カメラアプリの動向を探る

カメラアプリの動向を探る

― 男性は無音カメラ、女性はSNOWがトップ! ―


ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は、アクセスログ及び会員アンケート調査結果に基づき、スマートフォンのカメラアプリ利用動向を分析しました。

分析概要

アンケートに関しては、ヴァリューズが保有する全国の行動ログモニター会員を対象として、2017年9月21日~10月2日に調査を実施。
ネット行動ログ分析に関しては、同じくヴァリューズが保有する全国の行動ログモニター会員の協力により、2017年9月において、スマートフォンアプリ別にデータを集計した。
※アプリユーザー数は、Androidスマートフォンでのインストールおよび起動を集計し、ヴァリューズ保有モニタでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※カテゴリはGoogle Playのアプリカテゴリより取得

考察サマリ

利用ユーザー数は300万人以上増加! 写真アプリ所持ユーザーのうちの半数近くがアクティブユーザーに。

「写真」カテゴリで2016年9月と2017年9月のスマホアプリ利用状況を確認したところ、利用ユーザー数 は約1589万人から約1906万人に増加しています。アプリ所持ユーザーのうち、実際に利用しているユーザーの比率を示すアクティブ率は39.4%から44.2%に伸びています。所持ユーザー数の増加率は106.7%で、約4036万人から約4308万人へ増加しています。

図1 写真アプリの利用状況(2016年9月と2017年9月の比較)

トップ3はSNOW、LINE Camera、無音カメラ。

eMark+のアプリランキングで、カメラアプリの利用ユーザー数ランキングを確認しました。 利用ユーザーは、1位SNOW:303万人、2位LINE Camera:215万人、3位無音カメラ [高画質]:149万人までが100万人以上。スマホユーザー全体における利用率はSNOWでも5.5%にとどまり、約8割のスマホユーザーがもっともよく使うカメラアプリとして標準カメラアプリをあげているというアンケート調査結果を裏付ける結果となりました。

図2 カメラアプリ 利用ユーザー数 上位ランキング(2017年9月)

図3 最もよく使うカメラアプリ

目立つのは、「無音」「静か」を謳ったアプリが複数ランクインした点です。アンケート調査結果ではアプリ選択ポイントとして画質62.5%や加工の簡単さ29.7%がシャッター音12.9%を上回りましたが、実際には「無音」を考慮してインストールするユーザーが少なくないようです。

図4 カメラアプリを選ぶポイント

eMark+ SiteAnalyzerのユーザー数推移で上位カメラアプリのユーザー数推移を分析したところ、2016年12月頃からの増加傾向が確認できます。1位のSNOWは2016年10月にLINE Cameraを上回り、同12月に急増。直近2ヶ月では漸減ながら、12ヶ月間トップの座を維持しています。右肩上がりが鮮明なのは3位の無音カメラ[高画質]で、微増ながら大きな変動のないLINE Cameraに迫る勢いです。他方、4位無音カメラ [高画質・高機能・高速起動]や5位[高画質]良い無音カメラは大きな変動が見られませんでした。6位以下では、8位カメラ360が7月以降増加し、BeautyPlusに肉迫しています。

図5 上位カメラアプリのユーザー数推移(2016年9月~2017年10月)

ステッカー機能やセルフィー機能等の、機能特化型カメラアプリで高い起動率。

では、カメラアプリは実際どのくらい使われているのでしょうか。アプリ所持ユーザーにおけるアクティブ率を見てみると、上位15アプリの平均アクティブ率が51.0%に対し、LINE Cameraや無音カメラ [高画質・高機能・高速起動]は40%前後と、やや低めの利用状況です。他方、ステッカー機能が人気のカメラ360、食べ物の撮影に特化したFoodie、セルフィー機能が充実したYouCam PerfectやYouCamメイクは、ユーザー数で及ばないもののアクティブ率が6割を超えており、特定ユーザーのニーズに応えているものといえそうです。

図6 上位15アプリの利用状況(2017年9月)

アンケート調査では、上位3アプリいずれのユーザーも「思い出としてきれいに写真を残す」ことを写真を撮る目的にあげた回答者が最多でした。次いでSNOWユーザーは「写真を加工してきれいに見せる」、「SNSに投稿」と、加工した写真をSNSに公開しているものと見られます。無音カメラユーザーは「大切な瞬間を記録として保存」、「SNSに投稿」の順で、標準カメラアプリとほぼ同じ利用方法でした。他方LINE Cameraユーザーは「SNSに投稿」が5.7%にとどまり、「大切な瞬間を記録として保存」、「家族や友だちと思い出を共有」と、よりパーソナルな目的でアプリを利用しているようです。

図7 写真を撮る目的

ユーザー属性

eMark+ SiteAnalyzerを使って、上位10アプリのユーザー属性を比較してみました。
無音カメラ [高画質・高機能・高速起動]、[高画質]良い無音カメラ、Fotorがほぼ男女同率だった以外は、いずれのアプリも男性または女性にユーザーが集中。特にSNOWやLINE Camera、B612、BeautyPlus、カメラ360は女性比率が7割を超えています。

図8 上位10アプリのユーザー属性(男女別)

男女別の人気傾向は、eMark+ Target Focusで比較するとさらに鮮明です。各トップ10位の顔ぶれはほぼ同じですが、静かな超高速カメラ[無音, 高画質, GIFアニメ]は男性のみ、YouCam Perfectは女性のみでランクインしました。

図9 男女別の人気カメラアプリ

SNS用写真撮影は標準カメラが主流

アンケート調査によると、SNS投稿に使われているカメラアプリの88.8%はスマートフォンの標準カメラ。デジタルカメラ・一眼レフカメラがこれに続く16.0%で、SNS投稿シーンでのアプリのカメラ機能やカメラアプリの利用は限定的でした。

SNS別では、Instagramに写真を投稿する人の12.9%、Twitterに写真を投稿する人の7.5%が、それぞれのアプリのカメラ機能を利用してSNSに投稿する写真を撮影していると回答しました。カメラアプリ利用では、Twitterで写真を投稿する人の11.4%は無音カメラを、Instagramで写真を投稿する人の8.7%がSNOWを SNS用写真の撮影に使っている以外、目立った傾向は見られませんでした。

図10 SNSに投稿する写真の撮影カメラ

eMark+ Site Analyzerの「併用状況」を使い、Instagramアプリ利用ユーザーの上位カメラアプリ利用状況を確認しました。
全2170万ユーザーのうち、いずれのアプリも利用していない「併用なし」が60.1%と最多でしたが、SNOWは20.3%、LINECameraは14.0%のInstagramユーザーが併用しています。アンケート調査からも、SNOWは「SNSへの投稿」、「写真の加工」、「かわいく撮る」を利用目的にあげるユーザーが多いことから、SNOWで撮影・加工しInstagramへ投稿、といった使い方は一定数のユーザーが活用していそうです。他方、LINE Cameraユーザーは「SNSに投稿」が5.7%にとどまることから、Instagramアプリを「別物」として使い分けていると考えられます。

図11 Instagramアプリユーザーのカメラアプリ併用状況

被写体は「景色・風景」が55.8% 自撮りや友人はSNOW、家族はLINE Camera、景色は無音カメラ。

アンケート調査でカメラアプリの被写体を訊ねたところ、上位は「景色・風景」55.8%、「家族」40.1%、「食べ物」39.8%の順でした。
上位カメラアプリユーザー別にみると、被写体によってアプリを使い分けている傾向が顕著です。SNOWユーザーは「自分自身」59.2%、「友人・知人」52.6%と家族を除く人物が突出。他のアプリユーザーでは1割に満たない「恋人」も28.5%でした。
他方、「家族」の撮影に使われているのはLINE Cameraで、48.8%に上りますが、自撮りや家族以外の撮影利用はグッと回答が減ります。無音カメラユーザーは63.2%が「景色・風景」で、人物はいずれも2割に届きませんでした。
属性別では20~30代女性の自撮り、30代以上の女性の「家族」が目立ちます。また、全般に女性は人物を、男性は景色や建物など人物以外の被写体を撮影したがる傾向といえそうです。

図12 カメラアプリの被写体

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

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