もう迷わない!KPI・KGI・KSFの違いを徹底解説

もう迷わない!KPI・KGI・KSFの違いを徹底解説

事業の目標達成にあたって重要なKPI・KGI・KSFという3つの用語。似た略称で区別しづらいので、曖昧な理解になっていませんか?KPI・KGI・KSFの定義とそれぞれの違い、使い分けを説明します。KGIで設定した目標・ゴールに向けてその達成に必要な要素を洗い出し(KSF)、各要素の達成具合を定量的に見る(KPI)という関係があります。


KPIとは?

KPIは「Key Performance Indicator」の略で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」となります。

設定した目標をクリアするため、どのような過程を踏めば達成できるかを洗い出すほか、目標とする業績の達成状況を数値で計測する指標がKPI、となります。

具体的な指標の一例として、マーケティングの場合は資料請求数、問い合わせフォームへのアクセス数、SEO施策によってはサイト訪問者数などがあります。

KGIとは?

KGIは「Key Goal Indicator」の略で、「重要目標達成指標」が日本語訳になります。これは最終目標の達成を計測するための指標で、マーケティングでよく使用されます。

KGIの指標として売上高、営業利益、市場シェアなどがあり、最終目標達成の度合いを客観的に判断できるよう、2021年度の売上目標を前年比〇〇%アップさせるという形で設定します。KGIの方が、KPIより粒度が大きな指標となります。

最終目標のKGIを小目標のKPIに分解する

最終目標であるKGIを設定しないことには、目標達成にあたってのプロセスを決めるKPIを設定できないという関係があります。

例えば、ECサイトにおいて、「売上を前年比1.5倍に増やす」ことを「目標(Goal)」に設定するとします。ECサイトで売上を増やすためには、「サイト訪問者数を増やす」「購入単価をアップさせる」「購入のCVR(コンバージョンレート)を高める」などを小目標に設定します。

この場合、「売上前年比1.5倍増」がKGIで、「サイト訪問者数」「購入単価」「CVR」がKPIにあたります。

このように、KGIが明確に設定しないと、KPIを策定できないのです。

KSFとは?

KSFは「Key Success Factor」の略で、日本語に訳すと「重要成功要因」となります。事業を成功させる(=目標達成)ために必要な要因を、外部要因と内部要因に分類します。

外部要因とは、市場の動向、競合の市場参入もしくは撤退といったような、自社の外部にある要因を指します。
一方の内部要因は、KGI達成に必要な要素のほか、自社の強みといった自社内の要因となります。

要チェック!KPI・KGI・KSFの関係性

ビジネス成功のフローにKPI・KGI・KSFを当てはめるていくと、各用語の理解を深めやすくなります。

まずKGI(目標・ゴール)を設定し、次にKSF(目標達成のための要因)を洗い出す。そして、最後にKPI(目標達成に必要な指標)を設定という流れです。

つまり、ビジネスを成功に導くには、KGI→KSF→KPIという順でそれぞれの具体的な内容を設定していくのが重要になります。

KGI設定のポイント

KGIを設定にするにあたっては、具体的な数値の設定が重要です。「売上を増やす」の達成条件条件として「半年以内に単月の売上○○百万達成」と設定するなど、目標達成までの期間や金額を設定します。

このとき、現実的に達成可能な値を目標にする必要があります。あまりに非現実的な目標値では、具体的な施策を考えづらくなるばかりか、スタッフの士気低下にもつながりかねません。

具体的、かつ現実的な目標を設定したら、達成に必要なプロセスを検討、整理します。

KSF設定のポイント

目標=KGIを設定できたら、続いてKGI達成に必要な要因を抽出していきます。

一例として、「半年以内に単月の売上○○百万達成」とした場合、考えられるKSFは「商品力」や「ブランド力、認知度の向上」などが挙げられます。

KSFにできる要因の代表的なものとして、生産・販売・サービス・広告宣伝・マーケティング・品揃え・流通・研究開発・調達・人材・組織などが挙げられます。こうした要素を自社のビジネスに当てはめ、KSFを設定します。

KPI設定のポイント

KSFで洗い出した成功要因を改善した結果を計測可能な目標に落とし込んだものが、KPIです。たとえば、KSFが「認知度の向上」であれば、広告で何%認知度を上げる、などがKPIとして設定できます。

これには、「ロジックツリー(論理を構成するツリー状の思考ツール)」や「ユーザーシナリオ(ユーザーの行動の仮説を考え、ユーザーを誘導するシナリオ)」を用いてのKPI設定がおすすめです。

ロジックツリーは、「WHY」を元にした原因追及ツリー、「HOW」を元にした問題解決ツリー、「WHAT」を元にした要素分解ツリーがあります。一般的には、WHY(原因追求)とHOW(問題解決)が一番多く使用されています。課題が眠っている施策やポイントごとに、その原因と考えられる項目を、ロジックツリーを構築して探求します。

ユーザーシナリオでは、ユーザーを誘導するべく、ユーザーの行動の仮説にもとづいてどの段階でどんなアプローチを行うのが効果的かを考えます。ユーザーの行動は、人の数だけ無限に存在するものですが、ユーザーが購入に至る流れに焦点を当てて仮説を立て、ユーザーの行動に沿った集客のプランニングを立てられれば、効果的な集客ができます。

ECサイトにおけるKPIを策定する際のポイント

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ECサイトの売り上げをあげるためには、KGIの設定だけではなく、KPIの策定が重要なポイントになります。そこで、気になるKPIの策定ポイントや、課題の洗い出し・分析についてご紹介します。効果的なマーケティング施策にお悩みの方や、ECサイトの売り上げが伸び悩んでいる方はぜひ参考になさってください。

まとめ

ビジネス上の目標達成にあたっては、ゴールとなるKGIを設定し、そのために必要な要因は何かをKSFで抽出。そして、KSFをベースとして具体的な目標としてKPIを設定するという流れになります。

このように、KGI、KSF、KPIの関係を理解を深めると、目標達成=成功に必要な要因を見極めやすくなります。

この記事のライター

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