コロナ禍で就活生のニーズはどう変化した?大学生の視点で調査

コロナ禍で就活生のニーズはどう変化した?大学生の視点で調査

コロナ前後で就活生のニーズや考えていることはどう変わったのか?コロナ前後の2年間の検索キーワードや流入先のサイト等を調査し、21年卒、22年卒の就活生ニーズの変化を探りました。分析にはSaaS型のWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用しています。


こんにちは、砂原ろまんと申します。本メディア・マナミナを運営する株式会社ヴァリューズのインターン生です。

新卒採用にも新型コロナウイルスは大きな影響を与えました。2020年10月に各社で行われた内定式の多くはオンラインで開催されました。中にはいまだに内定者と直接会っていない企業もあるようです。コロナ以前の新卒採用ではほとんどありえなかったことなのではないでしょうか。

私は22年新卒として2020年6月から2021年2月まで就職活動をしましたが、イベント、会社説明会、面接、OB訪問のほとんどはオンラインで経験しました。エントリーシートや履歴書は全てオンライン上で提出しましたし、面接のためのリングライトを購入したり、自己紹介用の画像資料を作ったりと、オンライン就活ならではの部分を経験しました。

その一方で、腕時計やビジネス用のカバンは、必要な場面が来なかったため結局購入しませんでした。このように新卒採用の環境が変化する中、学生が考えていることも同様に変化していると考えられます。

そこで本稿では、就活生が考えていることがコロナ前後でどう変わったかについて、データに基づいて紐解いていきます。調査にはヴァリューズの分析ツール「Dockpit」を用い、2020年5月~2021年4月の一年間の検索キーワードや流入先のサイト等を分析しました。

「就活」検索者の1年間の動向は?

まず、コロナ前後で「就活」検索者数の推移を見てみましょう。2019年5月~2021年4月のコロナ前と、コロナ禍以降の2020年5月〜2021年4月では「就活」検索者数は変わったのでしょうか。

2019年5月~2020年4月、2020年5月~2021年4月の「就活」検索ユーザー数推移の比較(「Dockpit」キーワード分析より)

2019年5月~2021年4月と比較すると、「就活」検索ユーザー数は全体を通して増加していることがわかります。また、2019年5月~2020年4月と比較すると5月~10月の検索ユーザー数が増加しています。企業の求人数の低下による一部の21年卒生の就職活動の遅れや、22年卒の就職活動の早期化の影響が見受けられます。

一方で、冬(11~2月)のユーザー数はほぼ変化が見られません。また、前年同様、多くの大手企業の新卒採用エントリーが開始される3月で最も検索ユーザーが多いことがわかります。

続いて、どのようなユーザーが「就活」と検索しているのか、検索ユーザーの年代比から確認してみます。

2020年5月~2021年4月の「就活」検索ユーザーの年代比(「Dockpit」キーワード分析より)

やはり学生と思われる10〜20代の検索者が大半を占めているのが確認できます。また、30~50代のユーザー数はそれぞれ10%程度であり、主に企業の人事担当者や就活サービスの提供者と思われます。

就活生はどんなワードに関心を持っていた?

では、就活生は具体的にどのようなキーワードを検索しているのでしょうか。そのワードから就活生のニーズを探ります。

下記に検索キーワードランキングをまとめました。検索キーワードについても同様に、前年2019年5月~2020年4月と比較しました。

2019年5月〜2020年4月、2020年5月〜2021年4月の「就活」検索ユーザーの検索キーワードランキング比較(「Dockpit」キーワード分析より)

ランキング上位の比較結果について、以下にまとめます。

・「就活」の検索ユーザー数は増加(約11万人から約13.5万人に)
・「就活 スーツ」の検索ユーザー数は減少(約2.8万人から約1.7万人に)

就職活動に対する関心は高まっている一方、選考プロセスのオンライン化に伴ってスーツへの関心は薄れてきているのではないでしょうか。

就活生が気になっているのは「髪型」…? 検索数が増加

さらに詳しくコロナ前後での変化を比較するため、前年と比較したランキング順位の増減順にキーワードをランキング化しました。左の表は前年に比べて検索数が増加したキーワード、右の表は検索数が減少したキーワードをまとめています。

2019年5月~2020年4月、2020年5月~2021年4月の「就活」検索ユーザーの検索キーワード比較(「Dockpit」キーワード分析より)

いくつか注目のキーワードをピックアップし、以下にまとめます。

「志望動機」「自己PR」「前髪」といったワードの検索数の増加から、具体的な選考対策や面接時の身だしなみへの関心が高まっていると考えられます。就職活動の早期化によって早い時期からこれらの対策が求められるようになってきた背景もありそうです。また、「いつから」の検索数の増加からは、就活の開始時期への不安や疑問も見受けられました。

一方で、減少したキーワードのひとつに「ネクタイ」があります。これは私服可のオンライン面接が増えたことが背景にありそうです。「ネクタイ」と似たキーワードである「スーツ」の順位は2位から3位へ落ちているものの、依然として上位にいます。「私服可と言われたけど本当に私服で大丈夫なのだろうか?」という検索動機もありそうです。

また、「封筒」の検索数の減少からは、各企業の就活プロセスの電子化が進み、封筒による郵送を必要とする企業が減ってきている背景がありそうです。

IT業界への関心が高まる

さらに、「就活」検索ユーザーの関心ワードを調査してみましょう。関心ワード分析では、検索キーワードである「就活」と関連して特徴的に関心のあるワードを確認できます。

2020年5月〜2021年4月の「就活」検索ユーザーの関心ワード(「Dockpit」キーワード分析より)

求人サイトについては、「リクナビ2022」「マイナビ2022」が上位にランクイン。これらのサービスはTVCMやディスプレイ広告で普段から目にしていたり、先輩から話を聞いていたりして就活開始前から名前を知っている学生が多いのではないでしょうか。

また、選考対策については「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」や「逆質問」「WEBテスト」「最終面接」「エントリーシート」「自己分析」「WEB面接」「自己PR」といったワードへの興味が見受けられます。いずれも選考時に対策が必要な内容であり、情報を求めている学生は多いということでしょう。

「IT業界」が具体的な業界名として唯一30位圏内にランクインしている点にも注目です。IT業界の人気の高さがうかがえます。関心を持つのは男性ユーザーが約6割、女性ユーザーが約4割であり、男性からの関心が比較的高いようです。

「就活」検索者が流入後に見ているサイト、ページは?

では、「就活」検索ユーザーが具体的にどんなサイトに流入しているのでしょうか。
流入サイトの上位25サイトを確認してみましょう。

2020年5月~2021年4月の「就活」検索ユーザーの流入サイトランキング(「Dockpit」キーワード分析より)

上位の求人サイトや就活ノウハウ記事サイトには、「内定者ES」や「選考体験談」が見られるサイトが多く見受けられました。サイトトップページに内定者ESへの誘導がされているサイトは、2位「就活の未来」、4位「ONE CAREER」、5位「キャリアパーク」、10位「自己PR・志望動機、ES書くなら就職活動支援サイトunistyle」等があります。

逆求人サイトに関しては、11位「dodaキャンパス」のみがランクインしました。ランキング25位圏外でしたが、38位には「Matcher(マッチャー)| OB訪問の新しい形」が見受けられました。MatcherはOB訪問機能が有名ですが、企業の方から直接DMで声をかけてもらえる機能があります。そこから選考や会社説明会に移行することもあり、この機能を目的に利用している就活生もいます。体感として「キミスカ」や「OfferBox(オファーボックス) 」も就活生界隈では有名でしたが、直近1年間のランキング25位圏内には見受けられませんでした。

「身だしなみ」「マナー」に関するページのユーザー数は減少

続いて、就活生は検索後、具体的にどのようなページを閲覧しているのか調べてみましょう。

2020年5月~2021年4月の「就活」検索ユーザーの流入ページランキング(「Dockpit」キーワード分析より)

ランキング上位には多くのマイナビ関連、リクナビ関連のページがランクイン。両サイトとも同様に、「メール」「自己紹介」「面接マナー」「スケジュール」等の幅広い情報を発信しています。一方で、その他にランクインしたページでは、ランキング上位サイトの隙間を狙うように、テーマを絞って丁寧に解説しているサイトがいくつか見られました。

たとえば、9位にはクリ博ナビの自己PRのページがランクイン。先ほど「自己PR」の検索数が前年と比較して増加している結果がありましたが、自己PRのコツを例文付きで解説するページが多くのユーザー数を獲得したようです。

14位にはen-courageの「就活浪人した先輩が語る体験談」記事がランクイン(『就職浪人したエリートが語る、就活でやってはいけない9つのこと』)。インタビュー形式で具体的なエピソードが語られる内容はリアリティがあります。

19位にはC CHANMELの女性向けに好印象な前髪の作り方について解説した記事がランクイン。(『【就活2021】好印象な前髪とは?就活生の髪型を教えます』)。動画や画像を交えて、就活中の髪型対策について詳しく説明されていました。

就活生の検索に季節傾向はあるのか?

「就活」と検索したユーザーの関心を3か月ごとに見てみましょう。

2020年5月~2021年4月の「就活」検索ユーザーの季節比較(「Dockpit」キーワード分析より)

5月~7月はサマーインターンの情報収集が主流か

主要な検索キーワードは「6月」「夏」「大学院」「コロナ」「クールビズ」でした。その中でも21卒生による検索を思われるキーワードは、「6月」「大学院」「クールビズ」「辞退」など。21卒の就職活動は「6月だとどのような感じなのか?」「大学院に進学するか迷っている?」「いつからクールビズが始まるのか?」「内定辞退はどうやってやるのか?」等の背景がありそうです。

また、22卒生による検索を思われるキーワードは、「夏」「時期」「インターン」「人気」など。「夏から始まるインターンのことを考えている」「就活を始める時期を気にしている」「人気企業を探り始めている」ような動きがありそうです。

8月~10月には「即日採用」といったキーワードが見られる

主要な検索キーワードは「9月以降」「仕事」「即日」「エントリーシート」「宛名」「採用」でした。
その中でも21卒生による検索を思われるキーワードは、「9月以降」「即日」「宛名」「送付状 封筒」など。就職活動も終盤に差し掛かり、「9月以降の就職活動の動きを確認したい」「即日内定がでるのか確認したい」「内定承諾書の郵送方法やマナーを確認したい」という背景がありそうです。

また、22卒生による検索を思われるキーワードは、「エントリーシート」「流れ」「スケジュール」「資格」「インターン」「履歴書」「書き方」「証明写真」「2022卒」など。夏のインターンシップの選考に向けて動き出している背景がありそうです。

11月~1月はオンライン面接の背景に迷う就活生も

主要な検索キーワードは「冬」「やばい」「背景」「コート」「22卒」でした。

この時期以降は主に22卒生による検索であると考えられます。「やばい」からは、本選考が徐々に始まって焦っている様子が見受けられます。「背景」はおそらく、オンライン面接時の背景を迷っているのではないでしょうか。

また、「コート」「靴」「青山」など、スーツや靴を揃えようとしている動きも見受けられました。全ての企業の選考がオンライン化しているわけではなく、最終面接だけは会社で行う企業もあったため、そういった企業の選考の準備が背景にありそうです。

2月~4月は「何社」と検索する学生は他の人の内定数に興味?

主要な検索キーワードは「4月」「部活」「3月」「学校推薦」でした。

「3月」「4月」からは、大手企業の本選考が本格的に始まると同時に、就職活動の動き方や状況を把握したいという同期から検索されていそうです。また、「何社」からは、内定がでている学生も増えてくる中、他の22卒生の進捗状況を知りたいという背景があるのではないでしょうか。

また、「23卒」というワードも見受けられました。動き出しの速い23卒生はこの時期から情報収集を開始しているようです。

まとめ

最後に、2019年5月~2021年4月の2年間の「就活」検索ユーザーの調査結果をまとめます。

「就活」検索者数の推移としては、前年2019年5月~2020年4月と比較して増加傾向にあり、特に、5月~10月の検索者が増加しています。就活の早期化による影響や、夏のインターンシップの多くがオンラインで開催されたことで、夏前から就職活動を始める地方の学生も増えたのではないでしょうか。

検索ユーザーの関心として、「就活 スーツ」の検索数は依然として高いものの、前年よりは低下しています。その要因は選考プロセスのオンライン化や、私服可の面接が増えたことが挙げられます。一方で、「就活 前髪」の検索数は増加しており、髪型への関心は相対的に高まってきていると思われます。

また多くの「就活」検索ユーザーが流入していたサイトの特徴として「内定者ES」を載せていることが挙げられます。ほかにも、「自己PR」「体験談」「前髪」などコンテンツを絞って詳細に解説しているページが多くのユーザー数を獲得していました。

本調査をぜひ採用活動などにお役立てください。また、本記事のデータはWeb行動ログ調査ツールのDockpitを使用しています。Dockpitには無料版もありますので、詳細な機能を知りたい方はぜひ使ってみてください。

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この記事のライター

2022年4月に新卒としてヴァリューズに入社しました。それまでは大学院でダイヤモンド半導体について研究しつつ、ヴァリューズの内定者アルバイトとして働いていました。

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