スポーツ新聞4媒体のWeb読者層の違いは?関心を持つワードをクラスタリングで分析

スポーツ新聞4媒体のWeb読者層の違いは?関心を持つワードをクラスタリングで分析

東京オリンピックまであと100日を切り、スポーツ関連のニュースもゴルフの松山英樹選手が「マスターズ」で悲願のメジャー初制覇を達成するなど盛り上がりを見せています。そこで、今回はWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を使って、大手スポーツメディアの読者層やインサイトについてデータから調査・分析をしてみました。自社メディアの改善、あるいは広告出稿先の検討やクリエイティブ立案に役立ててみてはいかがでしょうか。


スポーツメディアのユーザー数や滞在時間など基本指標

今回比較調査する大手スポーツメディアは、「日刊スポーツ」「デイリースポーツ」「スポニチ」「スポーツ報知」の4つのメディアです。

まずは、4つのメディアのユーザー数や滞在時間を見てみましょう。

分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2019年4月〜2021年3月、対象デバイス:PC、スマートフォン

ユーザー数についてはデイリースポーツ日刊スポーツが他の2つのサイトと比較して大きく上回っています。

PV数、平均滞在時間の2指標の数字は4サイトのなかで日刊スポーツがもっとも大きく、また直帰率に関しても日刊スポーツが最も低く抑えられており、ユーザーがサイト内を回遊していると考えられます。一方、新規ユーザー率についてはスポーツ報知が最も高い数値になっています。

次に、ユーザー数の推移を見ていきます。

時期ごとに多少の前後はありつつも、全体としてはデイリースポーツ、日刊スポーツ、スポニチ、スポーツ報知の順番でユーザー数を確保しています。また、直近のトレンドとして、昨年の12月からデイリースポーツが大きくユーザー数を伸ばしています

デイリースポーツ好調の要因はGoogleのコアアップデートか?

デイリースポーツの集客構造を、ユーザー数が増加する2020年12月以前と増加後の期間で比較したものが下のグラフと表になります。

▼増加前(2020年8月〜2020年11月)

▼増加後(2020年12月〜2021年3月)

円グラフの青色部分、「自然検索」からの流入割合の増加が見られます。これがデイリースポーツのユーザー数増加に繋がっているようです。

自然検索での流入キーワードおよび、セッション数を比較すると以下の表のようになります。

▼増加前

▼増加後

「デイリースポーツ」や「デイリー」といった、サイトに関連するキーワードからのセッション数には大きく変化はありませんが、「阪神タイガース」からの流入や、「今井ゆうぞう」など芸能人の名前単一での検索からの流入が大きく増加しています。

ロングテールのキーワードからの流入が増加しており、またこのタイミングが2020年12月であることを考えれば、デイリースポーツの流入増は昨年12月に行われたGoogleのコアアルゴリズムアップデートと関連がある可能性もありそうです。

スポーツメディアごとにユーザー属性の違いはあるのか

続いて、4つのスポーツメディアにおけるユーザー属性について比較していきます。

▼性別構成比

▼年代別構成比

それぞれのグラフは、赤:日刊スポーツ、緑:デイリースポーツ、黄:スポニチ、紫:スポーツ報知

性別、年代ともに目を引くほどの大きな差はありませんが、わずかながら各メディア間で違いが見られます。

性別比は全体として男性のほうがやや多いものの、日刊スポーツが最も男性が多く、デイリースポーツが最も女性が多い割合を占めています。年代比では、20-30代は日刊スポーツが、40代はスポニチが、50-60代はデイリースポーツが高い割合を占めています。

また、4つのメディアの併用状況を表すと以下の表のようになります。

4つの内、2サイト以上を併用しているユーザーが約7割と、大きな割合を占めています。併用なしの割合に注目すると、最も割合が高いデイリースポーツで約11%、最も低いスポーツ報知だと約3%となっています。

スポーツメディアの利用者には、利用するメディア自体にはあまりこだわりなく、集めたい情報をそれぞれのメディアから集めているユーザーが多いと考えられます。

各メディア利用者の興味・関心からメディアの特性を探る

デモグラフィック属性にはスポーツメディアごとに大きな変化が見られませんでしたが、サイコグラフィック的な特徴でなにか違いはないのでしょうか。この観点でスポーツメディア利用者の興味・関心を分析していきます。

以下では日刊スポーツとデイリースポーツに焦点を当て、ヴァリューズのツール「story bank」を用いてユーザー層を興味・関心の違いから6つのクラスタリングに分けてみました。

▼日刊スポーツ

▼デイリースポーツ

2つのメディアについてクラスタを比べてみると、日刊スポーツはライブハウスやメイドなどの情報に興味を持つクラスタと、高校野球に興味を持つクラスタが特徴的です。一方で、デイリースポーツは野球のなかでも特に阪神タイガースの情報に興味を持つユーザーが特徴的に見られました。

では、全メディアで最も関心が高いスポーツ観戦のなかでも、どの種目のスポーツの関心が各メディアで高いのでしょうか。

特徴値とリーチ率をマッピングしたものが以下になります。図の見方としては、右に行くほど当該サイト訪問者の特徴値が高く(=全体に対して特徴的に関心を持っている)また、上に行くほど回答者のボリュームが多い(=当該サイト訪問者内に占める割合が高い)という見方になります。ですので、右上に行くほど当該サイトへの訪問者が特に興味関心を持っている内容となります。

▼日刊スポーツ

▼デイリースポーツ

▼スポニチ

▼スポーツ報知

どのメディアでも「国内プロ野球」「国内サッカー」「海外プロ野球」は共通して関心度が高いことが分かります。メディア間での特徴値の違いに着目すると、

・日刊スポーツは「高校野球」「陸上競技」「自転車競技」
・デイリースポーツは「サッカー日本代表」「プロレス」「ボクシング」
・スポニチは「海外サッカー」
・スポーツ報知は「大相撲」「ゴルフ」
への関心が、他のメディアよりもやや高くなっています。

スポーツの各種目のなかでも各メディアごとに、強みとなる種目が異なるようです。

まとめ

本稿ではスポーツメディアに関して、サイトの基本指標や集客構造、ユーザーの属性・興味・関心を分析しました。複数のスポーツメディアを併用しているユーザーが7割以上を占めましたが、そのなかでも、各メディア間でユーザーの興味・関心は少しづつ異なっていました。

また、デイリースポーツは自然検索からの流入を大きく伸ばしていました。これは昨年12月のGoogleコアアルゴリズムアップデートの影響が考えられます。メディア戦略は集客構造に表れるとも言われ、この部分を見直すことが自社メディア改善には重要なポイントでしょう。

▼参考記事:オールアバウトの徳永さんに、メディア戦略の分析観点を取材しました

「メディア戦略の骨はチャネル構成」All Aboutが他メディアとの比較分析から新規事業を立ち上げる方法とは

https://manamina.valuesccg.com/articles/1086

月間2000万人以上の読者を集める国内最大規模の生活総合情報サイト「All About」を中心とし、多様なメディアを運営する株式会社オールアバウト。同社ではWeb行動ログ分析ツール「<a href="https://www.valuesccg.com/service/emarkplus/" target="_blank">eMark+</a>」を活用し、市場ニーズの分析や新規事業の戦略策定につなげていると言います。メディアビジネス部のジェネラルマネジャー・徳永さんに、All Aboutの戦略設計やデータ活用をお聞きしました。

今回のデータを参考に、自社メディアの改善や広告出稿先の検討に役立ててみてください。

<分析概要>
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「Dockpit」を使用し、2019年4月~2021年3月のネット行動ログデータを分析しました。
※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

2022年の春から、新卒としてヴァリューズに入社。

関連する投稿


Marketing strategy of three Chinese & Taiwanese home appliance manufacturers: HUAWEI, Xiaomi, & ASUS

Marketing strategy of three Chinese & Taiwanese home appliance manufacturers: HUAWEI, Xiaomi, & ASUS

Chinese and Taiwanese manufacturers have been growing their market share and number of users, and they are expected to compete with Japanese companies. We will analyze the current sales trends of HUAWEI, Xiaomi, and ASUS in Japan and predict their future while comparing with Japanese brands.


海外家電メーカーのマーケティング戦略は?中華圏メーカーHUAWEI、Xiaomi、ASUSの3社を調査

海外家電メーカーのマーケティング戦略は?中華圏メーカーHUAWEI、Xiaomi、ASUSの3社を調査

近年、世界で着実にシェアを伸ばしつつある中華圏メーカー。日本においてもその製品の利用者は増加しており、日本企業と競合していくことが予想されます。そこで今回は日本にも進出している代表的な3つの中華圏メーカー、HUAWEI、Xiaomi、ASUSについて、日本における現時点での販売動向を分析し、国産ブランドとも比較しながら3社の今後を占っていきます。


サービス終了から約1年…Zenly利用者はどこへ?位置情報共有アプリの現在

サービス終了から約1年…Zenly利用者はどこへ?位置情報共有アプリの現在

位置情報共有アプリ、Zenly。かつて一般的ではなかった「位置情報を共有する便利さ」をユーザーに伝え、位置情報共有アプリという新ジャンルを開拓しました。友人や家族との待ち合わせに使ったり、スマホの紛失に備えたり、災害時の安否確認として使ったり…とユーザーに様々な需要を生み出したZenlyですが、2023年2月3日にサービスを終了しました。ではその後、Zenlyユーザーはどのアプリを利用しているのでしょうか?この記事では、Zenlyに代わる位置情報共有アプリの現在を、サービス終了直後の分析結果と比較しながら考察します。


今「note」がアツい!読み物好きな若者を魅了?noteの集客動向を調査<前編>

今「note」がアツい!読み物好きな若者を魅了?noteの集客動向を調査<前編>

2023年夏頃から集客数を急激に伸ばしているメディアプラットフォーム「note」。人気を後押ししているのはどのような人々なのでしょうか?前編では、noteが集客しているユーザーの特徴を深掘り調査し、後編では、noteが規模を拡大している要因を探っていきます。


フリマ市場を比較調査。メルカリとYahoo!系サービス、それぞれの特徴や集客の強みとは?

フリマ市場を比較調査。メルカリとYahoo!系サービス、それぞれの特徴や集客の強みとは?

節約やお小遣い稼ぎの手段としても注目が高まるフリマ市場。「メルカリ」「Yahoo!オークション」「Yahoo!フリマ」を対象に、フリマ市場の最新動向について調査しました。各サービスのサイト・アプリについて、利用者数やユーザーの人となりに加えて、サイト集客構造の違いについても深掘りし、それぞれの特徴について明らかにしていきます。


最新の投稿


Z世代就活生の約7割が出社中心の働き方を希望!ある程度拘束されても手取り足取り教えてほしい【電通調査】

Z世代就活生の約7割が出社中心の働き方を希望!ある程度拘束されても手取り足取り教えてほしい【電通調査】

株式会社電通は、2024年卒または2025年卒業予定の全国の大学生・大学院生を対象に、就職活動に関する意識調査「Z世代就活生 まるわかり調査2024」を実施し、調査結果を公開しました。


データ分析のヴァリューズが「競合分析ガイドブック」を公開 ~ 商品企画からプロモーションまで、知っておきたい 6つのフレームワーク・8つの事例・19の分析ツールを徹底解説 ~

データ分析のヴァリューズが「競合分析ガイドブック」を公開 ~ 商品企画からプロモーションまで、知っておきたい 6つのフレームワーク・8つの事例・19の分析ツールを徹底解説 ~

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、運営するデータマーケティング・メディア「マナミナ」にて公開した記事から厳選し、知っておきたい6つのマーケティング・フレームワーク、8つの事例、19の分析ツールを収録した「競合分析ガイドブック」を公開しました。


交渉学を深める ~ 英知ある交渉とは

交渉学を深める ~ 英知ある交渉とは

さまざまなビジネスシーンで見られる「交渉」。よりスマートにお互いの利益を引き出す交渉を行うにはどのような知識とスキルが必要となるのでしょうか。また、現在持ち合わせているあなたの「交渉能力」をアップデートするためには、どのような「交渉術」を備えるべきなのでしょうか。本稿では広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が「交渉」概念の基礎から、さらに深い「交渉学」の世界まで解説します。


悩みを抱えた人の語りからこころと社会を学ぶ「夜の航海物語」のススメ〜現代社会とメンタルヘルス〜

悩みを抱えた人の語りからこころと社会を学ぶ「夜の航海物語」のススメ〜現代社会とメンタルヘルス〜

「カウンセリング」と聞いて、どんな印象を持ちますか?専門家とともに自分のこころを見つめる経験は、その後の人生の糧にもなります。臨床心理士の東畑開人氏の著書「なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない」(新潮社)は、気付かないうちにあなたも染まっているかもしれない、孤独に陥りがちな現代社会の価値観に気づかせてくれます。「読むセラピー」と称された、カウンセラーとクライアント(依頼者)の夜の航海物語を、精神保健福祉士の森本康平氏が解説します。


Twilio、「顧客エンゲージメント最新動向」を発表 データ使用状況の開示と高い透明性の重要性を明らかに

Twilio、「顧客エンゲージメント最新動向」を発表 データ使用状況の開示と高い透明性の重要性を明らかに

Twilio Japan合同会社は、「顧客エンゲージメント最新動向」の日本語版を発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ