ファミマも売り始めたビーガン向け商品は今後の食トレンドとなるか?検索者は家庭で試せるレシピに興味

ファミマも売り始めたビーガン向け商品は今後の食トレンドとなるか?検索者は家庭で試せるレシピに興味

ヨーロッパやアメリカで取り入れられているライフスタイル「ビーガン」について、健康志向の高まりやインバウンドの増加などの影響から、日本国内でも目にする機会が増えてきています。本稿では、ビーガンに対してどのように関心が寄せられているのか、検索キーワードや人気コンテンツから実態を調査しました。


ビーガンとは?

ビーガンとは、イギリスで発祥したベジタリアン(菜食主義者)の一種のライフスタイル。ベジタリアンには乳製品と菜食(ラクト・ベジタリアン)や、乳製品と卵と菜食(ラクト・オボ・ベジタリアン)などいくつかのタイプがある中で、ビーガンは卵や乳製品、はちみつ、魚介や肉の骨からとったスープなども含む、動物性食品を一切口にしない完全菜食主義者のことをいいます。

主なたんぱく質源は豆類で、豆腐や大豆ミート、グルテンミートなどを食べ、チーズやヨーグルトは、豆乳など植物性の原料で作られたものを選択します。また、健康だけでなく、環境保護や動物愛護のためという考えのもと、食のみならずレザーや毛皮など動物由来の衣服も身に着けない人(エシカル・ビーガン)もいるといいます。

近年、発祥国のイギリスでは、もともと多かったベジタリアンがビーガンに切り替えるなど、ビーガンの人口が増加傾向にあるといいます。アメリカでは、毎食ではなく"時々ビーガン"のスタイルも広がり、全世界のビーガン人口はここ数年で6倍にもなっているといいます。

日本でも、インバウンドの増加にともない「ベジインフラ」の整備が課題となり、ビーガン向けのメニューを提供するお店や、ビーガン向けカップ麺、お弁当なども見かけるようになりました。日本人にとっても、ビーガンへの接点が増えている印象を受けます。(参考:『完全菜食ビーガンの可能性 34億人市場の入り口に』)

どんなキーワードで検索されているのか

それではまず、過去1年間でビーガンがどのようなキーワードとともに検索されたのか、市場分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を用いて見てみましょう。次の図は「ビーガン」関連検索ワードのランキングです。

(分析期間:2019年5月〜2020年4月、対象デバイス:PC)

1位「ビーガン」、2位「ビーガンとは」、3位「ベジタリアン ビーガン 違い」は、ビーガンがそもそも何を意味するのか、またベジタリアンとの違いなど「ビーガン」そのものの意味を調べるための検索だと考えられます。

また、4位の「キューピー ビーガン」は、キューピーが販売している卵不使用マヨネーズ「エッグケア」がビーガンの人でも食べられるとして注目されたことで、検索数が伸びたと考えられます。

このほか、6位には「肉 ビーガン」、7位には「ビーガン料理」がランクイン。4位以降は、ビーガンとは何かを知った上で、動物性食品(卵や肉など)を食べたい時はどうしているのか?どんな料理があるのか?など、より具体的・実践的に知るための検索が多いことが分かります。自身で試すことも視野に入れて検索している人もいるのではないでしょうか。

「ビーガン」検索数の推移を調査

では、ビーガンに関心のある人は増えているのでしょうか。検索数の推移を見てみます。

(「ビーガン」関連検索ワード全体のユーザー数推移)

キーワード全体では、2019年8月から11月にかけて検索数が伸び、高い数値を推移。そこからやや下降しますが、2020年2月以降は上昇傾向です。

2019年10月は、アメリカのビーガンミールキット「Purple Carrot(パープルキャロット)」が日本初上陸し、マリンフード社から家庭用ビーガンピザが発売されるなど、自宅で手軽に食べられるビーガンメニューの発売が相次ぎました。また、同時期に名古屋で「ビーガングルメ祭り」が開催されており、ビーガンに関するニュースが多く発信されたタイミングだったことが影響したのではないかと考えられます。

2020年3月にはファミリーマートがビーガン向けのお弁当「ベジバーグ丼」を発売し、より身近なところでビーガン食を目にするようになりました。また、タレントの元・ブルゾンちえみ(現:藤原史織)さんがビーガンであることを告白し一時話題になったことも、4月の検索数の伸びに多少関係しているかもしれません。

ビーガン、人気のコンテンツは?

続いて、ビーガン関連検索ユーザーに実際どのようなページが閲覧されているのか、人気のコンテンツを覗いてみましょう。

(分析期間:2019年5月〜2020年4月、対象デバイス:PC)

ビーガン関連検索のLPランキング(eMark+より)を見てみると、2位に3倍以上の差をつけた1位のコンテンツは、ビーガンやベジタリアン向けの情報発信やオンラインショップを展開する「Vegewel」の記事でした。

「ビーガンとベジタリアンの違い」というテーマで、ビーガンとは何かが分かりやすく解説されています。ビーガンについて知りたい人の入門記事として、ユーザー数が伸びたと考えられます。

2位は、グルメ系サイトのmacaroniの記事でした。ここでもビーガンとは何かが解説されていましたが、家庭で作れるビーガンレシピ10選など、より実践的な内容でした。

ビーガンレシピについては、レシピサイトのクックパッドを見ると2500件以上のレシピが投稿されており、自宅で簡単に作れるレシピの関心の高まりがうかがえます。

※上記「クックパッド」の部分を「食べログ」と誤表記しておりました。訂正しお詫び申し上げます。(2020年6月29日)

(クックパッドアプリ画面)

まとめ

ビーガン向けの商品発売や海外の人気ビーガン商品の日本上陸、飲食店でのビーガンメニューの提供増加により、日本でもビーガンへの関心が高まりつつあることが分かりました。さらに、ビーガンレシピの人気や多数のレシピ投稿などから、ビーガン食を実践する人が増えていると考えられます。

元々は訪日外国人向けに飲食店やメーカーが充実させたビーガンメニューでしたが、これからは日本人の利用者も増えていくでしょう。健康志向が高まる今、ライフスタイルのトレンドとして今後の浸透度合いにも注目です。

本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。まずは無料版に登録して、実際にDockpitを体験してみてくださいね。

dockpit 無料版の登録はこちら
分析概要

ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2019年5月~2020年4月のネット行動ログデータを分析しました。
※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

関連記事

“バスチー”のヒットとコンビニスイーツ市場を検索データから調べてみた

https://manamina.valuesccg.com/articles/752

2019年はスペインのバスク地方のお菓子「バスクチーズケーキ」(以下、バスチー)が大ヒットしました。コンビニでは2019年3月にローソンがいち早く発売。およそ1年経っても人気商品の一つです。遅れて10月にセブンイレブンから発売されると、ファミリーマート、ミニストップが追随、バスチーはコンビニスイーツを代表する人気商品となりました。今回は、バスチーのヒットをネット上の検索データとアンケート調査から振り返り、コンビニスイーツマーケットを取り上げます。

“第3のビール”の公式サイト訪問者数を調査!圧倒的な強さを見せたのは「金麦(サントリー)」

https://manamina.valuesccg.com/articles/951

気温も高まり、アルコール飲料がより美味しく感じられる季節になってきました。新型コロナの影響もあり、巣ごもり消費でビール業界にも変化があったのではないでしょうか?そこで、今回は第3のビール(新ジャンル)に絞って、公式サイト のユーザー動向や属性などについて掘り下げてみたいと思います。

家飲みブームで人気を集める「缶レモンサワー」のポジショニングを検索キーワードから分析

https://manamina.valuesccg.com/articles/780

昨今の家飲みブームで人気を集めているのが缶レモンサワー。コンビニやスーパーでも他のフレーバーの缶サワーと比べて種類も多く、中には品切れで入荷が待たれる人気商品も。今回はそんな缶レモンサワーについて、各社の人気商品やユーザーの注目傾向などについて、検索キーワードから分析します。

この記事のライター

フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

関連する投稿


「サナ活」ブームを数字で分析。HPアクセス急増、"近畿"で過熱か

「サナ活」ブームを数字で分析。HPアクセス急増、"近畿"で過熱か

現在、SNSを中心に「サナ活」という言葉が注目を集めています。高市首相の就任をきっかけに、彼女の愛用品に注目が集まり、関連商品の売り上げが急伸したという報道も見られます。本記事では、「サナ活」がもたらした経済的な影響とその支持層について、最新のデータをもとに分析しました。


せいろブームが"2年目"に入る理由。無印、フォレスト、ダイエットが鍵?

せいろブームが"2年目"に入る理由。無印、フォレスト、ダイエットが鍵?

みなさんは「せいろ」を使っていますか?簡単に食材を調理でき、健康によい食事を可能にするせいろのブームが継続中です。どのメーカーのせいろが売れているのか?せいろで何を作るのか?といったブームの実態を分析していきます。後半部分では、長期化しているせいろブームを、3つの時期に分けてブームの要因を考察します。


日清「完全メシ」ヒット!新商品も売れ行き好調、人気の味を調査

日清「完全メシ」ヒット!新商品も売れ行き好調、人気の味を調査

日清食品の「完全メシ」をご存じですか?33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求した「完全メシ」がいま人気沸騰中です。即席麺、カップライス、冷凍食品、スープなどが展開されています。今回は即席麺とカップライスに着目し、「完全メシ」購入者の特徴や人気の味を調査していきます。最後には、おいしく栄養を摂取できるそのほかの商品もご紹介します。


【無料レポート】デジタル・トレンド白書2025 – 食トレンド編|ダウンロードページ

【無料レポート】デジタル・トレンド白書2025 – 食トレンド編|ダウンロードページ

「デジタル・トレンド白書2025 食トレンド編」は、2025年に注目を集めた食や飲料・お菓子などのヒット分析・トレンド解説が収録されたレポートです。物価が高騰しているなか、どのような商品が人気を博しているのか。消費者の食に対する好みや購買行動はどのように変化しているのかを分析しています。


【2025年版】人気キャラ図鑑|ヒットしたミャクミャク・ラブブ等の注目度、次来るキャラは?

【2025年版】人気キャラ図鑑|ヒットしたミャクミャク・ラブブ等の注目度、次来るキャラは?

2025年、たくさんのかわいいキャラクターが流行りました。今回の記事では、2025年で人気が急上昇したキャラクター10選をご紹介します。また、ちいかわ・ミャクミャクなどの人気キャラの経済効果にも迫ります。最後には、2026年に人気が上昇するキャラクターを予想しました。


ページトップへ