休校、外出自粛要請、志村けんさんの死去などが変化点に
国内では、クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」乗客で初めて感染が確認されたのが2020年2月1日。その後4月中旬までの期間で、国内の主要Webサイト全体のUU数を調査し『どこでトレンドが変化したのか?』を分析しました。その結果、Webサイトでの主な変化点(日別UUのトレンドが大きく変わったタイミング)は下記のようになっており、新型コロナウイルスに関連する出来事が強く影響している様子がうかがえました。
変化点別サイト数の推移
※2020年2月1日~4月14日
- 2月24日(月)
- 2月27日(木)
- 3月27日(金)
- 3月31日(火)
- 4月12日(日)
コロナ禍でも利用者が伸びているWebサイト、アプリとは
新型コロナウイルスの感染が急速に拡大した2020年2月~4月中旬で、どのようなWebサイト、アプリの利用者が伸びたのでしょうか。株式会社ヴァリューズが保有するモニターパネルの消費者ネット行動ログから調査しました。
■ハローワーク、地方自治体サイト、テレワークでZoomの需要が急増
下図は、ユーザー数の増減率を示す増減スコアをもとに、利用者が伸びているWebサイトをランキングにしたものです。1位に「ハローワーク (公共職業安定所)」、7位に「日本政策金融公庫」が入り、仕事や雇用、融資への不安が読み取れます。
また、福岡、北海道、滋賀、兵庫、大阪など各地方自治体サイトが多数ランクイン。都道府県ごとに感染状況や対応策、支援内容が異なるため、住んでいる地域の信頼できる情報への需要の高まりが示唆されていると考えられます。国や地方自治体サイトはしばしばUX設計やUI面での課題を指摘されることがありますが、改善は急務といえそうです。
日次UUが増加したサイト
ユーザー数が伸びているタイミングに着目してみると、特徴的な動きを示していたのは11位にランクインした、テレワークに役立つWeb会議ツールの「Zoom」。4月に入ってから利用者が急増しています。在宅勤務やテレワークが広がっている様子がうかがえます。
「zoom」サイトの増減推移
■アプリは速報ニュース、Uber Eatsの他に、ショッピングSNSも利用者が増加
一方で、アプリを同様に増減スコアでランキングしてみると、Webサイトとは異なる傾向が出ていました。
速報ニュースをはじめ、フードデリバリーの「Uber Eats」、イトーヨーカドーのネットスーパーなどが利用できる「オムニ7アプリ」、ファッションEC「UNITED ARROWS」の公式アプリや、楽天のショッピングSNS「ROOM」など、在宅時間で効率よく情報を入手し、かつ外出はできなくとも食生活や買い物は楽しみたいという消費者意識が垣間見える結果となりました。
アプリの場合、自ら能動的にインストールし、起動して利用することから、ポジティブな消費意欲が表れやすいのかもしれません。
日次UUが増加したアプリ
1位の速報ニュースアプリ「NewsDigest」。新型コロナウイルスの「感染事例が報告された場所の情報」マップを4月上旬に提供開始し、話題となりました。
8位の「Uber Eats」はフードデリバリーサービスとして2016年9月に国内で提供開始後、着実にユーザー数を伸ばしてきましたが、2020年3月にはTVCM「今夜、私が頂くのは」シリーズの新バージョンが女優の黒柳徹子さんと小松菜奈さんを起用し公開され、認知度アップに勢いが増しています。外出自粛と在宅勤務が広がった4月以降は、より一層、アプリ利用者が伸長しています。
「Uber Eats」アプリの増減推移
14位のファッションECの「UNITED ARROWS LTD. 公式アプリ」は、4月上旬、7都府県に緊急事態宣言が出され、外出自粛要請が強化された後の週末に、ユーザー数が急増していました。
「UNITED ARROWS LTD. 公式」アプリの増減推移
コロナ影響で閲覧が伸びている商品は?
続いて、大手ECモールにおける商品ジャンルの閲覧数の伸びから消費者ニーズを捉えてみます。
下図は2020年2月1日~4月14日までに閲覧数の伸び率の高かった商品ジャンルです。使い捨てマスクが一般では入手困難な状況から「マスクフィルター」が上位にきており、「裁縫材料>ゴム」など手作りマスクのための手芸用品を買い求めるニーズも見られます。
テレワークのWeb会議で便利な「PC用ヘッドセット」や、外出自粛の影響で家で過ごす時間が長くなったことから、「アロマ」グッズや、家庭で美味しい飲料水を生成できる「整水器」など、少しでも在宅生活を快適に心地よく過ごしたいという消費者心理もうかがえます。
大手ECモールにおける商品ジャンル毎の閲覧伸び率ランキング
※2020年2月1日~4月14日
まとめ
刻々と状況が変化する新型コロナウイルスの感染拡大。2月~3月はマスク・消毒液など感染対策商品への需要急増が見られましたが、4月になると、テレワークを円滑に進めるためのツールや、余暇や在宅での生活を楽しむための商品・サービスに消費者の関心が広がっていることが、今回の調査結果から明らかになりました。
東京都では今年のゴールデンウィークを「STAY HOME週間」と命名し、ポータルサイトも開設。「うちで過ごす」「家を楽しむ」ための動画特集なども用意されています。『巣ごもり消費』が長期にわたることが予測される中、消費者のニーズがどのように変わっていくのか、今後も調査を継続していきます。
■調査概要
株式会社ヴァリューズが保有する国内モニターパネルのネット行動ログから、2020年1月10日~4月14日のデータを抽出し、新型コロナウイルスの感染が拡大した2月1日~4月14日の期間で分析しました。
※対象デバイスはPC・スマートフォン
株式会社ヴァリューズでは、消費者ニーズの変化やタッチポイントの変化を確認したいマーケティングご担当者様や、コロナ禍においてのビジネス潮流変化と脅威を発見したい経営企画や新規事業企画等のご担当者様に向けて、“コロナ前後で一体何が変化したのか?”を把握でき、「beforeコロナ」×「withコロナ」を紐解く調査データを提供しております。
調査内容はご要望に応じてカスタマイズも可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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