出版社系マンガアプリを比較
まずはマーケティング分析サービス「eMark+」を使って、出版社が運営するマンガアプリの利用ユーザーについて調べます。
出版社系マンガアプリの特徴と利用ユーザー数(4月実績)
出版社が運営するマンガアプリ(特定の作品の公式アプリを除く)
●「ゼブラック」はジャンプ、ヤングジャンプ、りぼんマスコット、マーガレットなど集英社のコミック雑誌の総合電子書籍としてリリース
■新型コロナ影響でユーザー獲得に成功した集英社
下のグラフのように、2月までは集英社「少年ジャンプ+」と小学館「マンガワン」が首位を競っていましたが、3月以降は「少年ジャンプ+」の利用ユーザーが急増しました。これは外出自粛、学校休校といった情勢に、大人気コンテンツの無料提供という形でいち早く対応したことが理由の一つと考えられます。
出版社系マンガアプリ利用ユーザー数推移
期間:2019年11月〜2020年4月
出版社が運営するマンガアプリ(特定の作品公式アプリを除く)TOP10
グラフ内%は【2019年12月〜2月】と【2020年3月〜4月】の
月次ユーザー平均を比較した伸び率(TOP3)
これらのアプリが3月〜4月中におこなった、自粛支援のためのコンテンツ無料提供状況をまとめると以下のとおりです(一部)。
「少年ジャンプ+」「ゼブラック」「ジャンプBOOKストア!」(集英社)
・『週刊少年ジャンプ」の16~19号(〜5/10)
・『ONE PIECE』(〜4/20)『ハイキュー!』『NARUTO-ナルト-』『BORUTO』(〜5/6)
「マンガmee」(集英社)
・『紳士同盟+』『メイちゃんの執事』『センセイ君主』(〜3/11)
「マンガワン」「サンデーうぇぶり」(小学館)
・『ケンガンアシュラ』『アイアムヒーロー』など1日1話ずつ無料閲覧可。『名探偵コナン』一部無料など。
「マガポケ」(講談社)
・『さよなら絶望先生』全巻無料(〜4/30)
「マンガPark」(白泉社)
・『ハチミツとクローバー』全巻無料(〜3/13)
すべてのアプリが3月、4月にかけて利用ユーザー数を増やしました。中でも、集英社の「ゼブラック」は外出自粛要請が出て以降、4倍以上のユーザーを獲得しました。
「少年ジャンプ+」と「ゼブラック」の人気
次に、集英社マンガアプリを牽引する「少年ジャンプ+」と、ユーザー数が急成長中の「ゼブラック」について詳しく分析していきます。
「少年ジャンプ+」は少年ジャンプに特化しているアプリですが、「ゼブラック」はジャンプ、ヤングジャンプ、りぼんマスコット、マーガレットなど集英社のコミック雑誌の総合電子書籍として、2019年12月にリリースされました。『鬼滅の刃』や『約束のネバーランド』などの人気作品が毎日1話無料(作品によって異なる)で読むことができます。今回のユーザーの増加によって広く認知されれば、今後ますますの伸びが期待できるでしょう。
少年ジャンプ+
■「少年ジャンプ+」は会社員、「ゼブラック」は学生にウケている
「少年ジャンプ+」と「ゼブラック」の併用率は5.5%と低く、それぞれ別のユーザーであることがわかります。
「少年ジャンプ+」「ゼブラック」併用率
期間:2020年3月〜4月
デバイス:スマホ
ユーザー属性を比較すると、下グラフのように「少年ジャンプ+」は「ゼブラック」に比べて30代、会社員が多く、「ゼブラック」は20代、学生が多いようです。
また、ユーザーの年代を推移をみると、3月に入って「少年ジャンプ+」は20代、30代が1.4倍、40代が1.5倍増、「ゼブラック」は20代が2.1倍、30代が2.4倍、40代が2.7倍増でした。同社のマンガアプリは新型コロナの影響で多くの若年層ユーザーを獲得したことがわかります。
「少年ジャンプ+」でジャンプファンを掴みながら、「ゼブラック」で新しいユーザーを広く獲得していくことに成功していると考えられるでしょう。
「少年ジャンプ+」「ゼブラック」ユーザー属性比較【性別】
「少年ジャンプ+」「ゼブラック」ユーザー属性比較【年代】
「少年ジャンプ+」「ゼブラック」ユーザー属性比較【職業】
「少年ジャンプ+」「ゼブラック」ユーザーの年代の推移
期間:2019年12月〜2020年4月
集英社コミック公式サイトの動き
アプリのユーザー動向に続いて、同社が運営するコミック雑誌公式サイトのユーザー動向を確認します。
■サイトも「ジャンプ」ブランドがユーザー増の快進撃
以下のとおり、公式サイトでも「少年ジャンプ」が好調。コミックス電子版が読める「ジャンプBOOKストア!」は3月にユーザー数が急上昇、前月の2倍以上のユーザーを獲得しました。
集英社メディア公式サイトユーザー数推移
期間:2019年11月〜2020年4月
デバイス:PCおよびスマートフォン
ユーザー属性を比較すると以下のとおりとなりました。女性コミックを扱う「りぼんわくわくステーション」を除くと、すべてのサイト男性が過半数を占めます。雑誌の想定ターゲットは年齢順にすると
「少年ジャンプ」→「ジャンプSQ」→「ヤングジャンプ」
であると考えられますが、このデータでみるとジャンプSQが20代、30代に受けており、少年ジャンプはむしろ40代に支持されているようです。
集英社メディア公式サイトユーザー属性
期間:2019年11月〜2020年4月
デバイス:PCおよびスマートフォン
少年ジャンプ公式サイト
まとめ
集英社のマンガアプリは「少年ジャンプ+」を筆頭に好調に利用ユーザーを増やしています。また、2019年12月にリリースされた「ゼブラック」によって、ジャンプ、ヤングジャンプ、りぼんマスコット、マーガレットなど集英社の人気コミック雑誌をフックに、急速に新規ユーザーの獲得が進んでいます。
今回、新型コロナウイルス感染拡大防止のための支援策をおこなったことがきっかけで、「少年ジャンプ+」「ゼブラック」とも多くの若者ユーザーを獲得しました。今後、彼らに支持され、拡散されることで、さらなるユーザーの増加も期待できるでしょう。
分析概要
全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+(イーマークプラス)」を使用し出版社系マンガアプリおよび集英社運営サイトについて、ユーザー推移、属性などを調査分析しました。
※対象期間:2019年11月〜2020年4月
※ユーザー数やセッション数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。まずは無料版に登録して、実際にDockpitを体験してみてくださいね。
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フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。