Zoom、GoogleMeetなどオンライン会議ツールの利用実態を調査。コロナ禍でリモート文化は定着したのか

Zoom、GoogleMeetなどオンライン会議ツールの利用実態を調査。コロナ禍でリモート文化は定着したのか

コロナ禍で大きく需要が伸びたオンライン会議ツールについて、新しい「働き方」へ与えた影響を探っていきます。Web行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて、Zoom、GoogleMeet、Skypeの3ツールのユーザー数や利用時間帯を調査。さらに、地方別のコロナ前後での伸び率や、年代別の比較も行っています。BtoBコミュニケーション施策を考える上での参考にしてみてください。


新型コロナウイルスの感染拡大が本格化してから、およそ1年半が経過しました。コロナ禍を通じて変わったことの1つに、「テレワーク」や「リモートワーク」といった新しい働き方が広く行われるようになった、という点があります。特に、2020年4月に発令された1回目の緊急事態宣言においては、在宅ワークに切り替える企業が急増したことで、それを支える各種ツールの需要も一気に伸びたことが記憶に新しいです。

今回は、いまや一般的とも呼べる水準にまで普及した感のあるオンライン会議ツールが、実際にどれほど世間に定着しているのかを調べていきます。ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツールDockpit(ドックピット)を用い、「Zoom」「GoogleMeet」「Skype」の3ツールの利用ユーザーの推移から、オンライン会議の広がりとビジネスシーンへの浸透度合いを探っていきましょう。

オンライン会議ツールの利用ユーザー数の推移

コロナ禍がオンライン会議へどれほどの影響を与えたのか、代表的なツールの利用ユーザー数から推し量ってみます。Dockpitを用いて、「Zoom」「GoogleMeet」「Skype」の過去2年間の利用ユーザーの推移データを抽出します。

「Dockpit」で「Zoom」「GoogleMeet」「Skype」の利用ユーザー数推移を集計
期間:2019年7月〜2021年6月
デバイス: PC・スマートフォン
※アプリユーザーは除く

上記、月次の利用ユーザー数のグラフを見ると、3つのツールが揃って、最初の緊急事態宣言の前後である2020年3月~5月頃に大きくユーザー数を伸ばしていることが確認できます。

特に伸びが大きいのは「Zoom」で、2020年2月頃から急速にユーザー数が伸びています。夏ごろにはやや数値が落ち込んだものの、その後は2021年6月までじりじりと数値が伸び続けている様子が見て取れます。

コロナ第1波の影響でオンライン会議ツールの利用者が急激に増え、その後は一旦落ち着いたものの、引き続き各種ビジネスの現場でツールの需要が伸び続けている状況にあると言えそうです。

オンライン会議ツールはテレワーク定着の決め手にならない?

前項でオンライン会議ツールの爆発的な普及をデータで確認しましたが、実際にビジネスパーソンの間でテレワークが浸透しているといった「働き方」の変化はあったのでしょうか。

株式会社ネクストレベル運営の転職メディア「ミライのお仕事」が主導したテレワーク普及率のアンケート調査によれば、実のところ、最初の緊急事態宣言から1年経過した現在において、約70%の回答者が「コロナ禍以前と働き方は変わらない」と答えています。

アンケートでは「テレワークは導入されず、以前と働き方は変わらない」という回答も55.8%にのぼり、「緊急事態宣言中にスポット的にテレワークが導入されたが、時間経過と共に以前の状態に戻ってしまった」という状況の人も多い様子です。

また、同アンケートのヒアリング結果によれば、テレワークの定着や「働き方」の変化が想定よりも進んでいない背景には、就業場所による制約や、オンライン化を進めるための社内のノウハウ・技術がない、といったものが主であるようです。

オンライン会議ツールの爆発的な普及が進んではいるものの、万人が働き方を変化させるための決め手とはなりえない様子が窺えます。

会議などのビジネスシーンでツール活用が進むか

普及の進む各種ツールは、具体的にどのようにビジネスシーンでの利用が進んでいるのでしょうか。Dockpitを用いて、3つのオンライン会議ツールの1日のなかでの利用時間帯のデータを抽出してみます。

「Dockpit」で「Zoom」「GoogleMeet」「Skype」の時間帯別ユーザー数を集計
期間:2019年7月〜2021年6月
デバイス: PC・スマートフォン
※アプリユーザーは除く

グラフを見ると、3つのツールの利用者は9時ごろから増加し始め、ランチの12時頃にやや減少します。その後、13時~14時頃にピークを迎えた後は、20時ごろまで継続的に利用者がいることがわかります。ツール利用者の増える時間帯は、概ねビジネスパーソンの多くが打ち合わせを行うタイミングに沿っていると言えるでしょう。

このデータから、各ツールは会議などのビジネスシーンにおいては、一定の浸透が見られるのではないかと考えられます。一方で、前項でお伝えした完全な在宅ワーク・テレワークへのシフトはそれほど進んでいないという背景もあるため、「出社してオンライン会議ツールを活用している」という人も多いのかもしれません。

筆者の周囲もそうですが、例えば外出・移動の制約が設けられる中で取引先との商談にオンライン会議ツールを用いたり、社内のちょっとした打ち合わせや情報共有にツールを利用したり、という方は増えているのではないでしょうか。また、会場を借りて行われていたビジネスセミナーやイベント等も、オンラインでの開催が一般的になってきた印象があります。

地方でも進むオンライン会議ツールの利用

次に、人口が集中し、コロナ感染のリスクが高い都市部以外の地域でも、オンライン会議ツールの利用は進んでいるのかを調べてみましょう。Dockpitによって、コロナ前(2019年7月〜12月)とコロナ後の直近半年(2021年1月〜6月)における、国内各地方の「Zoom」利用者の増加率データを作成します。

「Dockpit」で「Zoom」ユーザーの地方ごとの利用数を集計
期間:2019年7月〜12月、2021年1月~6月(前後2つの期間の合計値から増加率を計算)
デバイス: PC・スマートフォン
※アプリユーザーは除く

グラフを見ると、すべての地方においてコロナ前よりZoomの利用者が増加していることがわかります。特に伸びが大きいのは北海道地方で、コロナ前と比べて14倍(1,400%)弱もの利用者の増加を遂げています。

北海道では最初期にコロナ感染拡大が起きたことで市民の警戒感が強かったことや、他県への主な移動手段である飛行機の利用を避けるために、早期にリモートワークへの移行する人が多かった…といった要因が考えられます。

また、最も伸びが小さかった四国地方でもコロナ前の8倍以上の増加が見られることから、都市部だけでなく、地方でも全体的にオンライン会議ツールの活用は進んでいるようです。

若年層が27倍増も、意外にシニア層の利用も伸びている

先ほどと同じかたちで、今度はコロナ前後による年代別のZoomのツール利用者の増加率をデータ抽出してみます。

「Dockpit」で「Zoom」ユーザーの年代別の利用数を集計
期間:2019年7月〜12月、2021年1月~6月(前後2つの期間の合計値から増加率を計算)
デバイス: PC・スマートフォン

データから、最も増加率が高かったのは比較的ITリテラシーも高い20代で、コロナ前と比較して約27倍のツール利用者がいるようです。加えて、20代ほどではありませんが全ての年代でツールの利用は増えており、万遍なくオンライン会議の文化が定着しつつあると言って良い状況でしょう。

また、意外にも60代~70代のシニア層の伸びが大きい点が特徴的です。シニア層のツール利用が増えているのは、ビジネスシーンというよりも、コロナ禍の外出自粛によってデジタルシフトが一気に加速したことが影響していると推察されます。

これまで日常生活においてインターネットを用いる必要性を感じなかった人たちが、外出のできない状況下で、半ば強制的に各種オンラインツールの利用を始めたのではないでしょうか。

まとめ

今回は定量的な観点の調査から、オンライン会議ツールが社会に浸透しつつあることを確認できる結果となりました。利用率の増加には地域ごとや世代ごとの格差もさほど見られず、コロナ禍において広く求められるツールであることは、やはり間違いなさそうです。

また、ビジネスシーンでは"コロナで出来なくなった事の解決策"としてだけでなく、オンライン会議ツールならではの強みを活かした利用方法が、各職場で工夫されているのではないでしょうか。

一方で、こうしたツールだけでは社会全体の「働き方」を変える一助にしかならないことも事実です。特に、第1次・第2次産業に従事する方々は、オンライン会議ツールによる恩恵を受けづらい可能性があります。

コロナ禍をきっかけに見直されつつあるワークライフバランスも多々あるはずなので、こうしたツールのさらなるビジネスの現場への普及と、様々な活用方法が模索され続けていくのが好ましいと感じました。

本調査が、皆さんのマーケティング業務や市場調査などに役立ちますと光栄です。

【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2019年7月〜2020年6月の検索流入データ
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス(アプリユーザーは除く)

▼マナミナを運営するヴァリューズでは、オンライン学芸会がZoomを利用して行われました。リモートでの社内コミュニケーション施策のヒントになればと考え、その模様をお届けします。ぜひご覧ください。

コロナ禍での社内コミュニケーションどうしてる?会社で「オンライン学芸会」をやってみた

https://manamina.valuesccg.com/articles/1253

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに始まったリモートワークも早1年が経とうとしています。社員同士、リアルでの飲み会やランチ会、プロジェクトの打ち上げなど難しい状況が続く中、マナミナを運営する株式会社ヴァリューズでは、オンラインイベント「オトナの学芸会」が開催されました。普通のZoom飲みとはちょっと違う、一風変わったこのイベント。社内コミュニケーション施策のヒントになればと考え、その模様をお届けします。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

国内大手の採用メディア制作部を経てフリーライターとして独立。現在はWebマーケティング、就職・転職、エンタメ(ゲーム・アニメ・書籍)等の各種メディアにて記事制作を担当。「マナミナ」では一人でも多くの読者に楽しく読んでもらえるマーケティングコンテンツを提供していきます。

関連する投稿


イマーシブ・フォート東京は本当に終わったのか。利用者データから読み解く次の展開

イマーシブ・フォート東京は本当に終わったのか。利用者データから読み解く次の展開

2024年にお台場ヴィーナスフォート跡地にオープンしたイマーシブ・フォート東京が、2026年2月28日(土)をもって営業終了することを発表しました。本記事では、開業から2年間の利用者データや消費行動をもとに、同施設がどのように支持されてきたのかを分析しました。また、「リアル脱出ゲーム」との比較や閉業理由を踏まえ、イマーシブ体験市場の今後について考察します。


タクシー配車アプリ比較!GO・DiDi・Uber Taxiユーザーの違い

タクシー配車アプリ比較!GO・DiDi・Uber Taxiユーザーの違い

スマホ1つで簡単にタクシーが呼べるタクシー配車アプリ。近年はCMなどでの露出も増え、規模を拡大しています。一方、複数のアプリが誕生したことで、どれを選ぶべきか迷っている人も多いのではないでしょうか。本記事では、タクシー配車アプリの「GO」「DiDi」「Uber Taxi」を比較します。アプリの機能面に加え、ユーザーデータの分析から、各アプリのユーザー像を比較していきます。


資さんうどん躍進に見る”外食のファンダム”化。ポイント経済圏・優待券の効力

資さんうどん躍進に見る”外食のファンダム”化。ポイント経済圏・優待券の効力

九州発のローカルチェーン「資さんうどん」は、2024年10月にガスト・バーミヤンなどを有するすかいらーくホールディングスに買収されたことで大きな話題を呼びました。買収から約1年半が経った今、同ブランドへの注目度は急速に高まっています。本記事では、資さんうどんがなぜここまで支持を広げているのか、その背景を考察します。


Duolingoはなぜ“ただの語学アプリ”を超えたのか。2年で100万人増の理由を分析

Duolingoはなぜ“ただの語学アプリ”を超えたのか。2年で100万人増の理由を分析

言語学習アプリとして日本最大級のシェアを誇るDuolingo(デュオリンゴ)。この2年でユーザー数は約100万人増え、競合を大きく引き離す成長を続けています。記事では、Duolingoがなぜここまで支持されるのか、その人気の理由を考察しました。


JR「キュンパス」のお得な平日旅、なぜ若者より50代に人気なのか。魅力に迫る

JR「キュンパス」のお得な平日旅、なぜ若者より50代に人気なのか。魅力に迫る

JR東日本エリアが平日乗り放題になる「JR東日本たびキュン♥早割パス(以下、キュンパス)」をご存じですか?新幹線も乗り放題になるため、かなりお得な旅行を実現できます。今回は、そんなキュンパスの正体を見ていきます。記事の後半では、「平日」に焦点を当て分析し、最後には平日をお得に楽しむ方法をご紹介します。


ページトップへ