食材宅配サービス市場を調査。Oisixがユーザー数1位、パルシステム、コープデリが拮抗して続く

食材宅配サービス市場を調査。Oisixがユーザー数1位、パルシステム、コープデリが拮抗して続く

自然派食材の「Oisix(オイシックス)」、生協が提供する「パルシステム」「コープデリ」など人気上位の食宅サービスを調査し、それぞれの月次ユーザー推移と、性別・年代別・子供有無といったユーザー属性を分析しました。


食宅業界の人気上位3サービスとは

安心・安全の自然派食材のニーズや、調理いらずのミールキットの人気などから、日本家庭に定着しつつある食宅サービス。健康志向や共働き家庭の増加、高齢化など、現代社会の傾向・志向にマッチし、今や無くてはならないサービスとして存在感を高めています。元祖食材宅配サービスである生協が提供するパルシステムやコープデリ、自然派野菜を扱うことで定評のあるOisix(オイシックス)など、同じ食宅サービスでも、様々なコンセプトのサービスが登場。本稿では、人気上位の食宅サービスを調査し、サービスの特長、傾向を分析していきます。

まずはじめに、Webサイト分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使い、ネットショッピングの食品・飲料分野における人気サイトランキングを調査しました。ユーザー数のランキング一覧がこちらです。

eMark+画面より(集計期間:2019年10月、デバイス:PC&スマートフォン合算)

この中から、食宅サービスに該当するものをピックアップすると、1位が「Oisix」、2位が「パルシステム」、3位は「コープデリ」となっていました。

では、これら3サービスの特徴を見ていきましょう。

Oisix、パルシステム、コープデリの3サービス紹介

Oisix(オイシックス)

1位のOisixは、"生産者が自分の子どもに食べさせられる食材のみを扱う"とし、安心安全の厳選食材をお届けする食宅サービスです。

バイヤーがおすすめする商品から、毎週カスタマイズできる仕組み。自然派野菜の宅配サービスとして始まり、現在は肉や魚、たまごのほか、調理に必要な食材が揃ったミールキットの販売なども行っています。

展開地域は日本全国で、配送できないのはヤマト運輸での配送ができない地域のみ。高品質なラインナップはもちろん、広域展開、入金や年会費がかからない手軽さなども人気の理由なのではないでしょうか。

またOisixを運営する食品宅配大手、オイシックス・ラ・大地株式会社は、2019年3月期における連結売上高が前期比60.1%増の640億2600万円と発表。主力ブランド「オイシックス」の会員数の増加と、らでぃっしゅぼーやを子会社化した影響から、売上高と営業利益は過去最高を更新したといいます。

パルシステム

2位は、生協が提供する「パルシステム」。東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、福島、山梨、静岡、新潟の1都10県で展開しています。

パルシステムは、食宅サービスの歴史を築いてきた生協が運営しているからこその豊富な品揃えと、商品へのこだわりが特長的です。人気のPB商品や多彩なミールキット、アレルギー対応食材など、食品だけでも充実のラインナップ。さらに、農産物は「産直」にこだわり、減農薬や有機食材を多数取り揃えています。

また、食材に限らず、飲料や日用品、保険、電気など、食品に限らず暮らしにまつわるあらゆる商品・サービスを提供。利用者の"ほしい"に応えられる多彩かつ高品質な商品力が、パルシステムの魅力でしょう。

コープデリ

3位の「コープデリ」も、パルシステムと同じく生協の食宅サービスです。加入する団体とブランドが異なるだけで、母体は同じです。そのため、品揃えの豊富さはコープデリにも共通する魅力と言えます。

食品においては定番人気のコープオリジナルのほか、市販品も全て、生協の基準に合わせた原材料で展開。業務用の大容量パックなども販売しています。対象エリアは東京、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、長野、新潟の1都7県に限られますが、関西や九州・四国などここに該当しない地域では、生協による別の食宅サービスが展開されています。

また、コープデリは「子育て世帯の応援」を強く打ち出しており、宅配料金の割引や、離乳食など子ども向け商品の充実など、子育て支援の独自の取り組みを推進。これにより、子育て世帯から多くの支持を集めています。

上位3サービスのユーザー数推移を比較

次に、3サービスのWebサイトにおけるユーザー数(UU)を調査しました。グラフはeMark+を使って3サイトのユーザー数推移を表したものです。次の図をご覧ください。

(集計期間:2017年10月~2019年10月、デバイス:PC&スマートフォン合算)

最新月(2019年10月)のユーザー数は【Oisix:198万UU、パルシステム:135万UU、コープデリ:85万UU】でした。Oisixが約200万UUで1位と、2年間通してトップを走っています。

また、Oisixが月ごとのユーザー推移が大きく変動しているのに比べて、コープデリはほとんど動きがありません。LTV(Life Time Value)が長く、定着ユーザーがいることが分かります。Oisixは、年会費、入会費無料という入りやすさが魅力である一方、お試し感覚で気軽に利用される人が一定数いるのかもしれません。

続いて、ユーザー層の比較です。まずは性別のユーザー割合を3サービスで比較しました。

3サービスの中でもっとも女性割合が高かったのはコープデリでした。比率は約8割を占めており、女性人気がうかがえます。

次に年代別でも比較してみましょう。

年代で見ると、Oisixとパルシステムが40代以上の割合が高いのに比べ、コープデリは20代・30代の利用者が多いという結果になりました。

また、eMark+では「子供有無」でのユーザー割合も調べることができます。次の図をご覧ください。

子どもの有無でも、コープデリが圧倒的に割合が高い結果となりました。

先述の性別・年代別の比率も踏まえると、コープデリは子育て中の20代・30代女性ユーザーが多いといえるでしょう。ママ同士の口コミからの広がりも考えられます。

まとめ

最後に今回の調査結果をまとめます。

ユーザー数ではOisixが毎月200万〜300万人を集客しており、食品宅配サービスの中で1位となっていました。一方コープデリは3サービスの中で子育て世代割合がもっとも高く、20代・30代のママさん層の人気を集めていたことがうかがえます。

安心安全、こだわりのオリジナル商品、時短ミールキットなど、高品質かつ時代の潮流に合わせた商品開発には、どのサービスも力を入れていました。そこに入会の手軽さや豊富な品揃え、子育て応援など、それぞれの魅力が加わることで、各々にマッチしたファンを獲得していると言えるでしょう。

高品質なサービスが拮抗する食宅サービス。それらが切磋琢磨することで、業界全体が活性化され、より便利に、より美味しく、日本家庭の食卓をサポートくしてれることを期待します。

本記事の調査は、ヴァリューズのインターネット行動ログ分析ツール「eMark+」を用いて調査を行いましたが、2020年10月に新ツール「Dockpit(ドックピット)」がリリースされました。この記事でご紹介した「サイトランキング」や「ユーザー数推移」、サイト訪問者の性別、年代などがわかる「ユーザー属性」は、PCデータであれば無料で利用することができます。Dockpitには無料版もありますので、ぜひ以下ボタンよりご登録ください。



dockpit 無料版の登録はこちら


分析概要

ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2017年10月~2019年10月のネット行動ログデータを分析しました。

【対象サイト】
Oisix Webサイト
パルシステムWebサイト
コープデリWebサイト
※ユーザー数やセッション数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

関連記事

ステイホームを「お取り寄せグルメ」で乗り切る人が急増!話題のお取り寄せサイト分析

https://manamina.valuesccg.com/articles/855

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、全国的にステイホームが奨励されています。飲食店も臨時休業している店舗があり、外食もままならない状況。「巣ごもり消費」という新たなトレンドも生まれる中、じわじわ盛り上がってきたのがお取り寄せグルメ市場。今回はステイホーム期間中のお取り寄せグルメ市場の動向についてまとめます。

ファミマも売り始めたビーガン向け商品は今後の食トレンドとなるか?検索者は家庭で試せるレシピに興味

https://manamina.valuesccg.com/articles/886

ヨーロッパやアメリカで取り入れられているライフスタイル「ビーガン」について、健康志向の高まりやインバウンドの増加などの影響から、日本国内でも目にする機会が増えてきています。本稿では、ビーガンに対してどのように関心が寄せられているのか、検索キーワードや人気コンテンツから実態を調査しました。

新型コロナの影響は食生活にも?「Uber Eats」などフードデリバリーアプリの利用が急増中

https://manamina.valuesccg.com/articles/835

2019年10月からの消費増税で盛り上がりを見せたフードデリバリー市場。現在は新型コロナウイルスの影響で自宅で食事を取る機会が急増していることもあり、フードデリバリー市場にさらなる勢いが見られます。今回は既に定着しつつあるフードデリバリーアプリの利用状況を「eMark+」を用いて比較・調査しました。

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

関連する投稿


“第2次”アサイーブームは続くのか? 検索者属性や検索ニーズからカテゴリ浸透の未来を考察

“第2次”アサイーブームは続くのか? 検索者属性や検索ニーズからカテゴリ浸透の未来を考察

近年再び話題になっている「アサイー」。若い女性を中心に人気を集めているようです。他にはどのような特徴を持つ人がアサイーに関心を持っているのか、アサイー検索者がアサイーのどんなことに興味を持っているのかについて、Web行動ログデータから分析・考察します。そして、アサイーブームのこれからを考えます。


自分を癒す、潤す、小さなご褒美!プチ贅沢調査【スイーツ編】ホワイトペーパー

自分を癒す、潤す、小さなご褒美!プチ贅沢調査【スイーツ編】ホワイトペーパー

日本生活協同組合連合会の「節約と値上げ」の意識についてのアンケート調査結果によると、回答者全体の93.3%の人が節約を意識しているという今、何かとメディアで取り上げられているのが「プチ贅沢」。本レポートでは、どのようにして「プチ贅沢」が生活に取り入れられているのか、日常生活における小さな幸せの追求が、どのようにして個人の生活の質を向上させているかという視点で、中でも手軽に取り入れられる「スイーツのプチ贅沢」にフォーカスを当て、考察しました。<br>※調査レポートは記事末尾のフォームより無料でダウンロードいただけます。商品企画やマーケティングをご担当の方はぜひご確認ください。


中国市場における健康訴求お菓子の販売状況を調査

中国市場における健康訴求お菓子の販売状況を調査

中国市場では近年、健康を訴求するお菓子に注目が集まっています。特に、中国医学の医食同源に基づいたヘルシーな食材を使用する中国伝統菓子は、爆発的な人気を得ています。本レポートでは、中国の生活者が利用する主要ECの販売データをもとに、商品特徴ごとの販売実態や、生活者の購買傾向を詳しく解説します。(ページ数:39ページ)


ふるさと納税はどんな人が検討している?セグメントごとの特徴を調査

ふるさと納税はどんな人が検討している?セグメントごとの特徴を調査

年末が近づくにつれて注目度が高まるふるさと納税。そのユーザー像はどのようなものなのでしょうか。検討の度合いから検討者を5つのセグメントに分類し、実態を調査しました。


2023年はハロウィンの楽しみ方が自由化!?「ハロウィン」の検索キーワードから振り返る

2023年はハロウィンの楽しみ方が自由化!?「ハロウィン」の検索キーワードから振り返る

食品メーカーのマーケターや新しいもの好きな人、ヘルスコンシャスな人に向けて、食品のトレンドを分析します。今回のテーマは日本ではここ20年ほどで急激にイベントが開催されるようになった「ハロウィン」。「ハロウィン」について検索している方は何を知りたいと思っているのでしょうか。市場を調査します。


最新の投稿


BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

株式会社PRIZMAは、全国のマーケティングコンサルタントを対象に、「BtoBマーケターが始めた方が良いこと」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

即時払いで決済を行うデビットカード。キャッシュレス決済全体に占める割合はまだまだ低いものの、利用者や利用場面は着実に増加しており、成長の兆しを見せています。本稿では、そんなデビットカードの検討状況について、キャッシュレス決済カテゴリのマーケットリーダーであるクレジットカードと比較し、今後の市場動向を占います。


博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

株式会社博報堂DYメディアパートナーズは、株式会社日本経済新聞社、株式会社東北新社とともに、ドキュメンタリー動画を制作・提供する広告企画「日経ブランドドキュメント」を開発したことを発表しました。


2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

コンテンツには事欠かない現代ですが、話題を呼ぶ人気作には、どのような「勝ちパターン」が存在するのでしょうか。2024年に放送された新規アニメ「薬屋のひとりごと」「逃げ上手の若君」「怪獣8号」「ダンジョン飯」に、11月に劇場版が公開された「進撃の巨人」を加えて、消費者の関心を調査しました。


2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

マナミナでは、国内最大規模の消費者オンライン行動データを活用して、世の中のトレンドを調査しています。2024年もさまざまなトレンドを記事として取り上げてきました。今回は調査記事の総集編として、2024年のトレンドを振り返ります。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ