力あるユーザーにリーチするには

https://manamina.valuesccg.com/articles/601

アンケートと実際のネット行動ログからインフルエンサーの消費やネット行動の実態を調査し、どのようにすれば彼らにリーチできるのかを考察します。

この記事のライター

フリーランスの編集ライター。食べ物、暮らし、旅のことを中心に執筆。夏はパリとオレゴン、冬はサンディエゴに住む暮らしを夢見ています。

関連する投稿


「ダイエット」検索者は過去2年で減少傾向に? 新型コロナ収束やニーズの多様化が背景か

「ダイエット」検索者は過去2年で減少傾向に? 新型コロナ収束やニーズの多様化が背景か

誰もが一度は考えたことがあるはずのダイエット。特にコロナ禍で外出が制限されていた時期は興味をもつ人が多い状況でした。しかし、最近になって状況は少し変わってきているようです。この記事では、現在もダイエットに関心を持つ人々について分析し、彼らが何に興味を持っているのかを見ていきます。


【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

SNS上のバズやトレンドへの感度が高く、流行を生み出す世代として注目のZ世代。企業のライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を高めるためには、顧客ライフサイクルが長いと思われる若い世代の獲得は避けて通れません。そこで今回は、「メンズメイク」「メンズコスメ」への関心が高まっているという背景から、Z世代男性の美容に関する意識や購買行動を、ミレニアル世代と比較しながら調査。美容潜在層を顕在層にするために、どのような環境やきっかけが必要なのか、現役Z世代アナリストが分析しました。


「美容成分オタク」のオンライン行動を分析!スキンケアの情報収集実態に見る、コミュニケーションのヒント|セミナーレポート

「美容成分オタク」のオンライン行動を分析!スキンケアの情報収集実態に見る、コミュニケーションのヒント|セミナーレポート

近年、美容インフルエンサーの発信により特定のスキンケア成分がフォーカスされ、「成分関心層」が増加しています。今回は、@cosmeを運営するアイスタイル社が保有する、日本最大級の美容に関する生活者データと、ヴァリューズが保有するオンライン行動データを活用。成分に関する情報感度の高いアーリーアダプター層に注目し、その裏にあるユーザーインサイトから、成分関心層と取るべきコミュニケーションを探ります。※本セミナーのレポートは無料でダウンロードできます。


【調査リリース】4大SNSのヘビーユーザーを比較調査!X利用者はフォロー/シェア等での割引施策参加に積極的、 TikTok利用者は高価でも衝動買いの傾向

【調査リリース】4大SNSのヘビーユーザーを比較調査!X利用者はフォロー/シェア等での割引施策参加に積極的、 TikTok利用者は高価でも衝動買いの傾向

アプローチしたい顧客セグメントに到達するためには、コミュニケーション媒体として適切なSNSを選定し活用することが重要です。数多くの新興SNSも登場する中、どんなユーザーがどのSNSを選び、どのような購買活動をしているのか。今回は4大SNSとも言える、Facebook、Instagram、TikTok、X(旧Twitter)それぞれのヘビーユーザーの属性、購買動機や興味関心などのサイコグラフィック、メディアの利用状況や消費行動などを調査し、ユーザープロファイルを作成しました。


平成女児に人気再燃のセーラームーンとプリキュアはなぜ数十年にわたり愛される? ファン層の特徴から分析!

平成女児に人気再燃のセーラームーンとプリキュアはなぜ数十年にわたり愛される? ファン層の特徴から分析!

30周年を迎えた「美少女戦士セーラームーン」と20周年を迎えた「プリキュア」。この2つの作品名を聞いたことがない方はいないでしょう。セーラームーンは特に女性人気が高く、プリキュアは男女どちらからも愛されているようです。本記事では、この2つの作品のファンについてより深く分析します。また、ファンの特徴から作品が愛される理由を考察します。


最新の投稿


デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

即時払いで決済を行うデビットカード。キャッシュレス決済全体に占める割合はまだまだ低いものの、利用者や利用場面は着実に増加しており、成長の兆しを見せています。本稿では、そんなデビットカードの検討状況について、キャッシュレス決済カテゴリのマーケットリーダーであるクレジットカードと比較し、今後の市場動向を占います。


博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

株式会社博報堂DYメディアパートナーズは、株式会社日本経済新聞社、株式会社東北新社とともに、ドキュメンタリー動画を制作・提供する広告企画「日経ブランドドキュメント」を開発したことを発表しました。


2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

コンテンツには事欠かない現代ですが、話題を呼ぶ人気作には、どのような「勝ちパターン」が存在するのでしょうか。2024年に放送された新規アニメ「薬屋のひとりごと」「逃げ上手の若君」「怪獣8号」「ダンジョン飯」に、11月に劇場版が公開された「進撃の巨人」を加えて、消費者の関心を調査しました。


2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

マナミナでは、国内最大規模の消費者オンライン行動データを活用して、世の中のトレンドを調査しています。2024年もさまざまなトレンドを記事として取り上げてきました。今回は調査記事の総集編として、2024年のトレンドを振り返ります。


2024年にあたらしく取り組んだSEO対策は"生成AI活用によるコンテンツ制作"が約5割!検索上位表示に向けたキーワード分析にも生成AIを活用【インフォネット調査】

2024年にあたらしく取り組んだSEO対策は"生成AI活用によるコンテンツ制作"が約5割!検索上位表示に向けたキーワード分析にも生成AIを活用【インフォネット調査】

株式会社インフォネットは、自社のSEOマーケティングに携わっているマーケティング担当者を対象に、【2024年版】企業のSEO対策トレンド実態調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ